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異世界来ちゃったのかな?
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しおりを挟むピンクのマーカーの場所は、渓谷と山の間に隠れるように小さな平地があった。
そこへ向かってゆっくりと羽ばたきながら、降りてみた。
降りてみると、俺にとってはそこそこ広い土地で、周りには人の気配は無かった。
どうやって住んだらいいんだろう。
家を作ると目立つし、でもここなら誰も来れなそうだし問題ないかな?
何でもありなこのツノで、家を作ってみよう!
雑誌にある様なモデルルームを想像してみたけど、なんか俺の趣味じゃない。
だから、昔ながらの日本の家屋を建ててみた。
平屋の縁側がある、家。
ここまで万能なら、食べ物だってどうにかなりそうな気がした。
料理は出せなくはないけど、味がイマイチ。
というか、多分、俺の希望やら記憶やらが足りないせいだと思う。
段々と使い方が分かってきた。
自分の今までの記憶と希望する力の具合?に寄るようだ。
それだけ、家庭料理なんて食べてきてなかったってことだ。
家にいたころはどうやって何を食べていたんだろう。
記憶にない。
ぼけ老人かよ。
どうやっても思い出せなかった。
そこで、ふと。
俺、この姿変えられるんじゃね?と。
「元の亜希の姿」
凄く力いっぱい願ってみた。
けど、まったく変わらなかった。
そっか、人間は自分から辞めたんだし、都合よすぎだよな。
家の中に、台所や家具、トイレやお風呂、動力源は風力で電気を起こした。
勉強した知識はそのままだったみたいで、結構助かった。
食材に関しては、よほどの物じゃなければ出せた。
そう、出せたんだ。
例えば鮭の切り身、塩、砂糖、醤油、色んな調味料。
でも、レトルトは出せなかった。
調味料の入れ物も瓶とか木や皮で、プラやペットは出せなかった。
神様の趣味に合わなかったのかな?
米は出せるけど、炊き立てのご飯は出せない。
小麦粉は出せるけど、パンは出せない、な感じ。
このツノを使う力も、どのくらいまで使えるのか分からないけど。
昨日の今日で、結構、異世界になじめて来てるかも。
独りでこの土地で暮らし始めて、1年くらいたったと思う。
体つきは相変わらず、子猫の様な体型だった。
俺的には、こう、白虎の様な方向へ行くと思ってたんだけど。
それでも力を使う練習をしながら、料理や生活魔法も覚えて行った。
どうせ家を出て自立するつもりだったから、煮る、焼く、蒸す、くらいはできた。
それをツノの力で応用したりしながら、自分でも色々作ってみたりした。
便利グッズや、便利魔法。
冒険者とかになるわけじゃないから狩りとかは必要なかったけど、この前みたいにいざと言う時に戦えないと困るから自主練はしていた。
ツノにだけ頼らずに、物理的にも体力的にも頑張らないとって思って鍛錬していた。
1年くらいの間に、季節は冬へ、春から秋へと変わった。
夏がない!
てか夏の雲だと思うけど、かなり過ごしやすかった。
毛玉だから、夏が来るならと覚悟して俺は全身の毛を刈ろうと思ってたけど、どこまで刈るか、で真剣に悩んでた。
だって、お腹とか胸辺りはいいけど、顔とか、その、もにょな場所とか。
服は着る気ないから、毛を刈るわけにはいかない。
頭と股間だけ毛が残ってる姿を想像して、きゃー!!って一人悶絶してた。
あほの子だ、俺。
誰もいない生活に慣れすぎてこの大自然が優しくて寂しいとか、誰かと出会いたいなんてこれっぽっちも思ってなかった時に人間の討伐隊?みたいな武装した人間がやってきた。
鎧とかみんな同じだから、傭兵とか冒険者ではないんだと思う。
どうしよう!
今の俺なら、多分、殲滅できる力はある。
だけど、傷つけたいわけじゃない。
せめて、人に近い姿なら。
そっか!元の亜希にはなれないけど、獣人にはなれるんじゃないだろうか。
そしてちょっと成長させて、かっこいい白虎みたいな獣人!!
憧れのモフモフ系イケメンになれるじゃん!
凄いアイディア!
使ってみたら、イメージとは程遠くて獣人?だけど翼があるから鳥のようだった。
尻尾はふさふさの長毛だから、もしかしてまたキメラとか言われちゃうかな?
でも、ちゃんと顔は俺の亜希の顔だから言葉もしゃべれる。
きっと話してわかってもらえるって、期待してた。
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