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異世界来ちゃったのかな?

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精霊王たちの真名を解除しよう。

こんな事で縛りつけちゃいけない。
先代の魅了魔法と変わらないじゃないか。
好かれる事に胡座をかいて、真名だの神獣だのって事にいい気になってた気がする。
だから、ラシル、ううん、フェースライザーの中に他の人の影がある事が嫌だったんだ。

ちゃんと本能で分かってたんだ。
俺を捧げるべきは、この人じゃないって。

先代様、いい反面教師になりました。
人の心は縛れないんだ。

「タロー様、おれ、七精霊王の真名を解除して返還します。
 そうしたらこの姿じゃない痩せっぽちの子猫になるかもしれない。
 永遠の命もなくなる、それでも、俺を伴侶にしたい?
 ただの神獣だよ」

「当たり前だろ、私は神獣のアキではなく、好きになったアキが、神獣やってただけだ。
 それにな、私だって神だぞ?
 何とかしてやる。
 出来なくても、何とかなるさ。」

タロー様は意外に剛気だな。
自然と笑えた。
この姿じゃなくても、神獣じゃなくてもいいんだ。

「俺ね、やらなきゃいけない事があるんです。
 だから、」
「それは!
 それは私の側ではできない事なのか?」

「闇魔法を教えて下さい。
 やらなきゃいけない事に多分必要だと思うんですよ。
 お母さんを救うのに」

「構わない!
 私が全てを教えよう。
 アキのやるべき事が終わったなら、
 いや、私がそのやるべき事を一緒に出来ないだろうか?」

「どうでしょう?
 やらなきゃいけない事は分かってても、
 やり方が分かりません。
 辿り着くには、たくさんの方に助言を求めなくてはならないかもしれません。
 その時は、お願いします。」

「ね、チカちゃんたち、俺、精霊王の真名を返すつもりなんだけど、そうなったら、チカちゃんたちはどうなっちゃうんだろう?」

『アキ様、何も変わりませんよ。
 そのお姿も、永遠の命も、そして神獣の力も』

真名を返しても、永遠なの?

『我ら、特に麒麟のイーリス殿が七精霊王と同じ役割をしていますから。
 むしろ、イーリス殿は全ての精霊の長となりますから、精霊王より格は上です。
 アキ様の魔力と、七精霊たちの意思で麒麟になったのですから、自ら作り上げた訳です。
 早く真名など突っ返してやれば良い。
 役立たず共め』

「あははは!
 変わんないんだ。
 タロー様、同じ時間を生きられますね!」

「!
 アキ!
 それは、私と生きてくれるという事なのか?」

「あ、れ?」

何で、姿形が、変わる事が何だか嫌だったんだろう?
永遠の命も、特に望んでなかった。
タロー様が永遠なのに、って思ったから。

え?
えぇ?

いや、いや、今日会ったばかりで、婚約者とか嫌味な弟が言うし、先代が取り憑いた人が出てきて、攻略とかフェースライザーを振り回すから

えぇー!!?

取り敢えず、真名を解除して返還しよ。


一章 完


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