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脱出
しおりを挟む依頼達成のサインを貰って、ギルドへ戻ると達成内容を色々と聞かれたけど、鑑定で出た妖精界の植物を公開しても良い事なんか無いって分かってるから、個人的な部分だと誤魔化した。
実際、依頼者がOKを出してるんだから、具体的な詳細報告は必要なかった。
「では、Eランクへ昇格です。
これでどこへ行っても依頼を受けられますよ」
「ありがとうございます。
もし、……あ、いえ、これからも頑張ります」
誰か訪ねてきたら言わないで欲しいと言いたかったが、追手がいると思われる方がより危ないと思って黙った。
「?、頑張ってくださいね」
公爵家を出て来た時の服装のままだったので、急ぎ旅の準備をすることにして、今日中にこの街から離れるように頑張った。
この街を出たら、少しは気持ちも落ち着くかな、と考えた。
夕方、漸く軽く準備を終えて、街の外へ出るために門兵に声を掛けると、昼間入って来た時と同じ人で、僕を見るなり物凄く驚いた顔をしていた。
「おいおいおい、どうしたんだよ?!
その髪は!!」
旅支度をする為に、お金になりそうなハニーブロンドの髪を売った。
どうせ伸びるんだし、短髪文化の僕にとっては大した話じゃ無かった。
この世界じゃそれなりの長髪文化が根強いけど。
「旅支度の為に、お金が必要で売りました」
にっこり笑うと、可哀想な人を見る目でくろうしてるんだな、って労られてしまった。
「誰かに追われてんだろ?
髪を切るって事は、そう言う事だ」
「え? そう言う事?」
どう言う事?
「髪は家を表すから、その家から切り捨てられたか、出奔する気だろ?」
「そんな大袈裟な」
髪にそんな意味が?
昔、CMで、髪は長~い友達ってやってたけど、ここでは家族なんだぁ、そっかぁ。
ハゲとか遺伝するもんなぁ。
確かに友達より、家族だよな!
「うん、逃げるんだ!
新しい幸せにの為にね!」
そう言って、夕方の街を後にした。
「奥様がご実家に帰られてないなら、街のどこか働ける所にいらっしゃるのでは?」
ローレンツォのブロンドは今は色褪せてしまっていたがとても見事な髪だし、あれは目立つから直ぐに見つかるはずだ。
とにかく、ブロンドを探させれば良い。
「あの髪色は目立つ。
今は麦の穂先の様に褪せているが、見事なブロンドだ。
探すなら、ブロンドだ!」
微妙な似顔絵より、余程見つける手がかりにはなるはずだ。
「畏まりました。
領地にある街に、ブロンドの者は身分証明書を出す様に周知させます」
新しく雇った使用人たちは、直ちにブロンドを探す為に奔走した。
「ご実家に帰らなかった理由を、私めは探って参ります」
「宜しく頼む」
執事が下がると、部屋には静寂が訪れもの寂しい空間でしかなかった。
ローレンツォはこんな風に一人でいたのだろうかと思うと、政略とは言え夫婦の時間を作ってやれば良かったと、罪悪感が広がった。
窓辺に寂しげに立つローレンツォを想像したり、私の帰宅を心待ちにしている姿を思い描くと、愛しさで胸が詰まった。
早く、抱きしめてやらねば、そして、再度婚姻をするのだと、固く誓ったのだった。
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