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竹田詩乃、2回目のバイトをする。
2 試験管ベイビーと喜代也
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「あぁ、二人とも来たんだね。はいボタン」
「僕からもどうぞ」
「差し入れかい?有り難いねぇ」
男性は福寿からピザまんを受け取るとそう言った。そして、私達を置いてどこかに消えてしまった。
”@竹田詩乃なんかアニメのフェアやってるコンビニでピザまん。チーズが濃厚で結構美味しいかも。#コンビニ#アニメフェア#ピザまん#クリアファイル#マザーのある日々”
”夜中に食べたら太るぞー。このコンビニのピザまんは神”
”@竹田詩乃ここはピザまんが美味しいんだ?でもこれからバイトなんだよね”
”カロリー消費のためにも頑張ってね”
「というか、本当に暇なバイトですよねぇ……」
「良いじゃん。四時間座ってるだけでお金になるんだし」
マザーのある扉の外の廊下は、足元は蛍光灯で薄い光があるが基本的に暗い。私はこの暗さが実は苦手だった。子どものときを思い出すのだ。子どもの時というと、ちょっとおかしい。試験管の中に居た五歳までの日々だ。選択肢で【幼少期の話を福寿にする】と出たので、暇だった私はすることにした。
「福寿は赤ちゃんのときの記憶ある?」
「僕は生後一ヶ月で試験管から出ましたけど、記憶はないですね」
「私は五歳まで居たわけ」
「僕も五歳の時の記憶ならありますよ」
試験管のある部屋は母親の体内を真似していて、全体は暗い作りになっている。試験管で育つ子どもは経過を親子や親戚が見に来る。それで赤ちゃんの成長を一緒に喜ぶのだ。試験管の中で成長する様子をSNSに載せることだって一般的だ。
マザーが選んだ夫婦のマザーに選ばれた精子と卵子で、その二人にとっては最高の子どもだ。昔は出産という形で子どもを増やしていたので、産婦人科と言われていたそうだ。今は子どもの出生は育児科というところがやっている。
「私も三歳ぐらいからあるかな?」
「そうですね、僕もそのくらいの時期は覚えてることもあります」
「私は今でも暗闇とカメラのフラッシュが嫌いよ」
試験管に居る子どもの撮影は禁止されていない。でも、赤ちゃんというのは本来は暗いところで育っていた。だから、フラッシュをたいての撮影は禁止だった。それでも写りの良い写真を残したいと、周りの赤ちゃんのことを考えない親も居る。だから私は近くの試験管を撮影するときのフラッシュの光で、せっかく眠っているのに起こされることが多かった。
「あぁ、今はフラッシュ嫌いな人多いですよね」
「絶対、試験管の中で育つことにより弊害だと思う」
「塾の学級写真で、フラッシュ嫌いで泣いてる生徒も居たなぁ……」
「私は泣くまではいかないけど、できたら見たくはないわね」
真っ暗なところで幸せな夢を見ていると、急にきた明るい光によって現実に戻されるのだ。試験管の中も育児科も日本の現実だ。でも、赤ちゃんのときはこんな世界があるとは思わなかった。学習をしていなかったわけじゃない。試験管を出るまでにオプションでいろいろなことを学ぶことができる。私は産まれたときには両親を理解していたし会話もできた。産まれる前からガラス越しに両親と会話していたし、それにその試験管の近い赤ちゃん同士は友達になっていたぐらい。それくらいの知能があったのだから、私にも記憶はある。
「試験管ベイビーは世界でも一般的ですからね」
「そうなのよ、それってどうなのかな」
私も妊婦さんというものを映像の中でしか知らない。それに昔は一0ヶ月したらみな赤ちゃんとして産まれ、主に母親が母乳をあげていた。それだけでなく言葉を教えたりすることだって普通だ。福寿の生後一ヶ月で出ているというのは早い。だいたいは三歳までは試験管というのが普通だ。
「最近は動物園でも試験管みたいですよ?」
「あぁ、それはテレビでやってるわよね」
「鎖国しても喜代也のおかげで動物は賑わってるし」
喜代也というのは筋肉注射ができる動物なら接種できる。なので象みたいな皮膚の固い動物は死んでしまった。しかし、他の白いライオンやパンダなどはまだ見ることができる。それと植物にも接種すれば枯れることはない。今の日本は年中桜の花も公園で満開だ。夏場の朝顔だって朝だけでなく冬にでもずっと咲いている。昔のドラマとかでお花見とかをしている映像があるけれど、今の日本はずっと咲いていることが当たり前だから昔の価値観が私には分からない。
「それに喜代也を打ってるからペットも死なない世の中になった」
「そうね、ペットロス症候群って大昔の話ね」
ペットを失って悲しむ家が多いため、ペットにも喜代也を打つ家庭が多い。ペットを飼い始める理由はいろいろだ。思いやりのある子どもに育てたいとか。でも寂しいからという理由でペットを飼い始めた人。これはやっかいなのだ。飼い主は遺書によって死にたい年齢を決めることが義務だ。それに、その年齢を遺書に書いていない場合でも、一八0歳の誕生日に殺しに来る公務員が居る。
「僕からもどうぞ」
「差し入れかい?有り難いねぇ」
男性は福寿からピザまんを受け取るとそう言った。そして、私達を置いてどこかに消えてしまった。
”@竹田詩乃なんかアニメのフェアやってるコンビニでピザまん。チーズが濃厚で結構美味しいかも。#コンビニ#アニメフェア#ピザまん#クリアファイル#マザーのある日々”
”夜中に食べたら太るぞー。このコンビニのピザまんは神”
”@竹田詩乃ここはピザまんが美味しいんだ?でもこれからバイトなんだよね”
”カロリー消費のためにも頑張ってね”
「というか、本当に暇なバイトですよねぇ……」
「良いじゃん。四時間座ってるだけでお金になるんだし」
マザーのある扉の外の廊下は、足元は蛍光灯で薄い光があるが基本的に暗い。私はこの暗さが実は苦手だった。子どものときを思い出すのだ。子どもの時というと、ちょっとおかしい。試験管の中に居た五歳までの日々だ。選択肢で【幼少期の話を福寿にする】と出たので、暇だった私はすることにした。
「福寿は赤ちゃんのときの記憶ある?」
「僕は生後一ヶ月で試験管から出ましたけど、記憶はないですね」
「私は五歳まで居たわけ」
「僕も五歳の時の記憶ならありますよ」
試験管のある部屋は母親の体内を真似していて、全体は暗い作りになっている。試験管で育つ子どもは経過を親子や親戚が見に来る。それで赤ちゃんの成長を一緒に喜ぶのだ。試験管の中で成長する様子をSNSに載せることだって一般的だ。
マザーが選んだ夫婦のマザーに選ばれた精子と卵子で、その二人にとっては最高の子どもだ。昔は出産という形で子どもを増やしていたので、産婦人科と言われていたそうだ。今は子どもの出生は育児科というところがやっている。
「私も三歳ぐらいからあるかな?」
「そうですね、僕もそのくらいの時期は覚えてることもあります」
「私は今でも暗闇とカメラのフラッシュが嫌いよ」
試験管に居る子どもの撮影は禁止されていない。でも、赤ちゃんというのは本来は暗いところで育っていた。だから、フラッシュをたいての撮影は禁止だった。それでも写りの良い写真を残したいと、周りの赤ちゃんのことを考えない親も居る。だから私は近くの試験管を撮影するときのフラッシュの光で、せっかく眠っているのに起こされることが多かった。
「あぁ、今はフラッシュ嫌いな人多いですよね」
「絶対、試験管の中で育つことにより弊害だと思う」
「塾の学級写真で、フラッシュ嫌いで泣いてる生徒も居たなぁ……」
「私は泣くまではいかないけど、できたら見たくはないわね」
真っ暗なところで幸せな夢を見ていると、急にきた明るい光によって現実に戻されるのだ。試験管の中も育児科も日本の現実だ。でも、赤ちゃんのときはこんな世界があるとは思わなかった。学習をしていなかったわけじゃない。試験管を出るまでにオプションでいろいろなことを学ぶことができる。私は産まれたときには両親を理解していたし会話もできた。産まれる前からガラス越しに両親と会話していたし、それにその試験管の近い赤ちゃん同士は友達になっていたぐらい。それくらいの知能があったのだから、私にも記憶はある。
「試験管ベイビーは世界でも一般的ですからね」
「そうなのよ、それってどうなのかな」
私も妊婦さんというものを映像の中でしか知らない。それに昔は一0ヶ月したらみな赤ちゃんとして産まれ、主に母親が母乳をあげていた。それだけでなく言葉を教えたりすることだって普通だ。福寿の生後一ヶ月で出ているというのは早い。だいたいは三歳までは試験管というのが普通だ。
「最近は動物園でも試験管みたいですよ?」
「あぁ、それはテレビでやってるわよね」
「鎖国しても喜代也のおかげで動物は賑わってるし」
喜代也というのは筋肉注射ができる動物なら接種できる。なので象みたいな皮膚の固い動物は死んでしまった。しかし、他の白いライオンやパンダなどはまだ見ることができる。それと植物にも接種すれば枯れることはない。今の日本は年中桜の花も公園で満開だ。夏場の朝顔だって朝だけでなく冬にでもずっと咲いている。昔のドラマとかでお花見とかをしている映像があるけれど、今の日本はずっと咲いていることが当たり前だから昔の価値観が私には分からない。
「それに喜代也を打ってるからペットも死なない世の中になった」
「そうね、ペットロス症候群って大昔の話ね」
ペットを失って悲しむ家が多いため、ペットにも喜代也を打つ家庭が多い。ペットを飼い始める理由はいろいろだ。思いやりのある子どもに育てたいとか。でも寂しいからという理由でペットを飼い始めた人。これはやっかいなのだ。飼い主は遺書によって死にたい年齢を決めることが義務だ。それに、その年齢を遺書に書いていない場合でも、一八0歳の誕生日に殺しに来る公務員が居る。
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