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新たな幸せ
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震災から3年の月日が流れた。
まだまだ、街は完全に復興したわけではなかったが、かつての活気を取り戻していた。
生活も安定し、日常生活が戻っていた。
「柚月、そろそろ出かけるぞ」
玄関から総司は柚月に声をかけた。
柚月はバタバタと忙しなかった。
「先に車行ってて」
と言われて総司は先に車へ乗り込む。
しばらくしてから、柚月が車に乗り込んできた。
柚月の胸には一歳になったばかりの赤ん坊が抱きかかえられていた。
総司は赤ん坊の頬をつんとつついて。
「おばさんに会いに行こうね」
と猫なで声で言った後、車を発進させた。
目的地へ行くついでに、線香と花を購入し葉月の眠るお墓へと向かった。
道中柚月も総司も無言だった。
各々に葉月の事を想っていたのだ。
葉月は震災の日に行ってしまった。
けれど、不思議と今は柚月、総司、葉月が三人一緒にいるような、そんな感覚だった。
だから寂しさは感じなかった。
どんなに遠くへ離れていても、一度家族になってしまえば切れることのない絆が産まれる。
だから、寂しいのは最初だけ。
ただ、目に見えなくなってしまっただけで家族と言う事には変わりないのだ。
世の中には目には見えない事の方が沢山ある。
けれど、見えなくても感じる事が出来たりする。
それは相手を想う気持ちも同じだ。
想いさえ失わければ、姿が見えなくてもそこに存在を感じる事ができる。
だから、これからも三人はずっと一緒なのだ。
サヨナラという言葉は、家族には相応しくない、だから三人は心でお互いに言った。
サヨナラの代わりに、これからもよろしく。
完
まだまだ、街は完全に復興したわけではなかったが、かつての活気を取り戻していた。
生活も安定し、日常生活が戻っていた。
「柚月、そろそろ出かけるぞ」
玄関から総司は柚月に声をかけた。
柚月はバタバタと忙しなかった。
「先に車行ってて」
と言われて総司は先に車へ乗り込む。
しばらくしてから、柚月が車に乗り込んできた。
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総司は赤ん坊の頬をつんとつついて。
「おばさんに会いに行こうね」
と猫なで声で言った後、車を発進させた。
目的地へ行くついでに、線香と花を購入し葉月の眠るお墓へと向かった。
道中柚月も総司も無言だった。
各々に葉月の事を想っていたのだ。
葉月は震災の日に行ってしまった。
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だから寂しさは感じなかった。
どんなに遠くへ離れていても、一度家族になってしまえば切れることのない絆が産まれる。
だから、寂しいのは最初だけ。
ただ、目に見えなくなってしまっただけで家族と言う事には変わりないのだ。
世の中には目には見えない事の方が沢山ある。
けれど、見えなくても感じる事が出来たりする。
それは相手を想う気持ちも同じだ。
想いさえ失わければ、姿が見えなくてもそこに存在を感じる事ができる。
だから、これからも三人はずっと一緒なのだ。
サヨナラという言葉は、家族には相応しくない、だから三人は心でお互いに言った。
サヨナラの代わりに、これからもよろしく。
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