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一章
8.俺の心の傷を抉られた
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「スマン、遅れた」
俺は部室に着くと、まずは謝罪をした。部室には当然の如く俺以外の全員が揃っている。
「祐希何してたの? わたし全然見つけられなかったんだけど」
「え、いや、普通に教室で話してたんだよ。クラスメイトの妹が能力者で、入部希望でその子を連れてきてたら遅くなった」
「能力者だと!?」
『世界の超常現象』なる本を読んでいた健が食い付いた。
「あぁ、能力者らしい。ほら、おいで」
俺は一度廊下に出ると、琴音ちゃんを連れてきた。
「は、はじめまして! 姫島琴音といいます! えっと、最近触った物が浮くようになっちゃいました!」
まるでコピペでもしたかのように先程と同じ自己紹介を繰り返した琴音ちゃん。
「ほーう。念動力か物体浮遊といったところか」
「自分で物を浮かせることはできないのかしら?」
「はい、何度か試したんですけど、浮かせようと思うと浮かないんです」
残念な能力を持っている琴音ちゃん。俺は仲間が増えたようでうれしいよ。まぁ、本人は能力なんて無い方が良かったと思ってるようだけど。
「意図せず浮いてしまうから、道具を使う部活ができないらしい。それと、やはり他の能力者がいた方が良いんじゃないかということで、この子の姉がここを紹介したんだ」
「へぇ、お姉ちゃんは、姫島だから天音さんかな?」
「はい!」
「そっかそっか、あの人ね」
何か意味ありげな視線を俺に飛ばす歩香。
俺、何かしたか?
「ところで、なんで歩香は姫島のことを知ってたんだ?」
クラスは違うし、中学も違うのだが。
「ん? 祐希のクラスの女子は全部覚えてるよ? 何かあったときに対処できるしね」
「いったい、何をする気だお前は」
「ん~······害虫駆除?」
「俺のクラスメイトを害虫呼ばわりかよ!」
まぁ、いい。いや、良くはないが、歩香は通常運転だ。
それはまぁ、置いておくとして、琴音ちゃんが所在なさげなんだが、俺が悪いのか? 声掛けてやれよ。
······誰も動かないのかよ。
「あー、えっと、琴音ちゃん。次はこっちの自己紹介をしてもいいかな?」
「あ、はい!」
ぼーっとしたり、元気良く返事したり、忙しそうだ。
「じゃあ、部長から」
「おう。俺は平塚健。一応部長をしている。ここにいる人達を全員集めたのも俺だ」
「お~、どんな能力を持ってるんですかっ!?」
「グハァ!!」
突然健が机に突っ伏した。
琴音ちゃん。急所突くの上手いな。
「ど、どど、どうしたんですか!? あたし何かしましたか!?」
「琴音ちゃん。健は能力を持ってないんだ。確か、さっき説明したはずだよね。」
やはり話を聞いていなかったか。
「そ、そうでしたっけ······あ、えと、ごめんなさい!」
琴音ちゃんが勢いよくお辞儀した。うむ、やはり忙しそうだ。
「次は私の番でいいかしら?」
神流先輩が名乗りを挙げた。いや、そんな大層なことではないけど。
「あ、はい、どうぞ」
健が再起不能なので俺が促す。
「私は神流美夜子。能力は未来予知。三年生よ」
「ほぇ~、未来予知ですか~。ということは私が来るのも予知して──」
「なかったわね。ごめんなさい。あまり能力は使わないようにしてるのよ。人生に刺激が無くなるわ」
「そ、そうなんですか~」
なんだかちょっと琴音ちゃん涙目。
「次はわたしかな?」
「ん、おう。そうだな」
「は~い。わたしは日野歩香。えっと、影に潜ったりできる能力があって、えっと、二年生で、好きなものは祐希!」
おい、最後の要らなくないか?
「影に潜るんですか!? 影の中ってどうなってるんですか!?」
お、それは俺も気になる。
「えっとね、ほわほわ~ってしてて、もやもや~ってしてるよ」
うむ、擬態語はやめようか。
「へ、へぇ~」
微妙な空気になってしまったので、俺も自己紹介しようか。
「最後は俺だな。俺は氷室祐希。時を止める能力があるが、五秒の間、集中しないと時を止めることができないという、非常に残念な能力を持っている」
「お~、残念ですね」
グサッときたぜ。
「と、とにかく、よろしくな」
「はい! よろしくです!」
──何かを忘れている気がする。他にも誰か居たような······気のせいだっただろうか?
まぁ、何にせよ、また一段と部活が賑やかになりそうだ。
なかなか個性的な子だったしな。
俺は部室に着くと、まずは謝罪をした。部室には当然の如く俺以外の全員が揃っている。
「祐希何してたの? わたし全然見つけられなかったんだけど」
「え、いや、普通に教室で話してたんだよ。クラスメイトの妹が能力者で、入部希望でその子を連れてきてたら遅くなった」
「能力者だと!?」
『世界の超常現象』なる本を読んでいた健が食い付いた。
「あぁ、能力者らしい。ほら、おいで」
俺は一度廊下に出ると、琴音ちゃんを連れてきた。
「は、はじめまして! 姫島琴音といいます! えっと、最近触った物が浮くようになっちゃいました!」
まるでコピペでもしたかのように先程と同じ自己紹介を繰り返した琴音ちゃん。
「ほーう。念動力か物体浮遊といったところか」
「自分で物を浮かせることはできないのかしら?」
「はい、何度か試したんですけど、浮かせようと思うと浮かないんです」
残念な能力を持っている琴音ちゃん。俺は仲間が増えたようでうれしいよ。まぁ、本人は能力なんて無い方が良かったと思ってるようだけど。
「意図せず浮いてしまうから、道具を使う部活ができないらしい。それと、やはり他の能力者がいた方が良いんじゃないかということで、この子の姉がここを紹介したんだ」
「へぇ、お姉ちゃんは、姫島だから天音さんかな?」
「はい!」
「そっかそっか、あの人ね」
何か意味ありげな視線を俺に飛ばす歩香。
俺、何かしたか?
「ところで、なんで歩香は姫島のことを知ってたんだ?」
クラスは違うし、中学も違うのだが。
「ん? 祐希のクラスの女子は全部覚えてるよ? 何かあったときに対処できるしね」
「いったい、何をする気だお前は」
「ん~······害虫駆除?」
「俺のクラスメイトを害虫呼ばわりかよ!」
まぁ、いい。いや、良くはないが、歩香は通常運転だ。
それはまぁ、置いておくとして、琴音ちゃんが所在なさげなんだが、俺が悪いのか? 声掛けてやれよ。
······誰も動かないのかよ。
「あー、えっと、琴音ちゃん。次はこっちの自己紹介をしてもいいかな?」
「あ、はい!」
ぼーっとしたり、元気良く返事したり、忙しそうだ。
「じゃあ、部長から」
「おう。俺は平塚健。一応部長をしている。ここにいる人達を全員集めたのも俺だ」
「お~、どんな能力を持ってるんですかっ!?」
「グハァ!!」
突然健が机に突っ伏した。
琴音ちゃん。急所突くの上手いな。
「ど、どど、どうしたんですか!? あたし何かしましたか!?」
「琴音ちゃん。健は能力を持ってないんだ。確か、さっき説明したはずだよね。」
やはり話を聞いていなかったか。
「そ、そうでしたっけ······あ、えと、ごめんなさい!」
琴音ちゃんが勢いよくお辞儀した。うむ、やはり忙しそうだ。
「次は私の番でいいかしら?」
神流先輩が名乗りを挙げた。いや、そんな大層なことではないけど。
「あ、はい、どうぞ」
健が再起不能なので俺が促す。
「私は神流美夜子。能力は未来予知。三年生よ」
「ほぇ~、未来予知ですか~。ということは私が来るのも予知して──」
「なかったわね。ごめんなさい。あまり能力は使わないようにしてるのよ。人生に刺激が無くなるわ」
「そ、そうなんですか~」
なんだかちょっと琴音ちゃん涙目。
「次はわたしかな?」
「ん、おう。そうだな」
「は~い。わたしは日野歩香。えっと、影に潜ったりできる能力があって、えっと、二年生で、好きなものは祐希!」
おい、最後の要らなくないか?
「影に潜るんですか!? 影の中ってどうなってるんですか!?」
お、それは俺も気になる。
「えっとね、ほわほわ~ってしてて、もやもや~ってしてるよ」
うむ、擬態語はやめようか。
「へ、へぇ~」
微妙な空気になってしまったので、俺も自己紹介しようか。
「最後は俺だな。俺は氷室祐希。時を止める能力があるが、五秒の間、集中しないと時を止めることができないという、非常に残念な能力を持っている」
「お~、残念ですね」
グサッときたぜ。
「と、とにかく、よろしくな」
「はい! よろしくです!」
──何かを忘れている気がする。他にも誰か居たような······気のせいだっただろうか?
まぁ、何にせよ、また一段と部活が賑やかになりそうだ。
なかなか個性的な子だったしな。
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