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最終章 終わらない月食
怪物
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そこまで話すと、父さんは不意に僕を射抜くような鋭い視線で睨みつけた。その瞳には、今まで見せたことのないほどの激しい憎悪が宿っている。
「……だけど日菜(陽葵)は、また私を拒絶したんだ。」
父さんの声は地を這うように低く、怨念がこもっていた。
「目を覚ましたあの子は、あの日菜と同じ顔をして私を拒んだ。助けてくれたヒーローとして私を見るはずが、あの子の口から出たのは私の名前じゃない……お前の名前だったんだよ、悠真。お前があの子を毒したせいで、あの子はまた私を裏切ったんだ」
「私は唖然としたよ。あれだけ時間をかけて、あの子のために尽くしたのに、また奪われたのだと。しかも今度は、私の息子にだ」
父さんの瞳から光が消え、底なしの暗闇が広がる。
「私はすぐに陽葵の目を隠した。そして、日菜が言っていたことを思い出したんだ……温もりが欲しかった、とね。だったら、その温もりを望み通り与えてやった。何度も、何度も、何度も……!」
父さんは、陶酔したように自分の両手を見つめた。
「日菜が欲しがった温もりを、愛を、すべてぶつけた! それでも……陽葵の口から漏れるのは、悠真、悠真、悠真、悠真、悠真、悠真、悠真……! 私は確信したよ。また日菜は死んでしまったのだと」
父さんの肩が小刻みに震え、笑いとも嗚咽ともつかない声が漏れる。
「あの男に暴力を振るわせ、それを私が助ける。そうやって絶望の淵で温もりを与え続ければ、あの子にとっての唯一の味方は私だけだと……そう洗脳できるはずだった。なのに」
父さんはそこで一度言葉を切り、忌々しそうに空を仰いだ。
「せっかく『特別』な場所を用意して、私のものにしてやろうとしていたのに……気がついたらあの子は、勝手に死んでいたよ。私の計画を台無しにして、自分から壊れるなんて。つくづく身勝手な女だよ。陽葵は…」
その声には、陽葵さんを死なせてしまった後悔など微塵もなかった。あるのは、所有物が思い通りにならなかったことへの、傲慢な不満だけだった。
父さんは、まるで壊れた玩具を捨てる時のように、あっさりと、そして儚げに笑った。
「仕方ないから、人一人分の穴を追加で掘って、あの猿たちと同じようにしてあげたよ。……十年も経てば、きっと綺麗な桜が咲く。猿達の桜も、血を吸ったせいか、それはそれは濃い色の綺麗な桜だったよ」
目の前にいるのは、父さんじゃない。
理解不能な怪物だ。
「……だけど日菜(陽葵)は、また私を拒絶したんだ。」
父さんの声は地を這うように低く、怨念がこもっていた。
「目を覚ましたあの子は、あの日菜と同じ顔をして私を拒んだ。助けてくれたヒーローとして私を見るはずが、あの子の口から出たのは私の名前じゃない……お前の名前だったんだよ、悠真。お前があの子を毒したせいで、あの子はまた私を裏切ったんだ」
「私は唖然としたよ。あれだけ時間をかけて、あの子のために尽くしたのに、また奪われたのだと。しかも今度は、私の息子にだ」
父さんの瞳から光が消え、底なしの暗闇が広がる。
「私はすぐに陽葵の目を隠した。そして、日菜が言っていたことを思い出したんだ……温もりが欲しかった、とね。だったら、その温もりを望み通り与えてやった。何度も、何度も、何度も……!」
父さんは、陶酔したように自分の両手を見つめた。
「日菜が欲しがった温もりを、愛を、すべてぶつけた! それでも……陽葵の口から漏れるのは、悠真、悠真、悠真、悠真、悠真、悠真、悠真……! 私は確信したよ。また日菜は死んでしまったのだと」
父さんの肩が小刻みに震え、笑いとも嗚咽ともつかない声が漏れる。
「あの男に暴力を振るわせ、それを私が助ける。そうやって絶望の淵で温もりを与え続ければ、あの子にとっての唯一の味方は私だけだと……そう洗脳できるはずだった。なのに」
父さんはそこで一度言葉を切り、忌々しそうに空を仰いだ。
「せっかく『特別』な場所を用意して、私のものにしてやろうとしていたのに……気がついたらあの子は、勝手に死んでいたよ。私の計画を台無しにして、自分から壊れるなんて。つくづく身勝手な女だよ。陽葵は…」
その声には、陽葵さんを死なせてしまった後悔など微塵もなかった。あるのは、所有物が思い通りにならなかったことへの、傲慢な不満だけだった。
父さんは、まるで壊れた玩具を捨てる時のように、あっさりと、そして儚げに笑った。
「仕方ないから、人一人分の穴を追加で掘って、あの猿たちと同じようにしてあげたよ。……十年も経てば、きっと綺麗な桜が咲く。猿達の桜も、血を吸ったせいか、それはそれは濃い色の綺麗な桜だったよ」
目の前にいるのは、父さんじゃない。
理解不能な怪物だ。
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