残念異能生活日記

紡未夏樹

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三章

24.神流先輩の部屋(後)

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遂に神流先輩が後ろを振り向いて──固まった。
あぁ、終わったな。俺何もやってないけど、これはアウトだよな。
しかし、予想していたのとは裏腹に、神流先輩は固まったまま、動かない。
「あ、あの、神流先輩?」
先輩のお父さんが部室に来たときよりも汗をだらだら流している。
「ど、どこからあれを······?」
心なしか神流先輩の顔が青ざめている。見られてまずいものではあったのだろうけど、『見られてまずい』の『まずい』のニュアンスが違う様に思える。なんというか、怯え、みたいな。
「え、えっと、歩香がタンスの裏から見つけてきて──」
「歩香ちゃん、確かに部屋を漁るなと言わなかったのは悪いけど、あんまり弄らない方が良いこともあるのよ······」
「ご、ごめんなさい······」
怒ってるというより、覇気がない感じがする。落胆しているというか、落ち込んでるというか。
「そ、それで? 他に何か見たりはしてないのかしら?」
「な、ないですないです」
歩香が手をブンブン振って否定している。
「そう、それなら良いのよ。······まぁ、見られても理解は難しいかもしれないから」
ん? 最後何て言ったんだ?
「······でも、良いわね······それも······」
やばい、神流先輩がブツブツ言いながら笑ってる。すごい怖い。
「でも神流先輩。結局あの縄はなんだったんですか?」
何で琴音ちゃんこの話題掘り返したの!? 終わりそうだったじゃん!
「え、えっと······」
ほら、もう神流先輩もキャラ崩れてオドオドしちゃってるよ!
「し、趣味、かしらね」
何で趣味で縄!? とは思っても言うまい。
「趣味、ですか? やっぱりペットですか?」
何で琴音ちゃんこんなときに限って積極的なの!? 急所を突くのが好きなの!?
「え、えっと、そうね、ある意味ではペットかしらね」
「でもそれにしては長すぎましたよね?」
この話題終わらせてあげて!? 言葉で押されてる神流先輩も新鮮だけど、もう瀕死状態だからやめたげて!?
「そ、そうね、長いわよね······」
もう神流先輩口から魂抜けそうな勢いなんだけど!?
「見た目からするとやっぱりペットというのは動物じゃない何かだったり?」
それは確かに見た目通りだけども!
「そうね、動物ではないわね」
ん? 神流先輩が持ち直した? 安堵のため息みたいなのを漏らしている。もう大丈夫だな、的なやつを。
「お~、イメージ通りですね!」
「そうね、良く言われるわ。ホントは違うのだけれどね······」
ん? 何て言ったんだ? 今日の神流先輩の言葉は聞き取れないのが多いな。
「と、とにかく、何かしましょう」
かなり強引だが、軌道修正を試みる。
「そ、そうよ、何のために来たのよ」
「それで、ボードゲームって何があるんですか──?」

微妙な雰囲気のままボードゲームをやったが、微妙な雰囲気はそのまま継続されたので、楽しかったと聞かれるとそうでもない気がする。
あ、途中で健から電話がかかってきたが、そのあとからなぜかボードゲームが多少盛り上がってきた。お前らどんだけ健を外して遊びたいんだよ。
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