アストレイヴ 〜中二病召喚計画〜

よしまさ

文字の大きさ
48 / 86

第48話 魔王戦!

しおりを挟む
第48話 魔王戦!

魔王に泣きつく四天王達。
惨敗した彼らは床に突っ伏し、涙と鼻水で床を濡らしながら懇願する。

「ま、魔王様ァァ!! 十神という化け物……手が、手が出ませんでしたぁ!!」
「私の爆炎も……効かなかったのです……!」
「魔法だけかと思ったら、あいつら機動力も半端ないんですよ!」
「もう二度と行きたくありません……!」

魔王ザガルは額に手を当て、深々とため息をついた。

「……ほら見ろ。言わんこっちゃない。だから言ったんだ、“でしゃばるな”とな。」

一同、言葉もなく震える。

ザガルは玉座にもたれ、退屈そうに足をぶらつかせながらぼやく。

「俺にな、いつも玉座の番ばっかさせやがって。ほんっと、魔王って職は退屈極まりないんだよ。最近は食事も同じ味で飽き飽きしてたし……」

それから彼はふと、四天王を順に見まわす。

「で? その十神とかいうやつ、戦いながら“食って”蹂躙してくるんだろ? 妙に興味湧いたわ。」

四天王たちはゾワッと震える。

「ま、まさか……魔王様自ら……?」
「ご冗談を……!」
「いや、あれは本当に危険で……!」
「やめましょう!? 魔王様に何かあれば我々が――」

ザガルは立ち上がり、バシッと指を鳴らした。

「明日また奴が来たら、俺が相手をする。
いいな? 絶対にでしゃばるなよ。絶対だ。」

目をそらす四天王たち。

「絶対って言ったからな。反抗したら全員、地底深くの雑用係に左遷するからな。」

全員、素直に首を縦に振った。

―――そして翌日。

十神が城へと現れた。

魔王ザガルは、腕を組みながら城の外で待ち構えている。

「来たか、人間。いや――食いしん坊モンスター十神災牙と、その相棒。」

アンコがいきなり暗黒ブレスを吐く。
世界を焼き尽くす黒炎が魔王を包み込んだ。

だが――

涼しい顔。

「……ふぁぁ。熱っついけど、まあ風呂よりはマシだな。」

距離を詰めアンコの尻尾攻撃。

バゴッ……

魔王は左手一本でガードする。
アンコは悟った……。

「主、こいつ……たぶん魔王です。」

アンコが言うと、十神は目を輝かせた。

「マジか! じゃあ本番だ! ヘルフレアァァ!!」

あたり一面が地獄の業火に包まれる。
しかし、ザガルはノーダメージ。服すら焦げていない。

「おかしい!? 効かねぇ……!?」

「暗黒魔法は全部無効化する体質でな。俺にそれ撃っても意味がない。」

十神はホットドッグを取り出してかぶりつきながら思考する。

「くそ……じゃあもっと強いのを……! ヘルフレ――」

しかし、魔王が先に動いた。

「拘束《ダークバインド》。」

闇の鎖が十神とアンコを一気に捕らえ、地面ごと縫い付ける。

十神はかろうじて動く右腕を必死に伸ばし、ヘルファイヤーを放つ。

ボォッ!!

しかし、魔王は避けもせず、余裕のまま歩いてくる。

「諦めろ。俺に暗黒魔法は効かん。死に急ぎか?」

「ちっ……暗黒耐性とかチートだろ……!」

ザガルは、近づくと――
十神の持つホットドッグをひったくった。

「まずはこれを食わせろ。」

「は?」

状況が理解できない十神の目の前で、ザガルは豪快にかぶりつく。

「…………うまっ!?」

魔王の瞳が輝いた。

「なんだこれは!? 旨味の暴力がすごい!! これが“向こう側”の食いもんか!?」

「いや……あれは俺の……」

「どれ、もっと出せ。」

「いや……最後の一本で……」

ザガルの目が細くなる。

「……そうか。ではお前をアビスフェルドの食料大臣に任命する。」

「はぁ!? なんでそうなる!?」

「拒否権はない。嫌と言ったら殺す。」

魔王は十神とアンコの拘束を解き、代わりに十神の左腕へ複雑な魔法陣を刻んだ。

「その印がある限り、俺はお前を転移魔法でいつでも召喚できる。逃げるなよ。」

(うげぇぇ……魔王討伐に来たはずなのに、なんで俺、政府系ポストに……!?)

魔王は四天王たちを呼び寄せ、堂々と宣言する。

「新任・食料大臣十神は、四天王より上の序列とする。」

「はぁぁぁっ!?」
「なんでぇぇ!?」
「面目丸つぶれでは……!!」
「大臣……大臣ぃ……?」

逆らえる者は、一人もいない。

ザガルは十神を振り返り、満足そうに頷いた。

「アビスフェルドの食事は不味い。改善しろ。
この四人をこき使ってもいい。食い物が良くなれば、国全体の幸福度も上がる。」

十神はめまいを覚えた。

「お、俺の……役職……重すぎ……」
「主、まずは大量のホットドッグを調達して来ましょう。」
アンコが冷静にまとめる。

「そして、畑と牧場を作り、自給体制が整えば……僕たちの使命は終わります。」

「終わらねぇよ!! なんだこの展開ぇぇぇ!!」

――こうして、
十神災牙は“魔王討伐を諦めさせられ、魔王領の食料担当として雇用される”という異例の事態に陥る。

物語は新たな予測不能ゾーンへ突入するのであった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る

マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・ 何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。 異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。  ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。  断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。  勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。  ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。  勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。  プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。  しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。  それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。  そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。  これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

企業再生のプロ、倒産寸前の貧乏伯爵に転生する 

namisan
ファンタジー
数々の倒産寸前の企業を立て直してきた敏腕コンサルタントの男は、過労の末に命を落とし、異世界で目を覚ます。  転生先は、帝国北部の辺境にあるアインハルト伯爵家の若き当主、アレク。  しかし、そこは「帝国の重荷」と蔑まれる、借金まみれで領民が飢える極貧領地だった。  凍える屋敷、迫りくる借金取り、絶望する家臣たち。  詰みかけた状況の中で、アレクは独自のユニーク魔法【構造解析(アナライズ)】に目覚める。  それは、物体の構造のみならず、組織の欠陥や魔法術式の不備さえも見抜き、再構築(クラフト)するチート能力だった。  「問題ない。この程度の赤字、前世の案件に比べれば可愛いものだ」  前世の経営知識と規格外の魔法で、アレクは領地の大改革に乗り出す。  痩せた土地を改良し、特産品を生み出し、隣国の経済さえも掌握していくアレク。  そんな彼の手腕に惹かれ、集まってくるのは一癖も二癖もある高貴な美女たち。 これは、底辺から這い上がった若き伯爵が、最強の布陣で自領を帝国一の都市へと発展させ、栄華を極める物語。

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

異世界転移物語

月夜
ファンタジー
このところ、日本各地で謎の地震が頻発していた。そんなある日、都内の大学に通う僕(田所健太)は、地震が起こったときのために、部屋で非常持出袋を整理していた。すると、突然、めまいに襲われ、次に気づいたときは、深い森の中に迷い込んでいたのだ……

五十一歳、森の中で家族を作る ~異世界で始める職人ライフ~

よっしぃ
ファンタジー
【ホットランキング1位達成!皆さまのおかげです】 多くの応援、本当にありがとうございます! 職人一筋、五十一歳――現場に出て働き続けた工務店の親方・昭雄(アキオ)は、作業中の地震に巻き込まれ、目覚めたらそこは見知らぬ森の中だった。 持ち物は、現場仕事で鍛えた知恵と経験、そして人や自然を不思議と「調和」させる力だけ。 偶然助けたのは、戦火に追われた五人の子供たち。 「この子たちを見捨てられるか」――そうして始まった、ゼロからの異世界スローライフ。 草木で屋根を組み、石でかまどを作り、土器を焼く。やがて薬師のエルフや、獣人の少女、訳ありの元王女たちも仲間に加わり、アキオの暮らしは「町」と呼べるほどに広がっていく。 頼れる父であり、愛される夫であり、誰かのために動ける男―― 年齢なんて関係ない。 五十路の職人が“家族”と共に未来を切り拓く、愛と癒しの異世界共同体ファンタジー!

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

処理中です...