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手紙から過去へ
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この手紙からは生きた証を残したいという意思が現れていた。
僕とは正反対だ、僕は生まれなければよかった、そして生きた証はいらないから僕という存在を無かったことにしてほしいと常に考えている。
こんなに苦しい世界を生きなければならないなら小さな幸せなんていらないから苦痛も一緒に手放したい、いつもそんな考えが頭の中を駆け巡っているくらいだ。
手紙の文字からして女性だろうか、この人からはどんな世界が見えていたのだろう。
きっと、僕とは違って色とりどりで鮮やかな世界が写っていたのだろう。
僕もそんな世界を見れる個体だったなら、きっと、存在を消したいとは思わなかったに違いない。
けれど考えた所で何も変わらない。
それならば、早く死んでしまいたい。
いつまでもモノクロの世界を見ているのは、
もう疲れた。
------
それから僕は何日も何週間も死ねないまま、ただ時間だけが流れていった。
大きなため息を吐いて、ベットから起き上がる。
リビングへ向かうとテーブルにはあの手紙が置きっぱなしにされていた。
捨ててしまうと彼女の生きた証まで捨ててしまうようで、どうしても捨てられずにただそこに置いておくことしかできなかった。
リビングのソファに腰掛けて、なんとなく手紙を読み返す。
もう読まなくても内容は頭に入っていたのだが、暇を持て余した僕は每日読み、気がついたら習慣になっていた。
僕は読むたびに、何故彼女は生きた証を残したかったのだろうと考え込んでしまう。
そんなに生きていた事が大事なことなのだろうか?
証を残してどうしたかったのだろう。
いくら考えても僕にはわからなかった。
でも、興味深いこともわかった。
知らない誰かに自分の思いを届けるというところだ。
この方法なら誰にも言えないこの辛さを吐き出すことができるかもしれないと思った。
少しでも楽になるのならやってみるのも悪くない気がしていた。
ただ、楽になって生きながらてもいいのだろうか、杏里をあの世で待たせてしまっていいのだろうか。
僕のせいで杏里はあの世へ行ってしまった。
僕のせいで・・・。
思い出したくないあの日のことがじわじわと鬱の種を大きく育て始める。
あぁ、また鬱に襲われる、次こそ死んでしまおう。
僕とは正反対だ、僕は生まれなければよかった、そして生きた証はいらないから僕という存在を無かったことにしてほしいと常に考えている。
こんなに苦しい世界を生きなければならないなら小さな幸せなんていらないから苦痛も一緒に手放したい、いつもそんな考えが頭の中を駆け巡っているくらいだ。
手紙の文字からして女性だろうか、この人からはどんな世界が見えていたのだろう。
きっと、僕とは違って色とりどりで鮮やかな世界が写っていたのだろう。
僕もそんな世界を見れる個体だったなら、きっと、存在を消したいとは思わなかったに違いない。
けれど考えた所で何も変わらない。
それならば、早く死んでしまいたい。
いつまでもモノクロの世界を見ているのは、
もう疲れた。
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それから僕は何日も何週間も死ねないまま、ただ時間だけが流れていった。
大きなため息を吐いて、ベットから起き上がる。
リビングへ向かうとテーブルにはあの手紙が置きっぱなしにされていた。
捨ててしまうと彼女の生きた証まで捨ててしまうようで、どうしても捨てられずにただそこに置いておくことしかできなかった。
リビングのソファに腰掛けて、なんとなく手紙を読み返す。
もう読まなくても内容は頭に入っていたのだが、暇を持て余した僕は每日読み、気がついたら習慣になっていた。
僕は読むたびに、何故彼女は生きた証を残したかったのだろうと考え込んでしまう。
そんなに生きていた事が大事なことなのだろうか?
証を残してどうしたかったのだろう。
いくら考えても僕にはわからなかった。
でも、興味深いこともわかった。
知らない誰かに自分の思いを届けるというところだ。
この方法なら誰にも言えないこの辛さを吐き出すことができるかもしれないと思った。
少しでも楽になるのならやってみるのも悪くない気がしていた。
ただ、楽になって生きながらてもいいのだろうか、杏里をあの世で待たせてしまっていいのだろうか。
僕のせいで杏里はあの世へ行ってしまった。
僕のせいで・・・。
思い出したくないあの日のことがじわじわと鬱の種を大きく育て始める。
あぁ、また鬱に襲われる、次こそ死んでしまおう。
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