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第3章
70,アル
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まだまだ特徴的な巨大な石壁は見えてこない。
転移で移動した時にはあっという間の道のりだったが徒歩だとやはり遠いようだ。
まだ日も暮れるほどではないがラッシュの街に到着する頃には傾いているかもしれない。
当初4時間程度と見積もっていた徒歩移動だったが甘かったようだ。
「そういえばアルはレベルアップした?」
「答えは是。ばたばたしていたのでご報告が遅れてしまい申し訳ありません。私もレベルアップしております」
「やっぱりね~。エリザベートさんが言ってたっけ。直接戦闘しなくてもPTを組んでいる状態なら有視界範囲に居ればレベルアップするって」
「答えは是。その通りにございます。
ですので今回同道していないネーシャは残念ながらレベルアップはしていないと存じます」
「まぁそのくらいはしょうがないよね。PTも外してあるし、むしろそれでレベル上がるならすごいことになっちゃうよ」
明るく言いながらもアルのレベルがどれだけ上がったのかちょっと怖い。
正直レベルがものすごく上がりづらいオレが5まであがったのだ。普通に魔物を倒してるだけで上がっているアルなら倍は上がっていても不思議じゃない。
「そ、それでぇ~……いくつ?」
戦々恐々しながら上目遣いにチラチラと見ながら聞いてみる。
聞くのが怖いような、楽しみなような不思議な感覚だ。
「BaseLvは5から16になりました」
「……はい?」
「BaseLv11アップにございます」
倍くらいは不思議じゃないと思っていた。
でも3倍近くはないでしょ……。
ちなみにこれは普通じゃない、決して。
そもそもあの凶悪な強さを誇る特殊進化個体はBaseLv1が単独で倒せるようなものじゃないはずだから、こんなに一気に上がるのは普通ありえない。
低Lvのアルやオレが普通出会ったらジーナさん達のように一目散に逃げるような相手だ。
それでも死亡率が相当高いようだが。実際死んでいるし。
そしていざ戦闘となったら有視界範囲にいるなんてほぼ不可能だろう、普通は。
今回はオレ1人が相手で短時間で撃破に成功したため被害は少ない方だったろうが、普通はこうはいかないんじゃないだろうか。
そうすると一撃で即死するような攻撃がいつ降りかかってくるかわからないので、とてもじゃないが経験値を取得できる範囲内になんていられない。
強者が弱者のBaseLvを簡単に引き上げることが出来ない要因だろう。
まぁゲームのように制限があるわけでもないし、実際には出来てしまうわけだが。
それでも簡単にレベルアップするような強い魔物は生息域に行くだけでも大変なので弱者連れでは難易度が跳ね上がってしまう。
強い魔物を捕獲してくればいいんだろうが、殺すよりも捕獲するのは労力を伴うし、輸送も大変だ。
それだけのことをしても得られるBaseLvはそこまで高くないのであまり効率がよいともいえない。
やはり今回のような急激なBaseLvの上昇は普通ではありえないことなのだ。
まぁ急激に上昇したのはアルだけだけど……。
「11も上がったのかぁ……。ポイントは33? あ、10超えたからボーナスで10あるのか。てことはBaseLv10のときが10ポイントだから40?」
「答えは是。その通りにございます。残りポイントは合計で42となります」
「おぉ~。42もあると何取るか迷っちゃうねぇ~。どうする~?」
「よろしければアイテムボックス拡張をLv3まで取得したいかと存じます」
「Lv3だとどのくらいだっけ?」
「アイテムボックス拡張Lv3となりますと、30種類30個までとなります」
「一気に倍近い最大容量になるね。アルがそれでいいなら構わないよ」
「恐悦至極にございます」
さっそくアルはスキルウィンドウからアイテムボックス拡張Lv3までを取得したようだ。
これでアルはポーターとしての役目をしっかりと果たせるだろう。
まぁすでに盾役としても、普段の諸々でも十分すぎるくらいに活躍してるけど。
「アイテムボックスだけで全部なくなったわけじゃないでしょ? 残りはどうする~?」
「答えは是。まだポイントは7ほど残っております。次の拡張はポイントが25必要ですのでBaseLv20まで残しておく必要がございます」
「まだ拡張するの? それより他のスキル取得した方がいいんじゃないかな?」
「答えは是。私がワタリ様のポーターとなる為に必要なことにございます」
「ま、まぁアルがそういうならいいんだけどさ……。オレもアイテムボックスは拡張してるし、無理しなくてもいいんだよ?
それにHPを増やしておかないとショック死とかするらしいし……」
そうなのだ、アルは最初からHPを取っておらずアイテムボックスを拡張させている。
街中で暮らすならHPは必要ないが外で冒険者をするならある程度必須ともいえるのだ。
アルの防御技術と指輪の力で滅多なことではダメージを受けないだろうし、アルの場合はダメージが知識を傷つけるだけで即死に繋がることはないらしいのだがそれでも心配なものは心配だ。
「その点に尽きましては問題ございません。私のHPは職業の恩恵により増加しております」
「あ、そうなんだ。執事って恩恵はHPアップなんだ?」
「答えは是。それに付け加えまして各種ステータスの任意増加があります」
「に、任意増加? 自分であげるステータス決められるの? 何ソレオレも欲しい」
「答えは是。ですがこの職業は恐らく私専用の特殊職業にございます。
職業:執事は存在しますが、このような恩恵ではありません」
「そうなんだ……。さすがアルだねぇ。もしかしてこれがチュートリアルブックの加護?」
「申し訳ありません、ワタリ様。私の知識にはない情報にございます。
ですが憶測ではありますが、私の加護はダメージによる損傷を知識で補う物だと愚考致します」
「あ~……。じゃあ単純にアル専用の職業があるってだけかもしれないね。
いいなぁ~」
「ですが、デメリットも存在するようでございます。
私は冒険者ギルドに登録していますが、冒険者の職業を取得できませんでした。
恐らく他の職業を一切取得できないのではないかと愚考致します」
「え……。そうなんだ……。それはなんというか……。そっかぁ……そういうデメリットもあるのかぁ」
自分のことのようにがっかりしてしまったが、アルの顔にはそんな悲しさはない。
彼にとって執事であることは当然なのだ。他の職業に就く必要はまったくないのだろう。
なんせオレの従者なんだから。
所謂天職なのだ。アルにとっての執事とは。
「アル、これからもよろしくね?」
「粉骨砕身、誠心誠意、この身朽ち果てるまでワタリ様に尽くさせていただきます」
ジーナさんを背負っているとは思えないほど、優雅で華麗で後光が差すほどの素晴らしい一礼でもって応えてくれる。
そんな自慢の執事君に自然と顔が綻んでしまう。
ところで、アルの執事ってLvいくつなんだろうね。
そんなことを思いながらもカンストしてそうで怖くて聞けないラッシュの街への帰り道だった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
石壁が見え始めた頃には2つの太陽はゆっくりとだが沈み始めていた。
もうちょっとしたら真っ赤に世界が染まるだろう頃合いだ。
南門までもう少しの距離まで来た所でアルに背負われていたジーナさんの意識が戻ったが、そのまま背負っていくことにした。
ジーナさんはまだぼんやりとしており現状を把握できていないようだ。
「ジーナさん、まだ疲れているでしょうし一先ず寝ていてください。もうすぐラッシュの街に着きますので、詳しい話はギルドでしましょう」
ぼんやりしていたジーナさんはオレの言葉を聞くと吸い込まれるようにまた意識を失ってしまった。
でも規則正しい寝息が聞こえることから大丈夫だろうと思う。
ギルドで詳しく話すにしてもオレが単独で特殊進化個体を討伐したことは伏せるべきだろう。
だが戦闘跡地が凄まじいことになっているし、特殊進化個体との戦闘があったことは隠しようがない。
救いなのはギルドカードに残る討伐履歴だ。
特殊進化個体は元々普通の魔物が複数の魔結晶を得て強大になったものなので、ギルドカードの履歴に残るのはその元になった魔物だけなのだそうだ。
討伐証明は素材として残る物なのだそうだ。
今回の場合は、巨大な爪だろう。
だがオレはそれをギルドに提出するつもりはない。
ジーナさんは特殊進化個体との戦闘に入る前に気絶させておいたし、他に目撃者もいなかったようなので特殊進化個体を追って現れたすごい装備を纏った集団と協力して倒した事にすることにした。
都合がいいことにオレが回復魔法の名手だとエリザベートさんは思っている。
たとえすごい装備を纏った集団だとしても無傷ではいられない。
そこでオレも協力したため討伐履歴に残った。
討伐時にPTに入っていれば履歴に残るので問題もないはずだ。
これで一応の説明は通るはずだ。
集団は特殊進化個体を討伐後元来た道を帰っていった、ということにすればいいし。
なんせラッシュの街まで徒歩3時間くらいかかるので追って来ただけならば、ラッシュの街に向かわなくても不思議ではない。
特殊進化個体は発見しただけなら近隣の冒険者ギルドに報告するべきだが、討伐したのならその限りではない。
この辺は冒険者ギルドで貰った栞に書いてあった……そうだ。
適当に斜め読みしただけのオレと違って、チュートリアルブックの化身であるアルは知識として完璧に記憶していたので、色々相談してそういうことにして報告する予定だ。
オレが大筋を考えたが細かいところでアルからの指摘がなければ破綻していたかもしれない。うろ覚えの知識に頼っちゃダメだな。
さすがアルだ。ギルドへの報告も彼に大体任せておけば問題ない。頼れる従者をもって最高に幸せだぜ。
夕暮れに染まり始めた石壁に空いているアーチ状の門まで来た頃には打ち合わせも終わり、無事ラッシュの街まで戻ることが出来た。
========
名前:ワタリ・キリサキ BaseLv:5 性別:女 年齢:6 職業:魔法使いLv7
装備:黒狼石の短剣 笹百合のミスリルの篭手[火耐Lv5 風耐Lv5] 鬼百合のミスリルの靴[麻痺耐Lv5 毒耐Lv5] 鈴蘭のミスリルの胸当て[鈍化耐Lv5 石化耐Lv5 幻覚耐Lv5] 黄百合のミスリルベルト[土耐Lv5 水耐Lv5] 月陽のネックレス 狐の木彫りのペンダント
HP:200/200
MP:138/138#(+5)[+3]
筋力:49/35
器用:35
敏捷:65<+30>
魔力:36<+1>
回復力:57/41[+6]
運:5
状態:健康
所有:アル#(従者) ネーシャ#(奴隷)
所持職業:町民Lv1 戦士Lv1 冒険者Lv1 治療師Lv12 魔法使いLv7
残りポイント:0
所持スキル
成長率増加Lv10 スキルリセット ステータス還元
ウイユベール共通語翻訳#(自動筆記翻訳付き) 鑑定 クラスチェンジ
筋力増加Lv5 敏捷増加Lv5 器用増加Lv5
魔力増加Lv5 回復力増加Lv5 HP増加Lv5 MP増加Lv10
鈍器スキルLv1
初級魔法:体力回復 初級魔法:火 初級魔法:水
物理防御盾Lv2 魔法防御盾Lv1
筋力強化Lv2 回復力強化Lv2
単独転移Lv1 複数転移Lv1 詠唱省略Lv3
気配察知Lv1 アイテムボックス拡張Lv5 PT編成
転移で移動した時にはあっという間の道のりだったが徒歩だとやはり遠いようだ。
まだ日も暮れるほどではないがラッシュの街に到着する頃には傾いているかもしれない。
当初4時間程度と見積もっていた徒歩移動だったが甘かったようだ。
「そういえばアルはレベルアップした?」
「答えは是。ばたばたしていたのでご報告が遅れてしまい申し訳ありません。私もレベルアップしております」
「やっぱりね~。エリザベートさんが言ってたっけ。直接戦闘しなくてもPTを組んでいる状態なら有視界範囲に居ればレベルアップするって」
「答えは是。その通りにございます。
ですので今回同道していないネーシャは残念ながらレベルアップはしていないと存じます」
「まぁそのくらいはしょうがないよね。PTも外してあるし、むしろそれでレベル上がるならすごいことになっちゃうよ」
明るく言いながらもアルのレベルがどれだけ上がったのかちょっと怖い。
正直レベルがものすごく上がりづらいオレが5まであがったのだ。普通に魔物を倒してるだけで上がっているアルなら倍は上がっていても不思議じゃない。
「そ、それでぇ~……いくつ?」
戦々恐々しながら上目遣いにチラチラと見ながら聞いてみる。
聞くのが怖いような、楽しみなような不思議な感覚だ。
「BaseLvは5から16になりました」
「……はい?」
「BaseLv11アップにございます」
倍くらいは不思議じゃないと思っていた。
でも3倍近くはないでしょ……。
ちなみにこれは普通じゃない、決して。
そもそもあの凶悪な強さを誇る特殊進化個体はBaseLv1が単独で倒せるようなものじゃないはずだから、こんなに一気に上がるのは普通ありえない。
低Lvのアルやオレが普通出会ったらジーナさん達のように一目散に逃げるような相手だ。
それでも死亡率が相当高いようだが。実際死んでいるし。
そしていざ戦闘となったら有視界範囲にいるなんてほぼ不可能だろう、普通は。
今回はオレ1人が相手で短時間で撃破に成功したため被害は少ない方だったろうが、普通はこうはいかないんじゃないだろうか。
そうすると一撃で即死するような攻撃がいつ降りかかってくるかわからないので、とてもじゃないが経験値を取得できる範囲内になんていられない。
強者が弱者のBaseLvを簡単に引き上げることが出来ない要因だろう。
まぁゲームのように制限があるわけでもないし、実際には出来てしまうわけだが。
それでも簡単にレベルアップするような強い魔物は生息域に行くだけでも大変なので弱者連れでは難易度が跳ね上がってしまう。
強い魔物を捕獲してくればいいんだろうが、殺すよりも捕獲するのは労力を伴うし、輸送も大変だ。
それだけのことをしても得られるBaseLvはそこまで高くないのであまり効率がよいともいえない。
やはり今回のような急激なBaseLvの上昇は普通ではありえないことなのだ。
まぁ急激に上昇したのはアルだけだけど……。
「11も上がったのかぁ……。ポイントは33? あ、10超えたからボーナスで10あるのか。てことはBaseLv10のときが10ポイントだから40?」
「答えは是。その通りにございます。残りポイントは合計で42となります」
「おぉ~。42もあると何取るか迷っちゃうねぇ~。どうする~?」
「よろしければアイテムボックス拡張をLv3まで取得したいかと存じます」
「Lv3だとどのくらいだっけ?」
「アイテムボックス拡張Lv3となりますと、30種類30個までとなります」
「一気に倍近い最大容量になるね。アルがそれでいいなら構わないよ」
「恐悦至極にございます」
さっそくアルはスキルウィンドウからアイテムボックス拡張Lv3までを取得したようだ。
これでアルはポーターとしての役目をしっかりと果たせるだろう。
まぁすでに盾役としても、普段の諸々でも十分すぎるくらいに活躍してるけど。
「アイテムボックスだけで全部なくなったわけじゃないでしょ? 残りはどうする~?」
「答えは是。まだポイントは7ほど残っております。次の拡張はポイントが25必要ですのでBaseLv20まで残しておく必要がございます」
「まだ拡張するの? それより他のスキル取得した方がいいんじゃないかな?」
「答えは是。私がワタリ様のポーターとなる為に必要なことにございます」
「ま、まぁアルがそういうならいいんだけどさ……。オレもアイテムボックスは拡張してるし、無理しなくてもいいんだよ?
それにHPを増やしておかないとショック死とかするらしいし……」
そうなのだ、アルは最初からHPを取っておらずアイテムボックスを拡張させている。
街中で暮らすならHPは必要ないが外で冒険者をするならある程度必須ともいえるのだ。
アルの防御技術と指輪の力で滅多なことではダメージを受けないだろうし、アルの場合はダメージが知識を傷つけるだけで即死に繋がることはないらしいのだがそれでも心配なものは心配だ。
「その点に尽きましては問題ございません。私のHPは職業の恩恵により増加しております」
「あ、そうなんだ。執事って恩恵はHPアップなんだ?」
「答えは是。それに付け加えまして各種ステータスの任意増加があります」
「に、任意増加? 自分であげるステータス決められるの? 何ソレオレも欲しい」
「答えは是。ですがこの職業は恐らく私専用の特殊職業にございます。
職業:執事は存在しますが、このような恩恵ではありません」
「そうなんだ……。さすがアルだねぇ。もしかしてこれがチュートリアルブックの加護?」
「申し訳ありません、ワタリ様。私の知識にはない情報にございます。
ですが憶測ではありますが、私の加護はダメージによる損傷を知識で補う物だと愚考致します」
「あ~……。じゃあ単純にアル専用の職業があるってだけかもしれないね。
いいなぁ~」
「ですが、デメリットも存在するようでございます。
私は冒険者ギルドに登録していますが、冒険者の職業を取得できませんでした。
恐らく他の職業を一切取得できないのではないかと愚考致します」
「え……。そうなんだ……。それはなんというか……。そっかぁ……そういうデメリットもあるのかぁ」
自分のことのようにがっかりしてしまったが、アルの顔にはそんな悲しさはない。
彼にとって執事であることは当然なのだ。他の職業に就く必要はまったくないのだろう。
なんせオレの従者なんだから。
所謂天職なのだ。アルにとっての執事とは。
「アル、これからもよろしくね?」
「粉骨砕身、誠心誠意、この身朽ち果てるまでワタリ様に尽くさせていただきます」
ジーナさんを背負っているとは思えないほど、優雅で華麗で後光が差すほどの素晴らしい一礼でもって応えてくれる。
そんな自慢の執事君に自然と顔が綻んでしまう。
ところで、アルの執事ってLvいくつなんだろうね。
そんなことを思いながらもカンストしてそうで怖くて聞けないラッシュの街への帰り道だった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
石壁が見え始めた頃には2つの太陽はゆっくりとだが沈み始めていた。
もうちょっとしたら真っ赤に世界が染まるだろう頃合いだ。
南門までもう少しの距離まで来た所でアルに背負われていたジーナさんの意識が戻ったが、そのまま背負っていくことにした。
ジーナさんはまだぼんやりとしており現状を把握できていないようだ。
「ジーナさん、まだ疲れているでしょうし一先ず寝ていてください。もうすぐラッシュの街に着きますので、詳しい話はギルドでしましょう」
ぼんやりしていたジーナさんはオレの言葉を聞くと吸い込まれるようにまた意識を失ってしまった。
でも規則正しい寝息が聞こえることから大丈夫だろうと思う。
ギルドで詳しく話すにしてもオレが単独で特殊進化個体を討伐したことは伏せるべきだろう。
だが戦闘跡地が凄まじいことになっているし、特殊進化個体との戦闘があったことは隠しようがない。
救いなのはギルドカードに残る討伐履歴だ。
特殊進化個体は元々普通の魔物が複数の魔結晶を得て強大になったものなので、ギルドカードの履歴に残るのはその元になった魔物だけなのだそうだ。
討伐証明は素材として残る物なのだそうだ。
今回の場合は、巨大な爪だろう。
だがオレはそれをギルドに提出するつもりはない。
ジーナさんは特殊進化個体との戦闘に入る前に気絶させておいたし、他に目撃者もいなかったようなので特殊進化個体を追って現れたすごい装備を纏った集団と協力して倒した事にすることにした。
都合がいいことにオレが回復魔法の名手だとエリザベートさんは思っている。
たとえすごい装備を纏った集団だとしても無傷ではいられない。
そこでオレも協力したため討伐履歴に残った。
討伐時にPTに入っていれば履歴に残るので問題もないはずだ。
これで一応の説明は通るはずだ。
集団は特殊進化個体を討伐後元来た道を帰っていった、ということにすればいいし。
なんせラッシュの街まで徒歩3時間くらいかかるので追って来ただけならば、ラッシュの街に向かわなくても不思議ではない。
特殊進化個体は発見しただけなら近隣の冒険者ギルドに報告するべきだが、討伐したのならその限りではない。
この辺は冒険者ギルドで貰った栞に書いてあった……そうだ。
適当に斜め読みしただけのオレと違って、チュートリアルブックの化身であるアルは知識として完璧に記憶していたので、色々相談してそういうことにして報告する予定だ。
オレが大筋を考えたが細かいところでアルからの指摘がなければ破綻していたかもしれない。うろ覚えの知識に頼っちゃダメだな。
さすがアルだ。ギルドへの報告も彼に大体任せておけば問題ない。頼れる従者をもって最高に幸せだぜ。
夕暮れに染まり始めた石壁に空いているアーチ状の門まで来た頃には打ち合わせも終わり、無事ラッシュの街まで戻ることが出来た。
========
名前:ワタリ・キリサキ BaseLv:5 性別:女 年齢:6 職業:魔法使いLv7
装備:黒狼石の短剣 笹百合のミスリルの篭手[火耐Lv5 風耐Lv5] 鬼百合のミスリルの靴[麻痺耐Lv5 毒耐Lv5] 鈴蘭のミスリルの胸当て[鈍化耐Lv5 石化耐Lv5 幻覚耐Lv5] 黄百合のミスリルベルト[土耐Lv5 水耐Lv5] 月陽のネックレス 狐の木彫りのペンダント
HP:200/200
MP:138/138#(+5)[+3]
筋力:49/35
器用:35
敏捷:65<+30>
魔力:36<+1>
回復力:57/41[+6]
運:5
状態:健康
所有:アル#(従者) ネーシャ#(奴隷)
所持職業:町民Lv1 戦士Lv1 冒険者Lv1 治療師Lv12 魔法使いLv7
残りポイント:0
所持スキル
成長率増加Lv10 スキルリセット ステータス還元
ウイユベール共通語翻訳#(自動筆記翻訳付き) 鑑定 クラスチェンジ
筋力増加Lv5 敏捷増加Lv5 器用増加Lv5
魔力増加Lv5 回復力増加Lv5 HP増加Lv5 MP増加Lv10
鈍器スキルLv1
初級魔法:体力回復 初級魔法:火 初級魔法:水
物理防御盾Lv2 魔法防御盾Lv1
筋力強化Lv2 回復力強化Lv2
単独転移Lv1 複数転移Lv1 詠唱省略Lv3
気配察知Lv1 アイテムボックス拡張Lv5 PT編成
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