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異世界来ちゃったのかな?

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「シェラシードはどう?
 報告をきかせてもらえるかな。」

「はい、月光草の蕾は花開く事なく、枯れ落ちました。」

多分、さっきの翡翠鳥と同じ意味なんだ。

「月光草とは、魔法使いが使う魔力増強の薬草に使われています。
 むしろ、月光草が無ければ魔法を使えない者が殆どです。
 魔力量の高い者が、月光草に例えられる事で、普通の魔法使いと差別化されているのです。
 ですから、月光草とはアキ様を拘束しようと狙っている大魔法使い、花開くとは、魔法を使うという事です。
 枯れ落ちた、とは魔力が枯渇したのです。
 シェラシードが、枯渇させたのですよ。
 腐っても元精霊王ですからね。」

ラドルの説明で、やっぱりさっきのと同じ様な事だって分かった。 
そして、命の期限の中枯渇させるまで戦ってきたんだ。
間に合わなかったらって考えると、神様が恐ろしくなる。

「アキへの執着が酷い王侯貴族はまた、別な形で考えよう。」

神様はやっぱり、畏れを知った上で付き合わないといけない存在なんだって身に染みたよ。





ラドル立ち合いで、他の属性の練習も始めたし、歌わずに使える様にならないといけなくて、なかなかむずかしい~

今日は火の精霊王ラゼルとだけど。

「アキ様は歌わずにって拘ってますが、歌うのは悪い事じゃないですよ。
 特にアキ様の歌はこちらの世界にはない歌ですしね。
 あとは、一番大事な歌とか、ですねー」

一番大事な歌は、小さい頃に自分を励ます為に作った歌。
メロディにもならない、ただ、助けてほしいだけの歌。

テレビとかあんまりみた事ないから、流行りの歌も知らないし。

行き詰まった感がする。

火の精霊王ラゼルが、さらに困難な提案をしてきた。

「リズムを刻んでみましょうよ。」

お、踊れって事?…

いやいや、どんなアニメ!

「いや、絶対に、踊りません!」
「可愛いと」
「踊りませんから!!」

ラゼル、俺に何を求めてるんだ。

「アキ様、肩の力抜きましょう。
 リズムも大事なんですよ?
 だから、可愛く踊って」
「しない!無理!」

「ちょっと、体操する気持ちで、こう」

ラゼル、無表情でブレイクダンスしてる。
ナニコレ。
カッコいい!!
クールって言うの?

体操レベルじゃないし!

なんかアイドルのライブ見てる様だった。

「アキ様の体、柔らかそうだし、イケそうですけどねー?」

体を動かすのは嫌いじゃないけど、恥ずかしいが、一番先にある。

歌いながら同時進行なら、どうなんだろう?
お風呂でも歌いながら出来上がっていったって。

「目標を作りましょう。
 アキ様は火だと何を思い浮かべますか?」

「強さ、怖さ、浄化、かな。」

「良いですね。
 では、強さ、怖さ、浄化を考えて何かを作りましょう。」

一番最初に浮かんだのは、火のたてがみを持つ紅い獅子。

強くて、その火で浄化できる獅子。

揺ら揺らと揺れながら、決して消えることの無い焔が、形作り出したのは普通の知ってるサイズの何倍もある大きな獅子だった。
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