お狐様の恩返し

泡沫 呉羽

文字の大きさ
14 / 15

ニアが他の狐に嫉妬?

しおりを挟む
 ニアが部屋から出てきたけど、凄い静かでなんか照れちゃうよ~。

「…………ニアは可愛い…」

 思わず呟くとニアが反対側を向いてしまった。えー、狐面つけてるから照れててもわかんないのになぁ~。いつものごとく窓の外を見ていたら生き物を発見した。僕はとにかく急ぎ外へ向かった。って言っても普通の人から見たら歩いてるレベルだけどね。

「……何処へ行くんですか?」

 ニアがついてきてくれるらしい。ふふふ、ニアにも生き物を見せてあげられるね!近づくと飼いならされてるのか嬉しそうに近づいてきた。そう、子狐じゃないけど何でか狐がいたんだ。頭を撫でると満足そうに尻尾を降る。

「ニア、見てみてこれが狐なんだよ。ずっと見せたかったんだよね。子狐もいつか見せてあげるね」

 ニアが狐の頭を見たまま動かなくなった。あれ?もしかして苦手だったのかな?ニアは無言で傘をどこからか取り出し先端を狐に向ける。何かを察知した狐が怖がって走って消えてしまった………。

「ニア!?どうしたの?」

 ニアはゆっくりと視線をこちらに向けた。

「……いえ、あなたの言う子狐は断じて許しますが、あの狐は小悪な気がするので撫でないでください。それに誰かに買われてる可能性しかないので…飼い主が懐いてしまったと嘆きますよ?」

 ……なんか、言葉に刺々しさを感じた。なんだろ……。ニアは僕の手をじっと見ている気がする。……ばっと立ち上がりニアの頭をなでた。するとニアは大袈裟なくらいに後ずさって何処かへ行ってしまった。あれ?撫でて欲しいからかと思ったんだけどなぁ。嫉妬じゃなかったか…………。
折角だから噴水の近くに座ろうと。人の出入りが最小限の離宮だからか、空気が美味しく感じるね。

「キュ……」

 僕のズボンを小さな足でカリカリされた。あ、子狐だ!いらっしゃい!!…今日は抱っこしても威嚇しないかな?手を伸ばすとそわそわはしてるけど大丈夫らしく抵抗もしなかった。ちょっと懐いたかな?……あ、メスだ。うわっ!?ごめんごめん!!

「デリカシーなかったね!!ごめんって……ほらもう見たりしないからおいで…」

 1メートルぐらい離れちゃった…………。やっぱり頭が良いみたいだね。必死に言ってたら子狐ちゃんがやれやれというように呆れた感じで近づいてきた。もう一度抱っこして毛並みを堪能する。ふわふわでやっぱりこの子が一番可愛い狐だと思う!

「お昼一緒に食べる?」

 子狐ちゃんは首を傾げたけど何も言わずに目を瞑っているので多分了承したのだと思う。そう思うことをする!
部屋に戻りテーブルにつくと甘えたいのか膝の上に乗ってきた。

「キュー?」

 はぅ!…僕に狐の言葉を分かる能力でもあればよかったなぁて今実感してしまった。……あ、子狐ちゃんって何食べるんだろ。メイドが雑に食事を置いていったのを見て食べづらいだろうとテーブルの上に小さなクッションを起きその上に子狐ちゃんを置いた。僕の手を必死に頭を擦り付けようとするから可愛い。ちょっとだけ撫でて食事にした。色々とあげてわかったんだけど何故かパンケーキをよく食べてた。何故!?…普通はりんごとかパンとかだと思ってたからびっくりした。他には僕がたべようとしていたおやつのマフィンとか食べたそうにしてたからあげたし、色々食べれるみたい。甘いものとかが好物みたいだね。

「キュ!キュー!」

 お昼寝しようとしたら子狐ちゃんも潜り込んできた。あ、動物が中に入ると温かい………。スポッと顔だけだして寝ている子狐ちゃんが可愛い…。それにしてもニア何処まで行ったんだろ……。うとうと……。むにゃむにゃ…。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

婚約破棄したら食べられました(物理)

かぜかおる
恋愛
人族のリサは竜種のアレンに出会った時からいい匂いがするから食べたいと言われ続けている。 婚約者もいるから無理と言い続けるも、アレンもしつこく食べたいと言ってくる。 そんな日々が日常と化していたある日 リサは婚約者から婚約破棄を突きつけられる グロは無し

[きみを愛することはない」祭りが開催されました~祭りのあと2

吉田ルネ
恋愛
出奔したサーシャのその後 元気かな~。だいじょうぶかな~。

「ご褒美ください」とわんこ系義弟が離れない

橋本彩里(Ayari)
恋愛
六歳の時に伯爵家の養子として引き取られたイーサンは、年頃になっても一つ上の義理の姉のミラが大好きだとじゃれてくる。 そんななか、投資に失敗した父の借金の代わりにとミラに見合いの話が浮上し、義姉が大好きなわんこ系義弟が「ご褒美ください」と迫ってきて……。 1~2万文字の短編予定→中編に変更します。 いつもながらの溺愛執着ものです。

強い祝福が原因だった

恋愛
大魔法使いと呼ばれる父と前公爵夫人である母の不貞により生まれた令嬢エイレーネー。 父を憎む義父や義父に同調する使用人達から冷遇されながらも、エイレーネーにしか姿が見えないうさぎのイヴのお陰で孤独にはならずに済んでいた。 大魔法使いを王国に留めておきたい王家の思惑により、王弟を父に持つソレイユ公爵家の公子ラウルと婚約関係にある。しかし、彼が愛情に満ち、優しく笑い合うのは義父の娘ガブリエルで。 愛される未来がないのなら、全てを捨てて実父の許へ行くと決意した。 ※「殿下が好きなのは私だった」と同じ世界観となりますが此方の話を読まなくても大丈夫です。 ※なろうさんにも公開しています。

完結 愚王の側妃として嫁ぐはずの姉が逃げました

らむ
恋愛
とある国に食欲に色欲に娯楽に遊び呆け果てには金にもがめついと噂の、見た目も醜い王がいる。 そんな愚王の側妃として嫁ぐのは姉のはずだったのに、失踪したために代わりに嫁ぐことになった妹の私。 しかしいざ対面してみると、なんだか噂とは違うような… 完結決定済み

望まぬ結婚をさせられた私のもとに、死んだはずの護衛騎士が帰ってきました~不遇令嬢が世界一幸せな花嫁になるまで

越智屋ノマ
恋愛
「君を愛することはない」で始まった不遇な結婚――。 国王の命令でクラーヴァル公爵家へと嫁いだ伯爵令嬢ヴィオラ。しかし夫のルシウスに愛されることはなく、毎日つらい仕打ちを受けていた。 孤独に耐えるヴィオラにとって唯一の救いは、護衛騎士エデン・アーヴィスと過ごした日々の思い出だった。エデンは強くて誠実で、いつもヴィオラを守ってくれた……でも、彼はもういない。この国を襲った『災禍の竜』と相打ちになって、3年前に戦死してしまったのだから。 ある日、参加した夜会の席でヴィオラは窮地に立たされる。その夜会は夫の愛人が主催するもので、夫と結託してヴィオラを陥れようとしていたのだ。誰に救いを求めることもできず、絶体絶命の彼女を救ったのは――? (……私の体が、勝手に動いている!?) 「地獄で悔いろ、下郎が。このエデン・アーヴィスの目の黒いうちは、ヴィオラ様に指一本触れさせはしない!」 死んだはずのエデンの魂が、ヴィオラの体に乗り移っていた!?  ――これは、望まぬ結婚をさせられた伯爵令嬢ヴィオラと、死んだはずの護衛騎士エデンのふしぎな恋の物語。理不尽な夫になんて、もう絶対に負けません!!

彼は亡国の令嬢を愛せない

黒猫子猫
恋愛
セシリアの祖国が滅んだ。もはや妻としておく価値もないと、夫から離縁を言い渡されたセシリアは、五年ぶりに祖国の地を踏もうとしている。その先に待つのは、敵国による処刑だ。夫に愛されることも、子を産むことも、祖国で生きることもできなかったセシリアの願いはたった一つ。長年傍に仕えてくれていた人々を守る事だ。その願いは、一人の男の手によって叶えられた。 ただ、男が見返りに求めてきたものは、セシリアの想像をはるかに超えるものだった。 ※同一世界観の関連作がありますが、これのみで読めます。本シリーズ初の長編作品です。 ※ヒーローはスパダリ時々ポンコツです。口も悪いです。 ※新作です。アルファポリス様が先行します。

幽閉王女と指輪の精霊~嫁いだら幽閉された!餓死する前に脱出したい!~

二階堂吉乃
恋愛
 同盟国へ嫁いだヴァイオレット姫。夫である王太子は初夜に現れなかった。たった1人幽閉される姫。やがて貧しい食事すら届かなくなる。長い幽閉の末、死にかけた彼女を救ったのは、家宝の指輪だった。  1年後。同盟国を訪れたヴァイオレットの従兄が彼女を発見する。忘れられた牢獄には姫のミイラがあった。激怒した従兄は同盟を破棄してしまう。  一方、下町に代書業で身を立てる美少女がいた。ヴィーと名を偽ったヴァイオレットは指輪の精霊と助けあいながら暮らしていた。そこへ元夫?である王太子が視察に来る。彼は下町を案内してくれたヴィーに恋をしてしまう…。

処理中です...