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しおりを挟む俺たちが着いた時には検査とかで、一志さんは既にいなくて、侑士が処置室で、傷を縫われていた。
侑士!腕と手だけど、神経とかは?
俺みたいになったらどうしよう。
「侑士!侑士!」
櫂砥から抱き上げられてたけど、おろしてもらって、上着を羽織っただけの姿で、侑士のとこまで駆け出そうとしたら、思うように動かなかった。
痛い、?
「さとる!
良かった、傷もなくて。
痛い所とかは無い?」
そう言われて足を見たら、右足の甲が腫れ上がってる!
急に痛さを感じて、ヘナヘナと崩れ落ちそうになる所を、櫂砥に支えられた。
「さとる、その足は?!」
櫂砥に抱き上げられながら、そういや俺靴も無いじゃん!
じゃなくて、腫れてる感じ!
「あれ?
何でだろう?」
「ぶふっ!
さとるの綺麗な蹴りが炸裂したからでしょ?」
侑士が笑いを堪えながら、櫂砥にも教えた。
「ウチの嫁、怒らせたら怖いよな。
あんな高さの蹴りが入るんだもん。」
「えぇ?
さとるが蹴りを入れたの?」
実はあんまり記憶にない。
一志さんが刺されて、倒れ込んだのと振り上げたナイフがその体に更に突き立てようとしたとこまでしか、覚えていない。
蹴れたって言うと変だけど、無我夢中で蹴っちゃったみたいだ。
「あんまり、覚えてない
無我夢中で、どんなか分かんない」
櫂砥は凄く嬉しそうに、抱きしめてくれて俺の頭をクシャクシャにした。
「凄い!凄いよー!
さとる、頑張ってくれたんだね!」
何が、と言うか曖昧すぎてよく分からん。
「さとるは、自分で一番嫌な事を家族のために克服したんだね。
優しいさとるには、辛い事だったと思うよ。」
「櫂砥、ただ助けなきゃって気持ちだけだから、自分にだったら動けないよ」
照れ笑いしながら、2人を見た。
「さとるの蹴りは、凄かったよー!
あいつの顎まで綺麗に上がって、本当に綺麗に回ってたよ。」
「へぇー、見せてもらいたいね。」
櫂砥も侑士も、一志さんが手術なのに!
「一志さんが心配なんだけど。」
解決したんだよね?
一志さんの手術が、成功した事を教えられた。
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