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第1章
07.初めての収穫
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「サタン様……こ、こんなの初めてだピョン♡」
「と、とろけちゃう~♡」
獣耳のお姉さん達が嬌声をあげる。
(そうじゃろ、そうじゃろ)
俺は、うんうんと頷く。
(元の世界でも、これが嫌いという女性にはお目にかかったことがないからな)
農場を作って僅か三日後、初の収穫日を迎えた。
ルシファー様の加護はすさまじく、小麦や野菜、果物まで尋常ではないスピードで育っている。
育てた作物は、この世界のものだけではない。
ルシファー様から授けられたチート【ノアの方舟】の中にあったサツマイモも試しに植えてみた。
ノアの方舟には、俺が元いた世界の様々なものが保管されてる。
野菜や穀物の種苗、果物の苗木、つがいの家畜などなど……
「サタンくん、これは何という食べ物なんだい?」
ロキアも夢中で焼き芋を頰張っている。
あの日の戦闘の後――
ロキアは眷属の人狼を引き連れて戻ってきた。
「魔族の生活を向上させるために協力するには、近くで暮したほうがいいじゃん」
と、ロキアが主張したのだ。
「ロキアだけなら、妾の城に住んでもかまわんが、眷属まるごととなると面倒はみきれん!」
リリスが難色を示すと、
「場所さえ提供してくれたら、家は自分たちで建てるよ」
――ということで、ロキアはリリスの城に、人狼は村に新しく家を建てて住むことになった。
人狼族の集落用の土地は【リインカネーション】によって、農場の外側に新たに作った。
作物を狙う害獣を駆除してもらうのと同時に、タンパク源も確保しようという意図で、この配置となった。
「《紅はるか》っていう品種のサツマイモだ。甘みが強く、しっとりとした食感が特徴で、栄養価も高い。いろんな調理方法があるけど、シンプルに焼くのが一番旨い!」
「うむ、これは本当に美味じゃな。森の恵みにも芋類は幾つかあるが、このように美味なるものは食べたことがない」
リリスも満足そうに頷いた。
「サタン様ぁ~、他にも何か美味しい野菜を持ってるのでは……ぴょん?」
シャルロットが身体を摺り寄せてくる。
「それも育てたいですぴょん♡」
俺としても、食べなれた食材が身近にあったほうが安心安全なので、喜んで申し出に応じた。
自分は苦手で食べたくない野菜ではあったが、シャルロットが喜びそうなので《彩誉》という甘みが強いニンジンの種も一緒に渡した。
喜んでくれるといいのだけれど……ぴょん。
◇
「これは美味い。素晴らしい出来じゃ」
完成したてのエールを試飲したリリスが満足そうに頷く。
「ここ数年で一番の仕事だとワシらも自負しております。あんないい麦をいただいたんだ。職人冥利に尽きるってやつです」
ドワーフのバッカスが胸を張った。
リリスの城には醸造所があり、エールやワイン、果実酒などを造っている。
ビールには2つの主要なスタイルがある。
エールとラガーだ。
前者は高温(約15~24℃)で発酵させ、後者は低温(約7~13℃)で発酵させて作る。
前世の俺はラガー派だったし、そもそも冷えていないビールは飲みなれていなかったので、正直あまり美味しいとは思わなかった。(申し訳ない)
「サタン様はいかがですかな? お口に合いましたでしょうか……」
いかつい顔のバッカスが子犬のような瞳《め》で俺の顔色を伺う。
「もちろん! この調子で、じゃんじゃん仕込んでくれ!」
リリスが誉めているのだから、味に間違いはないのだろう。
ちなみに、ロキアはアルコールが苦手だそうで、本日の試飲会は欠席している。
「ところでリリス、いまは魔族の農場で大麦も作ってるけど、これまではどうやってエールを仕込んでいたんだ? 城に麦畑はないようだけど」
「人間共が用意しておった」
(は?)
「人間というのは恐ろしいの。魔族を悪しき存在と位置付けておるくせに、己が欲望を満たさんがため、悪魔を召喚して契約を交わしたがる者が後を絶たん。当主の座を狙う貴族の次男や三男、商売敵が潰れることを望む商人、そやつらの願いを聞き届けた対価として、色々いただいておるのじゃよ。この城で働くドワーフたちも、人間共が差し出してくれた」
「……悪魔っていうのは人間の魂を報酬に契約を結ぶんじゃないのか?」
リリスがキョトンとした。
「そんなもの貰ってどうする?」
「……食べる、のでは?」
リリスが爆笑した。
「そんなもの食うわけないじゃろ。腹の足しにもならんわ!」
(そ、そうなんだ……)
「けど、美味しいとか……ない?」
リリスは3杯目のエールをバッカスに注いでもらうと、
「食らったことがないから味は知らん。ふむ、何事も経験じゃな……ではサタン、お主の魂を寄越せ。酒のツマミになるかどうか試してやる」
「絶対に嫌です!!!」
その後、大麦の作付面積を増やすことや、農場を拡張して本格的な果樹園を作り、手始めにワイン用のブドウを育てること等々を決めた。
【ノアの方舟】の中には赤ワイン用にメルロー、白ワイン用にシャルドネがあったので、バッカスたちが仕込めばきっといいワインができるだろう。
異世界の野菜や果物を食べてみて、つくづく思う。
(元いた世界で品種改良をしてきた人たちって、本当スゲー!)
「と、とろけちゃう~♡」
獣耳のお姉さん達が嬌声をあげる。
(そうじゃろ、そうじゃろ)
俺は、うんうんと頷く。
(元の世界でも、これが嫌いという女性にはお目にかかったことがないからな)
農場を作って僅か三日後、初の収穫日を迎えた。
ルシファー様の加護はすさまじく、小麦や野菜、果物まで尋常ではないスピードで育っている。
育てた作物は、この世界のものだけではない。
ルシファー様から授けられたチート【ノアの方舟】の中にあったサツマイモも試しに植えてみた。
ノアの方舟には、俺が元いた世界の様々なものが保管されてる。
野菜や穀物の種苗、果物の苗木、つがいの家畜などなど……
「サタンくん、これは何という食べ物なんだい?」
ロキアも夢中で焼き芋を頰張っている。
あの日の戦闘の後――
ロキアは眷属の人狼を引き連れて戻ってきた。
「魔族の生活を向上させるために協力するには、近くで暮したほうがいいじゃん」
と、ロキアが主張したのだ。
「ロキアだけなら、妾の城に住んでもかまわんが、眷属まるごととなると面倒はみきれん!」
リリスが難色を示すと、
「場所さえ提供してくれたら、家は自分たちで建てるよ」
――ということで、ロキアはリリスの城に、人狼は村に新しく家を建てて住むことになった。
人狼族の集落用の土地は【リインカネーション】によって、農場の外側に新たに作った。
作物を狙う害獣を駆除してもらうのと同時に、タンパク源も確保しようという意図で、この配置となった。
「《紅はるか》っていう品種のサツマイモだ。甘みが強く、しっとりとした食感が特徴で、栄養価も高い。いろんな調理方法があるけど、シンプルに焼くのが一番旨い!」
「うむ、これは本当に美味じゃな。森の恵みにも芋類は幾つかあるが、このように美味なるものは食べたことがない」
リリスも満足そうに頷いた。
「サタン様ぁ~、他にも何か美味しい野菜を持ってるのでは……ぴょん?」
シャルロットが身体を摺り寄せてくる。
「それも育てたいですぴょん♡」
俺としても、食べなれた食材が身近にあったほうが安心安全なので、喜んで申し出に応じた。
自分は苦手で食べたくない野菜ではあったが、シャルロットが喜びそうなので《彩誉》という甘みが強いニンジンの種も一緒に渡した。
喜んでくれるといいのだけれど……ぴょん。
◇
「これは美味い。素晴らしい出来じゃ」
完成したてのエールを試飲したリリスが満足そうに頷く。
「ここ数年で一番の仕事だとワシらも自負しております。あんないい麦をいただいたんだ。職人冥利に尽きるってやつです」
ドワーフのバッカスが胸を張った。
リリスの城には醸造所があり、エールやワイン、果実酒などを造っている。
ビールには2つの主要なスタイルがある。
エールとラガーだ。
前者は高温(約15~24℃)で発酵させ、後者は低温(約7~13℃)で発酵させて作る。
前世の俺はラガー派だったし、そもそも冷えていないビールは飲みなれていなかったので、正直あまり美味しいとは思わなかった。(申し訳ない)
「サタン様はいかがですかな? お口に合いましたでしょうか……」
いかつい顔のバッカスが子犬のような瞳《め》で俺の顔色を伺う。
「もちろん! この調子で、じゃんじゃん仕込んでくれ!」
リリスが誉めているのだから、味に間違いはないのだろう。
ちなみに、ロキアはアルコールが苦手だそうで、本日の試飲会は欠席している。
「ところでリリス、いまは魔族の農場で大麦も作ってるけど、これまではどうやってエールを仕込んでいたんだ? 城に麦畑はないようだけど」
「人間共が用意しておった」
(は?)
「人間というのは恐ろしいの。魔族を悪しき存在と位置付けておるくせに、己が欲望を満たさんがため、悪魔を召喚して契約を交わしたがる者が後を絶たん。当主の座を狙う貴族の次男や三男、商売敵が潰れることを望む商人、そやつらの願いを聞き届けた対価として、色々いただいておるのじゃよ。この城で働くドワーフたちも、人間共が差し出してくれた」
「……悪魔っていうのは人間の魂を報酬に契約を結ぶんじゃないのか?」
リリスがキョトンとした。
「そんなもの貰ってどうする?」
「……食べる、のでは?」
リリスが爆笑した。
「そんなもの食うわけないじゃろ。腹の足しにもならんわ!」
(そ、そうなんだ……)
「けど、美味しいとか……ない?」
リリスは3杯目のエールをバッカスに注いでもらうと、
「食らったことがないから味は知らん。ふむ、何事も経験じゃな……ではサタン、お主の魂を寄越せ。酒のツマミになるかどうか試してやる」
「絶対に嫌です!!!」
その後、大麦の作付面積を増やすことや、農場を拡張して本格的な果樹園を作り、手始めにワイン用のブドウを育てること等々を決めた。
【ノアの方舟】の中には赤ワイン用にメルロー、白ワイン用にシャルドネがあったので、バッカスたちが仕込めばきっといいワインができるだろう。
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(元いた世界で品種改良をしてきた人たちって、本当スゲー!)
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