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番外編集
外伝「Distance~あの頃と今(3)」
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咲来と菫子、三人で集まって話すのは久しぶりだった。
夕食を食べたあとで菫子と咲来、俺の三人はそれぞれお茶を飲んでいた。
二人より先にふろにも入ったし後は寝るだけだ。
「……おいしい。菫子姉の淹れてくれたお茶は最高やな」
「淹れたの俺や」
「……あ、そう」
「咲来、本当にお酒はよかったの?」
「また一緒にのもうー」
「楽しみにしてるね」
菫子は咲来の頭をなでている。
「……六年前やったかな。菫子姉を紹介された時、この二人は
結婚するんやろなって思ったんよね」
「あの頃って付き合い始めて一年くらいのころだっけ。
ふと、六年前の記憶を呼び起こす。
ちょうど大学が夏休みに入ったばかりの日曜日。
バイトの合間に時間を作って実家に菫子を連れて行った。
菫子はいきなりの誘いに一瞬驚いたが、嬉しそうな笑顔で了承した。
母とは面識があり、気に入られていた菫子だったが、
妹や弟を紹介するのは初めてだったため緊張しているようだった。
草壁家の玄関をノックすると、二つ下の妹と9歳下の弟が二人で出迎えた。
ぎこちない笑顔を向けながら、妹たちに会釈をし家の中へと進んでいく菫子。
手をつなぎたいのを何とかこらえてリビングに案内する。
ソファに向かい合って座ったところで自己紹介を始めた。
「こちらは柚月菫子さんや……。
兄ちゃんの大事な恋人で宝物やから、
失礼のないようにするんやで」
「ちょっと……恥ずかしいんだけど」
メイクをしていても顔を赤らめているのが分かった。
小声でのつぶやきは声の高さから聞き取れたが。
「妹の咲来(さくら)と弟の爽(そう。
咲来は、二つ下で同じ大学の二年で、爽は小6や」
「は、初めまして、柚月菫子です。よろしくね」
「菫子ちゃん……かわいすぎる。毎日会って愛でたい!」
ハイテンションに叫んだ咲来に一瞬ひるんだ。
「咲来ちゃんみたいなきれいな子に
愛でてもらえるなんて、感激よ」
爽は顔を真っ赤にしてうつむいている。
「……爽くん? 私、怖くないから大丈夫よ」
「涼兄が、あまりにかわいい人を連れてくるから、
戸惑っちゃった」
顔を真っ赤にして照れた爽は、ソファから立ち腕を伸ばす。
見守っていると正面から菫子に抱きついた。
「……かわいい」
よしよしと頭をなでている。
「馴れ馴れしいな」
「ええやん。菫子ちゃんがかわいいから夢中なんやもん」
「どさくさにまぎれて横に座んなや!」
菫子の左隣に座った咲来が菫子の手を握りしめもたれかかっている。
「初対面でこんなに親しくもらえてうれしいわ。
涼ちゃん、私のことをどんなふうに話してくれてたの?」
「ツンデレでかわいい子やって聞いてたよ」
菫子は咲来の言葉に顔を真っ赤にし、俺をにらんできた。
「っ……もっと他に何かあるでしょ」
さすがにバカとは言われなかった。
アホと言われたらダメージは半端ないがそこまでではない。
「爽は、俺らを応援してくれてるんやな」
「涼兄が、付き合っている人を紹介してくれたの
初めてで、菫子さんが本当に大事な人なんだなってわかるんだもの。
応援しないはずがないでしょ」
「爽と同じ。意外に家族にはそういうの隠したがる
涼兄が連れてきてくれた人やもん。
それだけじゃなくて一目で気に入ったんやけどね」
「咲来ちゃん、ありがとう。涼ちゃんによく似た咲来ちゃんと、
お母さまに似た爽くん。初めて会う気がしなくて」
「……菫子ちゃんも率直に物を言うんやね。
うちは両親が関西出身で涼兄と私が関西弁やから、
割と物言いもはっきりしている家なんやけど……
菫子ちゃんに惹かれる理由がわかったなあ。もちろん見た目も含めて」
「ああ……そこがええやろ。菫子は裏表もないし、
はっきりしてるからな。でも本当に人を傷つけることはせえへんし
めっちゃ忍耐強くてな」
「……なんなの。公開処刑の日だったの。
エアコンが効いているお部屋なのに顔が熱いんだけど」
菫子の頬は熟れた林檎(りんご)のようになっていた。
(こいつらおらんかったらキスしたんやけどな)
顔を押さえて自らの手で仰ぎ始める様子を見た妹と弟は、
二人そろってキッチンの方に向かった。
咲来がこちらに振り向いた。
「菫子ちゃん、お茶も出さんでごめんなあ。
涼兄もそばを離れたないみたいで動かんし……」
(当たり前や)
「後でお母さんに怒られるから黙っといてね」
「だいじょうぶよ! 美耶子(みやこ)さんには
二人に会えて歓迎してもらえたって伝えとくから」
菫子が笑みを向けると妹と弟はほっとしたように笑った。
「菫子ちゃん、アイスとホットどっちがええ?
レモンティーか特製のカフェオレやねんけど」
「アイスレモンティー」
「アイスカフェオレ」
「涼兄は自分で淹れたらええやん」
「お客様やぞ」
不愛想にいう妹に若干神経を逆なでられたが、
弟が自分の分と俺のアイスカフェオレを持ってきてくれた。
自分の分にだけガムシロップをつけている。
俺は甘いのは飲まへんから砂糖なし。
「咲来姉は、久しぶりに会えたから照れてるか
とびきりかわいい女の人連れて現れるし悔しいのかな」
「悔しい?」
菫子が不思議そうにするので俺は苦笑いをした。
「爽もずばずばいうけど、
でも生意気やとは思わへんのよな。年が離れてるからやろか」
咲来が笑いながら現れた。
アイスレモンティーのグラスを二つ分、トレイからテーブルに乗せた。
「お姉ちゃん、ごめんなさい」
「気にしてへん」
笑いあう二人に空気が和んだ。
「付き合って一年以上経ってからやっと紹介してくれたね。
お母さんから話聞いて僕達も早く会いたかったんだから」
「バイク事故もしてもうたし、いろいろあってなあ。
落ち着いたころのタイミングを見計らって今日になった感じやな」
「私も美耶子さんに話を聞いてたし会いたくてたまらなかったのよ」
「付き合って一年四ヶ月やったっけ?
今日連れてきてくれたってことはこれからも長く一緒にいる人ってことやろ」
「うん。私は涼さんしかときめかないみたいだし……」
「いつもの呼び方でええんやで」
耳元に唇を寄せてささやくと膝をつねられた。
(どっちも人前を気にしていない)
「正直でかわいい人やわ。好き!」
「離れぇ!」
レモンティーのグラスをテーブルに置いた桜来が
正面から菫子を抱きすくめた。
「スキンシップが豊かなご家庭なのね」
「そうなんよ」
「菫子ちゃんは涼兄のどんな所を好きになったの?」
爽が無邪気に聞いてきた。
この弟は反抗期なんてなさそうだ。
「そうね。私をまっすぐ見てくれるし、
男気があるところ。
私も駄目なところいっぱいあるけど、
見せてもいいって思えるの」
菫子は、さらっと言い切った。
その澄んだ瞳に思わず気おされそうになった。
「涼兄……めっちゃええ人やね。
大事にせんとあかんよ」
「全力で守っていくつもりやで」
二人は感心したように拍手した。
「またいつでも遊びに来てね!
涼兄いなくても来ていいから」
菫子はあいまいに笑った。
その日は二時間ほど過ごし実家を後にした。
菫子と俺の妹弟たちは古典的といえば古典的なババ抜きをして交流を深めていた。
大学四年の頃の懐かしい記憶だ。
ベビーベッドに寝かせた奏の頭を撫でる。
菫子はどちらでもいいと言っていたが
女の子が生まれてきてよかったと感じている。
(二人目が生まれるなら男の子やな)
「涼兄と菫子ちゃんが、結婚して菫子姉になってほんまに嬉しかったんよね」
「私も咲来と爽のお姉ちゃんになれてうれしい。結婚してから前より会えるようになったし」
「……気が向いたらいつでも来たらええで」
「えらい優しいやん」
咲来はアルコールを飲まなくてもハイテンションのようだった。
「うちは赤ん坊おるし夜中、大変やから泊まらずに帰り」
「明日、休みやからお世話になったお礼はするよ」
「咲来、日曜日に予定ないの?」
「ぐすっ……別れたばっかやで」
「……まぁ、桜来がええんなら泊まってけばいいけど」
「やったー! 菫子姉と一緒に寝るぅ」
奏とともに自分の部屋で寝る菫子に便乗する気満々の妹。
「……まぁ、明日でもええし」
「兄のそんな顔見たないわ」
「新婚家庭に上がり込んでんのお前やろ」
「実のきょうだいでしょ」
今日くらいは譲ってやろう。
水を飲んでいたら桜来が身長差を利用して菫子に絡みつき始めた。
同性で義理の姉妹やからいいことにする。
(他人やったら引きはがしてたところや)
俺は寝室に向かった。
涼ちゃんが寝室に向かった後、咲来が満面の笑みを浮かべた。
「咲来、楽しそうね」
水を飲んだしお酒を飲み終えて時間は経っている。
「めっちゃ楽しいでー。一緒にお風呂入らへん!
菫子姉と混浴……ふふふ」
「え。は、恥ずかしいじゃない!
私、まだ産後太りも解消されてないのよ。
咲来はスタイルいいから気にしないだろうけど!」
「全然太ってへんし。ほっぺがぷにぷにもちもちしてるくらいやで」
指で頬をつつかれて顔が赤くなる。
「背がでかいだけやし菫子姉みたいに胸ないもん……」
「スラっとしててかっこいいわよ」
「涼兄より?」
「同性では一番かっこいいわ」
「ずるい答えやなあ。ええけど」
手をつないでお風呂に向かう。
脱衣所で脱ぎながら長身の妹に声をかけた。
「二人で入るには狭いわよ」
「涼兄とはいつも入ってるんやろ」
顔が赤くなる。
涼ちゃんが仕事で遅くなる時はごはんも
先に食べてお風呂に入るし週に一度くらいか。
イコールでそうなってしまうこともあるから顔が熱くなってしまう。
相手は同性で義妹だから余計に。
「そういうことは言わないで!」
大人げなく感情的になってしまった。
「ごめんな……私ってこれやからあかんねん」
「も、もういいの。さっさとお風呂入りましょ!」
「……涼兄がずっとべた惚れなのわかる気がする」
咲来のつぶやきはよくわからなかった。
「あんまりこっちを見ないでね」
「……わかった。くっ」
「顔だけじゃなくて性格も似てるの!?」
「ちゃうわ」
にぎやかに話しながら体を洗う。
二人分の椅子はないので桜来は立ってシャワーを浴びていた。
「ごめんね」
「かまへんよ。女の子同士のお風呂、久しぶり」
「そ、それはどういう意味?」
「中学の修学旅行以来やから10年ぶりくらいかなあ」
いちいち過敏に反応するからいじられるのだ。
「やっぱり菫子姉の声ってシャワーの音でも
かき消えんね。高くてかわいい声」
「甲高いだけよ。桜来みたいな少し低めの声もあこがれるんだけど」
「高校の時、女子にもそう言われたわ」
「私が夫バカなのよね。涼ちゃんのことも想像しちゃった」
「知らんよ……。
知られてるのはこっちの方やもん」
シャワーを終えた桜来が浴槽(バスタブ)につかる音がした。
頭を洗い終え、私もバスタブにそろりと足をつける。
「入浴剤たっぷり入れといたで」
咲来は長い足を折りたたんでお風呂につかっている。
隠れていてもぶつかるのだけど。
「……将来的には引っ越して広いお風呂のお部屋がいいなって思ってる」
「二人目が生まれて落ち着いたころくらい?」
「まだそこまで計画はしてないの。でも私、
将来的には職場に復帰するし……そのつもりで
一人目は早めにって思ったから」
「二人と子供二人くらいは平気なんちゃう。
私も家を出たら部屋空くし……。爽も大学行くのに家を出たら
帰ってけぇへんやろし」
「咲来……」
「菫子姉がまた働くんなら草壁の実家の方がおすすめかも。
嫁姑の険悪問題はうちの場合関係あらへんしな。
爽も言うてたやろ」
「涼ちゃんと話して決めようと思う。
まだ時間あるしね」
「菫子ちゃんが愛されてるから、
皆一緒に過ごしたいって思うんよ。
涼兄を大事にしてくれる人やから」
咲来は時々、出会った頃のように呼んでくれる。
「ありがとー。
そういえば咲来が私と初対面の時に
涼ちゃんに対して悔しいって言ってたのは、
昔ブラコンだったからなの?」
「ちゃうよ」
あっさり否定された。
「こんなかわいい子と付き合える愚兄が羨ましいって感じたの」
咲来がなまりを使わず話すのは初めて聞いた。
「何言ってるの。変な子!」
ばしゃばしゃとお湯をかけた。
「合コンでも声かけられてないのが不思議なくらいか……あっ」
「どうかした?」
「涼兄、自分は声かけんかったけど牽制はしとったんやろな」
「……あの時、目も合ってないわよ。
合コンでは一回話したけど名前を知らなくて。その後でなぜか
偶然に見かけることが多くなったなと思ってたら、
合コン来てた子やろ?とか言われて」
「……彼女持ちのくせに友達の立場にはおりたいとか、
罪な男やな」
「 大学一年のころのことよ!」
「……まあ。そういうことにしとく」
「言ってたっけ。私、涼ちゃんの付き合ってた女性とは、
今、友達だし飲みながらお互いに涼ちゃんの話をしたくらいよ。
仲いいから」
「懐が深いな。こんな子、他におらへんわ」
「でしょう」
友達みたいな妹とたくさん話して素敵なバスタイムだった。
お風呂から上がって一時間ほど経ったころ、
咲来はひらひらと手を振りながら玄関に向かっていった。
ショルダーバッグを肩にかけている。
リビングの壁時計は23時を指示していた。
「やっぱり帰るわ。涼兄に悪いし」
「そんな……」
「二年前の婚前旅行で神戸行ったやん。あの時も
散々邪魔したったしな。
今日はおとなしく退散しまーす」
「邪魔なんて思わなかったわよ」
「……涼兄の機嫌、悪かったやろ」
虫の居所がよくなさそうだったから、
二人の時間をたっぷり過ごしたんだった。
初めてホテルに泊まった。
疲れ果てて飛行機の中ではずっと寝てたのを思い出す。
「来月はハピバやから、何か考えとくね」
「いいのに……!」
「あげたいんよ。その代わり私の誕生日は一緒に飲もう?」
「了解!」
咲来は笑顔を見せて帰っていった。
(愛車のコンパクトカーで来たはず。
本当は泊まるつもりがなかったのかもしれない)
ホワイトデーと同じ日が誕生日だから爽や健太、篤紀からは
ホワイトデーのお菓子をもらうことが多い。
咲来は初対面の翌年の誕生日からプレゼントしてくれている。
もちろん私も彼女の誕生日にプレゼントを贈る。
涼ちゃんは、何をしてくれるのか。
一緒に過ごせるだけでもうれしいと言ったら、
欲がないとあきれられたっけ。
寝室のドアをノックすると、今日のメンバーの中で、
一番背が高い人が出迎えてくれた。
声も低いが聞き取りやすい音色だ。
「愛する夫のところに夜這いに来てくれたん?」
「夜這い……って!」
ぐい、と腕をつかまれる。
素直に従い一緒にベッドの端に並んで座った。
「……気を遣わせちゃったわね」
「そんなこともないと思うけどな」
髪をなでる手つきが妖しい。
「楽しかったわね。あんなに賑やかに過ごしたの久しぶり」
「せやな。たまにはええもんや」
「私、涼ちゃんと結婚できてよかったわ。
いろいろあったけどこれからも乗り越えていけるって思うの」
ぎゅーっと抱きしめられて、めまいがした。
エアコンより抱擁の方があたたかく感じる。
髪をなでる大きな手。
胸元に寄り添えば心音がリズムを刻んでいて安堵を覚える。
「それはこっちのセリフやけど」
「ん?」
「特製のチョコレートありがとな。桜来と菫子が風呂入ってる時に食べたで。
美味かった。来月はホワイトデーと菫子の誕生日、
ちゃんと考えとくから楽しみに待っとくんやで」
一気に言って涼ちゃんは頬ずりをして首筋にキスを落とす。
「……少しくらいなら大丈夫」
耳元にささやかれ、愛し合うことを決めた。
数えきれないくらいのキス。
見えない場所に甘い刻印。
ずっとこんな風に愛を確かめ合えたら本望だ。
「っ……涼ちゃん、大好き」
愛してると、全身で伝えてくれて私は
一気に駆け上ったのだった。
夕食を食べたあとで菫子と咲来、俺の三人はそれぞれお茶を飲んでいた。
二人より先にふろにも入ったし後は寝るだけだ。
「……おいしい。菫子姉の淹れてくれたお茶は最高やな」
「淹れたの俺や」
「……あ、そう」
「咲来、本当にお酒はよかったの?」
「また一緒にのもうー」
「楽しみにしてるね」
菫子は咲来の頭をなでている。
「……六年前やったかな。菫子姉を紹介された時、この二人は
結婚するんやろなって思ったんよね」
「あの頃って付き合い始めて一年くらいのころだっけ。
ふと、六年前の記憶を呼び起こす。
ちょうど大学が夏休みに入ったばかりの日曜日。
バイトの合間に時間を作って実家に菫子を連れて行った。
菫子はいきなりの誘いに一瞬驚いたが、嬉しそうな笑顔で了承した。
母とは面識があり、気に入られていた菫子だったが、
妹や弟を紹介するのは初めてだったため緊張しているようだった。
草壁家の玄関をノックすると、二つ下の妹と9歳下の弟が二人で出迎えた。
ぎこちない笑顔を向けながら、妹たちに会釈をし家の中へと進んでいく菫子。
手をつなぎたいのを何とかこらえてリビングに案内する。
ソファに向かい合って座ったところで自己紹介を始めた。
「こちらは柚月菫子さんや……。
兄ちゃんの大事な恋人で宝物やから、
失礼のないようにするんやで」
「ちょっと……恥ずかしいんだけど」
メイクをしていても顔を赤らめているのが分かった。
小声でのつぶやきは声の高さから聞き取れたが。
「妹の咲来(さくら)と弟の爽(そう。
咲来は、二つ下で同じ大学の二年で、爽は小6や」
「は、初めまして、柚月菫子です。よろしくね」
「菫子ちゃん……かわいすぎる。毎日会って愛でたい!」
ハイテンションに叫んだ咲来に一瞬ひるんだ。
「咲来ちゃんみたいなきれいな子に
愛でてもらえるなんて、感激よ」
爽は顔を真っ赤にしてうつむいている。
「……爽くん? 私、怖くないから大丈夫よ」
「涼兄が、あまりにかわいい人を連れてくるから、
戸惑っちゃった」
顔を真っ赤にして照れた爽は、ソファから立ち腕を伸ばす。
見守っていると正面から菫子に抱きついた。
「……かわいい」
よしよしと頭をなでている。
「馴れ馴れしいな」
「ええやん。菫子ちゃんがかわいいから夢中なんやもん」
「どさくさにまぎれて横に座んなや!」
菫子の左隣に座った咲来が菫子の手を握りしめもたれかかっている。
「初対面でこんなに親しくもらえてうれしいわ。
涼ちゃん、私のことをどんなふうに話してくれてたの?」
「ツンデレでかわいい子やって聞いてたよ」
菫子は咲来の言葉に顔を真っ赤にし、俺をにらんできた。
「っ……もっと他に何かあるでしょ」
さすがにバカとは言われなかった。
アホと言われたらダメージは半端ないがそこまでではない。
「爽は、俺らを応援してくれてるんやな」
「涼兄が、付き合っている人を紹介してくれたの
初めてで、菫子さんが本当に大事な人なんだなってわかるんだもの。
応援しないはずがないでしょ」
「爽と同じ。意外に家族にはそういうの隠したがる
涼兄が連れてきてくれた人やもん。
それだけじゃなくて一目で気に入ったんやけどね」
「咲来ちゃん、ありがとう。涼ちゃんによく似た咲来ちゃんと、
お母さまに似た爽くん。初めて会う気がしなくて」
「……菫子ちゃんも率直に物を言うんやね。
うちは両親が関西出身で涼兄と私が関西弁やから、
割と物言いもはっきりしている家なんやけど……
菫子ちゃんに惹かれる理由がわかったなあ。もちろん見た目も含めて」
「ああ……そこがええやろ。菫子は裏表もないし、
はっきりしてるからな。でも本当に人を傷つけることはせえへんし
めっちゃ忍耐強くてな」
「……なんなの。公開処刑の日だったの。
エアコンが効いているお部屋なのに顔が熱いんだけど」
菫子の頬は熟れた林檎(りんご)のようになっていた。
(こいつらおらんかったらキスしたんやけどな)
顔を押さえて自らの手で仰ぎ始める様子を見た妹と弟は、
二人そろってキッチンの方に向かった。
咲来がこちらに振り向いた。
「菫子ちゃん、お茶も出さんでごめんなあ。
涼兄もそばを離れたないみたいで動かんし……」
(当たり前や)
「後でお母さんに怒られるから黙っといてね」
「だいじょうぶよ! 美耶子(みやこ)さんには
二人に会えて歓迎してもらえたって伝えとくから」
菫子が笑みを向けると妹と弟はほっとしたように笑った。
「菫子ちゃん、アイスとホットどっちがええ?
レモンティーか特製のカフェオレやねんけど」
「アイスレモンティー」
「アイスカフェオレ」
「涼兄は自分で淹れたらええやん」
「お客様やぞ」
不愛想にいう妹に若干神経を逆なでられたが、
弟が自分の分と俺のアイスカフェオレを持ってきてくれた。
自分の分にだけガムシロップをつけている。
俺は甘いのは飲まへんから砂糖なし。
「咲来姉は、久しぶりに会えたから照れてるか
とびきりかわいい女の人連れて現れるし悔しいのかな」
「悔しい?」
菫子が不思議そうにするので俺は苦笑いをした。
「爽もずばずばいうけど、
でも生意気やとは思わへんのよな。年が離れてるからやろか」
咲来が笑いながら現れた。
アイスレモンティーのグラスを二つ分、トレイからテーブルに乗せた。
「お姉ちゃん、ごめんなさい」
「気にしてへん」
笑いあう二人に空気が和んだ。
「付き合って一年以上経ってからやっと紹介してくれたね。
お母さんから話聞いて僕達も早く会いたかったんだから」
「バイク事故もしてもうたし、いろいろあってなあ。
落ち着いたころのタイミングを見計らって今日になった感じやな」
「私も美耶子さんに話を聞いてたし会いたくてたまらなかったのよ」
「付き合って一年四ヶ月やったっけ?
今日連れてきてくれたってことはこれからも長く一緒にいる人ってことやろ」
「うん。私は涼さんしかときめかないみたいだし……」
「いつもの呼び方でええんやで」
耳元に唇を寄せてささやくと膝をつねられた。
(どっちも人前を気にしていない)
「正直でかわいい人やわ。好き!」
「離れぇ!」
レモンティーのグラスをテーブルに置いた桜来が
正面から菫子を抱きすくめた。
「スキンシップが豊かなご家庭なのね」
「そうなんよ」
「菫子ちゃんは涼兄のどんな所を好きになったの?」
爽が無邪気に聞いてきた。
この弟は反抗期なんてなさそうだ。
「そうね。私をまっすぐ見てくれるし、
男気があるところ。
私も駄目なところいっぱいあるけど、
見せてもいいって思えるの」
菫子は、さらっと言い切った。
その澄んだ瞳に思わず気おされそうになった。
「涼兄……めっちゃええ人やね。
大事にせんとあかんよ」
「全力で守っていくつもりやで」
二人は感心したように拍手した。
「またいつでも遊びに来てね!
涼兄いなくても来ていいから」
菫子はあいまいに笑った。
その日は二時間ほど過ごし実家を後にした。
菫子と俺の妹弟たちは古典的といえば古典的なババ抜きをして交流を深めていた。
大学四年の頃の懐かしい記憶だ。
ベビーベッドに寝かせた奏の頭を撫でる。
菫子はどちらでもいいと言っていたが
女の子が生まれてきてよかったと感じている。
(二人目が生まれるなら男の子やな)
「涼兄と菫子ちゃんが、結婚して菫子姉になってほんまに嬉しかったんよね」
「私も咲来と爽のお姉ちゃんになれてうれしい。結婚してから前より会えるようになったし」
「……気が向いたらいつでも来たらええで」
「えらい優しいやん」
咲来はアルコールを飲まなくてもハイテンションのようだった。
「うちは赤ん坊おるし夜中、大変やから泊まらずに帰り」
「明日、休みやからお世話になったお礼はするよ」
「咲来、日曜日に予定ないの?」
「ぐすっ……別れたばっかやで」
「……まぁ、桜来がええんなら泊まってけばいいけど」
「やったー! 菫子姉と一緒に寝るぅ」
奏とともに自分の部屋で寝る菫子に便乗する気満々の妹。
「……まぁ、明日でもええし」
「兄のそんな顔見たないわ」
「新婚家庭に上がり込んでんのお前やろ」
「実のきょうだいでしょ」
今日くらいは譲ってやろう。
水を飲んでいたら桜来が身長差を利用して菫子に絡みつき始めた。
同性で義理の姉妹やからいいことにする。
(他人やったら引きはがしてたところや)
俺は寝室に向かった。
涼ちゃんが寝室に向かった後、咲来が満面の笑みを浮かべた。
「咲来、楽しそうね」
水を飲んだしお酒を飲み終えて時間は経っている。
「めっちゃ楽しいでー。一緒にお風呂入らへん!
菫子姉と混浴……ふふふ」
「え。は、恥ずかしいじゃない!
私、まだ産後太りも解消されてないのよ。
咲来はスタイルいいから気にしないだろうけど!」
「全然太ってへんし。ほっぺがぷにぷにもちもちしてるくらいやで」
指で頬をつつかれて顔が赤くなる。
「背がでかいだけやし菫子姉みたいに胸ないもん……」
「スラっとしててかっこいいわよ」
「涼兄より?」
「同性では一番かっこいいわ」
「ずるい答えやなあ。ええけど」
手をつないでお風呂に向かう。
脱衣所で脱ぎながら長身の妹に声をかけた。
「二人で入るには狭いわよ」
「涼兄とはいつも入ってるんやろ」
顔が赤くなる。
涼ちゃんが仕事で遅くなる時はごはんも
先に食べてお風呂に入るし週に一度くらいか。
イコールでそうなってしまうこともあるから顔が熱くなってしまう。
相手は同性で義妹だから余計に。
「そういうことは言わないで!」
大人げなく感情的になってしまった。
「ごめんな……私ってこれやからあかんねん」
「も、もういいの。さっさとお風呂入りましょ!」
「……涼兄がずっとべた惚れなのわかる気がする」
咲来のつぶやきはよくわからなかった。
「あんまりこっちを見ないでね」
「……わかった。くっ」
「顔だけじゃなくて性格も似てるの!?」
「ちゃうわ」
にぎやかに話しながら体を洗う。
二人分の椅子はないので桜来は立ってシャワーを浴びていた。
「ごめんね」
「かまへんよ。女の子同士のお風呂、久しぶり」
「そ、それはどういう意味?」
「中学の修学旅行以来やから10年ぶりくらいかなあ」
いちいち過敏に反応するからいじられるのだ。
「やっぱり菫子姉の声ってシャワーの音でも
かき消えんね。高くてかわいい声」
「甲高いだけよ。桜来みたいな少し低めの声もあこがれるんだけど」
「高校の時、女子にもそう言われたわ」
「私が夫バカなのよね。涼ちゃんのことも想像しちゃった」
「知らんよ……。
知られてるのはこっちの方やもん」
シャワーを終えた桜来が浴槽(バスタブ)につかる音がした。
頭を洗い終え、私もバスタブにそろりと足をつける。
「入浴剤たっぷり入れといたで」
咲来は長い足を折りたたんでお風呂につかっている。
隠れていてもぶつかるのだけど。
「……将来的には引っ越して広いお風呂のお部屋がいいなって思ってる」
「二人目が生まれて落ち着いたころくらい?」
「まだそこまで計画はしてないの。でも私、
将来的には職場に復帰するし……そのつもりで
一人目は早めにって思ったから」
「二人と子供二人くらいは平気なんちゃう。
私も家を出たら部屋空くし……。爽も大学行くのに家を出たら
帰ってけぇへんやろし」
「咲来……」
「菫子姉がまた働くんなら草壁の実家の方がおすすめかも。
嫁姑の険悪問題はうちの場合関係あらへんしな。
爽も言うてたやろ」
「涼ちゃんと話して決めようと思う。
まだ時間あるしね」
「菫子ちゃんが愛されてるから、
皆一緒に過ごしたいって思うんよ。
涼兄を大事にしてくれる人やから」
咲来は時々、出会った頃のように呼んでくれる。
「ありがとー。
そういえば咲来が私と初対面の時に
涼ちゃんに対して悔しいって言ってたのは、
昔ブラコンだったからなの?」
「ちゃうよ」
あっさり否定された。
「こんなかわいい子と付き合える愚兄が羨ましいって感じたの」
咲来がなまりを使わず話すのは初めて聞いた。
「何言ってるの。変な子!」
ばしゃばしゃとお湯をかけた。
「合コンでも声かけられてないのが不思議なくらいか……あっ」
「どうかした?」
「涼兄、自分は声かけんかったけど牽制はしとったんやろな」
「……あの時、目も合ってないわよ。
合コンでは一回話したけど名前を知らなくて。その後でなぜか
偶然に見かけることが多くなったなと思ってたら、
合コン来てた子やろ?とか言われて」
「……彼女持ちのくせに友達の立場にはおりたいとか、
罪な男やな」
「 大学一年のころのことよ!」
「……まあ。そういうことにしとく」
「言ってたっけ。私、涼ちゃんの付き合ってた女性とは、
今、友達だし飲みながらお互いに涼ちゃんの話をしたくらいよ。
仲いいから」
「懐が深いな。こんな子、他におらへんわ」
「でしょう」
友達みたいな妹とたくさん話して素敵なバスタイムだった。
お風呂から上がって一時間ほど経ったころ、
咲来はひらひらと手を振りながら玄関に向かっていった。
ショルダーバッグを肩にかけている。
リビングの壁時計は23時を指示していた。
「やっぱり帰るわ。涼兄に悪いし」
「そんな……」
「二年前の婚前旅行で神戸行ったやん。あの時も
散々邪魔したったしな。
今日はおとなしく退散しまーす」
「邪魔なんて思わなかったわよ」
「……涼兄の機嫌、悪かったやろ」
虫の居所がよくなさそうだったから、
二人の時間をたっぷり過ごしたんだった。
初めてホテルに泊まった。
疲れ果てて飛行機の中ではずっと寝てたのを思い出す。
「来月はハピバやから、何か考えとくね」
「いいのに……!」
「あげたいんよ。その代わり私の誕生日は一緒に飲もう?」
「了解!」
咲来は笑顔を見せて帰っていった。
(愛車のコンパクトカーで来たはず。
本当は泊まるつもりがなかったのかもしれない)
ホワイトデーと同じ日が誕生日だから爽や健太、篤紀からは
ホワイトデーのお菓子をもらうことが多い。
咲来は初対面の翌年の誕生日からプレゼントしてくれている。
もちろん私も彼女の誕生日にプレゼントを贈る。
涼ちゃんは、何をしてくれるのか。
一緒に過ごせるだけでもうれしいと言ったら、
欲がないとあきれられたっけ。
寝室のドアをノックすると、今日のメンバーの中で、
一番背が高い人が出迎えてくれた。
声も低いが聞き取りやすい音色だ。
「愛する夫のところに夜這いに来てくれたん?」
「夜這い……って!」
ぐい、と腕をつかまれる。
素直に従い一緒にベッドの端に並んで座った。
「……気を遣わせちゃったわね」
「そんなこともないと思うけどな」
髪をなでる手つきが妖しい。
「楽しかったわね。あんなに賑やかに過ごしたの久しぶり」
「せやな。たまにはええもんや」
「私、涼ちゃんと結婚できてよかったわ。
いろいろあったけどこれからも乗り越えていけるって思うの」
ぎゅーっと抱きしめられて、めまいがした。
エアコンより抱擁の方があたたかく感じる。
髪をなでる大きな手。
胸元に寄り添えば心音がリズムを刻んでいて安堵を覚える。
「それはこっちのセリフやけど」
「ん?」
「特製のチョコレートありがとな。桜来と菫子が風呂入ってる時に食べたで。
美味かった。来月はホワイトデーと菫子の誕生日、
ちゃんと考えとくから楽しみに待っとくんやで」
一気に言って涼ちゃんは頬ずりをして首筋にキスを落とす。
「……少しくらいなら大丈夫」
耳元にささやかれ、愛し合うことを決めた。
数えきれないくらいのキス。
見えない場所に甘い刻印。
ずっとこんな風に愛を確かめ合えたら本望だ。
「っ……涼ちゃん、大好き」
愛してると、全身で伝えてくれて私は
一気に駆け上ったのだった。
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