37 / 38
34 愉快な仲間を紹介するぜ!
しおりを挟む臨時広場で揉めていた少女を、これ幸いと設立予定のギルドへ誘った。
強引な感じはあったが、少女は承諾してくれた。
彼女の名前はアズール。アズと呼んで欲しいと、彼女からは言われている。
アズはメンバーにはまだいない生産職なので、これから大活躍してくれることだろう。
一先ずはサンゾウと三人で狩りへ出掛け、一度ログアウトしたところだ。
買い出しや仮眠は前倒してあったから、ストレッチ、お風呂、晩御飯の順で済ませた。
コンビニやレトルトでも美味しいものは沢山あって、一人暮らしには有難い。
諸々を済ませば、ベッドに横になって準備完了だ。
休憩用に飲み物も用意したし、今夜もたっぷり楽しむぞ!
「ダイブスタート」
ログインすると、街の中央から少し外れた道端だった。
この微妙に空いた場所が、俺達がよく駄弁る場所だ。
ゲーム的に言えば≪溜まり場≫というやつだ。
プレイヤー達が勝手に集合場所や駄弁るのに使う場所のことで、特にシステム的に占有しているわけではない。
ギルドが実装されたんだし、ギルドホーム的なのも一緒に実装されてるといいな。
その場所には、既に何人かが座っていた。
サンゾウ、リリィ、レンだ。
今はもう八時過ぎで、大体ログイン数もピークの時間帯である。
全員揃ってると思ったけど、まだだったらしい。
「こんばんはー」
「あ、姫ちゃんだ。こんばんは」
「こんばんは、さっきぶりでござる」
「こんばんはお姉様! 隣が空いてるので、ここへ座ってください!」
挨拶を済ませた後は、適当に駄弁って時間を潰す。
他の人が来るまで時間があるようなら狩りに行ってもいいが、そこまで切羽詰ってるわけでもない。
みんなのんびりしてるし、だらだら過ごすのも楽しいからいいんだ。
話題は一先ず実装されたばかりのギルドのことへ。
改めてお知らせを開きながら会話を聞く。
なるほどなるほど、ギルドホームも実装されたのか。
それは是非とも入手したいところだ。
「お姉様、今日はこの後素材集めですか?」
「そうですね。私も少し集めてみましたけど、まだ全然足りないので皆で集めたいですね」
「僕も出来る限り頑張るよ」
「ほほう、腕が鳴るでござるなぁ」
「お姉様のギルド……ああ、なんて素晴らしいのかしら! 楽しみでしかたがないわね!」
「しかり! 全力で挑むでござる!」
皆がやる気を漲らせている。
しばらく駄弁っていたところで鬼コンビがやってきて、その後すぐにアズもやってきた。
これで全員揃ったので、アズを紹介することに。
「≪鍛冶師≫のアズさんです。設立予定のギルドに勧誘したら快く承諾してくださいました。仲良くしてあげてくださいね」
「≪鍛冶師≫で、名前はアズールだよ。あ、アズって呼んで! お姫様の為にアズも頑張るから! よろしくお願いします!」
「僕はレン。≪破壊者≫っていう魔法職をやってるよ。よろしくね、アズちゃん」
「拙者は≪忍者≫のサンゾウでござる。改めてよろしくでござる」
「あら、可愛い。私は≪アコライト≫のリリィよ、よろしくね。一緒にお姉様の助けになりましょう」
「僕はダイナ。このギルドの≪筋力≫担当です。よろしくお願いします」
「オレぁダリラガンだ。長いから皆もこの際ダリって呼んでくれ! 攻撃を受け止める肉壁はオレに任せとけ! よろしく頼むぜ!」
うーん、中々個性的な面子だ。
ケモミミ美少女(おっさん)な俺が言うことではないのかもしれないが。
何はともあれ、アズは無事に受け入れられた。
雑談ついでに経緯等を話すと、皆アズに同情的だった。
「お金をポンと支払って助けるなんて、お姉様はなんて慈愛に満ち溢れてるのかしら……! 反面、そのパーティーメンバーの浅ましさは非常に腹立たしいわ!」
「ホントに、とんでもないやつらもいたものですね」
「男の風上にもおけねぇな!」
リリィが猛り、ダイナとダリが同調する。
何気にこの三人って仲良いよな。
というか、リリィが鬼コンビを雑に扱ってるようでそうでもないということに気が付いた。
口調が雑になってるだけで、リリィは誰にでも優しいのだ。
「あ゛ー! 興奮するのはいいけど服は脱がないで! 筋肉を見せつけて来るのはマッスルハラスメントよ!」
「あはは、ダイナさんとダリさんおもしろーい!」
「アズちゃん、あれを視界に入れちゃダメよ、筋肉がついちゃうわ!」
「これが僕の! 上腕二頭筋です!」
「お? それならオレぁ僧帽筋だ!」
「寄るな筋肉!」
多分。
アズがすっかり打ち解けたところで、素材集めの狩りに出掛けることにした。
人数も多いので、二手に分かれる。
≪強靭な闘志≫はサンゾウ、俺のペア。
≪強剛な有志≫にダリ、ダイナ、レン、リリィ、アズの五人。
闘志は少しは集まっているから、有志を優先した結果こういう割り振りとなった。
リリィは少し微妙な顔をしていたが、はっきりと反対はしなかったのでスルーした。
「さー、無理しない程度に頑張りましょー!」
「「「「「「おー!」」」」」」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる