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竹田詩乃、2回目のバイトをする。
1 福寿は何も知らない
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二回目のバイトの日。夜に大学で待ち合わせた。
「いやぁ、イベント終わるとゲームって暇ですねぇ」
「こういう期間のことを虚無期間って言うの」
「へぇ、それが何もない今なんですね」
初めてのノベルゲームでのイベントを経験した福寿はそんなことを言った。それでも私達がゲームをするのには理由がある。次出てくるキャラや今、持っているキャラの育成の素材などを集めるからだ。何もイベントがないからこそ集中してできるフリークエストの周回だ。
「だから、こういうときにフリクエ回るのよ」
「僕も引いたキャラを育成したいので回ってます」
「あんた、いや福寿の場合はたくさんキャラ引いたからねぇ……」
三0万も課金すればサービス当初のゲームだし、ほとんどのキャラが揃うだろうと私は感じたいた。私達は真夜中に歩きながらこんな話だ。マザーができる前の日本が鎖国したばかりのときは、混乱していて夜なんで出歩けなかったそう。
「コンビニ寄りましょうよ」
「クレジットカードが使えなくなったからって、課金カード買うの?」
「僕がそんなにやばい人間だと思いました?」
福寿は放置していると突っ走ることがあることは知った。だから、危ない人間だとは思うし、目を離すことは危険だ。
「やばい人間だから私も被害にあってるんだけど……」
「そうじゃなくて、最近ここのコンビニでポイント狙ってるんで」
私のあまり行かない種類のコンビニだった。そこでもとあるアニメ作品のイベントがやったおり、ポイントを貯めることで交換できると書いてある。私はあまり興味のない作品だった。
「お菓子三個で今ならクリアファイルですよ!」
「私はクリアファイルは集めてないから」
夜中になると人気アニメのこういうフェアには人が集まることが多い。このコンビニにも夜中だと言うのに数人居る。
「クリアファイルを収納するファイルがあるんですよね」
「私はそこまでして、クリアファイルを集めたいと思えないのよ」
そんな意見を言う福寿は一番安い対象のお菓子を選んで、クリアファイルをコンプリートして買うようだった。
私は何も買うものがないし、夜中に食事は控えたいと思っていたから、このコンビニを見ていた。ここのコンビニはイートインスペースがないけれど、店内でパンを焼いているとちらしが貼ってある。こういう店で売っているものはコントロールベーカリーではなくて、だいたいは料理して作った食事だ。でもここはパンを焼いているのかとびっくりしていた。でも、パン生地は工場から届けられたもので、きっとここでは焼くだけなのだろう。
福寿は何か買い物もしたらしい。私には関係ないけど、夜中にこんなに客が集まるほどこのアニメは人気なのだなと思っていた。
「詩乃さんこれ」
「ピザまん?」
「そう、詩乃さんは肉まんよりピザまんが好きかな……と」
そう言って、黄色の包み紙に入った熱いものを渡してきた。
「ありがとう。でも私は肉まんも好きよ」
「肉まんだとポイントが一点で、ピザまんだと二点なんです」
「あぁ、そういうことね。ちゃっかりしてるわね」
二0円ぐらいの差でポイントは変わることがある。福寿もピザまんを頼んでいるようでチーズの良い匂いがする。
「それに肉まんって語呂が悪いじゃないですか。ほら二九万」
「にくまんっての課金額になるわね」
「そうですよ。詩乃さんのおかげで二四万になって、この前のバイトで一九万になりましたけど」
「二九万って言うけど、ほぼ三0万だから。それと私が憎まないなんて考えるって平和すぎる」
私は福寿の逃れがたい言い訳に突っ込む。だって、ここまで課金したら一万の価値なんて誤差になる。
「憎まんじゃないけど、僕を憎まない詩乃さんってすごいと思いますよ。僕にもしかして友達が居たとして、友達がそんなに課金していたら離れますから」
「そうよ、私は義理堅いのよ。それだから生きづらくて苦労してるけど」
福寿は私のことを不幸な人間じゃないと考えている。私も福寿にもっと幸せを知って欲しいと感じていて、この前のバイトのときにあんなことを言った。夜中に食べるピザまんは昼に食べるものと違って背徳感があってうまい。それにこれはコントロールベーカリーじゃない食事だから寒天と違って栄養もある。私は庁舎までの道のりで食べきっていたがとても美味しい。いつも行くコンビニよりも美味しいのでは?ここのコンビニはチェックしていなかったけれど、今度調べてみよう。
「いやぁ、イベント終わるとゲームって暇ですねぇ」
「こういう期間のことを虚無期間って言うの」
「へぇ、それが何もない今なんですね」
初めてのノベルゲームでのイベントを経験した福寿はそんなことを言った。それでも私達がゲームをするのには理由がある。次出てくるキャラや今、持っているキャラの育成の素材などを集めるからだ。何もイベントがないからこそ集中してできるフリークエストの周回だ。
「だから、こういうときにフリクエ回るのよ」
「僕も引いたキャラを育成したいので回ってます」
「あんた、いや福寿の場合はたくさんキャラ引いたからねぇ……」
三0万も課金すればサービス当初のゲームだし、ほとんどのキャラが揃うだろうと私は感じたいた。私達は真夜中に歩きながらこんな話だ。マザーができる前の日本が鎖国したばかりのときは、混乱していて夜なんで出歩けなかったそう。
「コンビニ寄りましょうよ」
「クレジットカードが使えなくなったからって、課金カード買うの?」
「僕がそんなにやばい人間だと思いました?」
福寿は放置していると突っ走ることがあることは知った。だから、危ない人間だとは思うし、目を離すことは危険だ。
「やばい人間だから私も被害にあってるんだけど……」
「そうじゃなくて、最近ここのコンビニでポイント狙ってるんで」
私のあまり行かない種類のコンビニだった。そこでもとあるアニメ作品のイベントがやったおり、ポイントを貯めることで交換できると書いてある。私はあまり興味のない作品だった。
「お菓子三個で今ならクリアファイルですよ!」
「私はクリアファイルは集めてないから」
夜中になると人気アニメのこういうフェアには人が集まることが多い。このコンビニにも夜中だと言うのに数人居る。
「クリアファイルを収納するファイルがあるんですよね」
「私はそこまでして、クリアファイルを集めたいと思えないのよ」
そんな意見を言う福寿は一番安い対象のお菓子を選んで、クリアファイルをコンプリートして買うようだった。
私は何も買うものがないし、夜中に食事は控えたいと思っていたから、このコンビニを見ていた。ここのコンビニはイートインスペースがないけれど、店内でパンを焼いているとちらしが貼ってある。こういう店で売っているものはコントロールベーカリーではなくて、だいたいは料理して作った食事だ。でもここはパンを焼いているのかとびっくりしていた。でも、パン生地は工場から届けられたもので、きっとここでは焼くだけなのだろう。
福寿は何か買い物もしたらしい。私には関係ないけど、夜中にこんなに客が集まるほどこのアニメは人気なのだなと思っていた。
「詩乃さんこれ」
「ピザまん?」
「そう、詩乃さんは肉まんよりピザまんが好きかな……と」
そう言って、黄色の包み紙に入った熱いものを渡してきた。
「ありがとう。でも私は肉まんも好きよ」
「肉まんだとポイントが一点で、ピザまんだと二点なんです」
「あぁ、そういうことね。ちゃっかりしてるわね」
二0円ぐらいの差でポイントは変わることがある。福寿もピザまんを頼んでいるようでチーズの良い匂いがする。
「それに肉まんって語呂が悪いじゃないですか。ほら二九万」
「にくまんっての課金額になるわね」
「そうですよ。詩乃さんのおかげで二四万になって、この前のバイトで一九万になりましたけど」
「二九万って言うけど、ほぼ三0万だから。それと私が憎まないなんて考えるって平和すぎる」
私は福寿の逃れがたい言い訳に突っ込む。だって、ここまで課金したら一万の価値なんて誤差になる。
「憎まんじゃないけど、僕を憎まない詩乃さんってすごいと思いますよ。僕にもしかして友達が居たとして、友達がそんなに課金していたら離れますから」
「そうよ、私は義理堅いのよ。それだから生きづらくて苦労してるけど」
福寿は私のことを不幸な人間じゃないと考えている。私も福寿にもっと幸せを知って欲しいと感じていて、この前のバイトのときにあんなことを言った。夜中に食べるピザまんは昼に食べるものと違って背徳感があってうまい。それにこれはコントロールベーカリーじゃない食事だから寒天と違って栄養もある。私は庁舎までの道のりで食べきっていたがとても美味しい。いつも行くコンビニよりも美味しいのでは?ここのコンビニはチェックしていなかったけれど、今度調べてみよう。
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