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5、指を絡ませる
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指を絡ませる
指先の戒めを投げ捨て、絡めあう指。
軽い音は絨毯に吸い込まれてゆく。
繋いで、堕ちて、
そして、舞い上がる時も指を絡める。
伝わる熱に、震えが走り、この上なく
相手のことが、伝わってくる不思議。
快感とは別の高ぶりは、
想い合っている相手だからこそのものだ。
好きにならなければ、愛も芽生えず
狂うこともなかった。
奪い、壊したいあなたのすべてを。
そうすることで、彩る世界を変えられるのならば。
強く、指を絡めて、繋がる。
かすれた吐息が耳に伝わってきた。
鋭い衝撃に、しなる細い肢体を抱きしめ返し愛しさを伝える。
淫らに甘く急き立てる声に、衝動が加速する。
「ジュリア……! 」
「……イアンっ」
頬に伸びてくる指。
しなやかに長いそれは、顎を伝い降りた。
揺れる二人の世界は、光彩をかき、
それでも光を求めてさまよい続ける。
出会った日から貴女に焦がれ、欲しいと希った。
あの日の少女は、孤独と悲しみの中、
少しずつ心を開いていった。
固く閉ざしていた心を解きほぐすのには時間がかかったが、
それ以上に手に入れたものは大きかった。
俺だけを見てくれる湖の底の青。
神秘的な輝きが、闇の中で青い光を作り出す。
お互いの瞳に捕らわれて逃げるすべなどない。
「ジュリア」
名を呼ぶとあどけなく首をかしげた。
シーツの上で投げ出された腕に触れ、指を絡ませる。
外した指輪の痕に、そっと口づけた。
「貴女を俺だけのものにしたい」
「一緒に逃げる? 」
笑った彼女は、悪戯をしかけるみたいに、体を丸め腕から逃れた。
ベッドに縫い止めて、一層きつく指を握りしめたら、恨めしげに睨んでくる。
「触れられたくなかったわ……本当は」
首に腕を絡めてきた。
耳元に落ちた囁きは、どくんと心臓を波打たせる。
「どうして? 」
唇を歪めた様子に、胸が軋んだ。
「その先を望んでしまうから」
頬に落ちる一滴を唇で掬う。
「いっそ望んでくれたらいい。
……望むことから始まるのでしょう」
「一緒に方法考えましょう。最後まで諦めないで」
「ああ」
強い口調に、身震いがするようだ。
なんて美しく気高い魂の女性だろう。
抱きしめて口づける。
真の救いを求めているジュリアに、俺は未だ何もできずにいた。
君さえ笑ってくれるのなら、他を闇に突き落とすことさえ厭わない。
あの、強欲で高慢で、彼女を長い間独占してきた最悪の下種を
憎んでも憎み切れないほど憎悪している。
決して、そんな素振りなど見せぬよう
忠実な執事としての態度を貫いて、 見えない場所で彼女を抱きしめる。
「私たちがこの先も続いていて、
永遠の成就を誓う日が来たら……」
その先まで言わせるわけにはいかない。
絞り出すような声を口づけで塞ぐ。
抱きしめて、熱を与えて君の中に
俺のかけらを残してゆく。
形を成すことがなくても。
だからこそ、求め合えるのだから。
明日の朝は、素知らぬ顔をしていなければならない。
執事として、最愛の主人に尽くす。
傍にいられることが幸せだと言い聞かせる。
ここにいれば、あなたを見つめていられる。
絡めあわせた指に灯る熱は未だ冷めない。
手と手を取り合い十字を切る。
すべてが絵空事に消えぬように二人が浅はかに願う。
真実の意味では神を崇拝していなかったけれど。
暖炉の火が煌々と燃えている。
その赤に抱かれるように、意識が溶けていった。
指先の戒めを投げ捨て、絡めあう指。
軽い音は絨毯に吸い込まれてゆく。
繋いで、堕ちて、
そして、舞い上がる時も指を絡める。
伝わる熱に、震えが走り、この上なく
相手のことが、伝わってくる不思議。
快感とは別の高ぶりは、
想い合っている相手だからこそのものだ。
好きにならなければ、愛も芽生えず
狂うこともなかった。
奪い、壊したいあなたのすべてを。
そうすることで、彩る世界を変えられるのならば。
強く、指を絡めて、繋がる。
かすれた吐息が耳に伝わってきた。
鋭い衝撃に、しなる細い肢体を抱きしめ返し愛しさを伝える。
淫らに甘く急き立てる声に、衝動が加速する。
「ジュリア……! 」
「……イアンっ」
頬に伸びてくる指。
しなやかに長いそれは、顎を伝い降りた。
揺れる二人の世界は、光彩をかき、
それでも光を求めてさまよい続ける。
出会った日から貴女に焦がれ、欲しいと希った。
あの日の少女は、孤独と悲しみの中、
少しずつ心を開いていった。
固く閉ざしていた心を解きほぐすのには時間がかかったが、
それ以上に手に入れたものは大きかった。
俺だけを見てくれる湖の底の青。
神秘的な輝きが、闇の中で青い光を作り出す。
お互いの瞳に捕らわれて逃げるすべなどない。
「ジュリア」
名を呼ぶとあどけなく首をかしげた。
シーツの上で投げ出された腕に触れ、指を絡ませる。
外した指輪の痕に、そっと口づけた。
「貴女を俺だけのものにしたい」
「一緒に逃げる? 」
笑った彼女は、悪戯をしかけるみたいに、体を丸め腕から逃れた。
ベッドに縫い止めて、一層きつく指を握りしめたら、恨めしげに睨んでくる。
「触れられたくなかったわ……本当は」
首に腕を絡めてきた。
耳元に落ちた囁きは、どくんと心臓を波打たせる。
「どうして? 」
唇を歪めた様子に、胸が軋んだ。
「その先を望んでしまうから」
頬に落ちる一滴を唇で掬う。
「いっそ望んでくれたらいい。
……望むことから始まるのでしょう」
「一緒に方法考えましょう。最後まで諦めないで」
「ああ」
強い口調に、身震いがするようだ。
なんて美しく気高い魂の女性だろう。
抱きしめて口づける。
真の救いを求めているジュリアに、俺は未だ何もできずにいた。
君さえ笑ってくれるのなら、他を闇に突き落とすことさえ厭わない。
あの、強欲で高慢で、彼女を長い間独占してきた最悪の下種を
憎んでも憎み切れないほど憎悪している。
決して、そんな素振りなど見せぬよう
忠実な執事としての態度を貫いて、 見えない場所で彼女を抱きしめる。
「私たちがこの先も続いていて、
永遠の成就を誓う日が来たら……」
その先まで言わせるわけにはいかない。
絞り出すような声を口づけで塞ぐ。
抱きしめて、熱を与えて君の中に
俺のかけらを残してゆく。
形を成すことがなくても。
だからこそ、求め合えるのだから。
明日の朝は、素知らぬ顔をしていなければならない。
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傍にいられることが幸せだと言い聞かせる。
ここにいれば、あなたを見つめていられる。
絡めあわせた指に灯る熱は未だ冷めない。
手と手を取り合い十字を切る。
すべてが絵空事に消えぬように二人が浅はかに願う。
真実の意味では神を崇拝していなかったけれど。
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その赤に抱かれるように、意識が溶けていった。
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