神獣ってモテますか?(モテないゲイは、魔法使いを目指す!@異世界版)

ビーバー父さん

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異世界来ちゃったのかな?

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チカちゃん、出てきて。
空中だったのに、聖獣は落ちることなく留まってた。

チカちゃんに抱きついて、ひとしきり空で泣いた。

裏切られたんじゃない。
大人だから、俺に隠しただけ。
そう思っても、涙が出た。

俺を抱くためなら、あんな風に言葉巧みに誘うのかと思ったら、腹も立ったけど悲しくて情けなくて涙が出た。

精霊たちが集まってる気配がしたから、目を開けると全部で7色の小さな光が集まっていた。
口々に、ごめんね、ごめんねって。

「なんで、みんなは何にも悪くないじゃない
 俺が勝手に傷ついてるだけだから
 フェースライザーが悪いわけじゃないよ
 泣かないで。
 ね?
 一つだけお願いがあるの。
 俺がどこへ行っても、君たちには分かってしまうから、内緒にしてね。
 君たちの精霊王には、言わないでね」


ちいさな声で、みんなが、分かった、言わない、でも、側にいていい?って聞くから

「いいよ。
 俺も寂しくないし。
 でも、言っちゃダメだからね?」


返事をするように、きらきらした小さな光が塊になって、こうもりの毛玉版みたいな可愛い生き物が出来上がった。
なんで、こうもり?

まぁ、可愛いからいっか。

こうもりちゃん、なんか名前つけてあげようなかな。
毛玉こうもりを胸に抱きながら、チカちゃんの背中に乗って、空を駆けた。

誰も知らないところに行こうと、神様の結界領域を超えた。

神様が本気を出せばすぐ見つかっちゃうだろうけど、それまでは独りになりたかった。
独りになって、思いっきり泣いて喚いてしまいたかった。

広い世界だもの、ちょっとの間くらい独りになれるところがあるよね。









「フェースライザー!!!!
 貴様、一度ならず二度までも!!!」

大地の精霊王セルゲート・ラドル・アスラが吠えた。

「騙したってわけじゃない。
 番じゃなかったから、先代とは。
 ただ、欲しがられたときに、奉仕してただけだし。
 意味合いが違うから。
 でも嘘はついた。
 アキ様を傷つけたくなくて、先代はいないし、バレることはないって思って」

「貴様はバカか!
 いくら、アキ様が睦言に疎くても、このような関係が分からぬはずはないだろ!」

光の精霊王シャピオス・ラザル・アスラが怒鳴った。

「やっと、心を開いてくれて、聖獣を誕生させたり
 凄く、アキ様楽しそうでしたよね?
 あんなに、疑心暗鬼の塊みたいな方がさ。
 ねぇ、その辺、お前はどう思ってたの?
 やっぱり、先代と比べて?
 それとも、ただヤりたかっただけ?
 あの、フィルとか言うの連れてきた時、アキ様にあれだけの暴言を吐いてるの聞いて
 俺は心底、あの方を泣かせたくないって思ったんだけど。
 泣かせる奴は、殺すって」

火の精霊王キース・ラゼル・アスラが静かに怒りをぶつけた。

「あれだけ嫌われたくない、お母さんの為ってだけで頑張れる子を
 私たちは何度傷つければいいんだろうね。
 あんな泣き方をする子、私は知らなかったよ。
 自分の尻尾だけを持って歩くあの姿、可愛くて、可愛そうで、悲しかったよ」

水の精霊王シェラシード・ラバル・アスラが後悔の念を吐露した。

「配下の精霊たちですら、私たち精霊王よりも一緒にいたいって思われるほど
 あの方は慕われています。
 それならば、私たち精霊王の存在は、あの方にとっては必要ないのでは」

木の精霊王モライア・ラゲル・アスラが静かに呈した。

「あの方の生い立ちを考えれば、嘘をつくより正直に話してあげた方が良かったな
 フェースライザーは、己の都合ばかりが先立ってる」

金の精霊王アードライド・ライル・アスラが付け加えた。

「ほんと、お前ら!
 私の大事な子を泣かせるなって言わなかった?
 ねぇ?
 結界領域出ちゃったじゃない。
 しかも精霊たちに口止めしたうえに、一部連れて行っちゃってるよ?
 精霊王がただのお山の大将に成り下がる日も近いんじゃないの?」

神が凍りそうな怒りをぶつけていた。
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