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信頼
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カメラの現像を頼んだのだが、震災の時に現像する機材が壊れてしまい一週間待ってほしいと店員に言われて承諾した。
けれど、翌日には現像されると思っていた分がっかりだった。
帰り道は雨も止み、雲の隙間から光が差していた。
闇に包まれてしまった記憶もいつか光を放ってくれないだろうか、そうすれば光をたどって記憶を取り戻せるのではないか?
僅かなきっかけがあればきっと光が差すだろう。
そのためにも、できる事を手当たり次第頑張ろうと思った。
「兄ちゃん」
声の方へ振り向くと、一人の老婆がこちらを向いていた。
「どうかしましたか?」
総司は優しく尋ねる。
「この瓦礫の下に、指輪を落としてしまって、申し訳ないんだけど、探すの手伝ってくれないかい?」
崩れた家を指差し、老婆は不安な顔をして総司にお願いした。
老婆の落ち込み具合からよっぽど大切な指輪なのだろうと推測する事ができた。
老婆一人でこの瓦礫をかき分けて探すのは流石に酷だと思い、一緒に探すことにした。
とはいえ、山積みの瓦礫の中から指輪を探すとなると
相当な根気が必要だろう。
気が遠くなりそうだったが、とりあえずどかせそうな瓦礫をかき分け始めた。
落ちてしまった方向や指輪の特徴を聞きながら探していく。
探し始めて一時間が経過した。
「兄ちゃん申し訳ないね、こんなに付き合わせてしまって」
老婆は申し訳なさそうに謝った。
「いいえ、まだ日が沈むまで時間がありますから頑張りましょう!」
と総司は老婆を励ました。
老婆は笑顔でありがとうと言った。
「指輪は旦那さんから貰ったんですか?」
作業に疲れてきた総司は、気分を紛らわすために話題を振った。
「そうなの、これは55年前に、旦那が私にプロポーズをした時にくれた物なの。
嬉しかった。
だから、その日から毎日お守りとして指輪を着けているの」
「それはとても大切な物ですね、絶対にみつけないと!
旦那さんに怒られちゃいますね」
総司はなんの気なしに言った。
すると老婆の表情はみるみると暗くなっていく。
総司は不味いことを言ってしまったと思ったが、もう吐いた言葉はもどらない。
「実は、旦那は今回の震災で亡くなったの。
ここの瓦礫に埋もれてしまって、一昨日発見されたのよ。
私はたまたま外出してたら、家の下敷きにならずに済んだのよ。
一人ぼっちになるくらいなら、私も旦那と一緒に逝きたかった。
こんなにも辛い思いをするなら、私も家にいれば良かったって後悔してるの。
だから、昨日からここに来て、旦那と過ごした日々を思い出して、一緒にいる気持になって寂しさを紛らわしているの」
老婆の目からは涙が流れていた。
旦那との出会い、そして些細な喧嘩の事、二人での一番の思い出話を聞かせてくれた。
その時の表情はとても嬉しそうで、でも、寂しさも一緒に込みたげているようで、とても辛そうだった。
日が沈み始めた時、2、3歩離れたところで光る物を見つけた。
総司はそれを拾い上げた。
「おばあちゃん、もしかしてこれ?」
指輪を見るなり、老婆はこれよといってすごく嬉しそうな笑顔になった。
「本当にありがとう、これは宝物であり、旦那との人生でもあるから本当に大切な物なの。
ありがとう」
「いいえ、見つかって良かったです。
きっと旦那さんもほっとしてますよ」
総司は腕時計を確認した、そろそろ帰らないとと言って去ろうとした。
「待って、あなたには奥さんがいるの?」
老婆が総司を引き止める。
「はい、居ます。
ただ、ちょっと訳あり夫婦というか、特殊な状況なんですよね」
「そう、奥さんを大切にしなさいよ。
長い付き合いになって来ると、信頼関係が本当に大事になるからね、仲良くやりなよ」
老婆は総司の夫婦生活に踏み込んでくることは無かった。
気を利かせてくれたのだろう。
そして老婆は避難場所へと帰っていった。
信頼関係か・・・・。
記憶のない今、何を信じればいいのだろうか。
今の俺は葉月が何かを隠していると疑っていた。
もしかしたら俺は勝手に先走って疑っていたのかもしれない。
そこで探究心を満たすために行動していた。
夫婦にだって話せないこともあるだろう。
詮索するのは相手を信頼していない事にも繋がる。
過去がどうであれ、俺と葉月は今夫婦なのだ。
まずは信頼する所から始めよう。
詮索はやめて葉月が話してくれるのを待つことにした。
インスタントカメラの中身ももうどうでも良くなった。
疑うことを辞めた途端心が軽くなった気がした。
過ぎた事はもう変えられない。
過去にすがるのではなく、未来をどう生きるかが大事だ。
記憶が無くても、今からまた葉月と新しい関係を作ればいい、その時に記憶が戻ればラッキー程度に思えばいい。
そんな総司を夕日が背後から暖かく見守っていた。
けれど、翌日には現像されると思っていた分がっかりだった。
帰り道は雨も止み、雲の隙間から光が差していた。
闇に包まれてしまった記憶もいつか光を放ってくれないだろうか、そうすれば光をたどって記憶を取り戻せるのではないか?
僅かなきっかけがあればきっと光が差すだろう。
そのためにも、できる事を手当たり次第頑張ろうと思った。
「兄ちゃん」
声の方へ振り向くと、一人の老婆がこちらを向いていた。
「どうかしましたか?」
総司は優しく尋ねる。
「この瓦礫の下に、指輪を落としてしまって、申し訳ないんだけど、探すの手伝ってくれないかい?」
崩れた家を指差し、老婆は不安な顔をして総司にお願いした。
老婆の落ち込み具合からよっぽど大切な指輪なのだろうと推測する事ができた。
老婆一人でこの瓦礫をかき分けて探すのは流石に酷だと思い、一緒に探すことにした。
とはいえ、山積みの瓦礫の中から指輪を探すとなると
相当な根気が必要だろう。
気が遠くなりそうだったが、とりあえずどかせそうな瓦礫をかき分け始めた。
落ちてしまった方向や指輪の特徴を聞きながら探していく。
探し始めて一時間が経過した。
「兄ちゃん申し訳ないね、こんなに付き合わせてしまって」
老婆は申し訳なさそうに謝った。
「いいえ、まだ日が沈むまで時間がありますから頑張りましょう!」
と総司は老婆を励ました。
老婆は笑顔でありがとうと言った。
「指輪は旦那さんから貰ったんですか?」
作業に疲れてきた総司は、気分を紛らわすために話題を振った。
「そうなの、これは55年前に、旦那が私にプロポーズをした時にくれた物なの。
嬉しかった。
だから、その日から毎日お守りとして指輪を着けているの」
「それはとても大切な物ですね、絶対にみつけないと!
旦那さんに怒られちゃいますね」
総司はなんの気なしに言った。
すると老婆の表情はみるみると暗くなっていく。
総司は不味いことを言ってしまったと思ったが、もう吐いた言葉はもどらない。
「実は、旦那は今回の震災で亡くなったの。
ここの瓦礫に埋もれてしまって、一昨日発見されたのよ。
私はたまたま外出してたら、家の下敷きにならずに済んだのよ。
一人ぼっちになるくらいなら、私も旦那と一緒に逝きたかった。
こんなにも辛い思いをするなら、私も家にいれば良かったって後悔してるの。
だから、昨日からここに来て、旦那と過ごした日々を思い出して、一緒にいる気持になって寂しさを紛らわしているの」
老婆の目からは涙が流れていた。
旦那との出会い、そして些細な喧嘩の事、二人での一番の思い出話を聞かせてくれた。
その時の表情はとても嬉しそうで、でも、寂しさも一緒に込みたげているようで、とても辛そうだった。
日が沈み始めた時、2、3歩離れたところで光る物を見つけた。
総司はそれを拾い上げた。
「おばあちゃん、もしかしてこれ?」
指輪を見るなり、老婆はこれよといってすごく嬉しそうな笑顔になった。
「本当にありがとう、これは宝物であり、旦那との人生でもあるから本当に大切な物なの。
ありがとう」
「いいえ、見つかって良かったです。
きっと旦那さんもほっとしてますよ」
総司は腕時計を確認した、そろそろ帰らないとと言って去ろうとした。
「待って、あなたには奥さんがいるの?」
老婆が総司を引き止める。
「はい、居ます。
ただ、ちょっと訳あり夫婦というか、特殊な状況なんですよね」
「そう、奥さんを大切にしなさいよ。
長い付き合いになって来ると、信頼関係が本当に大事になるからね、仲良くやりなよ」
老婆は総司の夫婦生活に踏み込んでくることは無かった。
気を利かせてくれたのだろう。
そして老婆は避難場所へと帰っていった。
信頼関係か・・・・。
記憶のない今、何を信じればいいのだろうか。
今の俺は葉月が何かを隠していると疑っていた。
もしかしたら俺は勝手に先走って疑っていたのかもしれない。
そこで探究心を満たすために行動していた。
夫婦にだって話せないこともあるだろう。
詮索するのは相手を信頼していない事にも繋がる。
過去がどうであれ、俺と葉月は今夫婦なのだ。
まずは信頼する所から始めよう。
詮索はやめて葉月が話してくれるのを待つことにした。
インスタントカメラの中身ももうどうでも良くなった。
疑うことを辞めた途端心が軽くなった気がした。
過ぎた事はもう変えられない。
過去にすがるのではなく、未来をどう生きるかが大事だ。
記憶が無くても、今からまた葉月と新しい関係を作ればいい、その時に記憶が戻ればラッキー程度に思えばいい。
そんな総司を夕日が背後から暖かく見守っていた。
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