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ギルドの受付
しおりを挟む受付のお兄さんは待ってましたとばかりに身を乗り出した。
「時間の約束はしませんでしたけど、遅いです!
心配したじゃないですか」
「え、あの」
「まあ、良いです。
こちらへ、ギルド長がお待ちです」
急に冷静さを取り戻したお兄さんはギルドの上の階へと案内して来た。
「あの、ギルド長が何の用事が?」
「昨日の傷薬の件です」
「え? なんか副作用とかありました?」
「フクサヨウ?」
「あ、えっと、効能以外のマイナス要因て言うのかな」
「そんなのはございません。
あとはギルド長からお聞きください」
建物の三階へ上がると大分景色が違って見えた。
お祭りで賑わう広場まで見通せて、このギルドが治安も担っているのだと理解できた。
「ギルド長、昨日の傷薬のルイさんがお見えになりました」
中から入れ、と一言聞こえ、お兄さんは頭を下げながら扉を押し開けた。
「君がルイ君か、待っていたよ」
体の大きな人好きのする笑顔で、僕を迎え入れると座る様に促した。
「早速本題だ。
昨日のを持って来てくれ」
受付のお兄さんもそのまま残って、ギルド長に言われたまま、僕が作った傷薬を持ってきた。
「冒険者カードには、土工ってスキルになってるが、錬金も出来るって事だよな?」
しまった、錬金のスキルはレアだった。
「いいえー、違いますよ、混ぜ合わせただけで、ただの傷薬ですよ。
回復ポーションとかならいざ知らず」
ははは、と笑ってみたけど全く無反応と言うか、信じるわけないだろ? って顔を二人ともしていた。
「混ぜただけ、ねぇ。
この傷薬、他の効能もあるじゃない、それって混ぜただけじゃ無理なんだけどなぁ」
どうしよ、どうしたらいい? ちゃんと話したほうが良いんだろうか。
「ルイ君、私も君が作ったと昨日渡された時にビックリしたんだ。
だから聞いたじゃないか、錬金の種類は?って」
え、錬金は錬金じゃん。
「や、やだなぁ、錬金の作業室は借りましたけど」
「そうだよ、混ぜるだけの錬金は、錬金ではなく、調合と言うんだよ」
そっか、そうなんだ。
「あ、なら、錬金じゃなく調合をしました」
ギルド長は突然笑い出し、バレた以上は腹を括れ、と言われた。
「なあに、悪いようにはしない、って、そりゃ言われ続けて悪いようにされた口だよなぁ」
そうですとも! 錬金スキルじゃないけどさ。
「どう、したいんですか?」
ギルド長の出方を見ることにした。
フクロウが窓をコツッと嘴で叩くと、更に脚で窓の間抜きをうまく外して入ってきた。
「相変わらず、器用な脚よの」
早く取れと言わんばかりに、手紙が括り付けられている脚を上げて見せた。
「ヌガーはうまく張り付いているようだな」
短い文章で、坊やは無事街を出て隣街に滞在、と書かれていた。
「良かったローレンツォ、私が守ってあげたつもりが、更に辛い思いをさせてしまった」
顔を見た瞬間、若い頃の淡い思いが甦った。
乳母をしていたあの娘の子だと。
王太子が生まれて直ぐに王妃から暇を出されてしまったが、あの娘の子供に違いないと、ハニーブロンドとあの顔立ちで確信した。
「私の子だとしたら、何を犠牲にしても守り王族の一員にしておきたかったのだが。
王妃は隠しているが王太子は私の子では無い故、あの子が私の血を引いていれば国は乱れる。
だが、それも王族の勤めのであろう」
一時、心を通わせた娘。
「ルドヴィカ、お前は息子を残してどこへ行ってしまったのだ」
国王として立つ姿から想像が出来ない程、肩を落とし自分の不甲斐なさや、不誠実な心を呪う様に小さな紙切れを火に灯した。
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