ヒロインの中身がERO男子

araki11

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本編

優秀クラス配属になりました。

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色々とイベントはあったが、無事、入学式も終わった。
その後、先生の指示に従い、それぞれの教室に向かう。

私のクラスは1-Aクラス。
優秀者が20人ほど集められたクラスだ。
1年ごとにクラス分けのテストがあり、上位20人がこのクラスに入る。

1-B以下も基準的には同じだ。Bクラスの場合は、21位から50位までが入る。
下位のクラスになればなるほど、人数が増える。

私の場合は、成績優秀者10以内でなければならないので、必然的にこのクラスを維持する必要がある。
甘えず、精一杯頑張ろう!

そう思いながら、フンス!フンス!していると前の席の男の子が私に声をかけてきた。

「ねぇねぇ、お前、アンジェっていうんだろう?女みたいな名前だけど。お前もあれか?女名にしたら、幸運になるという噂のせいで女名つけられた系?」
と聞いてきた。

この噂というのは丁度私が生まれる10年ほど前に発生した噂らしいのだが、出処は不明なのにもかかわらず、なんでか国中で知られている噂だった。
この噂のせいで、困ったことに男であっても女名をつけられた子供が多数いるのだ。

「いや、私の場合は、本当に女だからだ。」
正直に答えたが、手をフリフリと彼は振って、
「またまた~。俺はエリザベートっていうんだ。ジャンと呼んでくれ!よろしく!」
と言って、手を差し出してきた。
「あぁ、よろしく。知っているようだが、アンジェリークだ。アンジェと呼んでくれ。ジャン。」
私は彼の手を握り、軽く振った。

そのすぐ後に、ガラガラと先生が教室の引き戸を開けて、入ってきた。
「はーい。皆さん、静粛に~。」
のほほんとした糸目の先生がそう言うと、あちこちで自己紹介をしていただろう生徒がシンとなる。

(6歳程度なのに、凄いなぁ。)
そう思いながら、私も背をシャンとして、先生のほうを見る。

「うん。よろしい。」
先生は満足そうにそう言って、
「私の名前は、ラスティー・ガンバナイト。27歳男性だよ~。彼女は、副校長のミリエル子女だ~。絶対、手を出すなよ~。先生キレちゃうからね。」
といきなり牽制と来た。

まぁ、あの巨乳美女エルフの副校長なら牽制したくなるのもわかる気がする。

「まず、入学おめでとう諸君!このクラスは皆優秀者のみということもあり、あの噂の第二王子リカルド殿下もいらっしゃる。
失礼の無いように行動してくれ。」
と先生が言う。

なんか、前世の記憶がフッと来る。
これ、迷惑な宣言だ。誰も望んで無い宣言。

言われなくても、入学式でこの学年に第二王子が居ることはわかっているだろうし、成績優秀者の集まったクラスだから、必然的にこのクラスに当人が居るのは明白なわけだ。
その上で、この忠告は迷惑以外の何物でもない。
証拠に第二王子の背中がまたリストラ中年に戻っている。

先程まで子供らしい子供の背中に戻りつつあったのに。

でも、まぁ、仕方がないといえば仕方がない。
この国の政治体制では、身分階級が設定され、身分が高いものに不相応の立場をとった場合、最悪死罪になる。
個人のみの死罪であればまだマシだ。
大抵の場合は、家族全員。下手すれば、血族全員死罪になるほどだ。
だから、念押しは必要なのかもしれない。

当人がリストラ中年の背中になるのは可哀想ではあるのだが。

先程挨拶したジャンは、俺よりは小さいが、140cmほどはある子供にしては大きな体格だ。
赤髪で本当に元気そうな男の子。
そんな彼は先生の言葉を聞いて、目をキラキラさせて、王子の方を見ている。実に子供らしいしぐさで、フンスフンスと鼻息がこちらにも聞こえてきそうだ。

・・・まぁ、先程の私も似たようなものかもしれないが。
子供らしい子供には、あのリストラ中年のようになっている王子の気持ちはわかるんだろうか?

・・・いや、きっとわからないだろうな。まぁ、分かられたいかは、わからんが。

120cmほどの小さく美形の金髪碧眼の少年は、苦笑いしながらも、軽く振り向き、皆に手を振った。

ジャンは、見るからに喜んで、手を振り返している。



・・・ちなみにジャンの本名は、エリザベート・ガルーダ。公爵子息だ。
・・・本当に公爵子息かなぁ?自信がないぞ?見間違いかなぁ?

私がほとんどの子息の顔がわかる理由は、単純だ。
王様とか公爵とか・・・そう、本人がうちの領にきて子供自慢をする際に姿絵を熱心に見せてくれたためだ。
大人たちは、もう聞き飽きて、仕事があるのでと逃げるのだが、私はその時は仕事をしていなかったので聞き役に徹していたのだ。

そう、ここのクラスの子供の顔はみんな知っている。
そう、それはつまり、ここの子供の親、みんな親ばかなのだ。

きっと、本人の前ではかっこつけて言わないかもしれないが、かなり溺愛の子息・令嬢たち。
・・・いやぁ、怖い怖い。

このクラスにチェルシー子爵子息以外の先程観察していた子息たちは揃っている。
それ以外にも金髪ドリルの令嬢やその取り巻きらしい少女もいる。

令嬢たちのほとんどは王子の苦笑いにノックアウト。
うっとりしてたり、うつぶせになってもんどりうってる。

ごく一部、王子じゃなく、私を熱心に見ているのが居る気がするが、気のせいということにして絶対目を合わせない。

合わせてなるものか!!

そう、背中に恐怖を感じながら、先生が注意事項とこれからの学園の流れを説明していった。

基本的に留年は無い。
テストで点数とれなかったら、落第クラスに移動するだけである。

つまり、入るのが難しく、出るのが簡単。
まぁ、落第クラスで卒業しても微妙ではあるんだろうが。

10年間の長い学園生活だ。
気長に頑張ろう。

3月と11月にテストがあり、7月半ば~8月末までが夏休み。夏テストがない代わり、クラスごとに設定された課題が発生する。基本的に個人で達成できる範囲ではあるが、集団でやったほうが手っ取り早い課題が多いらしい。

姉から聞いた話だと、魔術方面に強い子なら、魔術式の論文を出せとかだったと聞いた。体力に強い子なら、〇〇国の名物を調査してこい。とか訳の分かんないものもあるそうだが。

・・・まぁ、名物調査の結果、自国他国のガイドブックをこの国から出版という異例の商売が発生したらしいから、一概に変な課題と言えなくもないかもしれないが。

しちゃいけないことは、常識の範囲と先生はいったが、これは、貴族から見た常識。
ため口とかは超危険なのだが・・・まぁ、ジャンは大丈夫だろう。
公爵子息だと言わなかったし、注意もされてない。・・・まぁ、言うの忘れちゃった、てへぺろ。の可能性が無くは無いが。

次に居住まい。近いものであれば、そこから通いで大丈夫なんだそうだ。
私のように遠くから来ているものは、寮にはいることになるんだそうだ。まぁ、知ってた。

第二王子は本来、家(しろ)が近いので、通いで良いのだが、本人の強い希望で、寮に入ることが決まっているそうだ。
くれぐれも失礼の無いようにとまた念を押された。

寮は男女で完全に分かれいるらしい。
入寮者の部屋はすべて二人部屋で、二段ベッドが1つ。学習机が2つ。棚が2つ。タンスが2つ。
トイレは、各階に設置されているとのこと。
食堂は地下にあり、1階はエントランス。親とかと面会するときはここを使用するらしい。
全部で12階。屋上階には常にロックがかかっているらしいが、イベントの際に解錠され、催事で使用されると聞くが、どんなところかは不明。
姉たちの代では解錠されたことが無いんだそうだ。

先生は説明の後、自己紹介の場は設けずに、解散となった。

私たちはそれぞれ、寮に行こうと踏み出した。
ジャンは一緒に行こうとしたが、私は女子寮。
ついてこれるはずがないのだが・・・。

そう思いながら、寮に向かおうとすると誰かに肩をつかまれた。
振り向くと糸目の担任。

「待って待って、アンジェ君。君はこっち。」
と言って、ガンバナイト先生が、指をさす。

パッと見豪華で、古そうな建物。3階建ての屋敷だ。
「???」
疑問をわかりやすく顔で表現していたら、
「すまないね。上位4人はあの寮に入ることが慣例なのだよ。」
と言われた。

ジャンは、不満そうな顔で、私と先生を見て、
「俺は?」
と聞いてきた。

「エリザベート・ガルパン君かな?君は一般男子寮だね。ごめんね。」
そう言って、先生は、ジャンの肩をポンポンと叩く。

「ちぇ、アンジェ、来年は俺もそっちいくからな!」
と宣言して、ジャンは男子寮に向かった。

先生に案内され、特別寮につくと
金髪ドリルがバーーーンって感じで立っている。
超目立っている。

いまだリストラ中年化した王子が魂が抜けた感じで、金髪ドリルの隣に立っている。
可哀想に・・・。

もう一人は、後ろからやってきた。
副校長に連れられて。

ガルパン伯爵子息だった。
見た目頭良さそうだと思ったが、本当に頭がよかったらしい。

「では、・・・。」
ガンバナイト先生が説明しようとしたら、金髪ドリルが
「オォホホホ!!!!私、ロザリア・エル・メスディですわ!よろしくしてあげてもよくてよ!」
と言って、準備していたであろうセリフを言った。
ちょっと赤くなって照れている。

照れるくらいなら言わなきゃいいのに。
と思って、ちょっとツンデレ乙とか思いながら、和やかに
「はい。よろしくお願いいたします。メスディー様。」
と笑うと
「よ、よ、よろしくぅ・・ぉねがぃし・・・ますですわ。アンジェ。ロザリアと呼んでいいのよ?」
とデレデレっぷり。
キュンとした。
「はい。ロザリア様。」
と言った後、なんだかわからないが、隣のガルパン伯爵子息と握手した。

ぐったりしているが、笑顔を張り付けた王子様が
「私はリカルドだ。出来れば、敬称は付けないで呼んで欲しい。」
と金髪ドリルのロザリアちゃんが苦手な感じで軽く引いた態度でそう言った。

出来れば、物理的に距離を取りたいとでも思っているような仕草が垣間見える。

「私は、エンジェント・ガルパン。何故だか、実家周辺ではエロジと呼ばれていますが、好きに呼んでください。」
先程、盟友の握手を交わしたガルパン伯爵子息がそう言った。

・・・エロ爺的な感じか?

とか感想を浮かべつつ
「私は、アンジェリーク・エドワルドと申します。特技は料理です。」
と言って、にっこり笑った。

ロザリア様は真っ赤になっている。
「あなたの料理、食べてあげても良くてよ!!」
と叫ぶように言う。

「「・・・かわいい。」」
私とエロジは無意識に同じ言葉を口にしてしまった。

ロザリア様は真っ赤になって、倒れた。

王子は慌てて、先生もあわてて、色々ごたごたしながら、入寮した。
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