その執着は今更です。

ビーバー父さん

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国からの別離

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 裁判で僕の出自を公にした事で、国王陛下は囲い込みが成功したと思ったようだった。
 そう、囲い込みだ。

 公爵家を出ようとしたところで、王室からの馬車に無理矢理、まるで拉致されるように乗せられて、この執務室まで連れて来られた。

「ローレンツォ、これからは王太子としての責務がある。
 王宮で生活して、王太子として学びなさい」

 この場には裁判で聞いていた宰相も同席していた。

「僕はルドヴィカの息子かもしれません。
 ですが、国王陛下の息子とは限りません。
 それを知ってるのは母であるルドヴィカだけ」
「違う! お前は私の息子だ!」

 王の執務室で大きく頑丈な一枚板で作られたデスクを拳で叩き、大きな音と共にデスクが揺れた。

「何故だ、やっと、やっとお前をルドヴィカを迎えられるのに」

 国王の言動がどこかおかしかった。
 僕ではなくルドヴィカを見ているような、正しくその言葉を吐き出した。

「陛下!」

 宰相から諫められその言葉を訂正し、冷静さを取り戻していた。

「愛し合っていたのだ、だから」

「それでも、僕を王の嫡子にするには時が経ちすぎているんです。
 宰相さんだって理解してますよね?
 時逆の魔法しか僕の出自を証明できないのに、似ているからとかその家門にしかない色だからとか、それだけでは王族はやって行けないって」

 この言葉に、王は覚悟を決めたかのような面持ちで、魔物の王を呼ぶと言い出した。

「陛下、では彼が陛下の子でなかった場合、どうしますか?」
 
 宰相の鋭い眼光が国王を射貫くと、項垂れた。

「僕を自由にして下さい」

 ただそれだけだった。
 今までのクソみたいな環境から、自分で決めて生きる人生ただそれだけを欲した。

「では、いつでも頼ってくれ。
 必ずだ……!」

 絞り出すように、その言葉を吐くと執務室から一方的に出て行ってしまった国王を見送った。

「すまなかった。
 裁判でいきなりあのような告白をした手前、はっきりさせるべき部分を公表しなくてはいけなかった。
 今後、君はルドヴィカ様の子息である事はその色で証明できる。
 だが、ガレットデロワ家が認めるかどうかは別問題でございます」

 それで良いと思った。

「ありがとうございます」

 この国を出る事は伏せておく事にした。

「今後はこちらの身分証明をお使い下さい」

 宰相から渡されたのは、国としての保護下にあると言う大層なものだった。

「いえ、こんなのが世間にバレたら狙われてしまいます。
 身元をどこかの貴族の方が補償程度ならわかりますけど」

 宰相は一考すると、では、と言って遊学証明書と言う物を出して来た。

「これは貴族の子息令嬢が、社会勉強の為に色々な場所へ行くときに使う物だ。
 貴族である事は悪い事ではない。
 牽制するには必要な地位でもある。
 自分の人生の選択肢を増やすためにも、利用できるものは利用しなさい。
 いつか、ルドヴィカの消息が分かった時は、報せて欲しい」

 頭を下げる宰相に、有難く使わせてもらうと告げて王宮を出てその足で国を出るために国境へと向かった。 



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