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第6章
121,vsデミオーク
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緑の大海原――獣の窟を抜けた先にある岩場は建材には向かない岩が多く、ラッシュの街からも遠い事から人の手が入らない場所だ。
とはいっても魔物が闊歩するこの世界では人の手が入っていない所の方が多い。
超特急馬車で街道をひた走ってきたので2日足らずで目的の岩場近くまで到着する事ができた。相変わらず早い。
まぁその分、前と同じで凄まじい揺れだったのだけれど今回はレーネさんが最初からオレを確保して離さなかったので新感覚アクティビティは体験できなかった。
道中もほとんど人などいなかった。
一応デミオークが今回巣を作っているということだが本来はこの辺にはデミオークなどの中級に片足を突っ込んだ頃用の魔物はいなかったらしい。
どこかから流れてきたのか、ただ単に今まで見つかっていなかっただけなのか。
それほど人も来ない場所でもあるのでどちらの可能性もある。
今回見つかったのは獣の窟で狩りをしていた狩人がたまたま奥まで来てしまい偶然発見したのが理由だ。
冒険者じゃなくて狩人という辺りが獣の窟が雑魚しかいない場所だと物語っている。
それから調査依頼が出され今回の駆除依頼となったというわけだ。
オレが以前受けた岩食いペンギンの時と同じ流れだが、オレの場合は調査の段階で全部駆除してしまった。
普通の調査依頼は調査用魔道具が優秀なため低ランク冒険者向けに発行されているので駆除までするのは稀だ。
1匹2匹だけなら、と思うだろうが調査が必要な場合は大抵群れ単位なので無茶をする冒険者はそんなに多くはない。
調査用魔道具が遠距離からも調査が可能なのが低ランク冒険者でも出来る所以だろう。お使いに近いレベルの物でもあるのだ。
「ただいま戻りました」
「お帰り、アル」
【おかえりなさい、アルさん】
超特急馬車を屋敷に戻すために1人で帰還用魔道具を使ったアルが戻ってきた。
別に全員で戻ってもいいのだが状況の確認もしておきたかったのでアルに任せた。
帰還用魔道具にMPの補給もしてきたようなので少し時間がかかったがその間にデミオークの様子を確認することができた。
「とりあえず確かに巣があるみたい。
といっても洞穴に居付いているだけっぽいけど」
【数匹ずつで行動をしているようです。
一般的なデミオークのようで冒険者などから奪った皮鎧や鉄の剣や斧の他はこれといった脅威はないですね】
【あ、あの皮鎧とか剣とかは冒険者から奪ったものだったんだ】
【恐らくそうだと思います。
この辺はあまり人が来ない場所ですがそれでもまったくこないわけではありませんし、来る冒険者も獣の窟から来るので初心者でしょうから。
初心者にデミオークは1匹でもちょっと厳しいです】
【そっかー……。じゃあもしかして冒険者の人が女性だったら酷いことされてそうでやだなぁ】
【……? デミオークはそういうことはしないですよ?】
オレの小さな呟きのような念話にレーネさんが小首を傾げる。
あれ? デミオークはそういうことをしない系のオークなのかな?
ほらてっきり、酷い事する気でしょ! エロ同人みたいに! エロ同人みたいに! って感じなのかと……。
【そうなんですか。じゃあやっぱりデミオークじゃなくてオークが?】
【いえ、オークも魔物なのでそういうことはしないです。
人型の魔物は人種に対して殺意しか持たないので】
この世界――ウイユベールのオークはオレの知識にあるオークではないようだ。
でもデミオークは見た目そのまんま色違いのオークにしかみえない。
脂肪と筋肉の塊で体長2mくらいある灰色の豚頭だ。鳴き声はちょっと遠くて確認できない。
ちなみにどうやって確認したかは双眼鏡のような魔道具が屋敷にあったので持ってきた。超便利。
【それにデミオークが襲うのは人種以外ではオークが多いです】
【オークを? どうしてですか?】
【デミオークは雌しかいないです。逆にオークは雄しか居らずオークもデミオークを襲います。
そうやって繁殖しているそうです】
なんということでしょう。雄雌はっきり別れた種族だったとは。
しかも互いに襲って繁殖を行うとは……。もっと仲良く出来ないのだろうか……。いや魔物だしな。考えても仕方ない。
とりあえずオレの知識にあるゲスいオークはこの世界にいないだけでも現実的に考えてよしとしよう。だって今オレ女の子だもん。
【あ、ワタリさん。3匹ほどこちらの方に向かってくるようです。
巣から見えないところまで来たら仕留めてしまいますか?】
【お、ほんとだ。そうですね。こうやって見てても仕方ないですし、ちゃっちゃと依頼の数こなしちゃいましょうか】
【はい!】
【畏まりました】
デミオークの巣のある洞穴はそこそこ大きな岩がたくさん点在する岩場というに相応しい場所にあり、オレ達が今居る場所はそこからかなり離れている林の中だ。
風下だし、匂いで気づかれることもまずない。あの豚頭はそれなりに嗅覚も鋭いようなので風上にいたら団体さんで来る可能性もあるそうだ。
まぁオレ達なら団体さんを相手にした方が早そうではあるがまずは最初ということでどの程度なのか試してみる事にした。
ブヒブヒブホホゥ、とまんま豚の鳴き声をあげながらのっしのっし、と歩いてくるデミオークが3匹。
皮鎧を着込んだ1匹は片手に鉄製っぽい斧を持ち、残りの2匹は何かの毛皮を腰と胸に巻いて木を削り出して作ったと思われる棍棒を手にしている。
一応雌なので胸にも巻いてるのだろうか。
顔からまったく判別がつかない。もちろん体をみてもまったくわからない。
岩場からそれなりに離れ、林の中に入ってきたのを確認すると戦闘を開始することにした。
【まず私が行きます。
デミオークなどのオーク種は厚い脂肪とその下の筋肉で下手な攻撃では深手を負わせることが出来ない場合もありますので一撃で倒す場合はそれなりの攻撃を与える必要があります。
このように!】
レーネさんのレクチャーを聞きながらデミオーク達を注視していたが、皮鎧を纏った1匹がレーネさんの言葉が終わると共に斜めにズレた。
超効率狩りでBaseLvが10上がったレーネさんはただでさえ強いのにさらに強くなった。
取得したポイントを回復力と敏捷に全て振ったのだ。
今までもかなりの速さでレーネさん愛用の長剣――金剛羅刹を振るっていたのが更に早くなり、オレでも目で捉えるのがやっとになったほどだ
先頭を歩いていたデミオークの体が斜めにずれて地面に落ちても後ろにいた2匹は何が起こったのか理解できていなかった。
そりゃそうだ。
まだデミオークとオレ達との距離は300m以上離れているのだから。
レーネさんの飛斬の射程は超効率狩り以前はもっと短かった。
敏捷をかなりあげたことにより剣速が凄まじく向上し、結果として飛斬の射程と威力が急上昇したらしい。
元々得意としていたスキルでもあるため、制御も完璧で遠距離攻撃としても相当なものだったのがさらに凶悪になってしまった。
さすがすぎるぜ、レーネさん。
【ワタリさん、残りの2匹をお願いしてもいいですか?】
【あ、はいはい。いっくよー!】
やっと状況を把握してきたのかブヒブヒ、甲高い声を上げ始めたデミオーク2匹に向かって氷の錐をそれぞれ1本ずつ投げつける。
中級魔法:風で加速させた氷の錐は風の補助がない状態と比べると桁違いのスピードで寸分違わずデミオークの豚頭を消し飛ばして更にその後方の木を数本打ち倒した。
木が地面に倒れて折れると、それなりに大きな音が林に響く。
……ミスった。
【ご、ごめんなさい、レーネさん。加減をミスりました……】
【そうですね。でもデミオークは見た感じ強そうに見える魔物ですのでこういうこともあります。
次はもう少し威力を低くしてもいいかもしれませんね】
レーネさんは特に怒っているとかそういうのはない。というかレーネさんが怒っているところなんて見たこともないけれど。
でも木が倒れてしまった音は結構大きかった。
デミオークの巣からそんなに離れていないし、きっと集まってくるだろう。
【これ、絶対集まってきますよね?】
【そうですね。でも問題ないです。
最初の3匹は試しでしたし、もうどの程度かワタリさんなら理解されたでしょうから】
【あー……。そうですね】
確かにデミオークの強さ、というか耐久力はわかった。
あの程度なら団体さんで来てもまったく問題ないだろう。
慎重を期す為に少数を狙ったわけだが問題ないなら集まってきてくれた方が効率がいい。
……なんだ何も問題ないじゃないか。むしろ結果オーライだ。
【20匹前後の集団が向かってくるようです】
【よし、じゃあ迎え撃とう! パパッとね!】
【了解しました!】
【畏まりました】
気持ちの切り替えも完了し、アルの索敵報告でデミオーク達を出迎える為に林の先が見通せる位置に移動する。
【7匹が先行しているようです】
【十分にひきつけてから一蹴しましょう】
【了解です!】
土煙を上げながら先行してくるデミオークはもうすぐ林の入り口に到達するだろう。
後続は少し遅れているがどうやら持っている武器や防具の違いで速度に差が出ているようだ。
そのくらいなら足並みを合わせればいいのに、と思うが所詮オークはオークということだろう。
【今です!】
林の入り口に到達した瞬間にレーネさんが念話で合図を送り、一気呵成に攻め立てる。
レーネさんの飛斬がデミオークを両断し、2つになったデミオークはコントロールを完全に失って勢いそのままに林の中へ滑り込んでいく。
そんな無残なデミオークが4匹。一瞬だ。
オレも負けていられない。
驚愕の表情? ――豚顔では表情もよくわからない――で突進の勢いを殺そうとするデミオーク達に次々と氷の矢が数本ずつ突き刺さる。
風で補助されてはいないが威力不足ということはなかった。
正確に目と口の中に吸い込まれた氷の矢により断末魔も上げる暇もなく残りの先行してきたデミオーク3匹はその場に崩れ落ちる。
【む……。後続が止まったようですね。
デミオーク程度の知能ならばそのまま突っ込んでくるはずなのですが……】
【どういうことでしょう?】
【これはもしかして……】
後続のデミオークの集団の様子にいぶかしむレーネさん。
いやさすがに先行していた奴等がほぼ瞬殺されてるんだから多少は躊躇するんじゃないかなぁ……。でもレーネさんの判断だし、オークってほんとバカなの?
【アルさん、巣の方向にデミオーク以外の気配はありませんか?】
【……1匹、他と違う気配があるようです】
【やはり……】
【ええと?】
少し険しい表情になったレーネさんのアルとのやりとりに疑問符を浮かべて小首を傾げる。
【ワタリさん、どうやらオーククイーンが誕生しているようです】
真剣なレーネさんの念話に合わせるように一際甲高い豚の鳴き声が岩場の方から林の中まで響き渡った。
とはいっても魔物が闊歩するこの世界では人の手が入っていない所の方が多い。
超特急馬車で街道をひた走ってきたので2日足らずで目的の岩場近くまで到着する事ができた。相変わらず早い。
まぁその分、前と同じで凄まじい揺れだったのだけれど今回はレーネさんが最初からオレを確保して離さなかったので新感覚アクティビティは体験できなかった。
道中もほとんど人などいなかった。
一応デミオークが今回巣を作っているということだが本来はこの辺にはデミオークなどの中級に片足を突っ込んだ頃用の魔物はいなかったらしい。
どこかから流れてきたのか、ただ単に今まで見つかっていなかっただけなのか。
それほど人も来ない場所でもあるのでどちらの可能性もある。
今回見つかったのは獣の窟で狩りをしていた狩人がたまたま奥まで来てしまい偶然発見したのが理由だ。
冒険者じゃなくて狩人という辺りが獣の窟が雑魚しかいない場所だと物語っている。
それから調査依頼が出され今回の駆除依頼となったというわけだ。
オレが以前受けた岩食いペンギンの時と同じ流れだが、オレの場合は調査の段階で全部駆除してしまった。
普通の調査依頼は調査用魔道具が優秀なため低ランク冒険者向けに発行されているので駆除までするのは稀だ。
1匹2匹だけなら、と思うだろうが調査が必要な場合は大抵群れ単位なので無茶をする冒険者はそんなに多くはない。
調査用魔道具が遠距離からも調査が可能なのが低ランク冒険者でも出来る所以だろう。お使いに近いレベルの物でもあるのだ。
「ただいま戻りました」
「お帰り、アル」
【おかえりなさい、アルさん】
超特急馬車を屋敷に戻すために1人で帰還用魔道具を使ったアルが戻ってきた。
別に全員で戻ってもいいのだが状況の確認もしておきたかったのでアルに任せた。
帰還用魔道具にMPの補給もしてきたようなので少し時間がかかったがその間にデミオークの様子を確認することができた。
「とりあえず確かに巣があるみたい。
といっても洞穴に居付いているだけっぽいけど」
【数匹ずつで行動をしているようです。
一般的なデミオークのようで冒険者などから奪った皮鎧や鉄の剣や斧の他はこれといった脅威はないですね】
【あ、あの皮鎧とか剣とかは冒険者から奪ったものだったんだ】
【恐らくそうだと思います。
この辺はあまり人が来ない場所ですがそれでもまったくこないわけではありませんし、来る冒険者も獣の窟から来るので初心者でしょうから。
初心者にデミオークは1匹でもちょっと厳しいです】
【そっかー……。じゃあもしかして冒険者の人が女性だったら酷いことされてそうでやだなぁ】
【……? デミオークはそういうことはしないですよ?】
オレの小さな呟きのような念話にレーネさんが小首を傾げる。
あれ? デミオークはそういうことをしない系のオークなのかな?
ほらてっきり、酷い事する気でしょ! エロ同人みたいに! エロ同人みたいに! って感じなのかと……。
【そうなんですか。じゃあやっぱりデミオークじゃなくてオークが?】
【いえ、オークも魔物なのでそういうことはしないです。
人型の魔物は人種に対して殺意しか持たないので】
この世界――ウイユベールのオークはオレの知識にあるオークではないようだ。
でもデミオークは見た目そのまんま色違いのオークにしかみえない。
脂肪と筋肉の塊で体長2mくらいある灰色の豚頭だ。鳴き声はちょっと遠くて確認できない。
ちなみにどうやって確認したかは双眼鏡のような魔道具が屋敷にあったので持ってきた。超便利。
【それにデミオークが襲うのは人種以外ではオークが多いです】
【オークを? どうしてですか?】
【デミオークは雌しかいないです。逆にオークは雄しか居らずオークもデミオークを襲います。
そうやって繁殖しているそうです】
なんということでしょう。雄雌はっきり別れた種族だったとは。
しかも互いに襲って繁殖を行うとは……。もっと仲良く出来ないのだろうか……。いや魔物だしな。考えても仕方ない。
とりあえずオレの知識にあるゲスいオークはこの世界にいないだけでも現実的に考えてよしとしよう。だって今オレ女の子だもん。
【あ、ワタリさん。3匹ほどこちらの方に向かってくるようです。
巣から見えないところまで来たら仕留めてしまいますか?】
【お、ほんとだ。そうですね。こうやって見てても仕方ないですし、ちゃっちゃと依頼の数こなしちゃいましょうか】
【はい!】
【畏まりました】
デミオークの巣のある洞穴はそこそこ大きな岩がたくさん点在する岩場というに相応しい場所にあり、オレ達が今居る場所はそこからかなり離れている林の中だ。
風下だし、匂いで気づかれることもまずない。あの豚頭はそれなりに嗅覚も鋭いようなので風上にいたら団体さんで来る可能性もあるそうだ。
まぁオレ達なら団体さんを相手にした方が早そうではあるがまずは最初ということでどの程度なのか試してみる事にした。
ブヒブヒブホホゥ、とまんま豚の鳴き声をあげながらのっしのっし、と歩いてくるデミオークが3匹。
皮鎧を着込んだ1匹は片手に鉄製っぽい斧を持ち、残りの2匹は何かの毛皮を腰と胸に巻いて木を削り出して作ったと思われる棍棒を手にしている。
一応雌なので胸にも巻いてるのだろうか。
顔からまったく判別がつかない。もちろん体をみてもまったくわからない。
岩場からそれなりに離れ、林の中に入ってきたのを確認すると戦闘を開始することにした。
【まず私が行きます。
デミオークなどのオーク種は厚い脂肪とその下の筋肉で下手な攻撃では深手を負わせることが出来ない場合もありますので一撃で倒す場合はそれなりの攻撃を与える必要があります。
このように!】
レーネさんのレクチャーを聞きながらデミオーク達を注視していたが、皮鎧を纏った1匹がレーネさんの言葉が終わると共に斜めにズレた。
超効率狩りでBaseLvが10上がったレーネさんはただでさえ強いのにさらに強くなった。
取得したポイントを回復力と敏捷に全て振ったのだ。
今までもかなりの速さでレーネさん愛用の長剣――金剛羅刹を振るっていたのが更に早くなり、オレでも目で捉えるのがやっとになったほどだ
先頭を歩いていたデミオークの体が斜めにずれて地面に落ちても後ろにいた2匹は何が起こったのか理解できていなかった。
そりゃそうだ。
まだデミオークとオレ達との距離は300m以上離れているのだから。
レーネさんの飛斬の射程は超効率狩り以前はもっと短かった。
敏捷をかなりあげたことにより剣速が凄まじく向上し、結果として飛斬の射程と威力が急上昇したらしい。
元々得意としていたスキルでもあるため、制御も完璧で遠距離攻撃としても相当なものだったのがさらに凶悪になってしまった。
さすがすぎるぜ、レーネさん。
【ワタリさん、残りの2匹をお願いしてもいいですか?】
【あ、はいはい。いっくよー!】
やっと状況を把握してきたのかブヒブヒ、甲高い声を上げ始めたデミオーク2匹に向かって氷の錐をそれぞれ1本ずつ投げつける。
中級魔法:風で加速させた氷の錐は風の補助がない状態と比べると桁違いのスピードで寸分違わずデミオークの豚頭を消し飛ばして更にその後方の木を数本打ち倒した。
木が地面に倒れて折れると、それなりに大きな音が林に響く。
……ミスった。
【ご、ごめんなさい、レーネさん。加減をミスりました……】
【そうですね。でもデミオークは見た感じ強そうに見える魔物ですのでこういうこともあります。
次はもう少し威力を低くしてもいいかもしれませんね】
レーネさんは特に怒っているとかそういうのはない。というかレーネさんが怒っているところなんて見たこともないけれど。
でも木が倒れてしまった音は結構大きかった。
デミオークの巣からそんなに離れていないし、きっと集まってくるだろう。
【これ、絶対集まってきますよね?】
【そうですね。でも問題ないです。
最初の3匹は試しでしたし、もうどの程度かワタリさんなら理解されたでしょうから】
【あー……。そうですね】
確かにデミオークの強さ、というか耐久力はわかった。
あの程度なら団体さんで来てもまったく問題ないだろう。
慎重を期す為に少数を狙ったわけだが問題ないなら集まってきてくれた方が効率がいい。
……なんだ何も問題ないじゃないか。むしろ結果オーライだ。
【20匹前後の集団が向かってくるようです】
【よし、じゃあ迎え撃とう! パパッとね!】
【了解しました!】
【畏まりました】
気持ちの切り替えも完了し、アルの索敵報告でデミオーク達を出迎える為に林の先が見通せる位置に移動する。
【7匹が先行しているようです】
【十分にひきつけてから一蹴しましょう】
【了解です!】
土煙を上げながら先行してくるデミオークはもうすぐ林の入り口に到達するだろう。
後続は少し遅れているがどうやら持っている武器や防具の違いで速度に差が出ているようだ。
そのくらいなら足並みを合わせればいいのに、と思うが所詮オークはオークということだろう。
【今です!】
林の入り口に到達した瞬間にレーネさんが念話で合図を送り、一気呵成に攻め立てる。
レーネさんの飛斬がデミオークを両断し、2つになったデミオークはコントロールを完全に失って勢いそのままに林の中へ滑り込んでいく。
そんな無残なデミオークが4匹。一瞬だ。
オレも負けていられない。
驚愕の表情? ――豚顔では表情もよくわからない――で突進の勢いを殺そうとするデミオーク達に次々と氷の矢が数本ずつ突き刺さる。
風で補助されてはいないが威力不足ということはなかった。
正確に目と口の中に吸い込まれた氷の矢により断末魔も上げる暇もなく残りの先行してきたデミオーク3匹はその場に崩れ落ちる。
【む……。後続が止まったようですね。
デミオーク程度の知能ならばそのまま突っ込んでくるはずなのですが……】
【どういうことでしょう?】
【これはもしかして……】
後続のデミオークの集団の様子にいぶかしむレーネさん。
いやさすがに先行していた奴等がほぼ瞬殺されてるんだから多少は躊躇するんじゃないかなぁ……。でもレーネさんの判断だし、オークってほんとバカなの?
【アルさん、巣の方向にデミオーク以外の気配はありませんか?】
【……1匹、他と違う気配があるようです】
【やはり……】
【ええと?】
少し険しい表情になったレーネさんのアルとのやりとりに疑問符を浮かべて小首を傾げる。
【ワタリさん、どうやらオーククイーンが誕生しているようです】
真剣なレーネさんの念話に合わせるように一際甲高い豚の鳴き声が岩場の方から林の中まで響き渡った。
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