63 / 183
第3章
62,弟子入り初日終了
しおりを挟む
ランカスター魔道具店店主ゴーシュ・ランカスターの娘、ユユ・ランカスターにネーシャが弟子入りした初日は特に何事もなく終了した。
とはいっても時間にして6時間程度だったろうか。心配だったので店番をするという条件でお店で待機していたのだけど、客は1人も来なかった。
心配していたゴーシュさんの怒声も聞こえてこず、温厚なユユさんは当然そんなことをするわけもなくネーシャもいい笑顔で戻ってきた。
「お疲れ様、ユユさん、ネーシャ。どうだった?」
「お待たせしました、お嬢様。はい、今日は色々な道具を見せてもらいました」
「さすがに初日から何かを作らせるようなことはないからねぇ。まずは道具の使い方とか覚えてもらって、だね」
「ですよねー。加護持ちでもさすがに最初からぽーんと出来るほど簡単な物じゃないないですよね」
「もちろんよ。鍛冶は奥が深いからね! でも明日からはちょっとずつやってもらうから気合いれてきてねぇ~」
「は、はい! 頑張ります!」
「じゃあ今日はお暇しよっか。ネーシャも始めての体験で疲れたでしょ?」
「あ、えっと。大丈夫です! まだまだいけます!」
「あはは。でも明日もあるし、今日の勉強をしてないから宿に戻ろうか」
「はい!」
「じゃあまた明日ねぇ~」
「はい、また明日」
「師匠、また明日です!」
「むふふ。やっぱりいいよねぇ、師匠だよ師匠!」
「あはは……」
ユユさんはニヤニヤで表情がかなり緩くなってしまっている。
よっぽど弟子が出来たことが嬉しいのか。ネーシャも初日は問題ないみたいだったし、2人共はりきってるみたいだから期待しておこう。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
宿に戻ると、アルとネーシャは部屋に戻って日課となっているネーシャのお勉強タイムだ。
初日くらいはお休みにしてもいいんじゃないか、とアルに提案したけど初日だからこそ疲れませんので続行します、と言われてしまった。
アルにはアルのネーシャ育成計画があるみたいだし、任せたのだから信頼することにしている。
なんといってもアルなんだからそこまで厳しいことはやらないだろう、たぶん。
2人は部屋に戻ったがオレはというと、ネーシャの弟子入り初日ということでマスターにちょっとだけ豪華な夕飯をお願いしに食堂にきている。
まだ夕方の時間には早いので仕込みの時間のようで食堂には客が1人もいない。
いつもウェイトレスをしているアルを口説こうと必死のお姉さんが掃除をしているだけであとは厨房の方で慌しくしているようだ。
「あら、お客さんのお嬢様じゃない。どうしたの?」
「あ、アリエルさん。マスターは今忙しいですよね?」
「今仕込みしてるからね。厨房は戦争状態よ」
「あー……やっぱりそうですかぁ」
「なになに? 何か用なの? 伝えておこうか?」
「あ、はい。今日の夕飯なんですけど、追加料金を払うのでちょっと豪華にしてもらおうかと」
「へぇ、何かいい事でもあったの? あ、もしかしてアル様が何かすごいことでもしたの?」
あ、アル様……。
毎日食堂で口説いているのは知っているけど、アルを様付けしているのは知らなかった。
基本的にアルが口説かれている時はネーシャと話すか周りの話に聞き耳を立てて情報収集をしているか、だから。
まぁでもアル様、か……。
案外似合ってるかもしれない。今度アル様って呼んであげよう。どういう反応が返ってくるか楽しみだ。
「いや、えっと。今日うちのネーシャが弟子入り初日だったので、無事終わったのを祝おうかと」
「へぇ~……。ほんとあなたは変わってるわねぇ。普通奴隷を祝ったりしないわよ?」
「うちのネーシャは家族みたいなものですから」
「ふ~ん。まぁアル様みたいな格好良い人の近くにいれるんなら私も奴隷になりたいけどね~……。あぁ……アル様の奴隷になりたい……」
箒を握り締めてウットリとトリップしてしまったウェイトレス――アリエルさんをなんとか現実に引き戻してマスターに言伝を頼むと、そそくさと退散する。
オレのことをネーシャもアルも様付けで呼んでいるからどこかの貴族のお嬢様だと思っているようであまりアルのことを根掘り葉掘り聞いてくるようなこともない。
でもこの人は割とフレンドリーに話してくる人なのでそれもどこまで通じているかわからないので長話は禁物だ。
アルに関する情報は渡す気はないし、口説くのを応援する気もない。まぁ口説くのは自由だけどね。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
部屋に戻ると今日もアルによる侍女教育が行われている。
今のところまだ読み書き算数レベルでも初歩の初歩の計算の段階だけど、少しずつ礼儀作法なんかも教えているみたいだ。
部屋に入ると今日の服装である薄緑のワンピースの下に隠してある短剣やら何やらを、外してアルに渡す。
使っていないけれど手入れをするのだ。手入れはやりすぎると逆効果なので点検する程度だ。
装備の回収や外行き用の服から部屋着への着替えの手伝いなんかも侍女の役目ということで、普段よりゆっくりとネーシャに勉強させる為に行う。
でもオレに恥ずかしい思いをさせないためにもゆっくり過ぎず適度な速度で行われていく。
着替えたらすぐに髪をセットする。この辺もネーシャに覚えさせる為に普段よりゆっくりだ。
ただ、アルの技術はプロ顔負けのレベルだと思うのでネーシャはすごく大変だと思う。
真剣な表情でアルの一挙手一投足を見つめているネーシャだけど、毎日見せていてもその腕前には感嘆の息が漏れてしまうようだ。
今度ネーシャの髪をセットしてもらって眺めさせてもらおう。
簡単に――ゆっくりとはいえ、そこはアルの手際なので完璧に――外行き用から部屋用にチェンジすると2人もテーブルに戻る。
ネーシャは先ほどの続きで砂ノートに何かを書いている。
アルは装備の点検とオレが着ていた服を浄化したり畳んだりしている。
まだ夕飯には時間もあり、やることもないので店番中にやっていた編み物道具を取り出し続きを行う。
店番中に新しく作り始めたマフラーモドキだが、6時間くらいやっていたのに出来上がったのは横10cmくらい縦2cmくらいのマフラーの端っこの部分だ。
所謂ガーター編みというやり方らしいのだが、これがなんとも汚い酷く歪な出来なのだ。
トレーニングの一環とはいえ悲しくなる出来だ。
とりあえず、悲しんでいても仕方ないので続きをやることにする。
ガタガタなガーター編みだけど、決して駄洒落じゃない。本当に見た目がそうなんだから困る。
ゆっくりだけど丁寧さを心がけながら黙々と編みこんでいく。
まぁまだ全然慣れていないのではっきりいって亀の歩みのようなのろのろペースだ。
部屋の中にはネーシャの砂を弄る音とアルの指導の声、外から入ってくる街中の喧騒のみだ。
ゆったりとした時の流れを感じさせる空間で4段目までなんとか作成し終わったガタガタのマフラーモドキをあまり見ないようにアイテムボックスに仕舞う。
結構やっていたが果たして本当にこれがトレーニングになるのだろうか……。
アルの助言でなければとっくに投げ出している編み物だが、さすがに長時間やるのは今日はもう無理だ。
開けている窓から外がまだ夕方にもなっていないことを確認して魔法の練習に移る。
エリザベートさんは空が赤くなって少ししたらいつも来る。
それまでに筋トレ以外のトレーニングをしてしまうのも日課だ。
筋トレは別に見られても問題ないのでエリザベートさんが居ても普通にやっている。
最近はエリザベートさんもお肉がね……お肉がね……、と翳の入った表情で呟きながら参加しているくらいだ。
その割には夕食はよく食べているけれど。
編み物に比べると魔法の練習はスムーズでやりやすい。
器用増加をつけているせいもあるのだが、これをつけないでやると部屋の中ではとてもじゃないが練習できないので仕方ない。
指先ほどに小さく圧縮した真っ白い高温の炎を自由自在に動かす。
ただそれだけでは部屋の温度が上昇してしまうので、普段はつけていない初級魔法:風で見えない壁で四方を固め、その中で動かしている。
魔法はMPを消費した段階で次の魔法が撃てるようになる。
なので長時間維持できるようにイメージした風の結界の中で多種多様な魔法を自在に動かしたり、形を変えたりして訓練するのだ。
この訓練により岩食いペンギンを一撃で倒せる氷の槍や広範囲に広げる炎などが使えるようになった。
他にも色々な形の魔法が使えるようにはなったが、戦闘で使えるようなのは結構少ない。
「ワタリ様、そろそろエリザベートが来る時間にございます」
「おっと、もうそんな時間か」
アルの声に夢中になっていた氷の像の製作をやめて固定していた魔法を解除する。
魔法は基本的にMPを消費してイメージ通りに作り上げられる物だが、作り上げた物はイメージ1つで消してしまえるのだ。
ただ手元を大きく離れたりすると難しくなるので、その辺はイメージの伝達される距離が問題らしい。
練習では当然部屋内だけなので一瞬で消すことができる。
魔法の練習をやめて、ちょっとかいていた汗を浄化で綺麗にしてもらって数分しないうちにエリザベートさんがノックもそこそこに部屋に飛び込んできた。
「たっだいまー! 愛しのワタリちゃんは元気にしてたかなー?」
「おかえりなさい、エリザベートさん」
「お、おかえりなさいです、エリザベートさん」
「ここはあなたの部屋ではありませんよ、エリザベート」
「ぶーぶー。いいじゃん、毎日きてるんだしさー。もう私のうちも同然だよー」
「では宿代を払ってください」
「わーん。ワタリちゃん、アル君がいじめるよー」
大体毎日こんなやり取りがなされているので、もう慣れたものだ。
まぁネーシャはまだ慣れないようであたふたしているけど、それも可愛いので問題ない。
エリザベートさんとアルとネーシャのコントを微笑ましく眺めながら、夕飯までの時間を楽しく過ごした。
とはいっても時間にして6時間程度だったろうか。心配だったので店番をするという条件でお店で待機していたのだけど、客は1人も来なかった。
心配していたゴーシュさんの怒声も聞こえてこず、温厚なユユさんは当然そんなことをするわけもなくネーシャもいい笑顔で戻ってきた。
「お疲れ様、ユユさん、ネーシャ。どうだった?」
「お待たせしました、お嬢様。はい、今日は色々な道具を見せてもらいました」
「さすがに初日から何かを作らせるようなことはないからねぇ。まずは道具の使い方とか覚えてもらって、だね」
「ですよねー。加護持ちでもさすがに最初からぽーんと出来るほど簡単な物じゃないないですよね」
「もちろんよ。鍛冶は奥が深いからね! でも明日からはちょっとずつやってもらうから気合いれてきてねぇ~」
「は、はい! 頑張ります!」
「じゃあ今日はお暇しよっか。ネーシャも始めての体験で疲れたでしょ?」
「あ、えっと。大丈夫です! まだまだいけます!」
「あはは。でも明日もあるし、今日の勉強をしてないから宿に戻ろうか」
「はい!」
「じゃあまた明日ねぇ~」
「はい、また明日」
「師匠、また明日です!」
「むふふ。やっぱりいいよねぇ、師匠だよ師匠!」
「あはは……」
ユユさんはニヤニヤで表情がかなり緩くなってしまっている。
よっぽど弟子が出来たことが嬉しいのか。ネーシャも初日は問題ないみたいだったし、2人共はりきってるみたいだから期待しておこう。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
宿に戻ると、アルとネーシャは部屋に戻って日課となっているネーシャのお勉強タイムだ。
初日くらいはお休みにしてもいいんじゃないか、とアルに提案したけど初日だからこそ疲れませんので続行します、と言われてしまった。
アルにはアルのネーシャ育成計画があるみたいだし、任せたのだから信頼することにしている。
なんといってもアルなんだからそこまで厳しいことはやらないだろう、たぶん。
2人は部屋に戻ったがオレはというと、ネーシャの弟子入り初日ということでマスターにちょっとだけ豪華な夕飯をお願いしに食堂にきている。
まだ夕方の時間には早いので仕込みの時間のようで食堂には客が1人もいない。
いつもウェイトレスをしているアルを口説こうと必死のお姉さんが掃除をしているだけであとは厨房の方で慌しくしているようだ。
「あら、お客さんのお嬢様じゃない。どうしたの?」
「あ、アリエルさん。マスターは今忙しいですよね?」
「今仕込みしてるからね。厨房は戦争状態よ」
「あー……やっぱりそうですかぁ」
「なになに? 何か用なの? 伝えておこうか?」
「あ、はい。今日の夕飯なんですけど、追加料金を払うのでちょっと豪華にしてもらおうかと」
「へぇ、何かいい事でもあったの? あ、もしかしてアル様が何かすごいことでもしたの?」
あ、アル様……。
毎日食堂で口説いているのは知っているけど、アルを様付けしているのは知らなかった。
基本的にアルが口説かれている時はネーシャと話すか周りの話に聞き耳を立てて情報収集をしているか、だから。
まぁでもアル様、か……。
案外似合ってるかもしれない。今度アル様って呼んであげよう。どういう反応が返ってくるか楽しみだ。
「いや、えっと。今日うちのネーシャが弟子入り初日だったので、無事終わったのを祝おうかと」
「へぇ~……。ほんとあなたは変わってるわねぇ。普通奴隷を祝ったりしないわよ?」
「うちのネーシャは家族みたいなものですから」
「ふ~ん。まぁアル様みたいな格好良い人の近くにいれるんなら私も奴隷になりたいけどね~……。あぁ……アル様の奴隷になりたい……」
箒を握り締めてウットリとトリップしてしまったウェイトレス――アリエルさんをなんとか現実に引き戻してマスターに言伝を頼むと、そそくさと退散する。
オレのことをネーシャもアルも様付けで呼んでいるからどこかの貴族のお嬢様だと思っているようであまりアルのことを根掘り葉掘り聞いてくるようなこともない。
でもこの人は割とフレンドリーに話してくる人なのでそれもどこまで通じているかわからないので長話は禁物だ。
アルに関する情報は渡す気はないし、口説くのを応援する気もない。まぁ口説くのは自由だけどね。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
部屋に戻ると今日もアルによる侍女教育が行われている。
今のところまだ読み書き算数レベルでも初歩の初歩の計算の段階だけど、少しずつ礼儀作法なんかも教えているみたいだ。
部屋に入ると今日の服装である薄緑のワンピースの下に隠してある短剣やら何やらを、外してアルに渡す。
使っていないけれど手入れをするのだ。手入れはやりすぎると逆効果なので点検する程度だ。
装備の回収や外行き用の服から部屋着への着替えの手伝いなんかも侍女の役目ということで、普段よりゆっくりとネーシャに勉強させる為に行う。
でもオレに恥ずかしい思いをさせないためにもゆっくり過ぎず適度な速度で行われていく。
着替えたらすぐに髪をセットする。この辺もネーシャに覚えさせる為に普段よりゆっくりだ。
ただ、アルの技術はプロ顔負けのレベルだと思うのでネーシャはすごく大変だと思う。
真剣な表情でアルの一挙手一投足を見つめているネーシャだけど、毎日見せていてもその腕前には感嘆の息が漏れてしまうようだ。
今度ネーシャの髪をセットしてもらって眺めさせてもらおう。
簡単に――ゆっくりとはいえ、そこはアルの手際なので完璧に――外行き用から部屋用にチェンジすると2人もテーブルに戻る。
ネーシャは先ほどの続きで砂ノートに何かを書いている。
アルは装備の点検とオレが着ていた服を浄化したり畳んだりしている。
まだ夕飯には時間もあり、やることもないので店番中にやっていた編み物道具を取り出し続きを行う。
店番中に新しく作り始めたマフラーモドキだが、6時間くらいやっていたのに出来上がったのは横10cmくらい縦2cmくらいのマフラーの端っこの部分だ。
所謂ガーター編みというやり方らしいのだが、これがなんとも汚い酷く歪な出来なのだ。
トレーニングの一環とはいえ悲しくなる出来だ。
とりあえず、悲しんでいても仕方ないので続きをやることにする。
ガタガタなガーター編みだけど、決して駄洒落じゃない。本当に見た目がそうなんだから困る。
ゆっくりだけど丁寧さを心がけながら黙々と編みこんでいく。
まぁまだ全然慣れていないのではっきりいって亀の歩みのようなのろのろペースだ。
部屋の中にはネーシャの砂を弄る音とアルの指導の声、外から入ってくる街中の喧騒のみだ。
ゆったりとした時の流れを感じさせる空間で4段目までなんとか作成し終わったガタガタのマフラーモドキをあまり見ないようにアイテムボックスに仕舞う。
結構やっていたが果たして本当にこれがトレーニングになるのだろうか……。
アルの助言でなければとっくに投げ出している編み物だが、さすがに長時間やるのは今日はもう無理だ。
開けている窓から外がまだ夕方にもなっていないことを確認して魔法の練習に移る。
エリザベートさんは空が赤くなって少ししたらいつも来る。
それまでに筋トレ以外のトレーニングをしてしまうのも日課だ。
筋トレは別に見られても問題ないのでエリザベートさんが居ても普通にやっている。
最近はエリザベートさんもお肉がね……お肉がね……、と翳の入った表情で呟きながら参加しているくらいだ。
その割には夕食はよく食べているけれど。
編み物に比べると魔法の練習はスムーズでやりやすい。
器用増加をつけているせいもあるのだが、これをつけないでやると部屋の中ではとてもじゃないが練習できないので仕方ない。
指先ほどに小さく圧縮した真っ白い高温の炎を自由自在に動かす。
ただそれだけでは部屋の温度が上昇してしまうので、普段はつけていない初級魔法:風で見えない壁で四方を固め、その中で動かしている。
魔法はMPを消費した段階で次の魔法が撃てるようになる。
なので長時間維持できるようにイメージした風の結界の中で多種多様な魔法を自在に動かしたり、形を変えたりして訓練するのだ。
この訓練により岩食いペンギンを一撃で倒せる氷の槍や広範囲に広げる炎などが使えるようになった。
他にも色々な形の魔法が使えるようにはなったが、戦闘で使えるようなのは結構少ない。
「ワタリ様、そろそろエリザベートが来る時間にございます」
「おっと、もうそんな時間か」
アルの声に夢中になっていた氷の像の製作をやめて固定していた魔法を解除する。
魔法は基本的にMPを消費してイメージ通りに作り上げられる物だが、作り上げた物はイメージ1つで消してしまえるのだ。
ただ手元を大きく離れたりすると難しくなるので、その辺はイメージの伝達される距離が問題らしい。
練習では当然部屋内だけなので一瞬で消すことができる。
魔法の練習をやめて、ちょっとかいていた汗を浄化で綺麗にしてもらって数分しないうちにエリザベートさんがノックもそこそこに部屋に飛び込んできた。
「たっだいまー! 愛しのワタリちゃんは元気にしてたかなー?」
「おかえりなさい、エリザベートさん」
「お、おかえりなさいです、エリザベートさん」
「ここはあなたの部屋ではありませんよ、エリザベート」
「ぶーぶー。いいじゃん、毎日きてるんだしさー。もう私のうちも同然だよー」
「では宿代を払ってください」
「わーん。ワタリちゃん、アル君がいじめるよー」
大体毎日こんなやり取りがなされているので、もう慣れたものだ。
まぁネーシャはまだ慣れないようであたふたしているけど、それも可愛いので問題ない。
エリザベートさんとアルとネーシャのコントを微笑ましく眺めながら、夕飯までの時間を楽しく過ごした。
43
あなたにおすすめの小説
貴族令嬢、転生十秒で家出します。目指せ、おひとり様スローライフ
凜
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞にて奨励賞を頂きました。ありがとうございます!
貴族令嬢に転生したリルは、前世の記憶に混乱しつつも今世で恵まれていない環境なことに気が付き、突発で家出してしまう。
前世の社畜生活で疲れていたため、山奥で魔法の才能を生かしスローライフを目指すことにした。しかししょっぱなから魔物に襲われ、元王宮魔法士と出会ったり、はては皇子までやってきてと、なんだかスローライフとは違う毎日で……?
【大賞・完結】地味スキル《お片付け》は最強です!社畜OL、異世界でうっかり国を改革しちゃったら、騎士団長と皇帝陛下に溺愛されてるんですが!?
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞で大賞をいただきました】→【規約変更で書籍化&コミカライズ「確約」は取り消しになりました。】
佐藤美佳子(サトウ・ミカコ)、享年28歳。死因は、過労。連日の徹夜と休日出勤の果てに、ブラック企業のオフィスで静かに息を引き取った彼女が次に目覚めたのは、剣と魔法のファンタジー世界だった。
新たな生を受けたのは、田舎のしがない貧乏貴族の娘、ミカ・アシュフィールド、16歳。神様がくれた転生特典は、なんと《完璧なる整理整頓》という、とんでもなく地味なスキルだった。
「せめて回復魔法とかが良かった……」
戦闘にも生産にも役立たないスキルに落胆し、今度こそは静かに、穏やかに生きたいと願うミカ。しかし、そんな彼女のささやかな望みは、王家からの突然の徴収命令によって打ち砕かれる。
「特殊技能持ちは、王宮へ出仕せよ」
家族を守るため、どうせ役立たずと追い返されるだろうと高をくくって王都へ向かったミカに与えられた任務は、あまりにも無謀なものだった。
「この『開かずの倉庫』を、整理せよ」
そこは、数百年分の備品や資材が山と積まれ、あまりの混沌ぶりに探検隊が遭難したとまで噂される、王家最大の禁足地。
絶望的な光景を前に、ミカが覚悟を決めてスキルを発動した瞬間――世界は、彼女の「お片付け」が持つ真の力に震撼することになる。
これは、地味スキルでうっかり国のすべてを最適化してしまった元社畜令嬢が、カタブツな騎士団長や有能すぎる皇帝陛下にその価値を見出され、なぜか過保護に甘やかされてしまう、お仕事改革ファンタジー。
【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました
いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。
子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。
「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」
冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。
しかし、マリエールには秘密があった。
――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。
未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。
「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。
物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立!
数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。
さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。
一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて――
「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」
これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、
ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー!
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
神による異世界転生〜転生した私の異世界ライフ〜
シュガーコクーン
ファンタジー
女神のうっかりで死んでしまったOLが一人。そのOLは、女神によって幼女に戻って異世界転生させてもらうことに。
その幼女の新たな名前はリティア。リティアの繰り広げる異世界ファンタジーが今始まる!
「こんな話をいれて欲しい!」そんな要望も是非下さい!出来る限り書きたいと思います。
素人のつたない作品ですが、よければリティアの異世界ライフをお楽しみ下さい╰(*´︶`*)╯
旧題「神による異世界転生〜転生幼女の異世界ライフ〜」
現在、小説家になろうでこの作品のリメイクを連載しています!そちらも是非覗いてみてください。
【完結】捨てられた双子のセカンドライフ
mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】
王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。
父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。
やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。
これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。
冒険あり商売あり。
さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。
(話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)
転生幼女の攻略法〜最強チートの異世界日記〜
みおな
ファンタジー
私の名前は、瀬尾あかり。
37歳、日本人。性別、女。職業は一般事務員。容姿は10人並み。趣味は、物語を書くこと。
そう!私は、今流行りのラノベをスマホで書くことを趣味にしている、ごくごく普通のOLである。
今日も、いつも通りに仕事を終え、いつも通りに帰りにスーパーで惣菜を買って、いつも通りに1人で食事をする予定だった。
それなのに、どうして私は道路に倒れているんだろう?後ろからぶつかってきた男に刺されたと気付いたのは、もう意識がなくなる寸前だった。
そして、目覚めた時ー
この優しさには絶対に裏がある!~激甘待遇に転生幼女は混乱中~
たちばな立花
ファンタジー
処刑された魔女が目を覚ますと、敵国の王女レティシアに逆行転生していた。
しかも自分は――愛され王女!?
前世とは違う扱いに戸惑うレティシア。
「この人たちが私に優しくするのは絶対に何か裏があるはず!」
いつも優しい両親や兄。
戸惑いながらも、心は少しずつ溶けていく。
これは罠? それとも本物の“家族の愛”?
愛を知らないレティシアは、家族の無償の愛に翻弄されながらも成長していく。
疑り深い転生幼女が、初めて“幸せ”と出会う――
じんわり心あたたまる、愛されファンタジー。
他サイトでも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる