陽葵の笑顔に僕は夢中だ。

そら

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5章 日月

1人

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「栞の家に行くの、久しぶりだなぁ」

 陽葵は楽しげにそんな話をしながら、僕の隣をふわふわと歩く。かつて三人で遊びに出かけた時のこと、栞の家で一緒に宿題をした時のこと……。

 最後に栞の家に行ったのは、あの夜があった陽葵の誕生日の日だった。あの日、栞の家で三人で過ごした時間は、…今思い出しても泣きたくなるほど幸せな時間だった。

僕も陽葵とのたわいもない会話を楽しみながら、夜の住宅街を抜けて栞の家へと向かった。

 インターホンを鳴らすと、すぐに栞が玄関に姿を現した。彼女の後ろには家政婦さんも控えていて、僕たちの様子をそっと見守っている。僕は栞に歩み寄り、抱えていたぬいぐるみをそっと手渡した。

「……陽葵を、頼む」
 小声でそうお願いすると、栞は笑いながら頷き、同じく小さな声で返した。

「任せて。」
 陽葵は栞のすぐ隣に移動して、僕に向かって「またね」と大きく手を振った。僕はそんな陽葵に手を振り返し、惜しみながらも二人を背にして栞の家を後にした。

 一人きりになった帰り道、街灯の下をゆっくりと歩く。ついさっきまで隣で弾んでいた陽葵の声が聞こえないのが、酷く寂しく感じられた。

 誰もいない家に帰り着き、僕は真っ暗なリビングでぽつりと呟いた。

「……陽葵が、一緒だったらよかったのにな…。」

 自分の独り言に苦笑いしながら、重い体を引きずるようにして風呂に入る。風呂から上がると、蓄積していた疲労が一気に押し寄せてきた。僕はベッドに倒れ込み、泥のように眠りについた。
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