陽葵の笑顔に僕は夢中だ。

そら

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4章 日食

色のない日々

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「おかえり、陽葵。栞のこと、ちゃんと見送れたか?」

 戻ってきた陽葵に僕がそう尋ねると、彼女は一瞬だけ肩を跳ねさせ、戸惑うように視線を泳がせた。けれど、すぐに無理やり作ったような笑顔を浮かべる。

『……うん! ばっちり、元気よく見送ってきたよ』

「そっか、ならよかった」

 僕が安心したように、どこか優しそうな顔で目を細めると、陽葵はそれを見て胸が痛んだのか、微かにショックを受けたような表情で僕を見つめた。

「……陽葵? どうしたんだ、やっぱり何かあったのか?」

『ううん、なんでもないの。……ねえ、悠真くん。私が……あの、いなくなってから、悠真くんはどうしてたの…?』

 彼女は僕の答えを本当は知りたくはないだろう…。
 僕は一息ついて、今まで心に蓋をしていた想いをゆっくりと吐き出した。

「……そうだな。本当に、苦しかったよ。体中のパーツがバラバラになりそうで、1日の始まりも終わりもわからなかったんだ。世界に色が消えて、ただ呼吸しているだけみたいな毎日だったんだ」

 陽葵の瞳が揺れる。

「そんな自分を、栞がずっと慰めてくれたんだ。何度も向き合って、支えてくれた。栞がいてくれたから、僕はギリギリのところで生きてこれたんだよ。そのおかげで、またこうして陽葵に会えた。……今は、やっと世界に色が戻ったよ。」

 陽葵を見つめて微笑むと、彼女の目からは我慢しきれないように涙が溢れ出した。

『……ごめんなさい。全部、私のせいだ。あの時、隠れたりしないで警察に行けばよかった。近所の人に助けを求めればよかったんだ。私がお母さんのことを諦めきれなかったから、悠真くんをこんなに……』

「陽葵……」

 泣きじゃくる彼女を、僕はたまらず抱きしめようとした。けれど、僕の腕は彼女の体をすり抜けてしまう。それでも僕は、彼女の体に添うように、優しく包み込むように腕を回した。

「自分を責めるな。どんなことがあっても守るって言ったのに、守れなかった僕が悪かったんだ。……それに、お母さんを捨てられないなんて当たり前だよ。家族なんだから」
僕は言い聞かせるように、震える声で続けた。

「だから、もう過去を後悔するのはやめよう。今は、これから先の話をしよう。」

 僕が笑って語りかけると、陽葵は涙を拭い、小さく頷いた。静まり返った図書室で、二人の時間がゆっくりと動き出す。
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