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第九話:騎士と毛玉と、二杯目の紅茶
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切り株のテーブルの上に、二つの木の器。
片方には、ぴゅるんブレンドのハーブティー。
もう片方には――同じものだが、飲み手は“王都の騎士”。
私は、自分の器を両手で包みながら、斜め前に座る少女を見た。
「どう? その辺で採れたマフマフ草ベースのハーブティー。副作用は、安心と眠気とモフ欲」
「……聞いたことのない効能だ」
「まちがってないでしょ?」
「……認めたくないけど、たしかに眠くなる」
ミレイは警戒を解かないまま、二杯目の紅茶に口をつけた。
彼女の仕草は洗練されていて、動きに無駄がない。
でも、その指先がほんの少しだけ緊張しているのが、目についた。
(まあ、無理もないよね)
目の前にいる私は、王都で“消えた第五皇女”。
――そして、彼女は“それを知っている側”の人間。
言葉にせずとも、その空気は、お互いに感じ取っている。
でも、私からは名乗らなかった。
彼女も、それ以上は踏み込んでこなかった。
それが、今の距離。
「ミレイさん。あなた、王都から命令を受けて来たのよね?」
「……“調査任務”だ。森に異常があるという報告が入った。魔力の揺らぎと、未知の生物の痕跡」
「ぴゅるんたちのこと、ね」
「……そうかもしれない」
ぴゅるんはテーブルの端にちょこんと座って、まんまるい目でミレイを見上げていた。
その姿は、どう見ても危険生物には見えない。
せいぜい“魅力的な抱き枕”か“動くおもち”。
ミレイもそれは分かっているのか、視線を向けるたびにほんの少しだけ頬が緩んでいた。
「それで……あなた自身は、どう思ってるの?」
「……この森は、記録とは違う」
「怖くない?」
「少しだけ。……でも、安心もする。不思議な場所だ」
私は、器の中をのぞき込みながら、そっと言葉をつなぐ。
「ミレイさん。あなたは、王都で誰かに命じられてここに来た。
でも、今ここにいるあなたは、少しだけ“自分の意志”でここにいる気がするの」
「……根拠は?」
「紅茶、おかわりしたから」
ミレイは一瞬固まったあと、ふっと息を吐いた。
「……変わった人だ、君は」
「よく言われる」
ぴゅるんが「ぴぃ」と得意げに鳴いた。
なぜ君がドヤ顔するのかは謎。
「でも、ね」
私は笑いながら言った。
「私は今、“誰の命令”でもなく、自分でここにいる。
それが、ものすごく贅沢で、幸せなことなんだって、森に来て初めて分かったの」
「……」
ミレイは黙って紅茶を見つめていた。
そして、しばらくしてからぽつりと呟く。
「……私は、生まれたときから騎士だった。
訓練と命令、それがすべて。
“生きている”より、“役に立つ”が先にある」
「わかるよ」
「……君が?」
「私も“皇女”だったから。
生まれたときから、名前に“役割”がくっついてた」
その言葉に、ミレイは少し目を見開いた。
でも、私はそれ以上は語らない。
語らなくても、伝わることがある。
「……じゃあ、君も、ここで“自由になった”ってわけだ」
「そう。私は今、“ぴゅるん王国の設立者”。
国民はぴゅるんたち、法はぐうたら、正義は毛玉」
「……悪くないな」
その言葉が、少しだけ冗談めいていた。
彼女がそういうトーンを出すのは、たぶん初めてだった。
紅茶の湯気が、またふわりと上がる。
鳥のさえずり、風の音、ぴゅるんの小さな寝息。
すべてが、やわらかく、静かに森の空気に溶け込んでいた。
「ミレイさん」
「なんだ」
「また来る?」
「……ああ。もし任務でなくても、来たいと思った」
私は、心の中でそっとガッツポーズをした。
仲間が増えた。多分この人、モフと昼寝の才能ある。
「じゃあそのときは、“特別に三杯目の紅茶”用意しておくから」
「期待しておく」
そしてミレイは立ち上がり、軽やかに森の中へと歩いていった。
その背中には、さっきまでにはなかった柔らかさが、ほんの少しだけ宿っていた。
私はその姿が見えなくなるまで見送ってから、ぴゅるんに目を向ける。
「ねえ、ぴゅるん……なんか、私、ちゃんと“国をつくってる”気がしてきたよ」
「ぴぃぃっ」
モフ元首も満足そうに揺れていた。
王都・レグレア。
白い石畳に陽光が反射し、整然と並ぶ建物の屋根には、金と銀の飾りが美しく揺れていた。
日常が続いている――ように見える。
けれど、ほんの少しだけ耳を澄ませば、分かる。
王宮の空気は、明らかに変わり始めていた。
第五皇女、アリシア・セレナシア・ユリフィエル――
その名が“会話の中で使われる頻度”はむしろ増していた。
ただしそれは、かつてのような“賛辞”でも“評価”でもない。
それは、“想定外”という名の混乱だった。
⸻
「……第四皇子派が、第五皇女の支持を公式に撤回したそうです」
「形式的には“所在不明により政治的責任が果たせない”との理由でしたが、実際は……」
「もう“駒”としては見限った、ということですな」
王城・側近評議室。
数人の貴族と、王宮高官たちが密かに情報を交換していた。
アリシアという“調整役”が姿を消したことにより、
王位継承のバランスが微妙に傾きはじめていた。
アゼル皇子は慎重に動き、
ルゼリアはただ静かに観察し、
第三皇子派は焦り、第四皇子派は揺れる。
表面は静かでも、水面下では明らかに争いの音が増していた。
「……しかし、“戻ってくる可能性”は?」
「現状、限りなく低い。報告では――」
「……“自主的な消失”。すなわち、明確な“拒絶”だ」
全員が沈黙した。
政治に生きる者たちにとって、それは“裏切り”よりもやっかいな存在。
“拒絶”された者は、いつか“何者でもない”まま、真実を語り出す。
だからこそ――危うい。
⸻
一方。
静かな書斎の中で、一人の女性が書類を閉じた。
ルゼリア・セレナシア。
第七皇女。アリシアの妹にして、宮廷内政の影の観測者。
彼女は白いペンを指先でくるくると回しながら、ため息を吐く。
「……退屈な駒ばかりが、よく動くわね」
机の上には、アリシアの失踪に関する極秘報告書。
それを読む彼女の目は、まるで美しい鳥が獲物を見定めるように冷たく、そしてどこか楽しげだった。
「姉さま。ほんとに、あなたって……私の想像を軽く越えてくるのよね」
彼女は小さく笑って立ち上がると、窓を開ける。
冷たい風が頬を撫で、遠くに見える王都の輪郭がゆらいでいた。
「でも、そろそろ私の番かしら。
“アリシアという不在”を使って、少しだけ世界を揺らしてみても――いい頃合いよね」
その言葉に応えるように、風が部屋を吹き抜けていった。
誰にも知られない場所で、また一人の“姫”が動き始めていた。
⸻
そして、もう一人。
アリシアの失踪以来、ずっと沈黙を守っていた人物がいた。
リュミエール・ヴェレスタ。
元・第五皇女付き侍従。
今日もまた、誰にも気づかれぬように、ある古い文献を読み込んでいた。
魔物と森の記録、王家の封印術、古代結界式――
それらの断片を丁寧に拾い集め、彼女は“ひとつの仮説”を組み上げつつあった。
「……姫様。やはり、あの森は……」
ぽつりと、誰にも聞こえないような声で呟く。
そして彼女は静かに立ち上がり、棚の奥から封印された小箱を取り出した。
そこに記された紋章は――王家の極秘印。
彼女は知っていた。
アリシアが向かった場所が、ただの“森”ではないことを。
そして、そこに集まり始めている“存在”たちのことも。
「……急がないと。まだ、誰にも見つからないうちに」
それは、忠義ではなく、もう祈りに近いものだった。
アリシアが“自分自身”でいられる時間を、一秒でも長く守るために。
たとえそれが、王家に背を向ける行動になったとしても――
彼女は、それを選ぶ覚悟があった。
片方には、ぴゅるんブレンドのハーブティー。
もう片方には――同じものだが、飲み手は“王都の騎士”。
私は、自分の器を両手で包みながら、斜め前に座る少女を見た。
「どう? その辺で採れたマフマフ草ベースのハーブティー。副作用は、安心と眠気とモフ欲」
「……聞いたことのない効能だ」
「まちがってないでしょ?」
「……認めたくないけど、たしかに眠くなる」
ミレイは警戒を解かないまま、二杯目の紅茶に口をつけた。
彼女の仕草は洗練されていて、動きに無駄がない。
でも、その指先がほんの少しだけ緊張しているのが、目についた。
(まあ、無理もないよね)
目の前にいる私は、王都で“消えた第五皇女”。
――そして、彼女は“それを知っている側”の人間。
言葉にせずとも、その空気は、お互いに感じ取っている。
でも、私からは名乗らなかった。
彼女も、それ以上は踏み込んでこなかった。
それが、今の距離。
「ミレイさん。あなた、王都から命令を受けて来たのよね?」
「……“調査任務”だ。森に異常があるという報告が入った。魔力の揺らぎと、未知の生物の痕跡」
「ぴゅるんたちのこと、ね」
「……そうかもしれない」
ぴゅるんはテーブルの端にちょこんと座って、まんまるい目でミレイを見上げていた。
その姿は、どう見ても危険生物には見えない。
せいぜい“魅力的な抱き枕”か“動くおもち”。
ミレイもそれは分かっているのか、視線を向けるたびにほんの少しだけ頬が緩んでいた。
「それで……あなた自身は、どう思ってるの?」
「……この森は、記録とは違う」
「怖くない?」
「少しだけ。……でも、安心もする。不思議な場所だ」
私は、器の中をのぞき込みながら、そっと言葉をつなぐ。
「ミレイさん。あなたは、王都で誰かに命じられてここに来た。
でも、今ここにいるあなたは、少しだけ“自分の意志”でここにいる気がするの」
「……根拠は?」
「紅茶、おかわりしたから」
ミレイは一瞬固まったあと、ふっと息を吐いた。
「……変わった人だ、君は」
「よく言われる」
ぴゅるんが「ぴぃ」と得意げに鳴いた。
なぜ君がドヤ顔するのかは謎。
「でも、ね」
私は笑いながら言った。
「私は今、“誰の命令”でもなく、自分でここにいる。
それが、ものすごく贅沢で、幸せなことなんだって、森に来て初めて分かったの」
「……」
ミレイは黙って紅茶を見つめていた。
そして、しばらくしてからぽつりと呟く。
「……私は、生まれたときから騎士だった。
訓練と命令、それがすべて。
“生きている”より、“役に立つ”が先にある」
「わかるよ」
「……君が?」
「私も“皇女”だったから。
生まれたときから、名前に“役割”がくっついてた」
その言葉に、ミレイは少し目を見開いた。
でも、私はそれ以上は語らない。
語らなくても、伝わることがある。
「……じゃあ、君も、ここで“自由になった”ってわけだ」
「そう。私は今、“ぴゅるん王国の設立者”。
国民はぴゅるんたち、法はぐうたら、正義は毛玉」
「……悪くないな」
その言葉が、少しだけ冗談めいていた。
彼女がそういうトーンを出すのは、たぶん初めてだった。
紅茶の湯気が、またふわりと上がる。
鳥のさえずり、風の音、ぴゅるんの小さな寝息。
すべてが、やわらかく、静かに森の空気に溶け込んでいた。
「ミレイさん」
「なんだ」
「また来る?」
「……ああ。もし任務でなくても、来たいと思った」
私は、心の中でそっとガッツポーズをした。
仲間が増えた。多分この人、モフと昼寝の才能ある。
「じゃあそのときは、“特別に三杯目の紅茶”用意しておくから」
「期待しておく」
そしてミレイは立ち上がり、軽やかに森の中へと歩いていった。
その背中には、さっきまでにはなかった柔らかさが、ほんの少しだけ宿っていた。
私はその姿が見えなくなるまで見送ってから、ぴゅるんに目を向ける。
「ねえ、ぴゅるん……なんか、私、ちゃんと“国をつくってる”気がしてきたよ」
「ぴぃぃっ」
モフ元首も満足そうに揺れていた。
王都・レグレア。
白い石畳に陽光が反射し、整然と並ぶ建物の屋根には、金と銀の飾りが美しく揺れていた。
日常が続いている――ように見える。
けれど、ほんの少しだけ耳を澄ませば、分かる。
王宮の空気は、明らかに変わり始めていた。
第五皇女、アリシア・セレナシア・ユリフィエル――
その名が“会話の中で使われる頻度”はむしろ増していた。
ただしそれは、かつてのような“賛辞”でも“評価”でもない。
それは、“想定外”という名の混乱だった。
⸻
「……第四皇子派が、第五皇女の支持を公式に撤回したそうです」
「形式的には“所在不明により政治的責任が果たせない”との理由でしたが、実際は……」
「もう“駒”としては見限った、ということですな」
王城・側近評議室。
数人の貴族と、王宮高官たちが密かに情報を交換していた。
アリシアという“調整役”が姿を消したことにより、
王位継承のバランスが微妙に傾きはじめていた。
アゼル皇子は慎重に動き、
ルゼリアはただ静かに観察し、
第三皇子派は焦り、第四皇子派は揺れる。
表面は静かでも、水面下では明らかに争いの音が増していた。
「……しかし、“戻ってくる可能性”は?」
「現状、限りなく低い。報告では――」
「……“自主的な消失”。すなわち、明確な“拒絶”だ」
全員が沈黙した。
政治に生きる者たちにとって、それは“裏切り”よりもやっかいな存在。
“拒絶”された者は、いつか“何者でもない”まま、真実を語り出す。
だからこそ――危うい。
⸻
一方。
静かな書斎の中で、一人の女性が書類を閉じた。
ルゼリア・セレナシア。
第七皇女。アリシアの妹にして、宮廷内政の影の観測者。
彼女は白いペンを指先でくるくると回しながら、ため息を吐く。
「……退屈な駒ばかりが、よく動くわね」
机の上には、アリシアの失踪に関する極秘報告書。
それを読む彼女の目は、まるで美しい鳥が獲物を見定めるように冷たく、そしてどこか楽しげだった。
「姉さま。ほんとに、あなたって……私の想像を軽く越えてくるのよね」
彼女は小さく笑って立ち上がると、窓を開ける。
冷たい風が頬を撫で、遠くに見える王都の輪郭がゆらいでいた。
「でも、そろそろ私の番かしら。
“アリシアという不在”を使って、少しだけ世界を揺らしてみても――いい頃合いよね」
その言葉に応えるように、風が部屋を吹き抜けていった。
誰にも知られない場所で、また一人の“姫”が動き始めていた。
⸻
そして、もう一人。
アリシアの失踪以来、ずっと沈黙を守っていた人物がいた。
リュミエール・ヴェレスタ。
元・第五皇女付き侍従。
今日もまた、誰にも気づかれぬように、ある古い文献を読み込んでいた。
魔物と森の記録、王家の封印術、古代結界式――
それらの断片を丁寧に拾い集め、彼女は“ひとつの仮説”を組み上げつつあった。
「……姫様。やはり、あの森は……」
ぽつりと、誰にも聞こえないような声で呟く。
そして彼女は静かに立ち上がり、棚の奥から封印された小箱を取り出した。
そこに記された紋章は――王家の極秘印。
彼女は知っていた。
アリシアが向かった場所が、ただの“森”ではないことを。
そして、そこに集まり始めている“存在”たちのことも。
「……急がないと。まだ、誰にも見つからないうちに」
それは、忠義ではなく、もう祈りに近いものだった。
アリシアが“自分自身”でいられる時間を、一秒でも長く守るために。
たとえそれが、王家に背を向ける行動になったとしても――
彼女は、それを選ぶ覚悟があった。
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