独裁国家の王女に生まれたのでやりたい放題して生きていきます!〜周りがとんでもなさすぎて普通なのに溺愛されるんですが!?〜

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第11節:これはただの警告じゃない、“あなたは裁かれるべき存在”っていう宣言だった

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手紙は、王宮の正門に届いた。

誰が届けたのかも分からない。
警備の目をすり抜けて、ひとりでに置かれたようだったと、門番は言った。

封蝋は黒。
王族への公式文書と同じ形式で整えられていたが、そこに記された差出人は――

〈審問の光〉

王都に貼られた文と同じ名前。
その存在がただの噂ではなく、明確な意思を持つ組織であるという証明だった。

クラリス母の手によって開封され、読み上げられた内容は、静かに、けれど突き刺さるようだった。

 

――“第六皇女・リアナ・グランツェル・ヴァルトルート”は、
人の心を惑わし、感情によって秩序を揺るがす者。
その笑みは信仰ではなく、毒である。

 

――その存在が人々に信じられる限り、この国は“理性”を失う。
我ら〈審問の光〉は、正しき裁きを下す。
感情に溺れる偶像は、必ず浄化されるべきであると。

 

文末には、刻まれていた。

“裁きの時は近い”

 

部屋の中に、静かな緊張が走った。

「……名指し、してきたか」
シグルド兄の低い声が響く。
彼の手は剣の柄にかかっていた。無意識に、だ。

ルチア姉は黙って、封書のインクを採取しながら、淡々と魔導式の鑑定を始めていた。
ユリウス兄は、手紙を一読してから、目を細める。

「この文体、“民の理性”を刺激するように練られてる。……プロの書き手だ。教団というより、政治的工作組織に近い」

ゼクス兄がぽつりと呟く。

「……まるで“処刑宣言”だね、これは」

そして、レオノーラ姉は、はっきりと口にした。

「リアナは、“生かしておけないほどの象徴”になったのよ」

 

私は、その言葉を飲み込んだ。

驚かなかった。
だって、もう分かってたから。

昨日、あの夜空の下で、“私は恐れられてる”って気づいた。
この手紙は、それを言葉にしただけ。

でも――やっぱり、少しだけ怖かった。

私は、自分の膝の上で手をぎゅっと握った。

「母様……」

クラリス母が、ゆっくりと私の方を見た。

「……リアナ。怖い?」

「……うん」

「でも、逃げる?」

私は、首を振った。

「逃げたら、誰かが代わりに“傷つく”って分かってるから」

クラリスは、わずかに微笑んだ。

「なら、あなたはもう“王女”ね」

言葉に、震えそうになるのをこらえた。

私は、王女なんだ。
ただ守られる存在じゃない。
ただ愛されて笑っているだけじゃ、もういられない。

 

「ねえ、母様。……私、話したい」

「誰に?」

「王都の人たちに。“怖くないよ”って。“私は逃げないよ”って。……言葉にしたいの」

その言葉に、クラリス母はしばらく黙って――それから、深くうなずいた。

「じゃあ、準備をしましょう。“言葉”が必要なら、それにふさわしい場所を」

「……うん」

そしてその時、ふとレオノーラ姉が言った。

「――あなたは、私たちの“希望”なの。
……それだけは、絶対に忘れないで」

 

私は頷いた。
その言葉の重さを、今ならちゃんとわかるから。

 

その夜、王宮の隅。
〈審問の光〉の密偵が、塔の影に身を潜めながら、誰かに報告していた。

「……第六皇女は、逃げる気配なし。むしろ、“民に向けて話す”意向です」

「……そうか」

フードの男が、静かに呟く。

「ならば、裁きの“舞台”を、こちらが用意してやろう」

 

決戦の予兆が、ゆっくりと形になっていく。

王都中央広場。
かつて皇帝の即位式が行われた由緒あるその場所に、
仮設の演壇が設けられたのは、演説の三日前だった。

最初はざわめきだった。
「第六皇女が、“また何か言うらしい”」
「でも、今回は広場? 人前で? どうして……?」

誰もが戸惑い、疑い、
でもその内側には、確かに――期待があった。

“聖女”と呼ばれた少女が、
“偶像”と囁かれた王女が、
自分の声で、何を語るのか。

 

当日、王宮から広場へ向かう馬車の中。
私は、深く息を吸って、吐いた。

クラリス母の手が、そっと私の背中を撫でる。

「怖い?」

「……うん。でも、話したい。ちゃんと」

「なら、怖がっていいわ。その上で、言葉を届けなさい」

私は、こくんと頷いた。

馬車が止まる。
扉が開くと、白い日差しと、人々の視線が雪崩のように流れ込んでくる。

ざわざわとした空気。
でも、敵意はない。
むしろ、空気が“息をひそめている”ようだった。

私は、小さな靴音を立てて、ゆっくりと演壇に登った。

足元は震えていた。
でも、視線は、ちゃんと前を向いていた。

 

――目の前には、数百人の人々がいた。

貴族、平民、兵士、子ども、老女、商人、学者。
いろんな階層の人が、息を止めるようにこちらを見ていた。

私は、ゆっくりと口を開いた。

 

「こんにちは。私は、リアナ・グランツェル・ヴァルトルートです」

それだけで、ざわっと空気が揺れる。

「あの……今日は、ちょっとだけ、私のことを話したくて来ました」

視線が、集まる。
刺すようなものもあれば、祈るようなものもある。

でも、逃げない。

「私は、なんにもすごくないです。
魔法も、剣も、政治も、ぜんぶ兄姉たちのほうが得意で。
私はただ、普通に生きてきただけで――それで、“すごい”って言われて」

少しだけ、笑った。

「最初は、なんでだろうって思ってました。
でも、最近になって、少しだけ分かってきました」

 

「“優しさ”は、誰かの心を動かせるってこと」

「それって、魔法より強いかもしれない。
だから私は、優しくあることを、選びたい。
怒るより、睨むより、傷つけるより――
ちゃんと話して、ちゃんと笑いたい」

私は、言葉を止めた。

そして、一歩だけ、前に出た。

 

「だから――どうか、信じてください。
私は、“偽りの偶像”じゃありません。
私は、ちゃんと、この国で生きてる、ひとりの人間です」

そのときだった。

 

バチン――ッ

演壇のそばで、何かが炸裂したような音がした。

「っ……!?」

会場が一瞬、ざわめきに包まれる。
護衛が駆け寄り、私の前に立った。

「リアナ様、離れてください!」

けれど、私は動かなかった。
音の先――演壇下の群衆の中から、誰かが立ち上がる。

 

ローブをかぶった女だった。

「この子の言葉に、惑わされないでください!」

声は高く、よく通る。

「彼女は王家の傀儡!
私たちが信じていた“癒し”も、“奇跡”も、すべて仕組まれたもの!
見てください、偽りの女神の姿を!!」

女は懐から紙を取り出し、空に掲げた。

それは、リアナの“演技指導台本”と偽造された資料だった。
笑い方、手の振り方、言葉の間の取り方――
まるで、王宮の誰かが“リアナという存在”を作り上げていたかのような内容。

「この文書は、宮廷の内部から流出した証拠です!」

空気が、変わる。

ざわつきが、不安へと傾いていく。

「ちがう……っ、それは……!」

私は声を上げようとした。
でも、喉が震えて出てこない。

群衆の視線が、再び私に集まる。
さっきとは違う。
信じようとしていたものが、疑いに引き戻される瞬間だった。

そして、女の口元が、薄く笑った。

「〈審問の光〉は、今ここに、告げる――
“偶像は、いずれ砕ける”」

 

私は、その言葉に――唇を、きゅっと噛んだ。

その笑いに、うなずいたくない。

怖くて、足が震えても。

私は、逃げたくない。

だから私は、もう一度、前に出た。

息を吸って、喉の奥の震えを押し込めて。

そして――叫んだ。

 

「それでも、私は――笑いたい!!」

 

風が、一気に吹き抜けた。

 

「私は、“信じたい”人たちのそばにいたい!
誰かの優しさに、ちゃんと“ありがとう”って言いたい!
それが、偽物でもいいなら、私が何度でも、本物にする!」

 

一瞬の静寂。

そして――拍手が、起きた。

最初は、ひとり。
次に、ふたり。
やがて、波のように、会場全体を包み込んでいった。

ローブの女は、凍りついたようにその場に立ち尽くす。

そのとき、背後から静かに歩いてきたのは――クラリス母だった。

「……あなた。よく覚えておきなさい」

女の耳元で、母は静かに囁いた。

「“うちの子”を侮辱した罰は、軽くないわよ?」

 

そして、リアナの手をそっと取って、演壇を降りた。

足元は、もう震えていなかった。

 

――この日、王都の人々は、
“聖女のように微笑む少女”ではなく、
“震えながらも自分の意志で立ち、言葉を叫んだ少女”の姿を、心に刻んだ。

演説から一夜明けて、王宮は静かだった。

広場でのあの言葉は、民の中で広く語られていた。
“偽りの偶像”だと告げられた少女が、
それでも前を向いて「信じたい」と言った――その強さに、心を揺さぶられた者は多い。

「本物だった」
「泣きながらでも、立った」
「……あの子を信じたい」

ほんの少しずつ。
でも確実に、空気は変わっていた。

 

けれど。
その裏で、変わったものがもうひとつ――

 

それは、**王族たちの“目の色”**だった。

 

王宮の地下室。
そこに連れて来られたのは、演説で偽文書を掲げた女――〈審問の光〉の末端信者。

縄で縛られ、床にひざまずかされている彼女の前に、立っていたのはルチア姉だった。

ルチアは、無言で魔導具を操作し、
拘束魔法をさらに三重に施す。

「……やめて。拷問する気?」

女が声を荒げると、ルチアは言った。

「拷問? いいえ。
これは“観察”よ」

「……は?」

ルチアは、冷たく笑う。

「私ね。ずっと疑問だったの。“心が歪んだ人間”の魔力量って、どう変化するのかって」

彼女の背後で、魔力が静かに揺れた。

「“我が妹”に毒を向けたその瞬間、あなたの魂はどう変質したのか――
学術的にも、興味があるの。協力してくれるわよね?」

 

別の部屋では、レオノーラが毒草と薬品の蒸留作業を始めていた。

「“嘘を吐けない薬”は、作れる。
でも、“苦しんだうえで吐きたくなる薬”も、もっと簡単に作れるのよね」

侍女が小声で尋ねる。

「レオノーラ様、それは……」

「誰が何を“吐いた”のか、全部記録するの。
あの子の周囲で、ただの“疑念”で済まなかった人間たちも、例外なく」

 

ゼクスは、地下画廊にいた。

彼はすでに、リアナを「主題」にした作品群をいくつも並べていた。
それらは“無垢”“慈愛”“希望”と名付けられ、まるで聖画のように飾られている。

「リアナは“象徴”だ。
壊そうとしたなら――代償として、“信仰”の対象に仕立て上げてやればいい」

彼の手が動くたび、
美しく、整った“絶対的な偶像”としてのリアナ像が量産されていく。

 

そして――シグルド。

彼は、〈審問の光〉の信者たちの潜伏先をすべて洗い出し、
すでに私兵を動かして制圧を開始していた。

「躊躇はいらない。妹を“否定した”連中だ」

兵が静かに問いかける。

「……投降者がいた場合は?」

「記録しておけ。
――“生かす”とは、言っていない」

彼にとって、“リアナへの敵意”は“国の敵意”と同義だった。

それを躊躇なく潰すことに、彼は一切の迷いを持たなかった。

 

そして――クラリス。

広場でリアナと手を取り歩いた彼女は、夜、ひとり王宮の天窓に立ち、
静かに、細い香を焚いていた。

部屋には、一枚の古い布。

そこには、かつて滅ぼされた“教会国家”の紋章が刺繍されていた。

「もう一度、やるつもりなのね。あの頃と同じように」

彼女の声は、ただ淡々としていた。

「なら――こっちも、容赦はしない」

彼女の胸の中にあるのは、ただ一つ。

“うちの子に、手を出したことを、後悔させる”

その想いだけだった。

 

そして。

すべてを知らないリアナは、静かにベッドの中で祈っていた。

「どうか、これ以上、誰も傷つきませんように」

けれど、もう遅かった。

その願いが届くには、あまりにも王族たちの愛が、狂っていた。
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