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異世界は続くよどこまでも

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七精霊王の真名を解除返還した。
特に、彼らから何か行動があったわけでもなく、あっさりしたものだった。
正直、何か言われたら、どうにもできない自分がいて、怖かったんだけど。

俺の生活はとりあえず、タロー様のお屋敷で執事さんに面倒を見てもらいながらだけど、綺麗だったり、かっこいいとかの着せ替え人形になってる節もある。

ここのお屋敷での立場は、悪霊に!取り憑かれた子を助けた神獣様になってて、ちょっと違うんだけど訂正するのもめんどくさい状態。
不本意だったけど、俺の神獣としての力を見せつけて、外野を黙らせた感じだった。
あれ以来、タロー様のいけ好かないイヤミ弟は静かだ。
そんなのを物ともしないクソガキのトリスタンが、俺を牽制してやたらとタロー様に纏わりついてる。

一体何に対する牽制なんだろうか?

次代の魔王にって話は当然のようにあり得ない。
寿命があるならまだしも、タロー様は寿命が無い。
でも、弟はただの貴族。
んー?て思ってたら、執事さんが教えてくれた。

よくよく聞くと、正確には弟の様な存在ってだけだった。

つまり、血がつながってるとかでもなくて、魔族という属性の人。
魔族の森で捨てられていたのを、タロー様がたまたま見つけて家族として育てたんだって。
なんか、環境は俺と違うけど本当の家族じゃないってところが同じだった。

血がつながらないから、トリスタンを次代にって推して自分の立場を盤石なものにしようとしてるんだろうか?

トリスタンは、そこまで考えてなくて、単にタロー様を慕ってるんだろうな。




そんな生活の中神獣として、イーリスの言う通り、何も変わらなかった。

いや、変わった!

精霊王の配下だったそれぞれの属性の子たちが、繋がりが切れたのを怒って、自ら眷属になりに来る子が後を絶たなかった。

タロー様の屋敷にいるのに、他の属性の子たち、強気だな。
世界には精霊が溢れてるんだし、別に構わないか。
それぞれの精霊は小さい子もいれば、人に近い子もいる。
俺の眷属になって、晴れやかに自分の仕事に戻っていくのを見ると、満更でもなかった。




闇魔法の魔力を流す。
勝手にイメージが、悪い物、怖い物、黒い何か、だったからうまく巡らすことができなかった。
この最初のとっかかりが、いつもなかなか進まない。

「アキ、闇属性は別に怖い物じゃなくて、むしろ癒しの方だ。
 暗い部屋で眠るのと同じだな」

闇の魔力は確かにあるけど、暴れてうまく通ってくれないから、タロー様の言葉をヒントに子守唄を歌ってみた。
 
眠るということに恐怖を持っていたのは小さいころ。
誰もいない部屋、壁の陰さえも怖かった。
泣き叫んでみても、誰もいない部屋に取り残される恐怖。
それが、いつの間にか恐怖から安堵に変わっていた。
独りでいることは当たり前になり、いつの何か暗闇が安心する生活に変わっていた。
あの頃。
誰かに子守唄を歌ってもらっていたら違ったのだろうか。

お母さんに歌ってもらったことがあるんだろうか。


目を開けてみると、タロー様以外の人が全員眠ってしまっていた。
それこそ、おとぎ話のように、作業の途中で壁の凭れて眠る者、廊下で座り込んで眠る者、あの執事さんでさえ眠っていた。

「アキ、お前の魔力の練り方は凄いな。
 私もうっかりと眠ってしまいそうだった。」

「あの、みんな眠ってしまったら、どうやって起こせばいいのでしょう?」

タロー様は綺麗な笑顔で、今度は光の魔力を練ってごらん、と。

「えっと」

光の光度を上げるように、練っていく。
このタロー様の世界全部を包み込んで、体を揺するように、始まりを告げる夜明け鳥のように。

「アキ!」

呼ばれてハッとしたら、目の前に夜明け前の藍色をした鳥が生まれていた。
艶やかな羽毛。
クジャクのオスに似ている。

翼を開くと、色鮮やかな藍色のグラデーションが入っていて、その中に星が瞬いているような小さな宝石の様な綺麗な色とりどりの石がついていた。
まるで、空気の澄んだ冬の夜空に見る星。

「えっと、また、作ってしまいましたか?」

「また、とは?」

「はい、スズキくんはうっかり。
 イーリスさんはちゃんと認識して、うちの子にするのに。
 なんか。イーリスさんは、七精霊の長なので、彼の精霊王より各上だそうです。」

「ははははは!!!!
 阿奴らより、格上の者を作り出したとは!!!」

ちょっと自分に困ってます。

動物王国を作りそうな勢いです。
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