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二章
20.何はともあれ一件落着だな
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部室でカメラを見付け、その日のうちに神流先輩にバックアップを取ってもらい、そして今日、放課後。
今更だけど神流先輩って万能だよな。できないことってあるんだろうか。
まぁ、それは今は関係ないか。とりあえずは姫島の勧誘からだな。
俺達は廊下に一度集まってから姫島と話をすることにした──のだが、今日は健が居ない。全ての部、同好会の部長は集まれとの放送があったらしい。ご苦労なこった。
俺達は姫島を探した。と言っても普通に教室前の廊下にいたわけなんだが。
「よう、姫島。ちょっと良いか? 話があるんだが」
俺が話しかけると、一瞬姫島は怪訝そうな顔をした。が、すぐに元に戻った。
「良いよ。どうしたの? 皆揃っちゃって」
「場所を移しても良いか?」
「あ、うん。いいよ」
俺達は少し人気の無いところまで移動した。まぁ、さすがに人が沢山いるなかで話をするわけにもいかないしな。
「話ってのは、率直に言うと異能力についてなんだ」
「異能力? なんで私にそんな話を?」
俺は予め用意しておいた映像を渡した。
「それに映ってるのって姫島だよな? この映像、最後まで見れば分かるんだが、姫島が能力を使って逃げているみたいなんだよな」
「私が能力を使って逃げた? ん~でも、もしそうだったら何でまたここに来たの? また逃げられるんじゃないの?」
「いや、バックアップを取っておいた、だからもし逃げられても、また見れば済む話だ」
「──っ」
まぁ、実際のところ、これは賭けではある。もしバックアップを発見できなければそれまでだ。
だが、俺はこう続けた。
「なぁ、どうして姫島は逃げているんだ? もし能力者だとバレたくないなら、秘密にしておいてくれって言えば済むんじゃないのか? それともそんなに信用ないか?」
「ん~······まぁ、信用は無いよね。言ってしまえば何をしてるか分からない部活だもの」
それは部長に言ってほしいものだな。まぁ、でも部活停止とは言われたことがないんだよな。裏で健が何かしてるのだろうか。
「別に能力者ってことはバレても良いんだ。でも、逃げてる理由はちゃんとあるんだよ?」
「できればそれを聞かせてほしいものだな」
それを健に伝えれば一件落着だ。
「あまり話しづらいことだから、氷室君にだけ話すってことでも良いかな?」
む、それだと健に伝えるのは難しいのか。まぁ、いざとなったらごまかすか。
「らしいからちょっと行ってくる」
「貴女、そういって逃げるってことは──」
「ありませんよ。先輩は予知の能力があるらしいですね。それで見てください」
「······そうね。大丈夫みたい」
「ねぇ、祐希。わたしも一緒に──」
「来なくていい。というか話聞いてたか? 話しづらいって言ってただろ」
「ねぇ、お姉ちゃん。あたしもダメなの?」
「そうだね。一番話したくないかな」
「先輩! お姉ちゃんが酷いです!」
何か琴音ちゃんの扱いだけおかしいぞ姫島よ。あぁ、神流先輩が琴音ちゃんを慰めてるよ。身長の差が大きいから琴音ちゃんがますます小さく見えるな。
「場所はあっちの階段のところでいいかな?」
「ん? あぁ」
姫島の能力だろうか。誰一人としてその階段を通ろうとする人がいない。便利だな。
「それで、あたしが逃げてた理由なんだけど、琴音が問題なのよね」
「ふむ、琴音ちゃんが?」
むしろ琴音ちゃんがいるなら入ってくれそうなものだがな。
「あの子ちょっと幼いでしょ? だから、あたしは成長してほしいと思ってるの」
「なるほど、一人にしてやりたいってことか?」
「そうなの。あたしがいると、どうしてもあたしに頼ってきちゃうのよ」
まぁ、悪いことではないんだろうけどな。
「なるほど。じゃあやはり入部はできないな。これって健に伝えない方が?」
「ありがたいかな。何かあの人しつこそうだもん」
まぁ、分からんでもない。
「じゃあ俺は事情があるの一点張りでもしておくか」
「うん、それが一番良いかも」
「よし、じゃあそろそろ戻って良いか? それともまだ何かあったりするか?」
「ううん、大丈夫。じゃあ、あたしも帰るね。またね」
「おう」
「どうだったの? 理由は聞けた?」
「あぁ、聞けた。けど、あまり言えないものだから聞くのは諦めてくれ」
「そっか、なら仕方ない」
「あたしもダメですか?」
「うん、一番言えないかな。さっき言ってたよね」
「なんだか先輩が少し冷たくなった気がします!」
なんだろう、もう既に琴音ちゃん溶け込んでるけど、それは良いのか? これは成長なのか、それとも新たな頼る人物ができただけなのか?
まぁ、何はともあれ勧誘はできないわけだし、健の説得は面倒くさいが、一件落着だな。
今更だけど神流先輩って万能だよな。できないことってあるんだろうか。
まぁ、それは今は関係ないか。とりあえずは姫島の勧誘からだな。
俺達は廊下に一度集まってから姫島と話をすることにした──のだが、今日は健が居ない。全ての部、同好会の部長は集まれとの放送があったらしい。ご苦労なこった。
俺達は姫島を探した。と言っても普通に教室前の廊下にいたわけなんだが。
「よう、姫島。ちょっと良いか? 話があるんだが」
俺が話しかけると、一瞬姫島は怪訝そうな顔をした。が、すぐに元に戻った。
「良いよ。どうしたの? 皆揃っちゃって」
「場所を移しても良いか?」
「あ、うん。いいよ」
俺達は少し人気の無いところまで移動した。まぁ、さすがに人が沢山いるなかで話をするわけにもいかないしな。
「話ってのは、率直に言うと異能力についてなんだ」
「異能力? なんで私にそんな話を?」
俺は予め用意しておいた映像を渡した。
「それに映ってるのって姫島だよな? この映像、最後まで見れば分かるんだが、姫島が能力を使って逃げているみたいなんだよな」
「私が能力を使って逃げた? ん~でも、もしそうだったら何でまたここに来たの? また逃げられるんじゃないの?」
「いや、バックアップを取っておいた、だからもし逃げられても、また見れば済む話だ」
「──っ」
まぁ、実際のところ、これは賭けではある。もしバックアップを発見できなければそれまでだ。
だが、俺はこう続けた。
「なぁ、どうして姫島は逃げているんだ? もし能力者だとバレたくないなら、秘密にしておいてくれって言えば済むんじゃないのか? それともそんなに信用ないか?」
「ん~······まぁ、信用は無いよね。言ってしまえば何をしてるか分からない部活だもの」
それは部長に言ってほしいものだな。まぁ、でも部活停止とは言われたことがないんだよな。裏で健が何かしてるのだろうか。
「別に能力者ってことはバレても良いんだ。でも、逃げてる理由はちゃんとあるんだよ?」
「できればそれを聞かせてほしいものだな」
それを健に伝えれば一件落着だ。
「あまり話しづらいことだから、氷室君にだけ話すってことでも良いかな?」
む、それだと健に伝えるのは難しいのか。まぁ、いざとなったらごまかすか。
「らしいからちょっと行ってくる」
「貴女、そういって逃げるってことは──」
「ありませんよ。先輩は予知の能力があるらしいですね。それで見てください」
「······そうね。大丈夫みたい」
「ねぇ、祐希。わたしも一緒に──」
「来なくていい。というか話聞いてたか? 話しづらいって言ってただろ」
「ねぇ、お姉ちゃん。あたしもダメなの?」
「そうだね。一番話したくないかな」
「先輩! お姉ちゃんが酷いです!」
何か琴音ちゃんの扱いだけおかしいぞ姫島よ。あぁ、神流先輩が琴音ちゃんを慰めてるよ。身長の差が大きいから琴音ちゃんがますます小さく見えるな。
「場所はあっちの階段のところでいいかな?」
「ん? あぁ」
姫島の能力だろうか。誰一人としてその階段を通ろうとする人がいない。便利だな。
「それで、あたしが逃げてた理由なんだけど、琴音が問題なのよね」
「ふむ、琴音ちゃんが?」
むしろ琴音ちゃんがいるなら入ってくれそうなものだがな。
「あの子ちょっと幼いでしょ? だから、あたしは成長してほしいと思ってるの」
「なるほど、一人にしてやりたいってことか?」
「そうなの。あたしがいると、どうしてもあたしに頼ってきちゃうのよ」
まぁ、悪いことではないんだろうけどな。
「なるほど。じゃあやはり入部はできないな。これって健に伝えない方が?」
「ありがたいかな。何かあの人しつこそうだもん」
まぁ、分からんでもない。
「じゃあ俺は事情があるの一点張りでもしておくか」
「うん、それが一番良いかも」
「よし、じゃあそろそろ戻って良いか? それともまだ何かあったりするか?」
「ううん、大丈夫。じゃあ、あたしも帰るね。またね」
「おう」
「どうだったの? 理由は聞けた?」
「あぁ、聞けた。けど、あまり言えないものだから聞くのは諦めてくれ」
「そっか、なら仕方ない」
「あたしもダメですか?」
「うん、一番言えないかな。さっき言ってたよね」
「なんだか先輩が少し冷たくなった気がします!」
なんだろう、もう既に琴音ちゃん溶け込んでるけど、それは良いのか? これは成長なのか、それとも新たな頼る人物ができただけなのか?
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