さよならの代わりに

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これからの関係

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柚月の話を聞き終えた総司は、すぐに口を開かずに、遠くを飛んでいる白鳥を眺めていた。

柚月の話を聞いて、あまり驚くことは無かった。
あまりに突飛過ぎる内容と言う事もあったのだが、真実を知った所で現状が変わるわけでも無かった。

今現在、総司にとって柚月は妻であり、それ以上でもそれ以下のでもないのだ。

肝心なのはこの先、どうするかという事だ。

「柚月はそれで今の夫婦生活は納得してるの?」

「私は、どんな形であれ、総司さんと夫婦になれたことは嬉しいと思ってる。

ただ、お姉ちゃんはこれで良かったのかなって・・・。

それに、総司さんを置いてまでしなければいけない事ってなんなのかわからない内は、心の底から今の関係を喜べないよ」  

柚月は姉が総司の事をどれだけ愛していたか間近で見てきたのだ、だから姉によっぽどのことがない限り、総司を置いていくことが無いはずだと思った。

姉の世界では、何時だって総司が中心で、自分の事はその次だった。

姉にとって総司は生きるために必要な存在であり、総司もまた姉を必要としていた。

そんな二人を影から支えていた柚月は、今の関係を素直に受け入れる事ができなかった。

「まぁ、そうだよな。
葉月は俺よりも大切な物を見つけたんだよな?
で、俺を置いて行った。

それなら俺は葉月との夫婦生活を思い出さなくてもいい。
きっとそれが葉月の為でもあるだろうから。

柚月がいいなら、俺はこれからも柚月と夫婦として生きていきたい」

そう言って総司は柚月の目を見つめた。
その目に偽りは感じなかったし、今の総司の本心でもある事が伝わった。

けれど、"今は"だ。
もし、記憶を取り戻したときも気持ちが変わらないと言えるだろうか。

記憶を取戻さなくてもいいと言っても、いつ思い出してしまうかわからない。

その時、総司が離れてしまった時に自分が傷つくかもしれない。

総司と夫婦としての絆が深まれば深まるほどその時の傷も大きなものになるだろう。

それは総司も同じだろう。
記憶を取り戻した時、姉に対しての気持ちが戻った時、総司は複雑な心境になるのか想像できた。

だから、柚月は本当に夫婦として一緒に居てもいいのか、それが二人の幸せになるのか不安だった。

「私は総司さんが、記憶を取り戻した時、どうなってしまうか不安なの、お姉ちゃんの所に戻りたいと思うかもしれない、その気持ちを私が縛ってしまうかも知れない。

そうなるのが怖いの・・・・」

総司はちょっと躊躇いながら口を開いた。

「じゃあさ、思い切って縁のない土地に引っ越さないか?

今は、震災があって動けないけど、落ち着いたら新しい土地で二人で新しい思い出を作っていかないか?」

確かに知らない土地へ行けば、記憶を取り戻すきっかけはだいぶ少なくなる。

でも、姉が帰ってきた時、二人ともいなかったらどんな気持ちになるか想像すると、すぐには決断できなかった。

「確かにそれもありだと思う。
けど、お姉ちゃんが戻ってきた時、私達が居なくなっていたらって考えたら、姉を放っておく事もできないし簡単には決めれない。

ごめんね・・・・」

総司は嫌な顔せず

「そうだよね、俺の考えが良くなかった。
この事はゆっくりと考えていこう」

柚月は総司の優しさが嬉しかった。
姉の事も、私の事も大切に考えてくれている。

どうか、三人が幸せになれる未来が待っていますように・・・・。





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