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社長以上に偉い会長にはNOとは言いづらい

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私はタケルさんの意思に押され、アトロポスさんに電話を掛けた。スマホを取り出した際、タケルさんが 

「なんだそれ?ケータイか?俺が持っていた奴と大分形が違うな」

と言っていて、そのジェネレーションギャップを感じるその一言に、まだ異世界小説なんかが流行する前からこの世界に来て、生きてきたんだろうなと思った。

数コールの後にアトロポスさんは出た。

『望結様、私言いましたよね。転生者にバレてはいけないと。』

くどくどと始まるアトロポスさんからのお小言。

「そう叱ってやるな。彼女はバレないように一生懸命だった。今回は偶然俺がアンタとの会話を覗いちまったから分かったのさ」

これは長引くだろうなーとか思いつつ、アトロポスさんからのお小言を聞いていると、タケルさんは私からスマホを取ってアトロポスさんと話し始めた。

なにやらアトロポスさんがスマホの向こうでブツブツと何かを言っているのが聞こえてくるが、聞き取れないので。いったんスマホを返して貰いスピーカーホンにする。

『はあ・・・まあ大仕事も終わったばかりですし、今回は大目に見ましょう。で、本題ですが・・・』

「ああ、俺への無限の魔力の返還は不要だ。そちらで破棄してくれ。」

スマホの向こうからとても大きなため息が聞こえてきた。

「何か問題でもあるのか?」

不思議そうに聞くタケルさん。それに対してアトロポスさんはこう答えた。

『そういう訳にもいかないのです。神々の掟で、転生者には必ず一つはスキルを与えることが決まっています。与えないわけにはいかないのです。』

「じゃあなんか適当な物をくれ。それなら良いだろ。」

『そんな物ありません。転生者に与えるスキルという物は個人個人に合わせて造ってあるオーダーメイド品なのです。なので、他人の適当なスキルを与えると、先の木崎のような暴走を引き起こす可能性があります。』

そ、そうだったんだ。じゃあ木崎が他人のスキルを奪えたのは何故?神々が作ったのなら転生者のスキルは奪われないように調整するはずじゃ・・・

『神にだってミスはあるんです。』

あ、そうですか。

アトロポスさんのなんとも言えない気迫に押し黙る私。

「じゃあ、無限の魔力自体をどうにかしてくれ。あのスキルの所為でまた争いが起きるのは御免だ。」

そういうタケルさんの主張にアトロポスさんは黙り込んでしまう。

何で悩むんだろう?ちゃちゃっといつものようにスキルを弱体化させれば良いのに。

そう思っていると、アトロポスさんはとんでもないことを言い出した。

『それは出来ません。無限の魔力というスキルは私たちの父、神々の王であるゼウスが造りだした物なのです。あのスキルを弱体化させるのは私たちの力では不可能です。』
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