悪魔付ゲーム

本棚に住む猫(アメジストの猫又)

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〜悪魔はゲームと共に〜

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    ブォンとあのモニター画面が付く音がして、これが現実だと突きつけられるようにスートと数がモニターいっぱいに映される。
     周りのモニター達も同じ画面を映していて、私の普通をかき消されていくように、1人の男が叫んだ。

「嫌だ!嘘だ!俺は殺りたくない!助けて、おい!お前ら!」
    皆綺麗な顔の人達ばかりだけど、この人も美形なのに覚醒した目…。黒い仮面をした、さっきの男達がそいつを羽交い締めにしながら大人しくさせる。
    あぁ…この人はちゃんとした会場とかに行けば、様になって結構人気とかありそう…。

『暴れないで下さいよ。皆さん迷惑していますので、私が貴方に危害を与える事も出来ますよ?』
    そう言うと、あの人はビクッとして大人しくなった。絶対脅しだ…、あいつでさえ俯き気味で聞いてるんだ絶望しかない…。

『あ、言い忘れてましたが私の事は、ツリーとお呼びください。』
    ツリーって、木の事か?!いや、クリスマスツリーとかそういうやつなのか?!
    周りはザワザワとしていて、一際目立つ感じのはやっぱり、さっき大人しくさせられた男の人だ。まだモニターにはクラブの3と映されている。
    まてよ?洋仁(ひろと)は確か、ハートの3じゃなかったっけ?ひ、洋仁がもしかしたら死ぬという事じゃないよね?!だ、大丈夫だよね!それにこんなに小さい子供なんだぞ?!それだけはダメだ!

『では、ペアの方ですね。こちらのスートと数字です。』
    心無しかウキウキしてる感じがする…。モニターにはまた、ハッキリとダイヤと3を映されていた。
    次の瞬間、「うぉーー!」と絶望するような男の人の叫びが響いて、1人の男の人がガタッと立ち上がった。
正直少しホッとしてしまった…。恐らく、スペードの3の人もホッとしてるだろう。いや、最初の発表の時に皆そんな感じだったと思う。やっぱり、人間はこれが本性なんだよね…

『さぁ、2人を発表したのであちらの部屋に入って下さい。
皆様には、モニターで2人が殺し合いをしている様子を見てもらいます。』
    ツリーがそう言った次の瞬間に、あいつが「おい!小さな子もいるんだ!それはあんまりなんじゃないのか!」と、強く言う。

『そんなに怒らないで下さい。小さな子も、最近はドラマなどで耐性もついていますよ。
    それに、これはいづれ小さな子共達にも殺し合いをしなければならなくなります。それなら、ここで慣れさせるのが正しいと思いますが?』
    馬鹿げてる。ドラマも最近はリアリティがあるかもしれないよ?!でもね、小さな子供だぞ?!大丈夫な訳ないだろ!
    あいつは、ツリーに何を言っても考え直してくれないと分かったのか、「くそっ」と頭を乱暴にかきながら椅子にドカッと座る。
    チラッと洋仁を見たけど、涙目になりながら涙が出てくるのを耐えてるみたいだった。何気にこういう所の洋仁は男前だよね。なんて、余裕めいた事を言ってるけど、心臓が飛び出そうなほど怖い…。怖すぎる。引きこもりニートの私には、刺激がありすぎて死ねる…!!

    話を戻すけれど、ツリーが言った部屋は恐らくどんぐりと鈴が彫られてあって火と双葉と土みたいな感じのが丸い感じに型どってある、綺麗なドア
    現に、あのローブの男達に連れられて向かっているから多分当たりだと思う。私だって、伊達に推理ゲームをしていない。

    カチャ…と静かにドアが閉まって、モニターにはその部屋の中らしき映像が映されている。
    あぁ…見たくない。こんなの見たら、もう戻れない…。そう思いながらも、皆モニターに心を奪われたみたいに真剣に見ている。勿論、私も例外ではなくて目が離せなかった。

    それぞれ対角に、綺麗なワゴンみたいなのがあってナイフや武器が沢山並べられていて、1つ1つにスートの模様や装飾がされている。
2人が持ったのは、黒の歯が細くリーチが長い物と内ポケットに折り畳み式のナイフを入れていたり、銃を装備したりしてて、正直心の中では怖いというよりも興味が勝っていた。

    2人は剣を使って、殺し合いをしていた。銃は二人共まだ使わないみたいだ。多分、最後の手段みたいな感じだろう。
    最初は手加減みたいな感じで、致命的な所には剣を向けない様に、気をつけていたみたいだったけどツリーが『やっぱり、最初の人達は手加減してあまり迫力が無いですよね…』みたいな事を言って、2人は電撃を受けた。
    立ち上がった瞬間、2人は本気で殺しに行っていた。部屋の中にはローブの男達はいなくて、どこに行ったのか分からないけれど、2人だけの綺麗な部屋で死への踊りを踊ってるみたいだった。まぁ、男同志だから踊り合うよりも2人で死へと向かう戦友みたいな感じ。

    とうとう、1人が剣を弾かれて剣を落としてしまった。すると、銃声が何発か聞こえた。いや、部屋の方から響いて倒れた。いや、真っ赤な血が花びらみたいに散って力無く倒れていった。
    やめてよ、本当に死んじゃったみたいじゃん。1人の女の人の悲鳴が聞こえた後に、思い出したかの様にザワザワと周りがうるさくなった。
洋仁が私の手を握って、ポタポタと涙を流して私に「大丈夫だよ、あの人は死んでないもん」なんて、震えた声で私に言ってくるから、抱きしめて頭を撫でながら、「そうだね…」って言うけど本当は洋仁みたいに怖くて泣き出したくなった。声は裏返ってしまったかもしれないけど、洋仁だけは気づいてなければいい。

「くそっ…さっきの電撃、明らかに可笑しかった。でもこれが、あいつの狙いだ…。面白味を求めてるのかもしれない。俺達でここから出るぞ。」
    そんな事言いながら、あいつは私の顔を伏せさせて頭を撫でる。

「そ、そうですよ!大丈夫、あの方達は運が悪かったんです。私達でここから出ましょう」
淑(しと)さんが、私の背中を撫でてくれる。あいつは洋仁の目線で、「これから俺達は探偵だ!」ニッと笑う。洋仁は小さな声で、「うん」って言うと「陽向(ひなた)は助手だからな!」なんて元気に言う。
あいつは、不満言ってたが少し叩いてやった☆

『皆さん、落ち着いて下さい。あの方はちゃんと死にました。生き残ったプレイングカードは奥の部屋に行ってもらいます。部屋の中継は切ります。
では、朝の殺し合い最後に選ばれた方達はこちらです。』
モニターには、スペードの6と映されていた。

女の人の悲鳴と共に、暴れる音…。絶望という目が見る事が出来ない。

『そして、こちらが揃った方です。』
緊張が流れる中、映されたのはダイヤの6。男の人の叫び声、ガチャッとテーブルの上にあるカップが動く音。女の人の隣には男の人…もしかして…

「いや…いや!貴方と殺し合うなんて!」
    女の人は、他の方にして!と嘆く。周りの人達も思ってたんだろう。この人達は恐らく、恋人。それか夫婦なんだと思う。
    昨日も、確かこの2人は隣同士で仲が良さそうだった。まぁ、拉致された当日に仲が良さそうとは失言かもしれないけど…。

2人が連れていかれたのは、木の葉と盾と鈴で風みたいなのとさっきのドアと一緒で双葉と土の丸い感じに型どってある、綺麗なドア。
静かにカチャと閉められて、女の人のすすり泣く声が聞こえる。

    モニターには、さっきの部屋と同じ構造だけど少し部屋の感じが少し違った。
    ワゴンみたいなのもそれぞれのスートと同じやつで、さっきのワゴンの中身とほぼ変わらなかった。ダメだ。これは見たくない…。2人は、涙を流しながら少し話していた。
声が小さくてあまり音が撮れてなかったけれど、内容は多分こうだ。
    男は恋人に、楽に死ねる様にしてあげると言って、女も同じ事を言ったんだと思う。少し気が荒立って、女の人は剣を振り上げるけどそれが出来なくて、空を切った。
    男は、「愛してる」と言いながら恋人に剣を胸に突き立て様とした時に、女が「ごめんなさい」と言って少し俯きながら男に狩人用の弓で胸を射った。
    私は見た。男が少し微笑んで、分かってたよ。みたいな感じで倒れたのが…。

部屋とスピーカーからは、女の人の泣き声が響き渡って、重い空気になる。皆、俯きながら周りを見たりしていた。
    皆分かってた。この2人がどういう殺し合いをしたのか…。男の人の胸からは真っ赤な血が広がっている。
女の人のうなだれた様子が、痛々しく見えて私達が自分のスートと数が呼ばれなかった事に、ホッとした自分を思い返して代わりになってあげたいとは思えなくて、偽善者じみた考えをしている。

『この2人は、恋人だった様ですね。あまり音声では撮れなかった様ですが、私達は満足ではあります。
では、また夜に殺し合いはありますので…、お昼ご飯が出来たらまた呼びますので、take a sleep』
    ブツッとモニター画面は消えて、重い空気の中段々皆自分の部屋へ戻って行く。いや、この館を周りに行ったのかもしれない。

    私達が最後になった時、あいつが明るく「探検でもするか!」と言い出した時は、イラッとしたけどあいつなりにこの空気をどうにかしようと、考えてくれたんだと伝わったから、叩かないでいた。


────────────
   生き残るなんて、考えなければ良かった…。
   この館は、謎が多すぎた。
   俺だけでも…俺だけでも逃げ切れば皆は、報われたのに…俺も、皆と仲間入りだ。
   今度は、もっと笑い合おうな。ローブ仲間も出来そうだ‪w
    土産話は面白くないかもだが、皆は冗談混じりに笑ってくれるだろうな…。
    そう考えながら、俺はローブと仮面を付けて力尽きた。
    起きる時は、もう俺じゃなくなるんだろうな…。なんて考えながら。
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