74 / 84
最終章 終わらない月食
ヒーロー
しおりを挟む
悠真は、あまりに凄惨で身勝手な過去の話に、視界がぐにゃりと歪むのを感じた。激しい頭痛と吐き気がこみ上げる。
「……っ、そんなこと、陽葵には関係ないじゃないか! なんで、なんで陽葵がこんな目に遭わなきゃいけないんだよ!」
涙ながらに叫ぶ僕に、父さんは「関係あるよ」と、慈しむような、それでいておぞましい笑顔を向けた。
「陽葵は本物の日菜だったんだ。あの日殺した猿は、ただの偽物だったと言っただろう? ……そもそも言ったはずだ、私は陽葵を『助けた』んだと。まあ、あの虐待も私が仕組んだことなんだがね」
父さんは、まるで大物俳優のように演説を始めた。
「私はね、陽葵の笑顔に日菜を見たんだ。あの子が中学を卒業する頃からずっと感じていた。だからまず、あの子には徹底的に辛い目に遭ってほしかった。絶望の淵にいる彼女を私が救い出せば、私は彼女にとってのヒーローになれるだろう?」
父さんの声は熱を帯び、倉庫の闇に響き渡る。
「あの仲のいい親子の関係を壊したかった。あの猿たちが死んだ家は、日菜の名義だったから自ずと今は私の持ち物だ。そこにね、私が拾ってきたホームレスを住まわせてあげたんだよ。若くて、顔が良くて、性格はクズ。最高じゃないか? 身元が分からないよう、孤児院出身の男を選んだ」
父さんは愉快そうに喉を鳴らした。
「男に金と生活を保証し、私の『簡単なお願い』を聞くことを条件に飼い慣らした。酒、女、暴力を教え込み、女を手玉に取れるよう心理学まで勉強させたよ。男は薬物中毒者さながらに、遊び半分で女を口説き、依存させ、自殺に追い込むまでに成長した。一年以上かけて、ついに陽葵の母親に接触させ、あの幸せだった家庭を壊すことに成功したんだ」
「ふざけんな! 全部お前が……お前のせいで陽葵は、陽葵はッ!!」
僕はバットを握りしめ、涙を流して叫んだ。しかし、父さんは冷めた目で僕を見据え、淡々と言い放った。
「何を言っているんだ。お前が、父さんのやろうとしたヒーローを先にやったんだろうが。」
「……え?」
「……っ、そんなこと、陽葵には関係ないじゃないか! なんで、なんで陽葵がこんな目に遭わなきゃいけないんだよ!」
涙ながらに叫ぶ僕に、父さんは「関係あるよ」と、慈しむような、それでいておぞましい笑顔を向けた。
「陽葵は本物の日菜だったんだ。あの日殺した猿は、ただの偽物だったと言っただろう? ……そもそも言ったはずだ、私は陽葵を『助けた』んだと。まあ、あの虐待も私が仕組んだことなんだがね」
父さんは、まるで大物俳優のように演説を始めた。
「私はね、陽葵の笑顔に日菜を見たんだ。あの子が中学を卒業する頃からずっと感じていた。だからまず、あの子には徹底的に辛い目に遭ってほしかった。絶望の淵にいる彼女を私が救い出せば、私は彼女にとってのヒーローになれるだろう?」
父さんの声は熱を帯び、倉庫の闇に響き渡る。
「あの仲のいい親子の関係を壊したかった。あの猿たちが死んだ家は、日菜の名義だったから自ずと今は私の持ち物だ。そこにね、私が拾ってきたホームレスを住まわせてあげたんだよ。若くて、顔が良くて、性格はクズ。最高じゃないか? 身元が分からないよう、孤児院出身の男を選んだ」
父さんは愉快そうに喉を鳴らした。
「男に金と生活を保証し、私の『簡単なお願い』を聞くことを条件に飼い慣らした。酒、女、暴力を教え込み、女を手玉に取れるよう心理学まで勉強させたよ。男は薬物中毒者さながらに、遊び半分で女を口説き、依存させ、自殺に追い込むまでに成長した。一年以上かけて、ついに陽葵の母親に接触させ、あの幸せだった家庭を壊すことに成功したんだ」
「ふざけんな! 全部お前が……お前のせいで陽葵は、陽葵はッ!!」
僕はバットを握りしめ、涙を流して叫んだ。しかし、父さんは冷めた目で僕を見据え、淡々と言い放った。
「何を言っているんだ。お前が、父さんのやろうとしたヒーローを先にやったんだろうが。」
「……え?」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
17歳男子高生と32歳主婦の境界線
MisakiNonagase
恋愛
32歳の主婦・加恋。冷え切った家庭で孤独に苛まれる彼女を救い出したのは、ネットの向こう側にいた二十歳(はたち)と偽っていた17歳の少年・晴人だった。
「未成年との不倫」という、社会から断罪されるべき背徳。それでも二人は、震える手で未来への約束を交わす。少年が大学生になり、社会人となり、守られる存在から「守る男」へと成長していく中で、加恋は自らの手で「妻」という仮面を脱ぎ捨てていく…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる