悪魔付ゲーム

本棚に住む猫(アメジストの猫又)

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〜悪魔との時間は午前苦時〜

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    低い鐘の音がして、さっきのメイドさんとは違う服装のメイドさんが来た。
規則正しい靴のコツコツという音が、心地いい音だななんて考えながら、メイドさんの服装を見るとさっきのメイドさんの服装と少し似ているけれど違う所があった。
    それは、10という黒い文字が首に記されてあった。少し青っぽくキラキラと見えたのは見間違いなのかな?さっきのメイドさん達にもあったのかもしれないけれど、黒のベールが結構長くかけてて見えないと思う…。
    なぜ、‪私がこのメイドさんが10と記されてあるのが分かったのは、黒のベールだけど素材が少し違ったから。レースみたいな素材で多分電気の当たり具合なんだと思う。
    あと、全身のほとんどが全て黒1色で統一されていた。黒のアクセサリーもなぜか映えてて、綺麗だな…なんて思ってしまったくらいだ。

「………悪魔付きゲームの支度が出来ました。青葉鈴様、会場にお集まり下さい。」
    冷酷な声と、生きてる人間とは考えられないほど感情のない様な声色でそういうと、お辞儀をして失礼致しました。と言ってドアを閉めた。
    正直、寒気がした…。


    私は会場に行く前に、洋仁(ひろと)の部屋まで迎えに行って、一緒に会場へ向かった。
    洋仁も私の部屋に来たメイドさんみたいな人に言われたみたいだった。
    会場に着くと、何人か会場には来ていない人が居たけれど、あの電子音の声が悪魔付きゲームの説明を忘れた方もいるかもしれないからと、また説明しだした。


『殺し合いをしてもらいますが、私の命令に従わない方には、一時的にペナルティや場合によっては死を差し上げます。また、傷つけますので、ご了承ください。
     皆様が分からない様な顔なので、実際に見てもらいましょう。』
    そう電子音の声が言った後、ドアがガチャと開いて出てきたのは、朝私をからかってきたやつを含めて5人が手首を縛られて、黒いローブを目深に被ってラテックスマスクや、狐のお面などしている(多分)男達が5人を連れてきた。この館の様に、シンプルなお面でもキラキラと宝石みたいなのが散りばめてあったり、ローブもキラキラと明かりに照らされて光っている。

「おい!なんだよ!別に部屋にいていいじゃねーか!!やめろよ!」
    5人は口々に言ってる。すると、パチンッと音がした直後に5人はうめき声と共に崩れ落ちて、ガクガクと体が震えてる。
    これは俗に言う、電気を流されているという物なのだろう。それを見た周りの人は、きゃー!と叫んだり声を荒らげながら、やめろ!という人達がほとんどだった。私は、5人を見ながらただ呆然と見るしかなかった。

『まあ、このくらいで良いでしょう。皆様、この5人は会場に来なかった人達です。女であっても、手加減という物は致しません。
    まだ痙攣をしていますが、耳はちゃんと聞こえるはずです。覚えていなかった方には、ちゃんと他の方が教える様にして下さいね。』
    私は、魂が抜けたみたいに唖然とその声を聞き流していた。5人の中には、すごく綺麗な女の人もいたけど、今はピクピクと痙攣させながら涙と鼻水と涎でグチャグチャな顔で、放心状態みたいになっていた。


    電子音の声の説明も終わって、朝食の時にあった椅子とテーブルではなく、少しシックな感じの四角いテーブルと椅子が用意された。至る所に、トランプの要素が入っててでも会場にもちゃんと、映えるような絶妙なバランスの椅子とテーブルだった。

    さっきの5人は、黒のローブの着た男に連れられてどこかに行ったけど、会場が出来上がって皆がお茶や飲み物などを取って、座る頃には戻って来た。私は、当然洋仁と一緒のテーブルに座ったけど、あのからかってきたやつが隣に座った。

「本当、あいつイカれてるんじゃないか?あ、お前なんて言うんだっけ?」
と、モニターに向かって睨みつけながら私に聞くが、そもそも名前は教えたつもりないぞ??

「あ、えっと、青葉(あおば)……鈴(りん)」
しどろもどろしながら名乗ったけれど、こういうのは本当に苦手だ…。

「俺は、中村陽向(なかむら  ひなた)。もう腹は鳴らすなよ?」
もうネタにしてるし!それに、ニヤッと黒い笑を浮かべてる!!
     洋仁は私達2人の会話を聞きながら、楽しそうに聞いている。

「僕はね、洋仁(ひろと)って言うんだ!」
    僕の番が来た!と言わんばかりに、自信満々に自己紹介している。
あいつは、おう!洋仁いい名前だな!なんて言って、イケメンスマイルで頭を撫でている。

「じゃあ、私の番ですね」
    なんて声も聞こえる。ん?聞こえるという事は…。目の前に座ってるのは、私と近い年齢に見える女性。
カクテルドレスという、露出は控えめな感じのパーティとかで着そうなドレスだ。それに、裾の方は広がっていて多分クルッと1周回ればドレスの裾は広がってこの人の、モデル並な身長や綺麗な顔がよく映えるだろうな…
    ドレスの色は、ワインレッドという感じの色でストッキングはシックな黒だ。メイクもナチュラルで、私にはお目にかかれる様な方ではないのは、すぐに分かる。

「私は雪鬼淑(ゆきおに   しと)と言います。」
    そう言いながら、右手を胸に当てて名前を名乗りながら微笑む。絵になるな~…


    そんな話をしていると、ブォンと大きな音と辺りのモニター画面が一斉についた。私達は張り詰めた空気になりつつも、モニターの方を見る。

『えー、皆様いかがお過ごしでしょうか?先程の5名様は電流、どうでしたでしょうか?今回は私の指示に従ってくれた様ですね。
では、悪魔付きゲーム開始です。今回は揃ったカードが無くなるだけなので、1回に付き2組が殺し合いをしてもらいましょうかね。
なので、映像は手元ではなく揃ったカードのスートと数字ですね。』
    そう言うと、モニターの映像が黒と白のチェックから濃い緑色になった。そこにはスートと数字が大きく映されていた。どのモニターにもそれが映っていて、これが私の普通から引き剥がされた瞬間だった。


───────
助けて、助けて…。と、何度も言った。
だけどもう声は届かない。せめて、これから同じエンドを送る者には、この事実を渡したいのに…。
もうそろそろ、これで終わりか…。さようなら、私の愛した人。さようなら、私の家族。
    暗闇の中で、動かなくなっていく体と共に目をつぶった。目を開ける時は、自分ではなくなる事に絶望しながら、紙をポケットに入れた。
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