アストレイヴ 〜中二病召喚計画〜

よしまさ

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第14話 十神災牙編:転生破壊者の覚醒

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第14話 十神災牙編:転生破壊者の覚醒

異世界アストレイヴ──そこは創造と破壊が交錯する世界。人々は女神イデアと創造神ソルを信仰し、平和を謳歌していた。しかし、その均衡を乱す者が、新たに召喚されることになる。

「──この世の全てが憎い。全て、滅びろ!」

黒髪に紅い瞳、十神 災牙(とがみ さいが)は、転生直後から破壊の想像に心を支配されていた。彼の頭の中では常に炎と破壊のビジョンが渦巻き、手からは自然と地獄の力が具現化していた。

「ヘルファイヤー……!」

十神の手のひらから、黒く轟々とした炎が生み出される。炎は敵単体を瞬時に焼き尽くし、焦げた匂いとともに地面に焦土の跡を残す。

「もっと黒く、もっと轟々と、もっと熱く……そうだ、この炎の焼け跡で、俺の存在を世間に知らしめるんだ……!」

災牙の瞳が赤く燃え上がる。地獄の底からさらに強力な炎を呼び覚ます――その名も「インフェルノ」。黒い炎嵐は瞬く間に周囲の村を飲み込み、木々も家屋も人々の悲鳴も、すべて焼き尽くしていく。

「ふふ……異世界か……素晴らしいじゃないか。俺の想像が、文字通り現実になるなんてな」

災牙は不敵に笑った。その笑みは、狂気と快楽が混ざった悪魔のものだった。

「とりあえず、一度魔王になってみたかったんだ。そして、正義だとほざいている連中に絶望を味合わせる。まずは現魔王を終わらせて……俺が、この世界の魔王になる!」

運営の中二病無作為抽出は、このアストレイヴに「破壊の化身」を呼び込んでしまったのだ。

――こうして、十神災牙の異世界冒険が幕を開ける。破壊と狂気、そして無軌道な力が、この世界に新たな伝説を刻むことになる。


――デザイン班(アバター・景観・UI設計)
No.07:ジャン・リック・モローの部屋。

「なんなのコイツ! 俺のハーベン村を消し炭にしやがった!!」

デスクを叩きながら、ジャンは怒鳴った。
画面には、炭と煙と化したかつての美しい村の残骸が映っている。

「このままじゃ、他の町もどんどん壊滅してく……やばい、手を打たないと!」

ジャンは椅子を弾き飛ばし、総合統括班の部屋へ駆け込んだ。

そこでは、No.01――綾瀬悠人が険しい顔でモニターを凝視していた。

「綾瀬さん! ヤバいやつが入ってきました!」

「なんだよ、こっちも今、手一杯なんだ」

「放っといたら世界滅びますって! 町が次々消えちゃいますよ!」

「……もしかして、十神災牙か?」

「え? 知ってたんすか!?」

「ちょうどその対応に追われてたところだ。アイツは過去からの中二病転生者だ。……あの“中二病召喚プロジェクト”の」

ジャンは頭を抱えた。

「マジかよ……。噂で何人か召喚されたって聞いてたけど、コイツもなのか」

「だから私は反対したんだ。過去の人物を直接転生させるなんて、倫理的にもアウトなのに。しかも、こんなサイコパス野郎…」

「でも、もう手遅れですよ! 魔力量が桁違い! このままだと、世界そのものが焼け野原になります!」

綾瀬は短く息を吐いた。

「……仕方ない。No.05を呼べ」

数分後、ジャンがプログラミング班から連れてきたのは――

No.05、リアン・チョウ。キーボードを抱えた冷静沈着な男だ。

「リアン、コイツの設定、いじれるか?」

「いじるのは簡単ある。でも、干渉会議の許可出てないでしょ?」

「構わん! 緊急事態だ。このままじゃゲームの存続が危うい!」

「ふむ……わかったある。どこまで制限かける?」

「魔法使用、暗黒系限定で。ドロップ報酬を無しにしろ」

「了解ある。金策潰すわけね」
カタカタカタ――パチンッ。

「魔力量もガツンと減らしてくれ。無限にぶっ放されたらたまったもんじゃない」

「了解ある」

カタカタカタ――パチンッ。

だが、リアンの手が止まる。

「……弾かれたある」

「は? どういうこと?」

「本人の強い意志が、設定変更を拒んでるある。
たぶん、“世界の書き換え”を本人側が上書きしてる」

「……何それ、人間がシステムを超えてるってことかよ」

しばし沈黙。
やがて綾瀬が決断する。

「……じゃあ、間接的に制限をかけろ。魔法使うたびに、体力でも精神でもいい、何かを削るんだ」

「了解ある」

カタカタカタ――。

「……魔法使用時、空腹ゲージ減少量5倍。これでいいあるか?」

「上出来だ。際限なく撃てなくなるだろう」

リアンがエンターキーを叩いた瞬間、画面に光が走る。

「よし……これで様子を見るか」

モニターの中では、十神災牙が次の獲物を求めて、
ゆっくりと燃え尽きた村を歩き出していた。

――その姿を、誰も“プレイヤー”とは呼べなかった。
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