そんなにホイホイ転生させんじゃねえ！転生者達のチートスキルを奪う旅〜好き勝手する転生者に四苦八苦する私〜

最初は弱いスキルって後半からめちゃ強くなるのが常識

まずい、思いのほか力を得ているらしい。一体どれほどのチートスキルを得たのだろう。灰色の兵士達が瞬きした瞬間に全て倒されていた。まさに瞬殺。どのようなスキルを使って倒したのか皆目見当も付かない。

「まずいな・・・予想以上に強い。一体どれほどのスキルを手に入れたんだ？」

「ああ、これだけの力を持っていると、逃げきれるかどうか怪しいな。それに、罠を仕掛けたところで力尽くで脱出してきそうだぜ？あれ」

氷室と風間が戦々恐々としながら言う。確かにあの強さは予想外だ。

一瞬で30人もの兵士を倒す能力。これほどの力を持っているならば例え兵士が100人いたところで太刀打ちできないだろう。

さて、どうするか。新たに作戦を考えようとしたその時。

「さてと・・・ねえ！そこにいるんでしょ？氷室と風間。後知らない誰か２人」

「？！」

「何？！」

突如として木崎悠馬が私たちの方を向いて声を掛けてきた。

一体どうして・・・あの距離で私たちの姿が見えるわけ無いのに・・・いやまてよ。あの20人の中に確か敵や味方の位置、トラップなどの場所を判別できる能力を持った転生者がいた。もしかして、その人の能力を・・・

このままだとマズい。

「とりあえず一時撤退！ちょっと私たちじゃ手に余る！」

「アレ絶対勝てるよ」

「確かに。アレは無理そうだ。おい氷室。構えるな逃げるんだよ」

「先に行け俺は後から・・・」

「いや悪いけどそれフラグ。お前ホント死ぬから潔く逃げるぞ」

私と狼少年はライドに、そして風間と氷室の二人は自前の身体能力で逃走を始めた。

・・・・・

・・・

「ねえ、何処まで行くんだい？」

「うるせえこのストーカー野郎！」

風間が木崎に向けて地面から金属の槍を生やし攻撃するが、木崎には掠りもしない。

その上いくら逃げても木崎は行く先々でテレポートのような魔法で突然目の前に姿を現す。たちが悪いといったら・・・でも一つだけ幸いだったのが、理由は分からないが木崎は目鞍めっぽうに魔法を撃ってこなかったことだ。もし魔法を乱射されていたら私たちに勝ち目は無いだろう。

そして、木崎悠馬から逃げている最中に罠を仕掛けていた砂原と一樹も回収した。どうやら二人はこの一体に様々な罠を仕掛けてくれたらしい。だが、軍用レーダーと同等の能力を得ている木崎に対して、それはほぼ無意味だった。

とりあえず作戦を立て直すしか無い。

「とりあえずこのまま戻るわよ！いい？」

氷室と風間裳ライドに乗せ、砂原も一樹もそれぞれ別のヘル・ウルフに乗せる。

「みんな、本気で花畑まで！急いで！」

私が一声掛けた瞬間、ヘル・ウルフ達は一斉に風のように走り出した。

・・・・・

・・・

「うん、作戦は上々。彼らのおかげで彼女の居場所は分かったし、彼女のスキルを貰ったらエルビスに戻ろうっと。」

木崎悠馬はニヤリと笑い、その場から霧のように消えた。