神獣ってモテますか?(モテないゲイは、魔法使いを目指す!@異世界版)

ビーバー父さん

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異世界は続くよどこまでも

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聖獣を連れていけたらいいのに。
チカちゃんたち全員出して、置いていくことにした。
みんなには、何があっても騒がないように言い含めて。

告鳥のコンちゃんに、起きなくても誰にも知らせたらだめだよって言って、再び眠りについた。

深く、深く、暗闇のもっと先に堕ちていく。


水の薄い膜の様なのを通り抜けて落ちた。

羊膜だったのかもしれない。

お母さんのお腹にいたころの記憶を辿って、夢を見てるんだってどこかで思った。

暗闇の向こうから、俺を呼ぶ声がした。
お母さんの声。

「亜希! 
 亜希、ごめんなさい!
 子猫だって、なんだって、貴方は私の亜希だったのに!!」

声がする方へ必死に駆けた。

「おかあさん!!!!」

子猫の姿から、俺の記憶の中で一番小さい頃の姿に変わった。
近づくたびに、少しづつ大きく成長して、18歳の俺の姿になった。

「お母さん!」

「亜希!
 ああぁ、亜希!
 こんなに大きくなって!
 お母さん、貴方の成長が見たかったわ」

俺がちょっとだけ大きい。

抱きしめてくれた。

「ふふ、弟の解にそっくりね。
 叔父さんに似ちゃうなんて、貴方も苦労してるでしょ
 あの子もストーカーとか大変だったのよ」

「えぇ?何それ?」

夢の中でたくさん話をした。
今まで、お母さんを知らなかった事。
びっくりすることに異世界に来て神獣をやってる事。
お母さんが、この夢の世界で迷子になってる事。

だから、なんとしても外の世界へお母さんを連れ出す事。

たくさん話した。
今まで凄く辛くて悲しくて、どうしていいか分からなかったことまで、全部、話した。

お母さんは時々笑って、時々泣いて、時々謝ってた。

「お母さんの夢とあっちの世界を繋ぐのが、まだ時間かかりそうなんだ。
 だから、おれ、ここにいていい?」

「亜希を待ってる人はいないの?」

「う~ん、いないと思う。」

待ってる人なんて、お母さんしかいないよ。
ただ、異世界にいて、
あれ?
異世界?

どうだったんだっけ。

お母さんを、向こうの世界に、帰さなきゃ。

向こう?

覚えてる事って、なんだっけ?

お母さんを俺の前にいた世界に帰す。
俺はどこにいたんだっけ?


どこに?









執事カスティアが王の寝室を訪れたのは、アキが眠りについて3日ほど経ってからだった。

最初は、疲れているのだと思い、そのまま寝かせた。
翌日は、自分の仕事が忙しすぎて他の使用人に行かせて、眠っているという報告だけを受けた。
三日目に、寝室へ訪れてアキが目覚めないことを知った。
アキの枕元にいる告鳥は、じっと目を瞑りアキの側で蹲っていた。
焔の獅子はアキに誰も近づけないようにずっと立っていた。
水の龍は頭上から守護を、麒麟はアキの魔力を維持していた。


その事はすぐに闇の神である伴侶オプスクリタスへと報告された。

「まさか!
 そんな訳なかろう!!
 しかも3日も気づかなかっただと?!!!」

「ご主人様は寝室で眠られていなかったのですか?!
 一体どちらで!!」
 
「いや、まぁ、その」

「浮気ですか。
 アキ様の心労も考えず、自分の苦労だけを考えましたか?」

「浮気などするわけなかろう!!」

「では、何故でございましょうか?」

「城下と人間の国で情報収集を」

「さようですか。 
 それは、女性も男性も入るわけですね」

執事カスティアは容赦なく主を責め立てた。

「気づかれなくても致し方ありませんな。
 もう一方の神に、ご報告いたしましょう。
 今回の事は、多分、ご主人さまでは解決できませんでしょうから」

その場で、魔蝶を作り出し空間を捻じ曲げ、まずは精霊王へ報告を送った。
ほんの数分のうちに、空間が切り裂かれ現れたのは、神と七精霊王だった。

憤怒の形相で神が現れ、すでに抜き身の刀を持って七精霊王が現れた。





「ねぇ、真名を解除するよね?
 今するって、言ってくれないかなぁ?」

「だから、浮気はしていない!
 アキは守られているから大丈夫だと思ったんだ!」

「コレ、アキが自分自身に目覚めない魔法をかけてるよ、分かる?
 目覚めなくてもいいって思ったことがあったんだよね?
 この涙の跡を見れば、なんとなく察しはつくけどさ。
 アキ、なんか言ってた?」

「夜が、寂しいと。
 せめて夜は一緒にいたいと。」

「で、それを叶えなかった理由は?」

「城下で情報収集と称して、過ごしていたからだ。」

「そう。
 告鳥、お前の力で起こせるかい?」

『我は、アキ様より起こすなと厳命されております。
 今まで幾夜もアキ様は、この世界の皆が癒しの夜を迎えるようにと子守唄を歌い
 伴侶である闇の神が少しでも心を癒せるようにと歌っておりました。』

「告鳥、アキは笑っていたかい?」

『いいえ、泣いておりました。
 母君の夢を見つけたのに、我が起こしてしまったために、
 泣き崩れ、もっと深くもっと長く、我が目覚めさせないように』

「帰ってこないつもりか
 それほど、絶望したのか」

「そんな、アキ!」

『触るな!!
 貴殿にアキ様の伴侶を名乗る資格は無い!
 深淵に堕ちていく魂を止められない我らの悔しさを、
 アキ様を失う悲しみを、お前が知る必要はない
 真名が消えてなくなるのも時間の問題だ』

青白い怒りの焔を全身にまとい、闇の神オプスクリタスを威嚇した。

「そうか、アキは散ることを自ら選んでいるのか」

「やめてくれ!
 アキまでいなくなるなんて!」

「貴殿が言える立場ではない。
 一体どれほどアキ様を独りにした?
 あれほど、独りになりたくないと泣く子を!!」

大地の精霊王セルゲートが怒りをぶつけた。

少しずつ、証である紋様が消えて行ってるのを自覚した。
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