その執着は今更です。

ビーバー父さん

文字の大きさ
11 / 62

それぞれの思い

しおりを挟む

 街へ入る時、冒険者と言う身分証明は多大なほど役に立ってくれた。

「先ずはギルドへ行って、換金と依頼が無いか探して、と」

「ほぉ、換金できるものがあるのか?」

 無視だ無視。

「なぁ、そのズタ袋のようなカバンに入ってるのはロープだけじゃないのか?」

 後ろから覗き込むようにしてくる、副団長とやらにイライラしながら、門番に教えられたギルドへと小走りで急いだ。
 周りから見たら競歩をしてる二人みたいだったことだろうって、ちょっと恥ずかしかった。

「なぁって、俺と一緒に」
「行きませんって言ってるでしょ!」

 王室とかかわりがある傭兵団のしかも副団長なんて、絶対なんかのフラグに決まってる!

「だってルイってスキル持ちだろ?」

「え?!」

 なんで登録名を知ってるんだ? 

「さっき見えちゃった」

 悪びれもせず見たと言う。

 スキルの内容までは冒険者登録カードに記載されてるわけじゃないから大丈夫だろうけど、他の街で冒険者が出来るのはスキルがある人だけだって受付のお姉さんも言ってたし、そこから想像するのは簡単だろう。
 ましてや、王室の暗部を担う傭兵団なんだったら当然の情報だろう。

「僕は生産職で、鍋とかそういったのを作るんです。
 もう、本当に邪魔しないでください」

「邪魔って、お前ってそんな形してるけど、汚れを落としてちゃんとした服を着させたら相当な美人じゃねーか。
 だから心配してやってんだよ」

 心配って、一応土工スキルは攻撃も防御も出来る優れものなんだけど、そこはわざわざ言う話じゃない。

「ご心配頂いて恐縮ですが、僕なりに考えていますから、大丈夫です」

「生産職のスキルじゃ、大した事はできないだろ?」

「だから何ですか?」

「いや、その、俺、ルイに一目ぼれしちゃったから」

「はぁ?!!!」

 バカだ、こいつ本当にバカだ。
 ただの脳筋バカだ。

 とにかく、ギルドに急いで換金、そして服とか日用品の調達、更には錬金室を借りて製作、その後宿探しだ。

「僕、恋人も恋愛も結婚も、一生する気有りませんから、他を当たってください。
 あと、地位にも興味ありません」

「えぇ~、ちょっとくらい考えてくれないの?」

「無いです。
 僕の人生計画に他人はいませんから」

 その場で大袈裟に漫画見たいな姿で、ガクリと崩れ落ちていた。








 謁見室で取り押さえられた女は、妄想妄言を叫び自分は聖女だと言っていた。

「国王陛下、『息吹』と言うスキル持ちだと女は言っておりました。
 特にレアなスキルではないので、処罰的には修道院か救済院、あたりが妥当かもしれません」

「モンブラン公、今日の呼び出しはあのような戯言を言う女を捕らえさせるために呼び出したわけではない。
 そなたも分かっているのだろう?」

 国王はローレンツォの事を言っているのだと察する事が出来た。

「婚姻破棄をした、と聞き及んだ。
 魔法契約をし一度破棄すると同じ契約は出来ない上に、似たような契約も魔法契約として承認されない事が多いと言うのは分かっていてのことか?」

「それは、分かっております」

「では、ローレンツォが准男爵の息女によって、虐待を受けていたのを王室が保護したことも分かっていたのか?」

 え? 保護? 囲い込みじゃなくて?

「政略結婚では無かったのですか?」

「バカ者が……、准男爵の横暴によって詐欺まがいの取引が横行していたのを調べていて、あの者の鑑定スキルが使われていると発覚したのだ。
 その話は婚姻をさせる前に話してあったぞ、聞いてなかったのか」

 不服しかなく、聞く気も無かった。

「言うなれば、叙爵した私の罪でもある。
 だからこそ、しかるべき家門に保護させるために考え、お前が一番だと判断したのだ」

「養子にされたと言うのは最近執事からの報告で知りましたが、息女に虐待を?」

「そうだ。
 あのスキルに目を付けた准男爵が養子にしたことを不服に思う息女が、彼を虐待していたのだ。
 背中には幾重にも重ねられた鞭の跡があった、と宮廷医師からは聞いている。
 准男爵を追い込むには、もう少し泳がせておきたかったのに、お前が台無しにした」

 聞いてなかった。

「そんな、」
「黙れ、お前は甥っ子だからこそ公爵の地位を与えられたが、罪に問われてもおかしくないのだぞ」

 国王は囲い込みではなく、保護だと言った。
 だが、ローレンツォだって、保護されてるとは思ってなかったはずだ。

「ローレンツォも保護されてるとは思っておりませんでした」

「それはお前の仕打ちがそう思わせてしまったのだろう?」

 全ては、私が聞かなかったせい。



 
 
しおりを挟む
感想 40

あなたにおすすめの小説

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

超絶美形な悪役として生まれ変わりました

みるきぃ
BL
転生したのは人気アニメの序盤で消える超絶美形の悪役でした。

牛獣人の僕のお乳で育った子達が僕のお乳が忘れられないと迫ってきます!!

ほじにほじほじ
BL
牛獣人のモノアの一族は代々牛乳売りの仕事を生業としてきた。 牛乳には2種類ある、家畜の牛から出る牛乳と牛獣人から出る牛乳だ。 牛獣人の女性は一定の年齢になると自らの意思てお乳を出すことが出来る。 そして、僕たち家族普段は家畜の牛の牛乳を売っているが母と姉達の牛乳は濃厚で喉越しや舌触りが良いお貴族様に高値で売っていた。 ある日僕たち一家を呼んだお貴族様のご子息様がお乳を呑まないと相談を受けたのが全ての始まりー 母や姉達の牛乳を詰めた哺乳瓶を与えてみても、母や姉達のお乳を直接与えてみても飲んでくれない赤子。 そんな時ふと赤子と目が合うと僕を見て何かを訴えてくるー 「え?僕のお乳が飲みたいの?」 「僕はまだ子供でしかも男だからでないよ。」 「え?何言ってるの姉さん達!僕のお乳に牛乳を垂らして飲ませてみろだなんて!そんなの上手くいくわけ…え、飲んでるよ?え?」 そんなこんなで、お乳を呑まない赤子が飲んだ噂は広がり他のお貴族様達にもうちの子がお乳を飲んでくれないの!と言う相談を受けて、他のほとんどの子は母や姉達のお乳で飲んでくれる子だったけど何故か数人には僕のお乳がお気に召したようでー 昔お乳をあたえた子達が僕のお乳が忘れられないと迫ってきます!! 「僕はお乳を貸しただけで牛乳は母さんと姉さん達のなのに!どうしてこうなった!?」 * 総受けで、固定カプを決めるかはまだまだ不明です。 いいね♡やお気に入り登録☆をしてくださいますと励みになります(><) 誤字脱字、言葉使いが変な所がありましたら脳内変換して頂けますと幸いです。

とある美醜逆転世界の王子様

狼蝶
BL
とある美醜逆転世界には一風変わった王子がいた。容姿が悪くとも誰でも可愛がる様子にB専だという認識を持たれていた彼だが、実際のところは――??

虚ろな檻と翡翠の魔石

篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」 不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。 待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。 しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。 「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」 記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。 ----------------------------------------- 0時,6時,12時,18時に2話ずつ更新

転生したら、主人公の宿敵(でも俺の推し)の側近でした

リリーブルー
BL
「しごとより、いのち」厚労省の過労死等防止対策のスローガンです。過労死をゼロにし、健康で充実して働き続けることのできる社会へ。この小説の主人公は、仕事依存で過労死し異世界転生します。  仕事依存だった主人公(20代社畜)は、過労で倒れた拍子に異世界へ転生。目を覚ますと、そこは剣と魔法の世界——。愛読していた小説のラスボス貴族、すなわち原作主人公の宿敵(ライバル)レオナルト公爵に仕える側近の美青年貴族・シリル(20代)になっていた!  原作小説では悪役のレオナルト公爵。でも主人公はレオナルトに感情移入して読んでおり彼が推しだった! なので嬉しい!  だが問題は、そのラスボス貴族・レオナルト公爵(30代)が、物語の中では原作主人公にとっての宿敵ゆえに、原作小説では彼の冷酷な策略によって国家間の戦争へと突き進み、最終的にレオナルトと側近のシリルは処刑される運命だったことだ。 「俺、このままだと死ぬやつじゃん……」  死を回避するために、主人公、すなわち転生先の新しいシリルは、レオナルト公爵の信頼を得て歴史を変えようと決意。しかし、レオナルトは原作とは違い、どこか寂しげで孤独を抱えている様子。さらに、主人公が意外な才覚を発揮するたびに、公爵の態度が甘くなり、なぜか距離が近くなっていく。主人公は気づく。レオナルト公爵が悪に染まる原因は、彼の孤独と裏切られ続けた過去にあるのではないかと。そして彼を救おうと奔走するが、それは同時に、公爵からの執着を招くことになり——!?  原作主人公ラセル王太子も出てきて話は複雑に! 見どころ ・転生 ・主従  ・推しである原作悪役に溺愛される ・前世の経験と知識を活かす ・政治的な駆け引きとバトル要素(少し) ・ダークヒーロー(攻め)の変化(冷酷な公爵が愛を知り、主人公に執着・溺愛する過程) ・黒猫もふもふ 番外編では。 ・もふもふ獣人化 ・切ない裏側 ・少年時代 などなど 最初は、推しの信頼を得るために、ほのぼの日常スローライフ、かわいい黒猫が出てきます。中盤にバトルがあって、解決、という流れ。後日譚は、ほのぼのに戻るかも。本編は完結しましたが、後日譚や番外編、ifルートなど、続々更新中。

獣のような男が入浴しているところに落っこちた結果

ひづき
BL
異界に落ちたら、獣のような男が入浴しているところだった。 そのまま美味しく頂かれて、流されるまま愛でられる。 2023/04/06 後日談追加

乙女ゲームのサポートメガネキャラに転生しました

西楓
BL
乙女ゲームのサポートキャラとして転生した俺は、ヒロインと攻略対象を無事くっつけることが出来るだろうか。どうやらヒロインの様子が違うような。距離の近いヒロインに徐々に不信感を抱く攻略対象。何故か攻略対象が接近してきて… ほのほのです。 ※有難いことに別サイトでその後の話をご希望されました(嬉しい😆)ので追加いたしました。

処理中です...