Pleasure,Treasure

雛瀬智美

文字の大きさ
51 / 68
番外編集

番外編?「オレサマ御曹司、夢に現る(2)(※※※)」

しおりを挟む
「何で駅前で話した美少女じゃなくて、ドS俺様御曹司が出てくるのよ……」
「意味があるのかもしれへん」 
ぼやく私に涼ちゃんはボソッと言う。
「……美少女と話した時間は短いんやろ。
俺様御曹司と接触した時間の方が長いし印象は強(つよ)なって当たり前や。
あと、二人に繋がりがあるんかもな」
涼ちゃんの意外な視点に驚きつつもそうかもしれないと思う。
「そういえば病院で診てもらった時、ベビーフェイスとか言われたわ」
「夢の中の藤城青も現実とそう違いがないのかもな。恋愛遍歴とタイプの人間について」
「……ふうん」
意味深な物言いをするのがむかついて、横からお腹をどついた。
「胃カメラの担当医、青せんせの義兄さんやったって思い出した」
「あの時は大変だったわね」
「ほんまにな。笑い話になってよかったわ。 
 親子ほど年齢ちゃうから涼くんなんて呼ばれて」
「あはは!」
「青先生の写真を自慢げに見せてきて、
  和まそうとしたり」
「兄馬鹿じゃない」 
「そうやな。菫子の方が青先生と親しく話したんとちゃう?」
「そんなに話してないわよ。私が涼ちゃんとのことを話したら、
 藤城先生も少し話してくれただけ」
「菫子と入社式の帰りにあった子が並んでるの見たいな」
「うん。大体、抱きしめてって言わなくても
 涼ちゃんは抱きしめて満たしてくれるもの。余計なお世話よ」
 今更だけど。
「当たり前やろ」
(なんか甘いムードになってきた)
「私がずっと片思いして忘れられなかったくらいの人よ。自信持ってね。世界で一番の旦那様」
「……菫子、好きすぎて死にそう」
 がばっと抱きつかれ押し倒された。
「体格差のせいで本当に襲われてるみたいになる」
上にある顔を引き寄せて頬に口づける。
「襲ってるんやで」
 しれっと言い放たれた。
「……菫子のツンデレを制御できるのは俺だけやろ」 
「制御ってのは失礼だけど、涼ちゃんが合ってるの」
いつの間にやら部屋の照明が落とされている。
私の髪を描き撫でながら、キスが振りそそいだ。
とっても甘くて、刺激たっぷりで身体が急かし始める。
「ん……っ」  
「ほんまに嫉妬してないと思ってるん?」
「……夫の余裕かと思った」
「そんなわけない。いい男に誘惑された話を延々と聞かされて、
まだ現実のそいつの話……付き合う夫の身にもなれよ。な、菫子」
「……っ、」
心拍数が上がる。脈も早い。
涼ちゃんは、私と愛を交わす時に俺様モードになる。
いつもの勢いなんて萎んでしまって、彼の思うがままになってしまう。
嫌じゃなくて、流されるわけでもない。
「何言ってるの……どんな見た目だろうと私がときめくことはないわ。
涼ちゃん以上にいい男いないんだもの」
「……ありがとうな。菫子に言われたら自信が持てる」
そう真面目に答えながら、こっちの身ぐるみは剥がしてスマートにことを運ぶ。
「……もう今更なんだけど、合コンの時も私が涼ちゃんと消えたかったな」
額、顎、頬にキスが落とされる。
チュッ、という音は気恥ずかしくなるけれど、こんな風にずっと愛されたいと思った。
抱きしめる腕に力がこもる。
「……あの時の一回よりも、お前の方が多く抱かれてるんやで。
男としての顔を知ってるのはすみれだけや」
肌を愛でる手のひらは、優しくてもどかしい。
「……こんな穏やかじゃ私は不満よ。加減を知るあなたを信じてるわ」
「必死で堪えてるのに煽ったことを後悔しろ」
いきなり噛みつかれた。
肌にちくり、甘い痛みを覚え指を噛む。
点々と増えていく痕に身を震わせる。
ふくらみを揉みしだかれて、腰が持ち上がる。
その腰を大きな体が押さえつけていた。
「……っ、ふぁ」
指の腹が固くなったいただきを擦る。
背中がびりびりしびれて、奥が疼いた。
身体は本能に素直だった。
「ん……ゃ……だめ」
強く吸われて声が漏れてしまう。
「駄目やないやろ?」
くっ、と笑いながら甘噛みをした。指の腹で捏ねては摘む。
「ん……っあ」
舌を小刻みに動かすからすごくいやらしくて、頬が羞恥で真っ赤になっていた。
「……そういえば、あの子は胸が大きかったな」
 身長は10センチほど高くてスタイル抜群だった。
「菫子のように?」
「……っ、や、だめ。一緒に触らないで……っ」
ふくらみをもみしだきながら、下腹部に触れてくる。
器用な指先に呆れた。
「……ああ……ん」
チュッ。
強く吸われ、外側の溝を擦られて
脳裏に火花が散った。
荒くなった息は、どちらのものか分からない。
「……今日は早いな。こんなに濡れて」
指で濡れた感触を確かめる。外から内側を交互に繰り返し、舌が差し入れられた。
「……っん!」
陥落。
シーツを掴んで意識を飛ばした。
 
「……涼ちゃん?」
一度達した気だるさが残る体をもてあましている。
まだ、最後に到達してない。
薄く開いた唇からは、微かな吐息が漏れる。
「すみれがのぼりつめた時の顔、めっちゃ綺麗でずっと見てたい」
「な、何言うの!?」
さらっ、と言われた殺し文句はストレート。
掠れた声は普段より甘くて心までとけちゃいそうだ。
「綺麗やで」
一度拭った手で頭を撫でてくれる。
しつこいくらいにそれを繰り返し、密度の高いキスをした。
全部喰らい尽くそうとする舌の動きに翻弄されている間に、突き入れられていた。
嬌声は、唇の中に吸い込まれる。
「んん……」
「他の男が夢に出てきたって言われてどれだけ、
ムカついたかわかるか。俺はあいつに劣らず独占欲は半端ないで」
揺らしながら彼は切ない吐息を漏らす。
「ごめんね。あんなの願望じゃないからね」
「願望やったら俺が叶えたる」
腰を回す。
最奥を素早く突かれ、バチっと火花が散る。
わざとらしく動きを止めて彼は真上から私を見つめた。
「……もっときて。早く子供欲しいんでしょ」
「無邪気に煽んなや……」
ふう、と息をついて動き出す。
大きな身体に覆い被さられていても怖くない。
潰さないように隙間を空けてくれているし、
気遣いは最初から半端なかった。
彼が奥にいる確かさを感じて満たされる。
「好き……っ、ずっと抱いてね」
「望むところだ」
両脚を大きく開かされる。
いちばん奥を擦られて吐き出される熱。
何度かそれは続く。
受け止めて瞳を閉じていた。気がついた時、とっくに朝だった。
二人とも日曜日ということもあり何も慌てずお風呂で愛の続きをした。
抱っこされた状態で思いきり強く深く彼を感じて、何度もないた。
シャワーで洗い流した後も火照りはなかなか治まらずどうしようかと思った。
ベッドの上で厚い胸板に寄り添い微睡む。
手を握ったら握り返された。
「……今更、過去に嫉妬したって仕方がないわ。
 今、夫婦なんだからそれでいい」
「当たり前や」
「新婚バカップルでもいいかな。
もう兄妹に間違われることもないだろうし」
涼ちゃんが、お腹を触って頬を寄せる。
「馬鹿……」 
既に服を着ているし、もう愛し合った名残は消えている。
決して無茶はしなかった。
「……慰めてあげようか」
午後7時。
明るい日差しの中、自分がとても大胆なことを口にしたことをあとから知った。
私の小さな手は涼ちゃんの下腹部に導かれる。
「……満足させてくれるんやろな」  
心臓がはねた。  
(時折、挑発的に聞こえる関西弁……。
好きな人の言葉なら訛りなんて関係がなかった)
身を起こす。
壁に背をもたれさせる涼ちゃんは、欲情に濡れた瞳でこちらを見ていた。
そっと近づく。
少し、躊躇った。
(……もうこんなに?)
朝特有の現象ということなのかもしれない。
息を飲み唾を飲み込む。
もう、やけで想像と浅い知識の中、涼ちゃん自身を慈しんだ。
「……っ、くっ」
顔を歪め、時折シーツを掴む。
四つん這いの私は彼を上目遣いで見ながら、
夢中で愛を伝えた。
弾ける時は、頭を引き剥がされた。
何度も頭を撫でてくれ、
やさしいキスをしてくれた。
「菫子からの御奉仕……もう死んでもええ」
「またいつかしてあげるから死んじゃだめ」
最愛の旦那様は、感慨深そうに言う。
「いつかが早く来ますように。俺は大歓迎や」
ダイニングでお茶を飲む。
今日は遅めの朝ごはんと昼ごはんを兼ねてブランチにした。
無敵の食欲の涼ちゃんは勢いよく食べて二人分の片づけをしてくれた。
(退廃的に過ごしちゃったな)
「俺と菫子の子供はどっちやろな。男なら菫子の胸を取られるの嫌やわ」
「……大きい子供ね」
大きな手が伸びてきて心臓の辺りに触れた。
「……これも独占欲やから」
「きっと男の子だと思う。私には未来が見える」
「知らんけど。男も女も欲しいから、
たまにやり方は変えてみようかと思う」
「は、排卵日二日前だともしかしたら」
確実にそうなるわけじゃないけど
女の子も欲しいって思う。
「調べてくれたんやな」
くくっと笑って抱きしめてきた。
「妊娠して、通える時期になったら妊婦向けの水泳教室に通いたいの。
そんなに激しい運動はないし、体調に合わせてもらえるから大丈夫よ」
「うん。行けばええよ」
がしがし、と頭を撫でてくれた。
「……私のご褒美は喜んでもらえた?」
ちょっと頬が熱くなる。
目を丸くした涼ちゃんは、緩やかに抱きしめてくれた。
「これ以上にないくらい」
頬にキスされた。
「今日は特別よ。恥ずかしいからさっさと忘れてね!」
耳元でささやかれた言葉に呻いた。
「……忘れられるはずないやろ?」
ぽかすか肩の辺りを叩く手はつかまれて、
腕の中に閉じ込められた。
逃げられない。
逃げるつもりない。 
広い胸の中は、あったかくて
守られて守っていくんだろうなと思った。
「……しょうもない話をいっぱいしたな」
「たまにはいいじゃない」
疲れたのか眠気に誘われて、旦那様を置き去りにして眠ってしまった。

「おやすみ……俺のすみれ」
さらさらと髪を撫でる。
一度切った髪も子供が生まれる頃には伸びているだろう。
夢の中のやつに妬いたのではないが、普段からもっと激しく愛せばいい。
もう今更グイグイいけないとかそういうこともない。
同棲中に実家へ戻った時、 彼女を失ったら生きていけないのを思い知った。
グズで優柔不断な男には二度と戻らない。
「強引な方が安心するんやろ?」
頬に指を滑らせる。
この先、愛が深まっても揺らぐ事は消してないのだろう。
(菫子、藤城青は魔物っていうよりあれは魔王やで。
 また二人で病院に行ったら会えるな)
 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

新人メイド桃ちゃんのお仕事

さわみりん
恋愛
黒髪ボブのメイドの桃ちゃんが、働き先のお屋敷で、旦那様とその息子との親子丼。

お義父さん、好き。

うみ
恋愛
お義父さんの子を孕みたい……。義理の父を好きになって、愛してしまった。

カモフラ婚~CEOは溺愛したくてたまらない!~

伊吹美香
恋愛
ウエディングプランナーとして働く菱崎由華 結婚式当日に花嫁に逃げられた建築会社CEOの月城蒼空 幼馴染の二人が偶然再会し、花嫁に逃げられた蒼空のメンツのために、カモフラージュ婚をしてしまう二人。 割り切った結婚かと思いきや、小さいころからずっと由華のことを想っていた蒼空が、このチャンスを逃すはずがない。 思いっきり溺愛する蒼空に、由華は翻弄されまくりでパニック。 二人の結婚生活は一体どうなる?

淫らな蜜に狂わされ

歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。 全体的に性的表現・性行為あり。 他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。 全3話完結済みです。

【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜

来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、 疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。 無愛想で冷静な上司・東條崇雅。 その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、 仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。 けれど―― そこから、彼の態度は変わり始めた。 苦手な仕事から外され、 負担を減らされ、 静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。 「辞めるのは認めない」 そんな言葉すらないのに、 無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。 これは愛? それともただの執着? じれじれと、甘く、不器用に。 二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。 無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

ブラック企業で倒れた私を、ネトゲ仲間の社長が強制保護して溺愛しています

紅 与一
恋愛
過労で倒れた私を救ったのは、 ネトゲ仲間――そしてIT企業の若き社長。 「もう君は、僕の管理下だよ」 退院と同時に退職手続きは完了。 住む場所も、生活も、すべて彼に囲われた。 外出制限、健康管理、過保護な独占欲。 甘くて危険な“保護生活”の中で、 私は少しずつ彼に心を奪われていく――。 元社畜OL×執着気味の溺愛社長 囲い込み同棲ラブストーリー。

処理中です...