ブレインスマホ

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ブレインスマホ

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私は手術を受けるべきか悩んでいた。
今現在国民の半数以上が使っているブレインスマホというものがある。
とても画期的な代物で、脳にチップを埋め込むことで視覚にスマホの画面を映し出し、自分の意思で電話やメール、調べものなどができるという素晴らしいものが誕生した。

発売当初は脳に異物を埋め込むという恐怖心や健康面に対する疑心感が強く中々普及する事はなかった。

しかし、人類の慣れという適応力はすざましくゆっくりと着実に浸透し始めていた。

そして私もまた、この流れに適応しようとしていたのだ。

けれど頭にチップを埋め込むというのは怖い。
便利なものを手に入れるためとはいえあまりにもリスクがでかい気がしていたのだ。

「お父さん、大丈夫だって。政府が発表している情報ではこの手術による死亡者や障害が出た人は一人もいないのよ」

娘はなんの疑いもなくそう言うが、私には到底信用できる情報ではなかった。
本当に死者や障害が0で済むだろうか?
私はそうは思えなかった。
信用できないなら悩む必要はなく、埋めなければ済むだろうが、話は単純ではなかった。

脳にチップ埋めた人はあらゆる税金が半額になるという国の制度が確立され、貧困層である私達は選択の余地はほぼ無かった。

チップを埋めなければジリ貧の生活が待っている。

少しでも生活が安定し、しかも便利なツールが手に入るのに何故やらないのか?と妻にも言われていた。

私は家族のためにも手術はやるべきだと考えた。

「わかった、手術を受けるよ」

こうして私はブレインスマホを手に入れ、安定した生活を送ることになるはずだった。
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