その執着は今更です。

ビーバー父さん

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銀髪のロイズ

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 隣国への国境がどこにあるかも知らなかった僕は、王宮を出てすぐに冒険者ギルドへ駈け込んだ。

「国を出たいんです」

「国境を超えるなら、王都内にある行政区間で手続きの必要があります。
 冒険者の証明書があれば、まぁ、出られるとは思いますが、有事の際は帰国等誓約が必要になるかと」

「そこは自由に出来ないんですか?」

「そうですね。
 たとえば親戚がいるとか、家庭を持った等の事情があればその限りではないかと」

 受付のお姉さんが言ってる事は国際結婚、って事だと理解した。

「その予定はないですけど……」

「でしたら、滞在期間が数カ月とか、数年とか国によって違うので、やはり行政区間で確認ですね」

 例えば、亡命とかはないのだろうか?
 でもその国で定住する気も無いから、ビザの考え方で十分かとも思った。
 そして、結局は何だか首輪付きで長いリードの散歩を、自由だと勘違いしてる犬になった気分だった。




「では、滞在は一年でよろしいですね?」

 出国して、隣国のこの地まで船で三週間、かなりの距離を来たと思う。
 入国手続きは昔空港で申請した感じと似ていた。

「はい、冒険者として来ました」

「就労ですね。
 畏まりました。
 冒険者カード、……相違はありませんね。
 スキルが土工?」

「えぇ、罠を仕掛けたりするので」

「了解しました。
 では、冒険者ギルドで、入国の登録をして下さいね」

 受付の女性は愛想よく対応してくれて、ほっとしていた。
 出国を誰にも知らせずに来たことで、多少なりとも一人を感じて緊張していた。

「ありがとうございます」

「次に方」

 後ろに並んでいた男性にぶつかりそうになって、すみませんと頭を下げてすれ違った。
 ダサい恰好をしていたけど、背の高い薄い紫の様な銀髪だった。
 すれ違いざまにお互いを何となく確認して、その場をアロにした。





 異国、というより大分遠いリゾート地と言った感じのする街並みに、陽気な人々を横目で見ながら港町から王都を目指すことにして、乗り合い馬車を乗り継いだ。
 一日かけて行けたのは、王都まであと三日はかかる距離だった。

「兄さん、この国が初めてなら、冒険者ギルドで宿を紹介してもらいな」

 乗り合い馬車の御者は、親切にそんな情報を与えてくれた。

「ありがとう。
 この町にも冒険者ギルドがあるんですね」

「この国はある程度の町にしかないんだけどな。
 一応外交の港町から一番近いこの町で登録する奴らが多いから、必然でギルドがあるのさ」

「あ、そっか、登録するように言われてた」

 呑気だな、と笑われてしまったけどこれからが僕の人生だ、なんて意気込んでみた。

 ギルドの扉を開けると、色々な人種で賑わっていた。

「あの、この国での冒険者登録を」
「あぁ! 今日入国された方ね。
 大体このくらいの時間に来られる人は決まってるから」

 明るく力強い受付の女性に圧倒されながら、登録を済ませた。

「おい、お前、港で会ったよな?」

 すれ違ったあの銀髪の青年は、僕より後の手続きだったはずなのに、先に到着して登録を済ませていたようだった。

「えっと、かもしれませんね」

 敢えてそうだとは言わずに濁した。

「その髪の色、忘れられるわけない。
 それにその可愛さも」

「え? あの。ちょっと」

「俺は、ロイズだ」

「はぁ、そうですか」

「名前、教えてくれ」

「えっと、ルイです」

「ルイ、俺と一緒にパーティを組んでくれ」

 唐突にそんな言葉を出して、周りがざわつくのが分かった。

「おいおい、ロイズ! お前A級の冒険者だろ?
 そうみてもそこの兄ちゃんはFかEだぞ?」

 入国したばかりなのかと思ったら、既に海外で活躍してる人だったみたいだ。

「ルイが気に入ったんだ!」

 そう言うと、いきなりキスをされた。

「!!!」



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