37 / 84
4章 日食
異常が日常
しおりを挟む
僕たちは、傍から見れば異常な、けれど僕らにとっては普通な日常の会話をしていた。
「学校の友達にさ、自称霊能力者の子がいたでしょ? 見えるかなぁって思って近づいてみたんだけど、反応なしだったよ!」
陽葵はケタケタと笑う。その姿が僕にしか見えていないなんて、信じられないくらい鮮やかだった。
「僕だって、健斗に本気で心配されたよ。授業中、誰もいないはずの陽葵の席をニヤニヤしながら眺めてたからだってさ。」
「もう! 悠真、ちゃんと勉強しなきゃダメだよ! 私のことを見てくれるのは嬉しいけど、周りからは何も見えないんだからね」
陽葵は困った子に注意するようにに笑った。
僕は触れることのできないけれど、頭を撫でる仕草をした。
「僕は周りにどんな目で見られても平気だよ。陽葵がここにいる……それが僕にとって、一番の幸せなんだから」
そう告げると、陽葵は林檎のように顔を真っ赤にした。僕も自分の言葉が急に恥ずかしくなって、熱が集まるのが分かる。
気まずい沈黙を破るように、陽葵が「あ、用務員さん見にいってくる!」と、逃げるように飛び出していった。
弁当を食べて陽葵の帰りを待っていると、連日の寝不足が重なり、いつの間にか眠りに落ちてしまった。
――ふっと、誰かの視線を感じて意識が浮上する。
瞼を開けると、至近距離に陽葵の顔があった。
「……かわいいなぁ」なんて寝起きの頭で考えていると、
「おはよう、悠真くん」
眩しい笑顔。それだけで、僕の心は簡単に癒やされてしまう。
「悠真くんの寝顔……すごく可愛かったよ」
「……は?」
急な言葉に頭が真っ白になる。
「こんなに暗いのに、見えるわけないだろ」
「それがね、お化けになってから、猫みたいに夜でもよく見えるんだ」
陽葵はニヤニヤ笑う。僕はもう諦めて、「用務員さんは帰ったの?」と聞き返した。
「うん、ちゃんと手を振ってきたよ」
「……そうか。じゃあ、とりあえず栞に電話するよ」
僕がそう伝えた瞬間。
さっきまでの眩しい笑顔が消え、陽葵は一瞬だけ、ひどく悲しそうな顔をした。
「学校の友達にさ、自称霊能力者の子がいたでしょ? 見えるかなぁって思って近づいてみたんだけど、反応なしだったよ!」
陽葵はケタケタと笑う。その姿が僕にしか見えていないなんて、信じられないくらい鮮やかだった。
「僕だって、健斗に本気で心配されたよ。授業中、誰もいないはずの陽葵の席をニヤニヤしながら眺めてたからだってさ。」
「もう! 悠真、ちゃんと勉強しなきゃダメだよ! 私のことを見てくれるのは嬉しいけど、周りからは何も見えないんだからね」
陽葵は困った子に注意するようにに笑った。
僕は触れることのできないけれど、頭を撫でる仕草をした。
「僕は周りにどんな目で見られても平気だよ。陽葵がここにいる……それが僕にとって、一番の幸せなんだから」
そう告げると、陽葵は林檎のように顔を真っ赤にした。僕も自分の言葉が急に恥ずかしくなって、熱が集まるのが分かる。
気まずい沈黙を破るように、陽葵が「あ、用務員さん見にいってくる!」と、逃げるように飛び出していった。
弁当を食べて陽葵の帰りを待っていると、連日の寝不足が重なり、いつの間にか眠りに落ちてしまった。
――ふっと、誰かの視線を感じて意識が浮上する。
瞼を開けると、至近距離に陽葵の顔があった。
「……かわいいなぁ」なんて寝起きの頭で考えていると、
「おはよう、悠真くん」
眩しい笑顔。それだけで、僕の心は簡単に癒やされてしまう。
「悠真くんの寝顔……すごく可愛かったよ」
「……は?」
急な言葉に頭が真っ白になる。
「こんなに暗いのに、見えるわけないだろ」
「それがね、お化けになってから、猫みたいに夜でもよく見えるんだ」
陽葵はニヤニヤ笑う。僕はもう諦めて、「用務員さんは帰ったの?」と聞き返した。
「うん、ちゃんと手を振ってきたよ」
「……そうか。じゃあ、とりあえず栞に電話するよ」
僕がそう伝えた瞬間。
さっきまでの眩しい笑顔が消え、陽葵は一瞬だけ、ひどく悲しそうな顔をした。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
17歳男子高生と32歳主婦の境界線
MisakiNonagase
恋愛
32歳の主婦・加恋。冷え切った家庭で孤独に苛まれる彼女を救い出したのは、ネットの向こう側にいた二十歳(はたち)と偽っていた17歳の少年・晴人だった。
「未成年との不倫」という、社会から断罪されるべき背徳。それでも二人は、震える手で未来への約束を交わす。少年が大学生になり、社会人となり、守られる存在から「守る男」へと成長していく中で、加恋は自らの手で「妻」という仮面を脱ぎ捨てていく…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる