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第十話:森にひびいた第一の“警告”
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それは、なんでもない朝のはずだった。
朝日が差し込み、ぴゅるんが「ぴぃ」と鳴いて目を覚まし、
ころりんとぽてすけが小屋の外で追いかけっこを始めて、
私はのそのそとマントを羽織って、紅茶の支度をしていた。
「今日はね、ぴゅるん。ミレイさんがまた来るかもしれないって言ってたでしょ?お茶、多めに用意しておこうね」
「ぴぃっ」
「ころりん、お皿転がすなー! それ茶葉入れたやつー!」
いつもの、わちゃわちゃした朝。
それだけで、私は幸せだった。
それだけで、ずっと続けばいいって、思ってた。
――でも、“それ”は突然だった。
「……あれ、風が……?」
ぴゅるんが、私の肩の上で小さく震えた。
いつもの森の風じゃない。生ぬるくて、重たくて――そして、妙に“音が消える”。
私はすぐに立ち上がって、空気を読む。
空気が、妙に“澱んでいる”。
「魔力のゆらぎ……それも、外部からの圧?」
私の中の魔術師としての感覚が、はっきりと警鐘を鳴らした。
これは、“誰かが結界を試してる”。
この森の内部に対して、力を探るように、じわじわと。
(誰かが、森の結界を調べている――!)
⸻
「ぴゅるん、みんなを小屋の中に集めて。ふさもんとふよよんも」
「ぴぃぃっ!」
ぴゅるんが高く鳴くと、もふもふたちが一斉に小屋へと動き出す。
ころりんがぽてすけの背中を押し、ふよよんが上空をふわふわ漂いながら索敵する。
私は結界の外周へと向かった。
緊急時用に張ってある感知結界の触媒が、いくつか“音を立てている”。
まるで、誰かが指先で触れているように――。
(この感覚……魔力は濃い。でも、繊細。つまり……)
「プロの、結界術師……?」
王都から来たのだとすれば、“本気の派遣”だ。
情報収集のつもりか、探索なのか。
それとも、もうすでに“私の存在”を疑っているのか。
いずれにせよ――これは、**はじめての“外からの警告”**だった。
⸻
その夜、私はもふもふたちを囲んで、焚き火の前で座っていた。
ぴゅるんは私の膝の上で眠っている。
でも、私はまだ目を閉じられなかった。
「ねえ、ぴゅるん……やっぱり、見つかるのは時間の問題かもしれないね」
“ぴぃ……”
寝言みたいな声。でも、たぶん分かってくれてる。
「でも、私は逃げたくてここに来たけど――今は、ただ“暮らしてる”んだよ。
この子たちと一緒に、昼寝して、食べて、笑って。
それを、壊されたくない。ただ、それだけなの」
魔法の力はある。
逃げる手段も、隠れる術も、まだ残ってる。
でも、“逃げ続ける”だけじゃ、きっとまたどこかで同じことになる。
「だから、私はここで――“守る”って、決めるよ」
ぴゅるんが、腕の中でぎゅっと丸まった。
その小さなぬくもりが、私の中にひとつの決意を灯す。
私は、ただの皇女じゃない。
今は、“この国の王”なんだから。
明日、もっと強い結界を張りなおそう。
魔力を抑える結晶を森の核に埋め込もう。
そして――ミレイに、“次に来たら”って伝えておかなきゃ。
“ここは、誰にも譲らない”って。
夜の空が、森を包んでいた。
星は静かに瞬いていたけど、心は、静かじゃなかった。
それでも、私は眠る。
ぴゅるんと、もふもふたちに守られながら――
明日も、この場所で生きていくために。
――翌日、昼過ぎ。
森に小さな風が吹いた。
それは、空気を裂くような気配ではなく、やさしく木々を撫でて通る風。
私はそれに気づいて、焚き火の火を整えながらつぶやいた。
「……来たな」
「ぴぃっ」
ぴゅるんも同時に反応して、ぽんっと私の肩に飛び乗る。
この反応の速さ、もはや探知レーダーとして優秀すぎる。
姿を現したのは、数日ぶりの訪問者――ミレイ。
軽装の騎士服に身を包み、腰の剣を外した彼女は、いつもよりやや表情が柔らかかった。
いや、たぶん“少し疲れていた”のだろう。
「また来た」
「いらっしゃい、“ぴゅるん王国”へ。入国審査はぴゅるんが行いますので、まずは毛玉検閲から」
「……」
ぴゅるんがミレイの足元をくるくると一周して、最後に「ぴぃ」と鳴いた。
「合格だって。ようこそ再び」
「真顔で通すから腹立たないのが逆に腹立つ」
「うちの国、そういうとこあるから」
ミレイはくすっと小さく笑ってから、薪のそばに腰を下ろした。
しばらくの沈黙のあと――彼女は静かに言った。
「昨日、この森の南側に“気配の揺れ”があった。
王都の探査隊が結界を調べていた……らしい」
「やっぱり、そっちも気づいてたんだね」
私は頷いて、ぴゅるんに指示を出す。
すると、ころりん・ぽてすけ・ふさもん・ふよよんがぞろぞろと集まってくる。
「ということで、これより緊急国会を開催します」
「……もふ会議か」
「いや、“モフ議会”って書くとかわいいでしょ?」
「たしかに否定できない」
私は小枝で地面に簡単な図を描きながら説明を始める。
「現状、森の内部に貼ってる結界は簡易型。魔力偽装と気配遮断がメインで、侵入を阻む力はないの」
「つまり、見つかれば来られるってことか」
「そう。だから、今回は“第2段階”に移行するよ」
私は、懐から小さな水晶のような石を取り出した。
「これは“魔力拡散型触媒”。本来は王宮の魔術式補助用なんだけど、ちょっと改良しててね。
森に溶け込むように埋めれば、結界の核として機能する」
ミレイの目が、少し見開かれる。
「……それ、王家の技術じゃ……」
「誰にも教わってないよ? 自分で読んで研究して改良しただけ」
「まさか……独学で?」
「だって、皇女が魔法の勉強したら怒られるじゃん。暇な時間にやるしかなかったんだよね、地下書庫とかで」
ミレイは何かを言いかけて、それを飲み込んだ。
その目には、驚きと、ほんの少しの尊敬が宿っていた。
「……まさか、“逃げた皇女”がここまでやるとは思ってなかった」
「逃げたんじゃないよ。住んでるの」
私はきっぱりと言った。
「ここで生きて、暮らして、国をつくってる。
だから守るの。命令されなくても、“自分の意思”で」
ミレイは、その言葉を受け止めるように頷いた。
「……手伝うよ」
「え?」
「私がここに来たのは命令だった。でも……今は、違う」
「……ミレイ」
「この森を守るって決めたなら、私もここで役に立ちたい。
戦うだけじゃなくて、こういう風に“誰かの暮らしを守る”って、悪くないから」
私は思わず笑った。
そして言う。
「よし、じゃあミレイには――“結界張り係”任命!」
「肩書きが軽い」
「じゃあ、“初代モフ護官”」
「……悪くない」
「正式称号は“もふもふ防衛担当・ミレイ卿”で!」
ミレイは、ふっ、と笑って言った。
「じゃあ……よろしく、女王陛下」
私は、胸を張った。
「ぴゅるん王国は、仲間を歓迎します」
ぴゅるんが、「ぴぃぃぃっ」と高く鳴いた。
もふ議会は、満場一致で結界強化案を承認した。
私たちの国は、ゆっくりだけど、確かに“強く”なっていく。
朝日が差し込み、ぴゅるんが「ぴぃ」と鳴いて目を覚まし、
ころりんとぽてすけが小屋の外で追いかけっこを始めて、
私はのそのそとマントを羽織って、紅茶の支度をしていた。
「今日はね、ぴゅるん。ミレイさんがまた来るかもしれないって言ってたでしょ?お茶、多めに用意しておこうね」
「ぴぃっ」
「ころりん、お皿転がすなー! それ茶葉入れたやつー!」
いつもの、わちゃわちゃした朝。
それだけで、私は幸せだった。
それだけで、ずっと続けばいいって、思ってた。
――でも、“それ”は突然だった。
「……あれ、風が……?」
ぴゅるんが、私の肩の上で小さく震えた。
いつもの森の風じゃない。生ぬるくて、重たくて――そして、妙に“音が消える”。
私はすぐに立ち上がって、空気を読む。
空気が、妙に“澱んでいる”。
「魔力のゆらぎ……それも、外部からの圧?」
私の中の魔術師としての感覚が、はっきりと警鐘を鳴らした。
これは、“誰かが結界を試してる”。
この森の内部に対して、力を探るように、じわじわと。
(誰かが、森の結界を調べている――!)
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「ぴゅるん、みんなを小屋の中に集めて。ふさもんとふよよんも」
「ぴぃぃっ!」
ぴゅるんが高く鳴くと、もふもふたちが一斉に小屋へと動き出す。
ころりんがぽてすけの背中を押し、ふよよんが上空をふわふわ漂いながら索敵する。
私は結界の外周へと向かった。
緊急時用に張ってある感知結界の触媒が、いくつか“音を立てている”。
まるで、誰かが指先で触れているように――。
(この感覚……魔力は濃い。でも、繊細。つまり……)
「プロの、結界術師……?」
王都から来たのだとすれば、“本気の派遣”だ。
情報収集のつもりか、探索なのか。
それとも、もうすでに“私の存在”を疑っているのか。
いずれにせよ――これは、**はじめての“外からの警告”**だった。
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その夜、私はもふもふたちを囲んで、焚き火の前で座っていた。
ぴゅるんは私の膝の上で眠っている。
でも、私はまだ目を閉じられなかった。
「ねえ、ぴゅるん……やっぱり、見つかるのは時間の問題かもしれないね」
“ぴぃ……”
寝言みたいな声。でも、たぶん分かってくれてる。
「でも、私は逃げたくてここに来たけど――今は、ただ“暮らしてる”んだよ。
この子たちと一緒に、昼寝して、食べて、笑って。
それを、壊されたくない。ただ、それだけなの」
魔法の力はある。
逃げる手段も、隠れる術も、まだ残ってる。
でも、“逃げ続ける”だけじゃ、きっとまたどこかで同じことになる。
「だから、私はここで――“守る”って、決めるよ」
ぴゅるんが、腕の中でぎゅっと丸まった。
その小さなぬくもりが、私の中にひとつの決意を灯す。
私は、ただの皇女じゃない。
今は、“この国の王”なんだから。
明日、もっと強い結界を張りなおそう。
魔力を抑える結晶を森の核に埋め込もう。
そして――ミレイに、“次に来たら”って伝えておかなきゃ。
“ここは、誰にも譲らない”って。
夜の空が、森を包んでいた。
星は静かに瞬いていたけど、心は、静かじゃなかった。
それでも、私は眠る。
ぴゅるんと、もふもふたちに守られながら――
明日も、この場所で生きていくために。
――翌日、昼過ぎ。
森に小さな風が吹いた。
それは、空気を裂くような気配ではなく、やさしく木々を撫でて通る風。
私はそれに気づいて、焚き火の火を整えながらつぶやいた。
「……来たな」
「ぴぃっ」
ぴゅるんも同時に反応して、ぽんっと私の肩に飛び乗る。
この反応の速さ、もはや探知レーダーとして優秀すぎる。
姿を現したのは、数日ぶりの訪問者――ミレイ。
軽装の騎士服に身を包み、腰の剣を外した彼女は、いつもよりやや表情が柔らかかった。
いや、たぶん“少し疲れていた”のだろう。
「また来た」
「いらっしゃい、“ぴゅるん王国”へ。入国審査はぴゅるんが行いますので、まずは毛玉検閲から」
「……」
ぴゅるんがミレイの足元をくるくると一周して、最後に「ぴぃ」と鳴いた。
「合格だって。ようこそ再び」
「真顔で通すから腹立たないのが逆に腹立つ」
「うちの国、そういうとこあるから」
ミレイはくすっと小さく笑ってから、薪のそばに腰を下ろした。
しばらくの沈黙のあと――彼女は静かに言った。
「昨日、この森の南側に“気配の揺れ”があった。
王都の探査隊が結界を調べていた……らしい」
「やっぱり、そっちも気づいてたんだね」
私は頷いて、ぴゅるんに指示を出す。
すると、ころりん・ぽてすけ・ふさもん・ふよよんがぞろぞろと集まってくる。
「ということで、これより緊急国会を開催します」
「……もふ会議か」
「いや、“モフ議会”って書くとかわいいでしょ?」
「たしかに否定できない」
私は小枝で地面に簡単な図を描きながら説明を始める。
「現状、森の内部に貼ってる結界は簡易型。魔力偽装と気配遮断がメインで、侵入を阻む力はないの」
「つまり、見つかれば来られるってことか」
「そう。だから、今回は“第2段階”に移行するよ」
私は、懐から小さな水晶のような石を取り出した。
「これは“魔力拡散型触媒”。本来は王宮の魔術式補助用なんだけど、ちょっと改良しててね。
森に溶け込むように埋めれば、結界の核として機能する」
ミレイの目が、少し見開かれる。
「……それ、王家の技術じゃ……」
「誰にも教わってないよ? 自分で読んで研究して改良しただけ」
「まさか……独学で?」
「だって、皇女が魔法の勉強したら怒られるじゃん。暇な時間にやるしかなかったんだよね、地下書庫とかで」
ミレイは何かを言いかけて、それを飲み込んだ。
その目には、驚きと、ほんの少しの尊敬が宿っていた。
「……まさか、“逃げた皇女”がここまでやるとは思ってなかった」
「逃げたんじゃないよ。住んでるの」
私はきっぱりと言った。
「ここで生きて、暮らして、国をつくってる。
だから守るの。命令されなくても、“自分の意思”で」
ミレイは、その言葉を受け止めるように頷いた。
「……手伝うよ」
「え?」
「私がここに来たのは命令だった。でも……今は、違う」
「……ミレイ」
「この森を守るって決めたなら、私もここで役に立ちたい。
戦うだけじゃなくて、こういう風に“誰かの暮らしを守る”って、悪くないから」
私は思わず笑った。
そして言う。
「よし、じゃあミレイには――“結界張り係”任命!」
「肩書きが軽い」
「じゃあ、“初代モフ護官”」
「……悪くない」
「正式称号は“もふもふ防衛担当・ミレイ卿”で!」
ミレイは、ふっ、と笑って言った。
「じゃあ……よろしく、女王陛下」
私は、胸を張った。
「ぴゅるん王国は、仲間を歓迎します」
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