57 / 68
番外編集
外伝「Distance~あの頃と今(2)」
しおりを挟む
午後五時、夕食の支度を始めた菫子に、
手伝えることはないかと聞くとゆっくりしていてと断られた。
有無を言わさぬ様子なので言葉を継ぐことなく従ったが、
愛妻に家事を任せるのが当たり前なんて思っていない。
菫子は出産と育児休暇が開けたら仕事復帰する予定だし、
それでなくても妻が家事や育児を全負担するのは、よくないと思っていた。
(親の教えもあったし)
男女でこうだという決めつけはよくないという
環境で育ったゆえ、妹も別方向の価値観を持つようになった。
「咲来(さくら)、久しぶりやな。
元気そうやないか」
「涼が出迎えかー。なんで菫子ちゃんやないん」
こんな調子なので初対面の時菫子は話に聞いたのとの
ギャップに驚いていた。
五年以上前のことになるが。
俺にべたべたひっついてくる妹……そんなん中学生までの話や。
リビングに案内すると、さっそくゴロゴロし始めた。
それを見下ろしながら毒づく。
「久しぶりに会ったお兄様を呼び捨てとはええ度胸やな」
「細かいこと気にしとったらハゲ……うちの遺伝的には、
白髪かな。気ぃつけたほうがええで」
「お前もな。二歳しか変わらんのやから」
「咲来、久しぶりっ!」
「菫子姉、バレンタインのチョコやでっ」
数か月ぶりに現れた実妹は菫子を無遠慮に抱擁した。
「咲来(さくら)、ありがとう! 私からも妹チョコあげるね!」
むぎゅうと音がしそうな勢いで抱きしめられて菫子は少し苦しそうだった。
173㎝の身長は草壁家の血ゆえだろうが、
初対面の時に10センチわけてと菫子に冗談で言われている。
菫子はチョコレートをテーブルの上に置いた。
「二人が話してると喧嘩しているように聞こえるんだけど、気のせいよね」
「いい大人がそんなことするわけないって」
「せやで」
兄と妹揃って否定する。
弟より年が近い分遠慮がないし、
同じ関西弁だからかきついやり取りに聞こえるのだろうか。
両親と話すのともまた違うし。
「涼ちゃんにはあげないの?」
「ええー。今更、妹からのチョコなんていらんやろ。
それも菫子姉、一人で食べたらええからな!」
「こう言うてるけど、昔はくれてたんやで……俺が中三まで」
「涼兄は関西の高校行ったからなー
爽は寂しそうやったけどばあちゃんは嬉しかったやろな」
「咲来は、涼ちゃんの昔話をいっぱい知ってそうね」
「一応知ってるけど、さすがに沽券にかかわるしなあ。いや人の話は目の前におらんかってもできんし」
「本人以外から聞くものじゃないしね」
「せやな。それより私の愚痴聞いてや」
菫子と一緒にソファに座りながら妹は俺が淹れてやった麦茶を飲んでいる。
「お仕事が大変なの? 咲来は優秀だからいい会社で、
バリキャリだもんね」
「うん」
「少しは謙遜しろ」
「仕事なんて帰ってくるまでやん。だから楽しいんよ。
帰りが遅なっても家には仕事持ち込まないようにしてる」
「……やっぱり兄妹似てるわよね。
涼ちゃんもドライなところあるし」
「顔、言われたらどうしようかと思った」
「……何やそれ」
「もちろん、顔も似てるわよ。
女性版涼ちゃん」
「やな言い方せんといて」
「……菫子は俺の顔に一目ぼれしたんやで。
よかったやないか」
精悍な感じの男前に一目惚れしたのよ。
「それとこれとは別やねん。
涼兄が菫子ちゃんと付き合って結婚したのは、
でかしたって思うよ。涼兄じゃなかったら、
嫌やし。こんなかわいい子がー」
咲来は菫子の肩に腕を回した。
「初対面から私を好きになってくれててうれしかったわ」
「だって、タイプやし」
とかふざけたやり取りをしていたが、菫子が本題を切り出した。
「咲来、付き合ってた人がいたわよね……どうなったの?」
「自然消滅とか、なあなあの別れやなくて
きっちり言ってやった。
あんたなんて嫌いやわ。その腑抜けた顔二度と見せんといてくれる」
「さすが咲来、強い」
「……まだ引きずってるんやろ」
突っ込むと、咲来は涙目になった。
「……私が悪いんよ。
忘れられん人のことが頭ちらついて本気になれんかった」
「咲来、つらかったわね。相手を傷つけるほうがしんどいもの」
「うわあん……来世は菫子姉と結婚するー」
「来世で咲来が異性だったらそうしよう」
「……これ、俺はどう突っ込むべきなんやろ」
(美しい姉妹愛……いや)
「涼ちゃん、咲来と女性同士で話があるから
その間、奏の様子を見てきて」
「わかった」
菫子は身内や親しい人間にめちゃくちゃ甘い。
ある意味で危険人物な妹にも同様だ。
(爽はまあ、置いといて健太や篤紀よりやばいかもしれへんのやで)
涼ちゃんが奏の様子を見に行ってくれたので義妹に向き直った。
涼ちゃんに似てると言われて不快そうに顔をゆがめる彼女だけど、
悪口どころか誉め言葉だ。
(涼ちゃんはかっこよくて咲来は美人)
内面に抱える複雑な事情を知り、
いわゆる偏見や決めつけはよくないと彼女と出逢って知った。
涼ちゃんがおおらかな部分あるのも妹のことがあるからだと思う。
「忘れられない人って……大学時代の同級生?」
それっぽい話を何年か前に聞いた気がする。
「そうや……私は二股でもいいって思ってたけど
相手はそういうのできる人間じゃなかった。
あ、私自身は同時に二人を好きになったりはないよ。
相手の本命やなくても……ってことで。
異性なのにめちゃかわで……」
「……ぐは。めちゃかわいい男の子かー」
「ツンデレ属性が菫子ちゃんにも似てたで」
「えっ……あら」
「詳しくは言われへんけど、
……ぶっちゃけ両思いって奇跡なのは確かよな。
私もまた誰かを好きになりたいわ」
いつも目の前の人を全力で愛してたくさん恋をしてきただろう
最愛の義妹をめいっぱい抱きしめた。
「涼兄が、合コンの時に菫子ちゃんに声掛けんかったのもわかる気がする。
前聞いた時は、なんでそこで声掛けへんねん。へたれやな!って思ったけど、
あそこでお持ち帰りしとったら二人は始まってなかったんやないかな」
涼ちゃんによく似た顔で、そう言われるとドキッとする。
(情熱的で愛情深い所もそっくり)
声質もそんなに高くないし。
「よし、今日は泊まって行きなさい。おねえさんがとことん話に付き合うわよ。
実はシスコンのお兄ちゃんも付き合ってくれるしね」
「奏のこともあるし大変やろ。急に来といて厚かましいわ」
「……そこは家族で協力して」
「オッケー!」
さくらが勢いよく抱きついてきた所で涼ちゃんが戻ってきた。
「この小ささたまらんわー」
「菫子、悪いな。愚妹に付き合ってもろて」
「何言ってんの! 私はきょうだいがいないし、涼ちゃんの家が羨ましかったのよ。
歳の近い可愛いと妹と歳が離れた弟、温かいご両親。
出会わせてくれて、家族になれて感謝なんだから」
「……涼の嫁にしとくには惜しい」
「菫子は、俺にはもったいないくらいの女やから。おらんと生きていかれへんし」
涼ちゃんは、家族の前でこういう惚気(のろけ)をするのは珍しい。
私の腕をさりげなく掴んでいるが気になっていたら、彼の広い腕の中に包み込まれていた。
「涼兄も、きょうだいの前で堂々とするようになったなあ。ええことや」
「俺の妹なら、諦めるな。
そしたらこんな幸せ掴めるで」
ドヤ顔が気になる。
「あ、うん。せやね」
咲来は、既に涙は引っ込んでいてけろっとしていた。
前も失恋した彼女を慰めたことがあるが、
私に話したらすぐ立ち直ったのを思い出す。
「この後、うるさいのが何人か来るけどそいつらが帰ったら大人の時間や」
「そ、そういえば健太が来るけど大丈夫かしら」
「爽の友達の健太やろー。可愛いよな」
健太は咲来が苦手らしいが、当の本人は気にしていないようだ。
涼ちゃんを見ると苦笑いしていた。
「こんにちはー!」
爽の声が聞こえてきた。
高校二年生三人組を代表して挨拶したのは涼ちゃんの弟で私の義弟・爽(そう)だ。
ぱたぱたと玄関の方へ急ぐ。
「いらっしゃい! 今日は三人揃って来てくれたのね」
「半年も会ってなくてそろそろ菫子ちゃん不足だった」
篤紀は、三人の中で一番身長が高い。
以前来た時に182センチと言っていた。
爽も180センチ弱あるし健太も175センチだ。
それに……、女子にしては長身(この言い方すると本人は嫌がる)の
咲来も173センチある。
この人達に挟まれて少し肩身が狭い……わけないでしょ!
咲来とも20センチ違うなんて。
いやこれは家系のせいよ。
大して広くもない我が家に何人集まってるのか……。
全員がリビングに集まると余計狭く感じた。
「……菫子ちゃん、ピラティスやってみたら?
何年かしたら少しくらいは身長伸びるかも」
「あっくん……久々に会えた上に有益な情報をありがとう。
どうせなら小さかったのに大きくなった人の話を聞きたいんだけど!」
「菫子、全員昔はちいさかったんやで。
前も言ったやろ。俺も中学から急激に伸びたんやって」
「年取ったら縮むっていうし伸ばしときたいわよね」
「菫子姉、ピラティス、いいかもよ。
10年くらいの長期戦になるかもやけど大人でも伸びる可能性はあるんやない?」
篤紀の言葉に補足する咲来。
「……ちょっとだけ伸びてほしい」
男子高校生仲良し三人組は、それぞれ話を始めていた。
「女の子はそれくらいがかわいいって」
「咲来は牛乳をたくさん飲んだの?」
「牛乳というか、カルシウムとるならビタミンDと一緒にとらな」
咲来に正論を言われて唇をとがらせる。
「か、かわ……!」
むぎゅうと抱きしめてくる咲来に、顔が赤くなった。
「かわいくないわ。そんなのとっくにやってるのよー」
「久しぶりにツンデレの本領発揮」
「……結婚してだいぶん丸くなったもんね。
見た目はそんなに変わらないのに」
「あっくんはなんでそんなに生意気になったの?」
「成長して変わったこともあるかも」
「……篤紀は、付き合ってる相手いるし」
「告白されて付き合うことにした。
そしたら、どんどん好きになっていったんだよね。
初めから両想いじゃなくても関係なかった。
俺の場合だけどね」
「あっくん、大人になったね」
涼ちゃんは唖然としているようだ。
「高校生になってからあっくんが一番変わったよね。
科は違ってもみんな同じ高校で部活も同じだから、
過ごす時間も結構あるんだけど」
爽はよく人間を見ていると思う。
「健太、どうして目をそらしてるの?」
「いや……ちょっと」
「やっぱり私のことが苦手なん……。
菫子ちゃんみたいに小さくないしな」
「咲来ちゃん、そんなこと関係ないよ」
篤紀はさりげなくフォローする。
「そんなことで苦手に思ったりする子じゃないわよ」
私も言い添えた。
「みんなかわいいんだから」
「一番可愛い菫子ちゃんに言われちゃった」
「私はすっかり立派なお母さんになったのに!」
涼ちゃんが口元を押さえて笑っていたので、横っ腹を肘でどついた。
「菫子はずっと変わらず年下年上変わらずモテモテやなあ」
寛大な旦那様は、気にせず泰然と微笑んでいる。
恥ずかしくなったので下を向こうと思ったけど、
胸の中に閉じ込められていた。
「人前で何するの!」
「別に見知った仲やん」
「余計に恥ずかしいじゃない」
「涼兄、お邪魔なら帰るよ。チョコレートをもらったら」
爽くんが大人な対応をして、更に赤面した。
「涼兄も私らやから気にしてないんよ。
関係性が違う他人やったらちゃうもんな?」
咲来がずばりと指摘した。
涼ちゃんは、不敵に笑うのみだった。
「チョコレート、準備してあるからね。
一緒に来て」
咲来、爽くん、健太、あっくんをダイニングキッチンに誘う。
涼ちゃんの分は夜に渡すことになっている。
「咲来、これどうぞ。私の方もチョコレートありがとね」
「わーい!」
咲来は無邪気に喜び受け取ったチョコを手にリビングに戻った。
「はい、爽くん、健太、篤紀」
初めて愛称ではなく名前で呼んだ。
高校生の彼を子供扱いはできないと思ったからだ。
中学生の時はまだよかったかもしれないけど。
「……ありがと。菫子ちゃん、でも……できたら
あっくんって呼んでくれないかな。
何だか寂しくなっちゃった」
「あっくん」
つい頭に手を伸ばしかけた遙か上にあるので諦める。
(それこそ子供扱いだもんね)
あっくんこと篤紀はリビングに戻っていった。
手を握ってきた健太にきょとんとする。
「関係性が変わっても、菫子ちゃん推しなのは変わらないよ。
ずっと涼くんとかなちゃんと幸せに暮らしてね。
この前も言ったと思うけど」
「うう……健太」
「でも、それはやめといた方がいいよ。
ドキドキしちゃうからね」
抱きしめかけた腕をひっこめた。
(私にドキドキしてどうするのよ!
いっちょ前に何言ってんのかしら。先週も抱きしめたでしょ)
「菫子姉ちゃんが篤紀や健太と知り合いで、
すごく仲良しだったの驚いたんだけど、分かる気もしたんだよね。
初めて会った時に僕も咲来姉も虜にされちゃったし」
ちょっと涙ぐんでしまった。
最近、涙腺が弱くなった気がする。
「それぞれ皆の世界があるしいつまでも
同じ距離感で一緒にいられるわけじゃないものね。
健太やあっくんが、夢を掴んだり
誰か素敵な人と幸せになれるの応援してるから。
私のこと慕ってくれてありがとう」
「……涼くん、来る気配ないよね?」
健太がぼそっとつぶやいた。
「じゃあ、俺が代表して」
爽くんが抱きついてきてよろけた。
身長差がある相手との接触は大変なのだ。
(一年以上前に例の俺様ドクターにハグされた時は、
扱いが慣れていて驚いた。若干むかついたけど)
「涼ちゃん、そんなことくらいで怒らないわよ。
昔に比べたら丸くなったもの」
「そうだよね。涼兄は寛大だもん」
爽くんは9歳上の義姉の頭をなで回してきた。
「……奏にしてあげてよ」
「してるって」
「仲間には入れなくて拗ねるくらいかな。ふふ」
「拗ねるわけないやろが」
やろの後に『が』がつくときつめの口調になる。
いや、全然平気だけど。
「菫子ちゃん、チョコレートありがとう!」
「今度は付き合っている人から本命チョコをもらってね」
「……うん」
健太が元気よく返事をしリビングに行く。
「涼兄、今日は菫子ちゃんが大好きな皆が集まってよかったね」
「菫子の人徳やと思うわ」
「そんなのないってば!」
「また来月、来るからねー。他の二人は知らないけど
俺はホワイトデーのお返し持ってくるから」
「気にしなくていいのよ?」
「無理のない範囲で返そう。もらったんやから」
涼ちゃんのアドバイスに爽くんは頷いた。
「菫子ちゃーん!」
名前を呼ばれると玄関に健太と篤紀がいた。
「そろそろ帰るよ」
「あ、俺も帰る」
爽も玄関に歩いてきた。
「菫子姉ちゃん、久しぶりに会えてうれしかった」
篤紀が、そう呼んでくれて心が温まった。
三人が揃ってお邪魔しますといい帰って行く。
「……寂しくなっちゃった」
「そうやな。高校生にもなって、
俺らとまだ付き合い続けてくれてるのは感謝せんとな」
「涼ちゃんが、すごく大人に見える」
「大人やで。いくつや思ってるん?」
くすっと笑われた。
歩きながらリビングに戻る。
さすがに皆高校生ということもあり
そこまで騒々しいこともなく奏は一度も目を覚ますことはなかった。
「篤紀はなんであっくんって呼んでほしいって言ったのかしら」
「……昔のままの呼び方の方がよかっただけやろ」
涼ちゃんに聞いてみたけど本当は分かっていた。
私は彼らの純粋な好意がうれしかったんだ。
(本当にありがとう)
「奏、いい子やね。一回も起きへんかった」
奏がいる部屋に行くと咲来が、奏を抱っこしていた。
不慣れな様子はなく慣れている風だ。
「咲来ありがとう……私も咲来の子供を抱っこしたいな」
「この人の子が産みたいって思うような人と出逢えたらいいんやけど」
「ちゃんといるわよ」
奏と咲来を見比べて微笑む。
高校生が帰って大人の時間はこれからだ。
手伝えることはないかと聞くとゆっくりしていてと断られた。
有無を言わさぬ様子なので言葉を継ぐことなく従ったが、
愛妻に家事を任せるのが当たり前なんて思っていない。
菫子は出産と育児休暇が開けたら仕事復帰する予定だし、
それでなくても妻が家事や育児を全負担するのは、よくないと思っていた。
(親の教えもあったし)
男女でこうだという決めつけはよくないという
環境で育ったゆえ、妹も別方向の価値観を持つようになった。
「咲来(さくら)、久しぶりやな。
元気そうやないか」
「涼が出迎えかー。なんで菫子ちゃんやないん」
こんな調子なので初対面の時菫子は話に聞いたのとの
ギャップに驚いていた。
五年以上前のことになるが。
俺にべたべたひっついてくる妹……そんなん中学生までの話や。
リビングに案内すると、さっそくゴロゴロし始めた。
それを見下ろしながら毒づく。
「久しぶりに会ったお兄様を呼び捨てとはええ度胸やな」
「細かいこと気にしとったらハゲ……うちの遺伝的には、
白髪かな。気ぃつけたほうがええで」
「お前もな。二歳しか変わらんのやから」
「咲来、久しぶりっ!」
「菫子姉、バレンタインのチョコやでっ」
数か月ぶりに現れた実妹は菫子を無遠慮に抱擁した。
「咲来(さくら)、ありがとう! 私からも妹チョコあげるね!」
むぎゅうと音がしそうな勢いで抱きしめられて菫子は少し苦しそうだった。
173㎝の身長は草壁家の血ゆえだろうが、
初対面の時に10センチわけてと菫子に冗談で言われている。
菫子はチョコレートをテーブルの上に置いた。
「二人が話してると喧嘩しているように聞こえるんだけど、気のせいよね」
「いい大人がそんなことするわけないって」
「せやで」
兄と妹揃って否定する。
弟より年が近い分遠慮がないし、
同じ関西弁だからかきついやり取りに聞こえるのだろうか。
両親と話すのともまた違うし。
「涼ちゃんにはあげないの?」
「ええー。今更、妹からのチョコなんていらんやろ。
それも菫子姉、一人で食べたらええからな!」
「こう言うてるけど、昔はくれてたんやで……俺が中三まで」
「涼兄は関西の高校行ったからなー
爽は寂しそうやったけどばあちゃんは嬉しかったやろな」
「咲来は、涼ちゃんの昔話をいっぱい知ってそうね」
「一応知ってるけど、さすがに沽券にかかわるしなあ。いや人の話は目の前におらんかってもできんし」
「本人以外から聞くものじゃないしね」
「せやな。それより私の愚痴聞いてや」
菫子と一緒にソファに座りながら妹は俺が淹れてやった麦茶を飲んでいる。
「お仕事が大変なの? 咲来は優秀だからいい会社で、
バリキャリだもんね」
「うん」
「少しは謙遜しろ」
「仕事なんて帰ってくるまでやん。だから楽しいんよ。
帰りが遅なっても家には仕事持ち込まないようにしてる」
「……やっぱり兄妹似てるわよね。
涼ちゃんもドライなところあるし」
「顔、言われたらどうしようかと思った」
「……何やそれ」
「もちろん、顔も似てるわよ。
女性版涼ちゃん」
「やな言い方せんといて」
「……菫子は俺の顔に一目ぼれしたんやで。
よかったやないか」
精悍な感じの男前に一目惚れしたのよ。
「それとこれとは別やねん。
涼兄が菫子ちゃんと付き合って結婚したのは、
でかしたって思うよ。涼兄じゃなかったら、
嫌やし。こんなかわいい子がー」
咲来は菫子の肩に腕を回した。
「初対面から私を好きになってくれててうれしかったわ」
「だって、タイプやし」
とかふざけたやり取りをしていたが、菫子が本題を切り出した。
「咲来、付き合ってた人がいたわよね……どうなったの?」
「自然消滅とか、なあなあの別れやなくて
きっちり言ってやった。
あんたなんて嫌いやわ。その腑抜けた顔二度と見せんといてくれる」
「さすが咲来、強い」
「……まだ引きずってるんやろ」
突っ込むと、咲来は涙目になった。
「……私が悪いんよ。
忘れられん人のことが頭ちらついて本気になれんかった」
「咲来、つらかったわね。相手を傷つけるほうがしんどいもの」
「うわあん……来世は菫子姉と結婚するー」
「来世で咲来が異性だったらそうしよう」
「……これ、俺はどう突っ込むべきなんやろ」
(美しい姉妹愛……いや)
「涼ちゃん、咲来と女性同士で話があるから
その間、奏の様子を見てきて」
「わかった」
菫子は身内や親しい人間にめちゃくちゃ甘い。
ある意味で危険人物な妹にも同様だ。
(爽はまあ、置いといて健太や篤紀よりやばいかもしれへんのやで)
涼ちゃんが奏の様子を見に行ってくれたので義妹に向き直った。
涼ちゃんに似てると言われて不快そうに顔をゆがめる彼女だけど、
悪口どころか誉め言葉だ。
(涼ちゃんはかっこよくて咲来は美人)
内面に抱える複雑な事情を知り、
いわゆる偏見や決めつけはよくないと彼女と出逢って知った。
涼ちゃんがおおらかな部分あるのも妹のことがあるからだと思う。
「忘れられない人って……大学時代の同級生?」
それっぽい話を何年か前に聞いた気がする。
「そうや……私は二股でもいいって思ってたけど
相手はそういうのできる人間じゃなかった。
あ、私自身は同時に二人を好きになったりはないよ。
相手の本命やなくても……ってことで。
異性なのにめちゃかわで……」
「……ぐは。めちゃかわいい男の子かー」
「ツンデレ属性が菫子ちゃんにも似てたで」
「えっ……あら」
「詳しくは言われへんけど、
……ぶっちゃけ両思いって奇跡なのは確かよな。
私もまた誰かを好きになりたいわ」
いつも目の前の人を全力で愛してたくさん恋をしてきただろう
最愛の義妹をめいっぱい抱きしめた。
「涼兄が、合コンの時に菫子ちゃんに声掛けんかったのもわかる気がする。
前聞いた時は、なんでそこで声掛けへんねん。へたれやな!って思ったけど、
あそこでお持ち帰りしとったら二人は始まってなかったんやないかな」
涼ちゃんによく似た顔で、そう言われるとドキッとする。
(情熱的で愛情深い所もそっくり)
声質もそんなに高くないし。
「よし、今日は泊まって行きなさい。おねえさんがとことん話に付き合うわよ。
実はシスコンのお兄ちゃんも付き合ってくれるしね」
「奏のこともあるし大変やろ。急に来といて厚かましいわ」
「……そこは家族で協力して」
「オッケー!」
さくらが勢いよく抱きついてきた所で涼ちゃんが戻ってきた。
「この小ささたまらんわー」
「菫子、悪いな。愚妹に付き合ってもろて」
「何言ってんの! 私はきょうだいがいないし、涼ちゃんの家が羨ましかったのよ。
歳の近い可愛いと妹と歳が離れた弟、温かいご両親。
出会わせてくれて、家族になれて感謝なんだから」
「……涼の嫁にしとくには惜しい」
「菫子は、俺にはもったいないくらいの女やから。おらんと生きていかれへんし」
涼ちゃんは、家族の前でこういう惚気(のろけ)をするのは珍しい。
私の腕をさりげなく掴んでいるが気になっていたら、彼の広い腕の中に包み込まれていた。
「涼兄も、きょうだいの前で堂々とするようになったなあ。ええことや」
「俺の妹なら、諦めるな。
そしたらこんな幸せ掴めるで」
ドヤ顔が気になる。
「あ、うん。せやね」
咲来は、既に涙は引っ込んでいてけろっとしていた。
前も失恋した彼女を慰めたことがあるが、
私に話したらすぐ立ち直ったのを思い出す。
「この後、うるさいのが何人か来るけどそいつらが帰ったら大人の時間や」
「そ、そういえば健太が来るけど大丈夫かしら」
「爽の友達の健太やろー。可愛いよな」
健太は咲来が苦手らしいが、当の本人は気にしていないようだ。
涼ちゃんを見ると苦笑いしていた。
「こんにちはー!」
爽の声が聞こえてきた。
高校二年生三人組を代表して挨拶したのは涼ちゃんの弟で私の義弟・爽(そう)だ。
ぱたぱたと玄関の方へ急ぐ。
「いらっしゃい! 今日は三人揃って来てくれたのね」
「半年も会ってなくてそろそろ菫子ちゃん不足だった」
篤紀は、三人の中で一番身長が高い。
以前来た時に182センチと言っていた。
爽も180センチ弱あるし健太も175センチだ。
それに……、女子にしては長身(この言い方すると本人は嫌がる)の
咲来も173センチある。
この人達に挟まれて少し肩身が狭い……わけないでしょ!
咲来とも20センチ違うなんて。
いやこれは家系のせいよ。
大して広くもない我が家に何人集まってるのか……。
全員がリビングに集まると余計狭く感じた。
「……菫子ちゃん、ピラティスやってみたら?
何年かしたら少しくらいは身長伸びるかも」
「あっくん……久々に会えた上に有益な情報をありがとう。
どうせなら小さかったのに大きくなった人の話を聞きたいんだけど!」
「菫子、全員昔はちいさかったんやで。
前も言ったやろ。俺も中学から急激に伸びたんやって」
「年取ったら縮むっていうし伸ばしときたいわよね」
「菫子姉、ピラティス、いいかもよ。
10年くらいの長期戦になるかもやけど大人でも伸びる可能性はあるんやない?」
篤紀の言葉に補足する咲来。
「……ちょっとだけ伸びてほしい」
男子高校生仲良し三人組は、それぞれ話を始めていた。
「女の子はそれくらいがかわいいって」
「咲来は牛乳をたくさん飲んだの?」
「牛乳というか、カルシウムとるならビタミンDと一緒にとらな」
咲来に正論を言われて唇をとがらせる。
「か、かわ……!」
むぎゅうと抱きしめてくる咲来に、顔が赤くなった。
「かわいくないわ。そんなのとっくにやってるのよー」
「久しぶりにツンデレの本領発揮」
「……結婚してだいぶん丸くなったもんね。
見た目はそんなに変わらないのに」
「あっくんはなんでそんなに生意気になったの?」
「成長して変わったこともあるかも」
「……篤紀は、付き合ってる相手いるし」
「告白されて付き合うことにした。
そしたら、どんどん好きになっていったんだよね。
初めから両想いじゃなくても関係なかった。
俺の場合だけどね」
「あっくん、大人になったね」
涼ちゃんは唖然としているようだ。
「高校生になってからあっくんが一番変わったよね。
科は違ってもみんな同じ高校で部活も同じだから、
過ごす時間も結構あるんだけど」
爽はよく人間を見ていると思う。
「健太、どうして目をそらしてるの?」
「いや……ちょっと」
「やっぱり私のことが苦手なん……。
菫子ちゃんみたいに小さくないしな」
「咲来ちゃん、そんなこと関係ないよ」
篤紀はさりげなくフォローする。
「そんなことで苦手に思ったりする子じゃないわよ」
私も言い添えた。
「みんなかわいいんだから」
「一番可愛い菫子ちゃんに言われちゃった」
「私はすっかり立派なお母さんになったのに!」
涼ちゃんが口元を押さえて笑っていたので、横っ腹を肘でどついた。
「菫子はずっと変わらず年下年上変わらずモテモテやなあ」
寛大な旦那様は、気にせず泰然と微笑んでいる。
恥ずかしくなったので下を向こうと思ったけど、
胸の中に閉じ込められていた。
「人前で何するの!」
「別に見知った仲やん」
「余計に恥ずかしいじゃない」
「涼兄、お邪魔なら帰るよ。チョコレートをもらったら」
爽くんが大人な対応をして、更に赤面した。
「涼兄も私らやから気にしてないんよ。
関係性が違う他人やったらちゃうもんな?」
咲来がずばりと指摘した。
涼ちゃんは、不敵に笑うのみだった。
「チョコレート、準備してあるからね。
一緒に来て」
咲来、爽くん、健太、あっくんをダイニングキッチンに誘う。
涼ちゃんの分は夜に渡すことになっている。
「咲来、これどうぞ。私の方もチョコレートありがとね」
「わーい!」
咲来は無邪気に喜び受け取ったチョコを手にリビングに戻った。
「はい、爽くん、健太、篤紀」
初めて愛称ではなく名前で呼んだ。
高校生の彼を子供扱いはできないと思ったからだ。
中学生の時はまだよかったかもしれないけど。
「……ありがと。菫子ちゃん、でも……できたら
あっくんって呼んでくれないかな。
何だか寂しくなっちゃった」
「あっくん」
つい頭に手を伸ばしかけた遙か上にあるので諦める。
(それこそ子供扱いだもんね)
あっくんこと篤紀はリビングに戻っていった。
手を握ってきた健太にきょとんとする。
「関係性が変わっても、菫子ちゃん推しなのは変わらないよ。
ずっと涼くんとかなちゃんと幸せに暮らしてね。
この前も言ったと思うけど」
「うう……健太」
「でも、それはやめといた方がいいよ。
ドキドキしちゃうからね」
抱きしめかけた腕をひっこめた。
(私にドキドキしてどうするのよ!
いっちょ前に何言ってんのかしら。先週も抱きしめたでしょ)
「菫子姉ちゃんが篤紀や健太と知り合いで、
すごく仲良しだったの驚いたんだけど、分かる気もしたんだよね。
初めて会った時に僕も咲来姉も虜にされちゃったし」
ちょっと涙ぐんでしまった。
最近、涙腺が弱くなった気がする。
「それぞれ皆の世界があるしいつまでも
同じ距離感で一緒にいられるわけじゃないものね。
健太やあっくんが、夢を掴んだり
誰か素敵な人と幸せになれるの応援してるから。
私のこと慕ってくれてありがとう」
「……涼くん、来る気配ないよね?」
健太がぼそっとつぶやいた。
「じゃあ、俺が代表して」
爽くんが抱きついてきてよろけた。
身長差がある相手との接触は大変なのだ。
(一年以上前に例の俺様ドクターにハグされた時は、
扱いが慣れていて驚いた。若干むかついたけど)
「涼ちゃん、そんなことくらいで怒らないわよ。
昔に比べたら丸くなったもの」
「そうだよね。涼兄は寛大だもん」
爽くんは9歳上の義姉の頭をなで回してきた。
「……奏にしてあげてよ」
「してるって」
「仲間には入れなくて拗ねるくらいかな。ふふ」
「拗ねるわけないやろが」
やろの後に『が』がつくときつめの口調になる。
いや、全然平気だけど。
「菫子ちゃん、チョコレートありがとう!」
「今度は付き合っている人から本命チョコをもらってね」
「……うん」
健太が元気よく返事をしリビングに行く。
「涼兄、今日は菫子ちゃんが大好きな皆が集まってよかったね」
「菫子の人徳やと思うわ」
「そんなのないってば!」
「また来月、来るからねー。他の二人は知らないけど
俺はホワイトデーのお返し持ってくるから」
「気にしなくていいのよ?」
「無理のない範囲で返そう。もらったんやから」
涼ちゃんのアドバイスに爽くんは頷いた。
「菫子ちゃーん!」
名前を呼ばれると玄関に健太と篤紀がいた。
「そろそろ帰るよ」
「あ、俺も帰る」
爽も玄関に歩いてきた。
「菫子姉ちゃん、久しぶりに会えてうれしかった」
篤紀が、そう呼んでくれて心が温まった。
三人が揃ってお邪魔しますといい帰って行く。
「……寂しくなっちゃった」
「そうやな。高校生にもなって、
俺らとまだ付き合い続けてくれてるのは感謝せんとな」
「涼ちゃんが、すごく大人に見える」
「大人やで。いくつや思ってるん?」
くすっと笑われた。
歩きながらリビングに戻る。
さすがに皆高校生ということもあり
そこまで騒々しいこともなく奏は一度も目を覚ますことはなかった。
「篤紀はなんであっくんって呼んでほしいって言ったのかしら」
「……昔のままの呼び方の方がよかっただけやろ」
涼ちゃんに聞いてみたけど本当は分かっていた。
私は彼らの純粋な好意がうれしかったんだ。
(本当にありがとう)
「奏、いい子やね。一回も起きへんかった」
奏がいる部屋に行くと咲来が、奏を抱っこしていた。
不慣れな様子はなく慣れている風だ。
「咲来ありがとう……私も咲来の子供を抱っこしたいな」
「この人の子が産みたいって思うような人と出逢えたらいいんやけど」
「ちゃんといるわよ」
奏と咲来を見比べて微笑む。
高校生が帰って大人の時間はこれからだ。
0
あなたにおすすめの小説
愛を知らない御曹司は専属メイドにご執心
夏目萌
恋愛
潰れかけの危機に立たされている実家の店を救いたくて、試行錯誤する来栖 侑那が偶然見つけたのは——「財閥御曹司の専属メイド募集」という、夢のような高収入の仕事だった。
ダメ元で応募してみると、まさかの即採用&住み込み勤務。
だけど、そこで待っていたのは傲慢で俺様な御曹司・上澤 巴。
「金目当てで来たんだろ?」
なんて見下すような言葉にも侑那は屈しないどころか言い返され、“思い通りにならない女”との初めての出逢いに巴は戸惑いを隠せなくなる。
強気なメイドとツンデレ御曹司。
衝突するたび、距離が近づいていく二人だけど、ひとつの誤解が、二人の心をすれ違わせてしまい——。
俺様ツンデレ御曹司×強気なメイドのすれ違いラブ
他サイト様にも公開中
恋と首輪
山猫
恋愛
日本屈指の名門・城聖高校には、生徒たちが逆らえない“首輪制度”が存在する。
絶対的支配者・東雲財閥の御曹司、東雲 蓮の「選んだ者」は、卒業まで彼の命令に従わなければならない――。
地味で目立たぬ存在だった月宮みゆは、なぜかその“首輪”に選ばれてしまう。
冷酷非情と思っていた蓮の、誰にも見せない孤独と優しさに触れた時、みゆの心は静かに揺れはじめる。
「おめでとう、今日から君は俺の所有物だ。」
イケメン財閥御曹司
東雲 蓮
×
「私はあなたが嫌いです。」
訳あり平凡女子
月宮 みゆ
愛とか恋なんて馬鹿らしい。 愚かな感情だ。
訳ありのふたりが、偽りだらけの学園で紡ぐカーストラブ。
魚人族のバーに行ってワンナイトラブしたら番いにされて種付けされました
ノルジャン
恋愛
人族のスーシャは人魚のルシュールカを助けたことで仲良くなり、魚人の集うバーへ連れて行ってもらう。そこでルシュールカの幼馴染で鮫魚人のアグーラと出会い、一夜を共にすることになって…。ちょっとオラついたサメ魚人に激しく求められちゃうお話。ムーンライトノベルズにも投稿中。
ヤンデレ王子を闇落ちから救ったら愛執まみれの独占欲に囚われました
大江戸ウメコ
恋愛
幼い頃に精霊の祝福である未来視の力が開花し、「夫である第二王子ナハルドに殺される」という己の運命を知った伯爵令嬢ツィーラ。この悲惨な未来を変えるべく、ツィーラは彼を避けようとしたが、ひょんなことから婚約者に選ばれてしまった! ならば、ナハルドが将来闇落ちしないよう、側で彼を支えることを決意する。そんな努力の甲斐あって、ツィーラへの好意を隠さず伝えてくるほど、ナハルドとの関係は良好になった。だけど、彼の並々ならぬ執着心のすべてを、ツィーラはまだ知らなくて――
Melty romance 〜甘S彼氏の執着愛〜
yuzu
恋愛
人数合わせで強引に参加させられた合コンに現れたのは、高校生の頃に少しだけ付き合って別れた元カレの佐野充希。適当にその場をやり過ごして帰るつもりだった堀沢真乃は充希に捕まりキスされて……
「オレを好きになるまで離してやんない。」
泡風呂を楽しんでいただけなのに、空中から落ちてきた異世界騎士が「離れられないし目も瞑りたくない」とガン見してきた時の私の対応。
待鳥園子
恋愛
半年に一度仕事を頑張ったご褒美に一人で高級ラグジョアリーホテルの泡風呂を楽しんでたら、いきなり異世界騎士が落ちてきてあれこれ言い訳しつつ泡に隠れた体をジロジロ見てくる話。
密室に二人閉じ込められたら?
水瀬かずか
恋愛
気がつけば会社の倉庫に閉じ込められていました。明日会社に人 が来るまで凍える倉庫で一晩過ごすしかない。一緒にいるのは営業 のエースといわれている強面の先輩。怯える私に「こっちへ来い」 と先輩が声をかけてきて……?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる