そんなにホイホイ転生させんじゃねえ！転生者達のチートスキルを奪う旅〜好き勝手する転生者に四苦八苦する私〜

突然の襲撃と神々の優雅な会話

「怪我した人はいませんか－？」

「嬢ちゃんこっち頼む！ザックリやられちまってよ！」

「次はこっちだ！コイツ骨折られたんだ！」

「分かりました！タマミ、骨折れた人の方お願い！」

「キュオ！」

戦いが始まってから大分時間が経ったけど、未だに終わる気配は無い。エルビスの用意した灰色の兵士達も森の中にまだまだ沢山潜んでいるし、転生者も私や幼女（妖精）が捕まえたあの6人以外は未だに捕まえられていない。

人数の少ない私たちとしてはいち早くエルビス側に撤退して欲しいんだけど、彼らに撤退する様子は見られない。いや、もしかしたら撤退するという考えが無いのかも知れない。転生者に暗示を掛けて戦わせようとする人たちだ。そのようなことがあってもおかしくは無い。

しかし、戦いが長引くのは、数の少ないこちらとしては大分不利だ。王様からの援軍が来るとしても、兵士の人が言うには到着は午後になってからだそうだ。それまで持つかどうか・・・

ああ、ダメダメ！私の悪いクセだ。ついネガティブなことを考えてしまう。今は目の前の事に集中しないと。

私が頭を振ってネガティブな考えを吹き飛ばそうとしたその時

「いたわ！ケンジ！」

「おう！任せろミナ！」

2人の男女の声が聞こえたかと思うと、いきなり男の人が私に殴りかかってきた。完全なる不意打ちで、避けることは出来ず、男の人の拳が私の腕に命中する。

パキリ

遠のく意識の中でそんな音が聞こえた気がした。

・・・・・

・・・

地球にある三女神協会。そこで美しい少女の姿をした女神ラケシスと、妙齢の女性の姿をした女神クロートーが優雅に紅茶を啜っていた。

「で、お姉様。ハデス神はなんと？」

「どうもこうも、あなた聞いていなかったの？」

「ええ。何故か昔からあの神の言うことは右から左へと流れて行ってしまって・・・」

「ラケシス。正直に。」

「はぁ・・・話しがあまりにも退屈だったから居眠りしていました。」

「まったくもう・・・」

ラケシスの開き直りに頭を押さえるクロートー。しかし、クロートーは頭を押さえながらもラケシスに派ですが行っていたことを再度説明する。

「いいですか？ハデス神はエルビスの愚か者達による出来損ないの死者蘇生で蘇らせられた魂を全て回収しなければならないと言っていました。」

「お姉様、それは聞きました。」

呆気下欄という妹にイラッとくる女神クロートー。しかし、ここで怒っては鳴らないと、女神の維持で怒りを我慢し言葉を続けた。

「では、望結様がそれに失敗した場合、ハデス自らがその魂を回収しに行くという話は？」

「え？ハデス神が自ら？それは初耳です。ていうかそれは・・・よろしいのですか？私は止めた方が良い、と言うより絶対駄目だと思うんですけど。」

ハデス神は最高神ゼウスに次ぐ実力を持つ神だ。彼があの世界に降臨すれば、大地はたちまち死の気配におかされ、東大陸は死の大地となってしまうだろう。ラケシスはそれを危惧しているのだ。

「駄目でしょうね。いくらハデス神の管轄といえど、お父様がお許しになるはずがありません。しかし、ハデス神はやると言ったらやる男です。望結様には頑張って貰わなければ。もし失敗したらあの世界滅ぶ可能性ありますし。」

キッパリというクロートーに少しほっとした様子のラケシス。また優雅な時間が流れると思った矢先、老婆の姿をした女神アトロポスが飛び込んできた。

「姉様！大変です！望結様の意識が途絶えました！どうやら転生者による奇襲に遭った模様です。」

その言葉に2人の麗しい女神は持っていたティーカップをカチャリと丁寧に置くとこう言った。

「お姉様、これはマズいのでは？」

「はっきり言って大ピンチという奴ですね。」