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異世界来ちゃったのかな?
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しおりを挟む「では、アキ様
帰りましょうね。
ゆっくりお風呂で洗ったら、一緒に寝ましょうね。」
凄い笑顔で、抱き上げられて空間を切り裂いた。
「ラシル、俺、自分で歩けるよ」
「いいえ、私の家に初めて番いを招くのです。
大事に抱いて行きますよ。
当たり前のことをです。」
ラシルの家は、白亜な作りで風の駆け抜ける様な高い天井に広い通路だった。
「綺麗だねー
ラシルは白が好きなの?」
「私には奇跡の色なんですよ。
お風呂で話しましょう。」
抱っこされたまま、浴室に連れて行かれた。
ローマのお風呂みたいだった。
広いの。
そんで、憧れのライオンの口からお湯が蕩々と流れていた。
あるんだ、こっちにもライオンの口から出るやつ。
「アキ様は、服装もきちんとした物を誂えましょうね。」
布巻いただけだしなー
でも今更じゃない?
「でもね、翼とか尻尾とかね、どうしたらいいか分かんないから。
服は作れないから、布巻くだけでいいかなーって。」
「では、お風呂から上がったら用意させましょう」
「誰が作るの?
ラドルの家でも、誰も居なかったから魔法で暮らしてるのかなって。」
「ふふ、精霊王ですからね、精霊達が色々と世話を焼いてくれます。
さあ、こちらへ。
まずは、体を温めてそれから洗いましょうね」
浅いのかと思ったら意外と深かった。
適度に水圧が掛かって、マッサージされてるみたいにお湯が流れてた。
「気持ちいい」
「良かった。
アキ様、可愛らしい
試練の時の間に、他の連中とお風呂に入ったと聞き、悔しくてなりませんでした。
私は本気で嫉妬しました。
アキ様、愛しています。」
お湯の中で、そぉっと抱きしめられた。
「このお風呂、凄いね!
ライオンの口からお湯が出るって、俺の前の世界ではお金持ちの国のお風呂だったよ。」
「これは先代の神獣のご要望で、これがアキ様もお好きなら良かった。」
チクリ
なんだろ。
先代の神獣はラシルに魅了の魔法を掛けて、番になってたんだよね?
その人の好みのお風呂。
チクリ
胸がむかむかするし、なんだか嫌な気分。
「このお風呂の水流も、先代のご希望でしたが、マッサージ効果もあって」
「やめてよ!」
はっ!
なんだ、俺。
「あ、ごめんなさい
お風呂、気持ちいいです。」
先代の話し、聞きたくない。
ラシルが魔法を掛けられたからって、かつては好きだった人の話し、聞きたくない。
「アキ様?」
「なんでもないの、大丈夫だよ。
広いお風呂って気持ちいいよね!」
「私は、こうやってアキ様としっかりくっつけるだけの広さで良いのですが。」
「のぼせちゃいそうだから、体洗うね。」
嫌な態度。
俺、嫌なやつ
「アキ様、私が洗って差し上げます
肉球では洗いにくいでしょう」
「う、ん、ありがとう。
背中は自分で洗えないから、お願いします。」
ラシルが後ろから泡立てて、髪の毛や、背中の毛、小さくしたけど翼とかを綺麗に丁寧に、梳り流してくれた。
「先代は巻き毛でしたが、アキ様は真っ直ぐな綺麗な毛ですね。
とても美しい毛並みです。」
「前の、子は、巻き毛だったの?」
「えぇ、たしかドリルとか言ってましたね。」
「ドリル?」
よく分かんないや。
「アキ様と同じ様に翼がありましたね」
「そう、なんだ。」
チクリ
チクリ
胸が痛む気がする。
「わがままな方でしたが、それも可愛く思えてました。」
「ラシルは、その子と一緒に住んでたの?」
「はい、罪を問われて散る時は神が隠してしまわれたので、どうなったか分かりませんが、真名が解除され散った事を知りました。」
チクリ
何でかな、ラシルが前の子の話をするのが、嫌な気持ちがして、むかむかと吐きそう。
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