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最終章
179,邪鷹
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見上げるほどの巨体。
光りを返さないどころか吸い込んでしまうような気さえする黒よりも尚深い闇の毛並み。
四肢の先には頑強な迷宮の床を容易く切り裂いてがっちりと掴み上げている鋭利な爪。
唸り声は聞こえないがその口は歪み、迷宮の床を切り裂くほどの鋭利さを持つ爪よりも尚鋭そうな牙が覗いている。
だがその瞳には色や光りがない。いや黒という1色はあるもののそれだけだ。
知性を宿す瞳には特有の色や光りがあるものだ。だがこの狼にはない。
生物として何かしらおかしい存在だとその瞳が雄弁に語っている気がする。
元となっているものが闇の靄だという点からしても生物ですらないのは最早明白なのだが……。
それでも尚そう思ってしまう。何かおぞましい、根源的な恐怖を抱かせるものだ。
……だが引き下がる理由にはならない。
「来ますわよ!」
疾駆する反動で迷宮の床が切り裂かれ、削り取られ、舞い上がる。
凄まじいスピードで迫る狼だがすぐさまその右前足は紫色の球体に包まれ消滅し、バランスを崩して大きく態勢を崩す。
しかし倒れない。
狼の姿形をしているからといってバランスを取るのに四肢が必ずしも必要とは限らないのだろう。
一瞬だけ崩れた態勢は刹那で立て直され、なくなった足は関係ないとばかりにまた駆け出そうする。
だが一瞬でもあれば十分すぎる存在がいる。
闇の毛並みに蒼い閃光が舐めるように疾駆する。
それと同時に金属が削れるような凄まじい音が閃光を追いかけるように発生し、狼の顔に巨大な斬光が走る。
ドリルさんが纏わりつくように斬撃を繰り返し、レーネさんの飛ぶ斬撃が狼の足を止める。
あれは飛斬ではなく、ブレイズウィングだ。
飛斬よりもずっと高威力なスキルで以前戦った特殊進化個体の巨狼ですら吹き飛ばすほどのものだ。
しかも当時と比べてもBaseLvも職Lvもずっと上昇していて、勇者の装備によりステータスが大幅に強化されている。威力も段違いに上がっているはずだが直撃した狼の顔には傷1つついていない。
だがその衝撃はヤツの足を止めるには十分な威力があった。今はそれで十分。
【左前足!】
オレの念話と同時に全身を舐めるように走っていた蒼い閃光が左前足だけ走らなくなる。
直後に紫の球体――紫電の花びらの盾が狼の左前足の付け根に展開され、華が咲く。
両前足を失って初めて体勢を維持できなくなったようだが、すでに最初に消し飛ばした右前足が半ばまで再生されている。
四肢を消滅させるのは時間稼ぎにしかならないようだ。
今尚蒼い閃光とそれに伴う音が狼の毛の上を走っている。
多少の溜めが必要なためにレーネさんのブレイズウィングは散発的だが、1発1発の威力は狼の巨体を後退させるほどのものだ。
だがやはりダメージにはなっていない。
ちなみにアルはオレを守るためにずっとオレについている。
火力特化構成時は防御が完全に紙になる。その代わりの超火力なのだから納得はいくが、今オレがやられればそれは即撤退以外の選択肢がなくなるものだ。
まぁそんな理由がなくてもアルがオレを守るは当たり前だけどね。
慣れた手つきで素早くスタミナ回復ポーションを使用し、足は一旦放置して次は胴体に花びらの盾を展開させ華を咲かせる。
しかし見上げるほどの巨体のほんの一部しか範囲に置けないためピンポイントであてなければ意味が無い。
それも1発当てれば倒せるとは思えないのが面倒なところだ。
華が咲いた胴体にぽっこりと穴が開くが周りから靄が集まってくるために末端部分となる手足よりもずっと回復が早い。
【わたりん! やるなら! 急所ですわ!】
【それがどこにあるのかわかったら苦労はないですよ! とりあえず心臓じゃないみたいですよ!】
【もっとも! ですわ! 頭とか! どうですの!】
そうこうしているうちに消滅させた足の回復を済ませて動き出そうとしている。
全身を舐めるように切り刻んでいるドリルさんを鬱陶しそうにしながらもダメージになっていないからか、気にせずこちらに向かって駆け出してくる。
しかしそこに巨大な斬撃が飛来して足を止める。
頑丈故なのか、避けると言う行動をしてこない。
一直線にオレに向かってくるから迎撃もしやすい。
だが決定打が圧倒的に足りない。
今のところ足止めできているレーネさんのブレイズウィングもオレの無紫刃華もスタミナを大きく消費する。
レーネさんが持っているスタミナ回復ポーションもそれほど多くないはずだ。
だがダメージになっていないながらも足止めが出来るレベルのスキルは全て例外なくスタミナを消費する。
レーネさんがヤツの動きを止めた瞬間を見計らい、念話を飛ばしてドリルさんを誘導しながら紫電の華を咲かせる。
今度は頭の一部を消し飛ばしたがやはりだめだ。
しかも両目も同時に巻き込んだのだがまっすぐこちらに向かってくる。
姿形を模しているだけでただの飾りでしかないのだろう。
機能しているなら少しは戸惑うはずだ。しかし一瞬の戸惑いすらもなかった。
……まぁその辺は想像していたけどね。
幾度もの足止めを突破して行き着いた狼がオレを守るアルごと喰らいつこうとその巨大なアギトを全開に広げる。
並ぶ牙はやはり黒く、光を吸収してしまっているかのように返すことはない。
だがその牙に切り裂かれることはない。
爆音が連鎖し頭上で歯がかみ合う凄まじい轟音が轟く。
アルの震爆により上に軌道をずらされたのだ。それと同時に横合いからブレイズウィングが直撃し、黒い巨体が衝撃で吹き飛ぶ。
吹き飛ぶ巨体の胴体部分の先ほどとは違う場所に華を咲かせる。
顎をかち上げられ、不安定な体勢で吹き飛ばされたために四肢で着地できなかった狼が横滑りに迷宮の床を転がっていく。
しかし転がる間にも華を咲かせて開けた穴は再生が進んでいるようだ。
「これどうしたらいいんだ」
「ワタリさん……スタミナ回復ポーションの残りがあまり……」
「エステリア姫様はまだですの!」
頑丈すぎるために有効な攻撃をするのにも回数制限があるオレ達にとってこの相手はかなり辛い。
探り探り攻撃するのも限度がある。
しかも探り当てても倒せるとは限らないのが1番厳しい。
結晶のままでも問題があったのに現状のような動いて攻撃までしてくるとなると厄介極まりない。
「わたりん!」
「ちっ」
床を滑ってかなり離れた狼が体勢を立て直したと思ったらその体を大きく変化させ始めた。
ぼこぼこと体表が膨れ上がり細部まで再現されていた体が溶ける様に消えていく。
変化はすぐに終わり、狼だったその姿は今や巨大な翼を持つ鷹のような生物になっていた。
翼長40メートルにもなろうかというその巨体は先ほどの狼よりもさらに大きい。
しかも翼を一振り二振りしたかと思うと凄まじい風が巻き起こり浮かび上がる。やはり飛べるようだ。
天井も高いこの最下層フロアに急上昇していき、凄まじいスピードで飛び始める。
目で終える早さではあるが狼だったころよりも断然速い。
天井付近を旋回し、ある程度スピードが乗ったところでヤツは翼を折りたたみ急降下を開始した。
そのスピードは先ほどまでの速度とはまた桁が違う。
これだけの速さでの急降下ではさすがのアルも受け流すのは厳しいかもしれない。
ブレイズウィングでも対抗できないだろう。
速すぎるために無紫刃華も狙いを定めきれない。
……まぁでも別にヤツを倒すという点を求めなければどうというほどでもないわけで。
魔法はステータスの魔力を上げるほどに威力を増す。
無紫刃華は火力と言う面を見れば最大限の倍率を誇るスキルというだけで、他の魔法やスキルが使えなくなるわけではない。
よって魔力を最大限まで高めている現状で魔法を使えば大抵はその威力を極限にまで引き上げた状態になる。
それに加えて王族の不文律による無限のMPを追加すれば……あの程度の急降下攻撃をどうにかすることはどうということはない。
急降下してくる闇の塊と高すぎる魔力と無限のMPにより瞬時に構築された風の結界が激突する。
1枚目の結界を突き破るその威力には驚嘆すべきものがあるが、1枚しか張っていないわけがない。
1枚目でクチバシ部分が圧し折れ、2枚目で頭がなくなり、3枚目で胴体の2割を失い、4枚目でさらに体を失いながらも止まった。
半分以上の体を失いながらも所詮は闇の靄で形成されているだけの体だ、意味はないだろう。
……だが見えた。
半分に別れた結晶のうちの片方が失った2割のうちにあり、激突の衝撃で靄の中から飛び出していた。
王族の不文律が切れるぎりぎりで紫電の花びらを急速展開させ、普段よりもずっと小さな球体が結晶の片割れを包み込み、ありったけの華を咲かせた。
華が咲き終わった後には何も残っていない。
そして残っているもう片方があるだろう靄の塊が激痛にのたうつように凄まじい速さでその形状を変化させ、声なき絶叫をあげているように見えた。
光りを返さないどころか吸い込んでしまうような気さえする黒よりも尚深い闇の毛並み。
四肢の先には頑強な迷宮の床を容易く切り裂いてがっちりと掴み上げている鋭利な爪。
唸り声は聞こえないがその口は歪み、迷宮の床を切り裂くほどの鋭利さを持つ爪よりも尚鋭そうな牙が覗いている。
だがその瞳には色や光りがない。いや黒という1色はあるもののそれだけだ。
知性を宿す瞳には特有の色や光りがあるものだ。だがこの狼にはない。
生物として何かしらおかしい存在だとその瞳が雄弁に語っている気がする。
元となっているものが闇の靄だという点からしても生物ですらないのは最早明白なのだが……。
それでも尚そう思ってしまう。何かおぞましい、根源的な恐怖を抱かせるものだ。
……だが引き下がる理由にはならない。
「来ますわよ!」
疾駆する反動で迷宮の床が切り裂かれ、削り取られ、舞い上がる。
凄まじいスピードで迫る狼だがすぐさまその右前足は紫色の球体に包まれ消滅し、バランスを崩して大きく態勢を崩す。
しかし倒れない。
狼の姿形をしているからといってバランスを取るのに四肢が必ずしも必要とは限らないのだろう。
一瞬だけ崩れた態勢は刹那で立て直され、なくなった足は関係ないとばかりにまた駆け出そうする。
だが一瞬でもあれば十分すぎる存在がいる。
闇の毛並みに蒼い閃光が舐めるように疾駆する。
それと同時に金属が削れるような凄まじい音が閃光を追いかけるように発生し、狼の顔に巨大な斬光が走る。
ドリルさんが纏わりつくように斬撃を繰り返し、レーネさんの飛ぶ斬撃が狼の足を止める。
あれは飛斬ではなく、ブレイズウィングだ。
飛斬よりもずっと高威力なスキルで以前戦った特殊進化個体の巨狼ですら吹き飛ばすほどのものだ。
しかも当時と比べてもBaseLvも職Lvもずっと上昇していて、勇者の装備によりステータスが大幅に強化されている。威力も段違いに上がっているはずだが直撃した狼の顔には傷1つついていない。
だがその衝撃はヤツの足を止めるには十分な威力があった。今はそれで十分。
【左前足!】
オレの念話と同時に全身を舐めるように走っていた蒼い閃光が左前足だけ走らなくなる。
直後に紫の球体――紫電の花びらの盾が狼の左前足の付け根に展開され、華が咲く。
両前足を失って初めて体勢を維持できなくなったようだが、すでに最初に消し飛ばした右前足が半ばまで再生されている。
四肢を消滅させるのは時間稼ぎにしかならないようだ。
今尚蒼い閃光とそれに伴う音が狼の毛の上を走っている。
多少の溜めが必要なためにレーネさんのブレイズウィングは散発的だが、1発1発の威力は狼の巨体を後退させるほどのものだ。
だがやはりダメージにはなっていない。
ちなみにアルはオレを守るためにずっとオレについている。
火力特化構成時は防御が完全に紙になる。その代わりの超火力なのだから納得はいくが、今オレがやられればそれは即撤退以外の選択肢がなくなるものだ。
まぁそんな理由がなくてもアルがオレを守るは当たり前だけどね。
慣れた手つきで素早くスタミナ回復ポーションを使用し、足は一旦放置して次は胴体に花びらの盾を展開させ華を咲かせる。
しかし見上げるほどの巨体のほんの一部しか範囲に置けないためピンポイントであてなければ意味が無い。
それも1発当てれば倒せるとは思えないのが面倒なところだ。
華が咲いた胴体にぽっこりと穴が開くが周りから靄が集まってくるために末端部分となる手足よりもずっと回復が早い。
【わたりん! やるなら! 急所ですわ!】
【それがどこにあるのかわかったら苦労はないですよ! とりあえず心臓じゃないみたいですよ!】
【もっとも! ですわ! 頭とか! どうですの!】
そうこうしているうちに消滅させた足の回復を済ませて動き出そうとしている。
全身を舐めるように切り刻んでいるドリルさんを鬱陶しそうにしながらもダメージになっていないからか、気にせずこちらに向かって駆け出してくる。
しかしそこに巨大な斬撃が飛来して足を止める。
頑丈故なのか、避けると言う行動をしてこない。
一直線にオレに向かってくるから迎撃もしやすい。
だが決定打が圧倒的に足りない。
今のところ足止めできているレーネさんのブレイズウィングもオレの無紫刃華もスタミナを大きく消費する。
レーネさんが持っているスタミナ回復ポーションもそれほど多くないはずだ。
だがダメージになっていないながらも足止めが出来るレベルのスキルは全て例外なくスタミナを消費する。
レーネさんがヤツの動きを止めた瞬間を見計らい、念話を飛ばしてドリルさんを誘導しながら紫電の華を咲かせる。
今度は頭の一部を消し飛ばしたがやはりだめだ。
しかも両目も同時に巻き込んだのだがまっすぐこちらに向かってくる。
姿形を模しているだけでただの飾りでしかないのだろう。
機能しているなら少しは戸惑うはずだ。しかし一瞬の戸惑いすらもなかった。
……まぁその辺は想像していたけどね。
幾度もの足止めを突破して行き着いた狼がオレを守るアルごと喰らいつこうとその巨大なアギトを全開に広げる。
並ぶ牙はやはり黒く、光を吸収してしまっているかのように返すことはない。
だがその牙に切り裂かれることはない。
爆音が連鎖し頭上で歯がかみ合う凄まじい轟音が轟く。
アルの震爆により上に軌道をずらされたのだ。それと同時に横合いからブレイズウィングが直撃し、黒い巨体が衝撃で吹き飛ぶ。
吹き飛ぶ巨体の胴体部分の先ほどとは違う場所に華を咲かせる。
顎をかち上げられ、不安定な体勢で吹き飛ばされたために四肢で着地できなかった狼が横滑りに迷宮の床を転がっていく。
しかし転がる間にも華を咲かせて開けた穴は再生が進んでいるようだ。
「これどうしたらいいんだ」
「ワタリさん……スタミナ回復ポーションの残りがあまり……」
「エステリア姫様はまだですの!」
頑丈すぎるために有効な攻撃をするのにも回数制限があるオレ達にとってこの相手はかなり辛い。
探り探り攻撃するのも限度がある。
しかも探り当てても倒せるとは限らないのが1番厳しい。
結晶のままでも問題があったのに現状のような動いて攻撃までしてくるとなると厄介極まりない。
「わたりん!」
「ちっ」
床を滑ってかなり離れた狼が体勢を立て直したと思ったらその体を大きく変化させ始めた。
ぼこぼこと体表が膨れ上がり細部まで再現されていた体が溶ける様に消えていく。
変化はすぐに終わり、狼だったその姿は今や巨大な翼を持つ鷹のような生物になっていた。
翼長40メートルにもなろうかというその巨体は先ほどの狼よりもさらに大きい。
しかも翼を一振り二振りしたかと思うと凄まじい風が巻き起こり浮かび上がる。やはり飛べるようだ。
天井も高いこの最下層フロアに急上昇していき、凄まじいスピードで飛び始める。
目で終える早さではあるが狼だったころよりも断然速い。
天井付近を旋回し、ある程度スピードが乗ったところでヤツは翼を折りたたみ急降下を開始した。
そのスピードは先ほどまでの速度とはまた桁が違う。
これだけの速さでの急降下ではさすがのアルも受け流すのは厳しいかもしれない。
ブレイズウィングでも対抗できないだろう。
速すぎるために無紫刃華も狙いを定めきれない。
……まぁでも別にヤツを倒すという点を求めなければどうというほどでもないわけで。
魔法はステータスの魔力を上げるほどに威力を増す。
無紫刃華は火力と言う面を見れば最大限の倍率を誇るスキルというだけで、他の魔法やスキルが使えなくなるわけではない。
よって魔力を最大限まで高めている現状で魔法を使えば大抵はその威力を極限にまで引き上げた状態になる。
それに加えて王族の不文律による無限のMPを追加すれば……あの程度の急降下攻撃をどうにかすることはどうということはない。
急降下してくる闇の塊と高すぎる魔力と無限のMPにより瞬時に構築された風の結界が激突する。
1枚目の結界を突き破るその威力には驚嘆すべきものがあるが、1枚しか張っていないわけがない。
1枚目でクチバシ部分が圧し折れ、2枚目で頭がなくなり、3枚目で胴体の2割を失い、4枚目でさらに体を失いながらも止まった。
半分以上の体を失いながらも所詮は闇の靄で形成されているだけの体だ、意味はないだろう。
……だが見えた。
半分に別れた結晶のうちの片方が失った2割のうちにあり、激突の衝撃で靄の中から飛び出していた。
王族の不文律が切れるぎりぎりで紫電の花びらを急速展開させ、普段よりもずっと小さな球体が結晶の片割れを包み込み、ありったけの華を咲かせた。
華が咲き終わった後には何も残っていない。
そして残っているもう片方があるだろう靄の塊が激痛にのたうつように凄まじい速さでその形状を変化させ、声なき絶叫をあげているように見えた。
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